中公新書の一冊として、最近、沼野雄司著「現代音楽史」が出版されたので、購入して読みました。
(著者について)
沼野雄司さんは、1965年東京生まれ、東京芸術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。音楽学博士。東京音楽大学助教授、米ハーヴァード大学客員研究員などを経て、現在、桐朋学園大学教授。著書に、「エドガー・ヴァレーズ=孤独な射手の肖像(春秋社、2019年、吉田秀和章受章)などがあります。
(帯の裏にある本書の紹介)
(感 想)
1918年11月23日、、シェーンベルクを中心にして「私的演奏協会」というグループが発足し、これをもって「現代音楽」がはっきりと姿を表したと著者は記し、それ以降のクラシックの現代音楽史を綴っています。凝縮された中身ですが、書きぶりも含めて一般の人向けに書いた労作です。
第2次世界大戦以降1960年代までに現れた、十二音技法、セリー音楽、偶然性の音楽、電子音楽、トーン・クラスターなどの説明には興味を惹かれました。1970年代には、調性と拍節の復活、あるいは無調語法の緩和が行われ、新ロマン主義とか、ポストモダンなどと言われるようになったそうです。
新ロマン主義に至って、聴いてみたい曲が現れました。まずは、ジョルジュ・リゲティのピアノのための「練習曲集第1巻」(1985年)で、複層的なリズムの反復を構造の基盤に据えているそうです。また、ヘンリク・グレツキが、不協和音に満ちた作風から完全に調性へ転じた「交響曲第3番」(1976年)も聴きました。
(本書を読んだあと聴いたCD)
ジョルジョ・リゲティ:練習曲集第1巻より第1番他 ユジャ・ワン(p)「ベルリンリサイタル」
リゲティのピアノのための練習曲集から第3番、第9番、第1番が演奏されています。第1番は難曲ですが、リズムがたってスポーティーで、ちょっとジャズっぽくもあり、ユジャ・ワンの演奏が素晴らしい。
(リゲティ 練習曲集第1巻から第1番「無秩序」の楽譜、本書に掲載されています。)
リゲティのピアノ曲の次に聴いたのは、
ヘンリク・グレツキ:交響曲第3番 アントニ・ヴィト指揮ポーランド国立放送交響楽団
濃厚な音の積み重ねによる分厚い和音が響きながら旋律が動いていきます。聴きやすく、後にイギリスのポップ・チャートで人気を得た曲だそうです。下記のCD3枚組セットの一枚です。
もっているのは、アントニ・ヴィトが指揮したグレツキの交響曲、管弦楽曲集で、CD3枚組です。ポーランドのグレツキと同郷のアントニ・ヴィトの指揮になるもの。