季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

廻るものたち

2016-01-26 10:49:10 | 工房working place
今回の個展で、いろいろな事がうまくすいすいと収まるべきところに収まって心地よく披露されたと感じました。
初めてでわからないなあと思っていたのだけれど、うまく行くものだなあ。

       

なにせ私も初めてだけど、こんな個展もみんな初めてだったらしい。それはギャラリーの方にも。
ギャラリーを探していてわかったのは、アートの展示が圧倒的に多いと言う事。
私たちの分野は「クラフト」になるらしい。立体。
普通は絵が多い。だから2次元の展示は慣れてるけど、立体はやったことがないと言われた所もあります。
そんな意味でもこのブーケドジョワに廻りあったのが本当に幸運でした。工芸品の展示を長年やってらしてその上場所も良くてギャラリーの中もおひさまがたくさん入って気持ち良い。構造もとても良く出来ています。そして何より何より素敵なのはオーナーさんです。
ここに来た私の知り合いや友達はここでゆったりと作品を観て過ごすうちに彼女のファンになってしまう人が多かったです。
おおらかで繊細な彼女の助言と気遣いで、私たちがどれだけ救われ助けられたか。いらぬ心配や困難がまったくありませんでした。いつも穏やかで明るいこの健康さ。
何ものにも代えがたい宝です。

そんな自由さから作品だけではなくて、コンセプトとして羊の事もお見せしたいと思ったので、こんなコーナーも作りました。

       

写真と実物で、毛刈りから洗ってほぐして梳いて作品への流れを。
それも面白いといろんな方が観て下さった。日本で育てられている羊の毛を作品にして廻らせたい。これが一番の私たちのテーマ。どうやって使えるかの試行錯誤。処理の仕方もいろいろと試した一年でした。

今回の個展のテーマ、廻る。廻るものたちをご紹介します。

廻る素材はここにも。ペットボトルです。どこに?
そこにもここにも。この透明の入れ物が全部そうです。

       

作品を運ぶのにも、いつも色の羊毛を入れておくのにも重宝しているこの入れ物。これがペットボトルだとは言うまでだれも気づきませんでした。
とても素敵な入れ物ねえと言われて説明してやっとわかる。
これは助っ人の作品です。こんな風にきれいに加工するのは彼しか出来ない。たくさんの同じペットボトルを調達するのも。
これはこれからも使って行きたいと思っています。素晴らしい容器です。

他に廻っていたもの。それは世界。
いろいろな国の文化にインスパイアーされて作った物がたくさんあります。

もちろん今年の年賀状に作った猿の神様ハヌマンもそう。訪れたインド人の女性がとても喜んでいました。

       

大事なのはオーストリア。エーデルワイスはオーストリアの花。そしてサウンドオブミュージック50周年も意識して作りました。
後ろにはオーストリアが発祥のスノードームとトロッケンゲビンデと言うスパイスとドライフラワーで作っている工芸品も飾りました。

       

そしてマグノリアは昨年オーストリアで春を感じた一番の花です。それを作品に。

       

私もオーストリアの民族衣装を参考に作ったベストとエーデルワイスの髪飾りを着けてギャラリーに居ました。もう一つ着ていたセーターも民族衣装のディアンドルのデザインです。

       

            
また忘れててはならないのはスリランカ。マグノリアのスカーフの左側に使った布はスリランカの民族衣装のショールから出来ています。
これはこれから増やして行きたいもの。インドの友達にも声をかけて、あの薄くて美しいショールを使った作品を作って行きたいです。

もう一つ廻っていたものそれは流木。
これは去年の夏に家族で徳島の海に行った時に見つけたもの。
泳ぎに行ったのに、台風がすごくて次の日に行ってみたら海岸一面の流木。圧巻でした。それを散歩しながら拾った。
甥っ子たちと楽しかったなあ。甥っ子は長いのを見つけて魔法の杖にしたり箒にして跨ったり、ずっと遊んでて楽しそうだった。
その流木を今回の展示ではたくさん使っています。

       

そしてもちろんこはぜ。

       

まだまだあります。
廻っていたもの、それは干支。
私は年賀状に干支の作品をニードルフェルトで作って、それを撮影して使っています。その年賀状が人気で、毎年の物をファイルしていると言う友人もいます。
それを一堂に丸く並べました。

       

その中のカヤネズミの巣。これに使っているツタは近くの公園で採取してきました。そこにラベンダーやススキなどを織り交ぜています。
このツタも良く観るとたくさんのサクラの木に巻き付いていました。これではサクラがかわいそう。それで目についたツタを片っ端から取って上げました。
そのツタで出来たのがこの十二支の展示の真ん中にある輪です。ちょうど展示に良かった。生態系もうまく廻るように春が来る前の掃除が出来て良かった。

       

この輪には龍が居ません。私の中では大切な生き物。どうしようかと思っていたけれど、近くに居ました。100も。

       

素敵な東屋も一緒に中国の天津から贈られたと言うもの。そんな事にも縁を感じる。

       


他にも面白い事がありました。
展示してると自分の持っている作品を持って来て「展示して!」と言われて飾った事。
このティーコゼーは友達の結婚のお祝いに何年も前に作った物です。ずっと使っていたものでもこんなにきれいです。

       

この鯛のがま口も患者さんが作った物。オーナーも「いいねえ、飾りましょう!」とすぐにテグスを付けてくれて、飾りました。
そんな自由なおおらかな展示が私はとても好きでした。

       

そんなこんな、あれやこれや、いろいろなたくさんの廻る者たちにあふれた展示。
そして廻りあう人たち。
10年も会えなくて会いたくて会えた人たちも。そうしてまた交流が続く。


それでも今考えないといけないのは、労働力。これを廻らせたかった。
治療を受けて生活保護で暮らしている人たち。少しでも自分の出来ることで労働として社会に参加できるようにしたかったんだけど、今の所クリニックに止められて難しくなっています。私はハンドワーククラブの仕事が大切だし。
この事はこれからしっかりなんとか考えて行こうと思っています。

まあでも余っている労働力と言う事では私もそうだったので、働けて良かった。
妹も。子どもの送り迎えの合間で作品作りをすると言うチャレンジが出来た。
会期中もいろいろな家族に手伝って貰えて、何人もの働きが支えていました。そしてそれが楽しかった。

さあ、作品がいろんな人の手に渡って、その方たちから託された財産を持って。
私たちはそれをどうやって清算してこれからの動きに繋げて行くのか。
少し休みながらしっかりとじっくりと考えて行きたいと思っています。

この個展のテーマでもあり、これからの私たちのテーマでもある「廻る」。大切にしていろいろなものを廻らせていきたい。
動くことで動かすことで回すことで発されるエネルギー。それを作って行きたい。


ギャラリーの入り口に説明を書きました。

   Alles Gute(アレスグウテ)

ドイツ語で「お元気で!おめでとう!幸運を!」
すべてうまく行きますようにと心を込めた挨拶。
羊が偶蹄(ぐうてい)類であるため、その音ともかけています。

すべてがうまく行くと言うのは、全部が良い事になると言う意味ではなくて、
一見ネガティブな要素でも、後で思ってみたら全部繋がって結局はいい結果になってるねと言えるようなそんな事柄になってると言う意味で。
そんな風に今の事も思えるようになりますように。

名前の通りの個展になりました。みなさま、応援ありがとうございました。
またいつかいろんな廻りあわせでお会いできますように!










Comments (2)
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