明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



動物園その他で鏡花作品に登場させる生き物を撮影する場合、アフリカなんとかやアメリカなんとか、などという物を混入してはならず、純国産種に限るべきであろう。となると、あの迫力ある食用蛙も、昔は日本にいなかったわけだから、使うことができない。その餌として輸入されたザリガニも同様である。ザリガニはともかく、食用蛙はちょっと惜しい。子供の頃、蛙やザリガニには申し訳ないことをした。ほとんど殺戮の限りを尽くしたといって良いだろう。特に蛙は2B弾という物をお尻に挿され・・・。
夜作業しているとチャイムが鳴り、玄関が開いてKさんの声。「脅かすんじゃねェ」。意味が判らない。実は朝から携帯が見つからない。一日中電話をくれていたらしい。連絡つかないので管理人の所にいってきたという。 T千穂に行ってみると、話しがすっかり広がっていた。すぐそばで飲んでいるのだから自分が確かめにくればいいのに、K本にも電話してしまって、確認を頼んだりして話がよけい大きくなっている。そもそも管理人のところへ行く前に、まず私の部屋のチャイムを鳴らすべきであろう。玄関は開けっ放しである。まったく人騒がせである。  それにしても妙だと思ったら理由が判った。二人以上でないと入れない店に予約してしまい、私を必死で探していたのである。とりあえずその店に行くと、サザエとアメリカンチェリーが皿に乗ってでてきた。シュルレアリズムのいわゆる“手術台の上のこうもり傘とミシンの出会い”並の奇妙な画である。さらに殻から中身が取り出され、奇妙さがアップ。感心して眺めていると、Kさんは孤独死がどうの、とどれだけ私を心配していたか、という話を女の子にしている。しかも腹の立つことに私とそっくりなシャツを着ていて、いかにも仲が良さそうに見える。黙って聞いていると私が無事だと判った時、涙がでてきたそうである。あの時泣いてたの判った? 『このカッパ野郎!』。

 

過去去の雑記
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