先日の検査の時、不必要にそろって美人ばかりの先生達に、よってたかって脅かされた。怪奇映画は美人が出てくるからこそ怖い。食事の指導では一日三食必ず食えという。しかもバランス良く。よくきく当たり前な話であるが、脅かされた後なので少々違って聴こえる。私は美味しいと思ったら、数週間は飽きずに食べられるタイプである。物によって何年でも可能であろう。逆に言えばバランスなどまったく考えない。いやそもそも考えて食べない。 不足がちである野菜も食べなければならないが、自分で洗って刻んだ生野菜ほど不味そうに見えるものはない。その晩はT千穂でまっさきに生野菜サラダを注文した。なにしろ脅かされている。最初に野菜から食べるべきだと聞いたことがあるが、出て来たサラダがやたらと大盛りである。チューハイに生野菜。想像していた以上に盛り下がる。とにかく平らげようと食べるが、どんどん気分が落ち込んでいくのが判る。六合目あたりに差し掛かると溜め息まで出てくる始末である。キリギリスやバッタの口にステーキを押し込んだら、奴らの気分もきっとこんなであろう。ゲッソリとしてくるが、食欲が収まり腹が膨れるという意味では効果がありそうだ。と思ったところに横にいたFさんが「多いようでも凝縮すればこれだけで、あとで腹が減るんだよな」。 昭和三十年代。沢山食べると褒められた時代があった。
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