明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



河童の目玉が気に入らずやり直し。随分作ってだんだん良くはなったが、血管の描写がいまひとつ。昔、義眼屋で聞いた方法をためすことにした。義眼屋では施術中の幼児の泣き声が、隣りの室から聞こえてきて凹んだ。  姫神様の髪だが、結局エクステンション用の人毛を購入した。美容員に貰った物は色が気に入らず、知人に貰った物は、知人の顔が浮かんでしまって気がすすまない。大体、ご丁寧にコヨりで束ねられ、和紙に包まれており捧げ物のようで不気味である。この知人には十数年会っていないが、無事かどうかも気になってしまう。以前も書いたが、キューテイクルだ緑の黒髪だ、などというのは頭に生えている間の話である。 届いた物は色は漆黒、細いので、人形の大きさにも違和感がない。ただ届いた日は姫様の頭部にあてがっただけで、すぐにしまった。 良く人形を作っていて怖くないか、と聞かれるが、そもそも私は男の中年や老人を作ることが多く、人間のジャンルでいえば、もっとも安全かつ無難な部類ばかり手掛けている、といって良いだろう。作者が怖がってどうするという話だが、今回は女性である。そこに人毛が加わったおかげでいつもと勝手が違う。人工の物ではこうはいかない。そして私が始めて人毛を植えるのが、姫神と河童という、両者とも人に非ず、ということになった。黒髪の妖力を借りることにしよう。

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