明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



制作中の鏡花作品は、人間界と異界、その中間で構成されており、人間界は異界とのコントラストをつけるため、と合成が多いため、味はないが、鮮明に(見える)今のレンズ。異界はコントラストの低い怪しい旧いレンズ。と色分けするつもりである。先日の小雨降る中の某所の撮影では、主に人間世界の背景を撮るつもりで今のズームレンズを持っていった。それともう1本。テストを兼ね、いつ買ったか覚えていない広角レンズを持っていった。所有するなかでは使った記憶が僅かなので駄目レンズ(妖怪撮るには良いかも)のつもりでいた。 普通、絞り開放で画面に表れるフレアは、絞ると減るはずだが、このレンズはどういう訳か絞ると余計に出てしまう。ファインダーの中は、ただでさえ低いコントラストなのに、サンマでも焼いてるような、ほとんど白煙に覆われている状態である。これは無理、と開放のみで一応撮っておいたが、このレンズで撮ったのは、全体の八分の一程度であろう。フィルムだったら、さらに撮らなかった。 しかし帰宅後RAWデータを現像してみると、このレンズの柔らかな立体感に驚いてしまった。おかげで今時のレンズのカットから、必用な数カットを選んだ後は、現像する気がなくなってしまった。 この厄介なレンズは画面の湿度が凄く、河童には最適であろう。 合成作品がほとんどとなった今。レンズの味。いわゆるボケ味が邪魔になる。と思い込んでいたが、いやおそらくそうであろうが、今回はそんなレンズを使っての合成を異界の者共で試すつもりでいる。上手くいくようなら、コントラストとお体裁だけは一人前の、今のレンズを使わずに済む、というわけである。

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