ここのところいつにも増して、一日中連絡してくるのが、退職金と年金でフラフラしている人物である。今日も朝からベロベロ。ほとんど何をいってるか判らない。しかし何かしらキャッチーなことをいわないと私を呼び出せない、とは思っているようで、『大変なことが起こった』。(良い場合と悪い場合がある)『ショック。バチが当った』。日替わりでこの調子である。 私のおかげで夜中に電話が来なくなった、とニコニコしているT千穂のマスターのような人もいるが、私は近々、携帯の着信拒否のやりかたを覚えるつもりである。その暁には、私がいかに楯になっていたか、周囲の人間は知ることになるであろう。行きがけの駄賃として、「○さんが女性と付き合うコツを聞きたいからサシで飲みたいってさ。」。と囁きながら、○さんの携帯番号のメモを渡す。なんて趣向はどうであろうか。 夜。ひとごこち付いたし、うるさくてしょうがないので、T千穂に顔を出す。KさんにとってT千穂は、ここから出撃するための基地である。時計を見てはソワソワしだし、どこにどう出撃するか、Kさんが唯一頭を使う場面である。 今日は運送会社の後輩であるSさんに、「荷物運んでた人がお荷物になってどうする」。といわれていた。まったくである。私としては、「あんたもカッパの一種なら、カッパを作ってる人間の気持ちを考えろよ」。といいたい。いや、どこかでいってしまった気もする。そして今日も最後の出撃場所に消えていった。 それにしても、おかげ様で、とはいいたくはないが、Kさんと会ってる間は制作のことは忘れ、その後は制作がはかどることは否定できない。四六時中制作のことが頭から離れない私としては貴重な“ツール”といえよう。そして制作中最近くり返し聴いているのが、3大レクイエムの一つといわれる、フォーレの『レクイエム』である。少なくともカッパの存在を許さない美しさで制作に集中できる。
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