段ボール箱の底からカセットテープが出てきた。プレイヤーがないので聴けないのだが。 70年代、ニッポン放送で『かぜ耕士のたむたむたいむ』という番組があった。『あおい君と佐藤君』の後『コッキーポップ』の前である。そこにリスナーから募った自作自演の曲を流すコーナーがあり、幼稚園からの幼馴染と送った曲が流れた。74年前後の話である。 次回どんな曲が流れるか予告があるわけではないので、Nは毎日放送を録音していたが、一ヶ月後、どういう訳か予告が流れた。しかし、バンド名が違っていたので聞き違いかも、と学校ではあまりいわなかった。バンド名は『N顕君とそのグループ』という噴飯物のバンド名である。送ったNはカセットにちゃんと書いた、といっていたから封筒にも書くべきだったのであろう。 当時プログレにはまっていたが、バンドといっても、N顕君と、そのグループである私の二人だけで、私が作曲、歌、コーラス、ドラムを担当し、Nはグレコのレスポールによる(デイヴ・ギルモアのつもりの)スライドギターとリズムギター、録音、効果音。ベースはどちらがやったか想い出せない。二台のカセットはデッキですらなく、一台は英語学習用という有様で、Nは音の劣化を最小限に留めるため苦労していた。これでプログレというのだから、青春のツラの皮は実に厚い。 そのNは数年前に亡くなった。父の亡くなったすぐ後で、父に続いて幼馴染の死に顔を見る気になれず、葬儀には出なかった。 私を未だに公昭ちゃんと呼ぶNのお袋さんと、母は近所なのでしょっちゅう会っている。せっかくだから聴かせてあげたいと思っている。聴こえてくるのは私の声だが、なにしろ『N顕君とそのグループ』である。 友人がデジタルに変換してCDにしてくれるというのだが躊躇している。曲名が本日のブログのタイトルである。これを聴くのには相当勇気がいる。シラフでは絶対無理である。 ただこの辺りも曖昧なのだが、グループ名同様、タイトルも『大地に還る歌』と変わっていたような気もする。だったらまだマシであろう。
懐かしくて検索していたら、かぜ耕士氏は『かぜ耕士のたむたむたいむ』というHPをお持ちで、ウェブラジオの認証キーを送っていただいたのが御本人で驚いてしまった。
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