明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



せっかく鏡花作品で河童を作っているのだから、これに乗じて色々化け物を作ってしまおうか、と当初考えないでもなかったが、出て来ない物まで作るわけにもいかない。出て来るとしても、見た目は山に住む動物で、妖怪といっていいものどうか、という物ばかりで、河童以外では、かろうじて女の顔をしたミミズクが出てくる。毛も羽毛も同じような物である。粘土でモジャモジャした物など作らず、実写の合成ということにした。  窓を開けっ放しで寝てしまったおかげで風邪をひいた。咳が止まらずテイッシュも一箱があっという間である。そんな時、Kさんよりバーミヤンで食事するから来てくれ、という。この人物、素面で女性と会うとき、“恥づかしいから”と不気味なことをいって私を誘う。どうせ30分も飲んでいれば、恥のハの字もなくなってしまい、横の私のほうなど見向きもせず一人で喋っているのだが。今日も風邪ひいていると断わっても、しつこい。そこで思いついてカメラを持っていくことにした。例によって例の展開であったが、私は対面の彼女の顔を数カット撮らせてもらった。 女の顔をしたミミズクといっても、そのまま貼り付けるわけではなく、ミミズクの頭に人の顔の合成はかなり無理がある。つまり化け物ではあるのだが、可愛らしさも表現したい。完成したのは一晩明けた朝であった。 そこにまたKさんから、昨日撮った彼女の写真が欲しいとメールが着た。私はどちらかというと親切な方なので、ただ撮った物ではなく、完成したばかりの、巨大な両眼がランランと輝く方を送ってあげた。返事がないところを見ると、そうとう喜んでくれたようである。

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