明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



無い物は撮れないのが写真だが、作り物で代用して、面白い場合とそうでない場合がある。只今、ビジュアル化に向けて制作中の鏡花作品は、巨大な魚が登場する。これがまたイヤにデカイ魚で、物によっては2メートル近くにもなるというし、まためったに獲れないとも聞く。仮に市場などにあったとして、また撮ることができたとしても、合成する背景と、光の向き、性質が合わないと上手くいかないし、それにただドンと寝ていてもらっても困るわけで、私の演出どおりに演技をしてもらう必用がある。 編集者は作ったらどうか、というのだが、私は実物にこだわった。何故なら、鏡花はナマモノは苦手で、ヌラヌラドロドロが嫌いなくせに、いやだからこそというべきか、ヌラヌラドロドロについてリアルに描写するところがある。この魚も捕えられたあげくに血を滴らせる。昨日注文した血糊はそれ用なのである。 実物には実物にしかできないことがある。 この魚の入手がネックだ、としばらく調べていたのだが、血糊を先に注文したのが呼び水となったか、青森の鮮魚店から色良い返事をもらった。もちろん巨大魚を入手するわけではなく、7月中にお子様サイズが入荷したら送ってもらう手はずが整った。それを巨大魚に変身させるわけである。円谷英二の蛸以来ということになるが、熱帯魚を永く飼っていたので、大きな魚の貫禄、ということについては知っているつもりである。

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