明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

河童  


只今制作中の妖怪は河童である。毛を植えたら妙なヘアースタイルになってしまった。河童に妙ではないヘアースタイルがあるのかは判らないが。皿の作りから改良し、改めて植毛することにした。皿は水を溜める都合上、凹状でないとならない。 制作中の作品を、よくK本で披露するが、よほどの有名人だろうと知らない人は知らないが、河童は老若男女、誰だって何らかのイメージをもっているので解説の必要がない。 この泉鏡花作品に登場する河童は、特別変わったところはない。青味がかって1メートル弱、生臭くてベトベトしている。しいていえば、指先に吸盤があるのは珍らしいし、“ひょうひょう”と空を飛ぶ。そして本来淡水性に係わらず、空を飛んで房総の海岸に現れるのである。羽が生えていたら、鏡花はかならず描写したろう、言及していないので、妖術によって空を飛ぶと判断した。羽をつけてしまうと烏天狗と紛らわしい。 
やることなすこと、この河童にそっくりな近所の人物には、本日も早朝から泥酔状態の電話で起された。夜、体調が回復したはずが、、女性客とはしゃいでいたと思ったら、もう駄目だ、とT千穂の座敷で寝ている。閉店時間になり外へでた。一緒に買い物をして帰ろう、と思ったら、もう一軒付き合ってという。断わると口の中で“オナゴ、オナゴ”とうわ言のように呟きながらフラフラ歩いていった。  この界隈には私も含め、判っちゃいるけど止められない人達が数多い。人と自分を比較し、私はまだマシ幸せだ、と考えるのは実に品のないことであって、決してしてはならないが、このKという生き物は、私達はまだマシと思わせるために表れた妖精なのだと思う。  帰宅後、妖精から電話がかかってこないよう、携帯の電源を切ったのであった。

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