甲斐性のない情夫、村次のせいで、江戸中の岡場所を転々としてきたお秋。洲崎の遊郭へ。三人しかいない平屋である。女はまさに螢籠の中の螢。初めて読んだ作品だが、なかなかの短編作品であった。海っぺりの場末の岡場所に流れ着いた女郎にしては、少々言葉使いが優雅なのが気になったが。いやもっと気になったのは洲崎の遊郭は、もともと文京区根津にあり、東京帝大本郷校舎建設のため、これは不都合、と埋め立てが進んでいた洲崎に明治21年に引っ越ししてきたので、この頃洲崎には遊郭などなかったのだが。どうしたんだ山本周五郎? 木場の居酒屋『河本』について地元のタウン誌深川に連載を初めて1年が経つ。煮込みもなくなり、念願であった通常営業の再開はなくなった。そこで次号で最終とさせていただいた。誌上ではK本、女将のM美さんとしていたが、ちゃんと表記し、河本ファンは気になっていただろう。真寿美さんの元気な姿も1P。本日発行。
アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』
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