「東京バレエ団創立60周年シリーズ後半のトップに登場するのは、東京バレエ団の名前を世界で不動のものにした最大の功労作「ザ・カブキ」です。
20世紀の巨匠振付家モーリス・ベジャールが歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』をもとに東京バレエ団のために創作した「ザ・カブキ」は、現代の青年が “忠臣蔵”の世界に迷い込み、サムライ“由良之助”となって主君の仇討ちを果たすまでを描く物語。歌舞伎と武士道 ──日本が世界に誇る伝統芸能と精神文化が、西欧のバレエという手法で絶妙に表現され、1986年の初演以来、パリ・オペラ座、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座など著名歌劇場を筆頭に、世界15か国28都市で206回上演され喝采を浴びてきました。」
20世紀の巨匠振付家モーリス・ベジャールが歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』をもとに東京バレエ団のために創作した「ザ・カブキ」は、現代の青年が “忠臣蔵”の世界に迷い込み、サムライ“由良之助”となって主君の仇討ちを果たすまでを描く物語。歌舞伎と武士道 ──日本が世界に誇る伝統芸能と精神文化が、西欧のバレエという手法で絶妙に表現され、1986年の初演以来、パリ・オペラ座、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座など著名歌劇場を筆頭に、世界15か国28都市で206回上演され喝采を浴びてきました。」
日本通のベジャールが歌舞伎をバレエ化するに際して選んだのが何と「仮名手本忠臣蔵」。
”シューイチ”がこれを知ったならば、
「よりによって、日本社会の暗部を代表する演目を選ぶなんて!」
と激怒するかもしれない(5月のポトラッチ・カウント(2))。
その点を抜きにすれば、ダンスの方は見どころ満載である。
一番感動したのは、1幕6場ラストでの由良之助のソロ。
現代の東京から江戸時代にタイムスリップした(?)彼が、四十七士と共に主君判官の仇討を決意するシーンのダンスである。
この7分余りの、一人で踊るヴァリエーションは、由良之助役のダンサーにとって最大の難所らしい。
言うまでもないが、7分以上踊り続けるだけの体力と気力が必須であり、限界を超えてしまうと大変なことになる。
例えば、これまた長い「ロミオとジュリエット」第1幕の「バルコニーのパ・ド・ドゥ」では、限界に超えたロミオ役のダンサーが、ピアノの裏でゲロを吐いたという話を聞いたことがある。
こういう見せ場は、実は危険と背中合わせなのである。
・・・さて、この演目では、普段は出番が少なくてくすぶっていることが多いらしい”東バ男子コール・ド”が大活躍する。
但し、47人そろえるのは難しかったのだろうか、私が数えた限り、討ち入りした後切腹したのは、由良之助のほか41人だった。
というわけで、「ザ・カブキ」では由良之助+41人の義士が仇討の代償として切腹したので、ポトラッチ・ポイントは、(一人の命を5.0ポイントとする前提で)5.0×42=210。