「ただし、まだこれで十分だというわけではない。なぜなら、文書を開示すると言っても、いろいろなやり方が考えられるからだ。
可能性としては、 1)どんな文書があるのかは明らかにするが、その全てがなんらかの理由(例えば、個人のプライバシーを侵害する)により開示できないとして全面的に開示を拒否する 2)どんな文書があるかを明らかにした上で、大多数の文書について、1と同様に不開示とし、ほとんど意味のない文書だけ開示する 3)一定の範囲で文書を開示するが、開示した文書のほとんどが黒塗りにされる 4)かなり多くの文書を開示し、黒塗り部分も必要最小限とするが、最も機微に触れる情報が入った文書(例えば、政治家からの改ざんの指示、財務相の関与の態様などがわかるもの)については、不開示とする 5)真に必要な黒塗りはするが、基本的に全ての文書を公開する などがある。
首相の指示があったのだから、1はなさそうだが、2、3は十分にありうる。それとともに怖いのは、石破政権が夏の参院選後まで続くのかどうかを見極めるまで、最終決定を遅らせて、万一石破政権が倒れれば、1の対応で済ませようと財務省が考えることだ。夏まで動かないということになる。財務省ならやりかねない。」
森友文書開示事件は、国の上告断念で解決したかと言えば、必ずしもそうではなく、古賀氏は、石破政権が倒れるのを待っているという見方を示している。
何を隠したいのかについて、佐藤優氏は、2018年の時点で、① 表紙、② 秘密指定 を指摘していた。
佐藤:国民に対する責任は、自殺することではなくて、真実を語ることによってのみ果たせるわけですから、そこを勘違いしないでほしい。なぜ私が敢えてこういうキツいことを言うのかというと、今この瞬間も、財務省の中には自殺を考えている官僚が何人もいるということが、目に浮かぶんです。・・・
死んではダメ。死んだら悪いヤツが喜ぶだけです。真実を語ること。死ぬ覚悟になれば、すべてを語れる。そうすれば、世論はきちんと支持してくれるから。 ・・・
佐藤:ところで今回、財務省はあの文書の中で、いちばん重要な紙を出していないんです。それは「表紙」です。
邦丸:表紙ですか。
佐藤:表紙には、どの役職の人間まで決裁をしたかという記録が残っている。・・・
佐藤:それともう一つ、財務省が隠しているのは、この文書の秘密指定が何だったかということなんです。通常この種の文書というのは、「取扱注意」──これは秘密文書ではないんですけれど、外に見せてはいけませんよということ、その次は「秘」──普通の秘密、それから「極秘」と、だいたいこの3段階に分かれるんです。「極秘」の場合は、ひとつひとつの文書が誰のところに行っているかの記録が全部あるんです。ですから、この文書が極秘文書だった場合は、本当は誰に回っているか全部わかるので、その原簿があるはずなんです。「秘」の文書でも、配布先に関する資料はあるはずです。そこを隠していますよね。
邦丸:ふむ。
佐藤:それが出てくると、原本の段階で誰が知っていたのか全部わかるんですよ。・・・
開示する場合、その過程でいろいろと現場でやり取りがあると思うが、死ぬことだけはしないでほしいというのが、佐藤氏の思いなのだった。