明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



真を写す、という意味の写真という言葉を蛇蝎の如くに嫌ってきたことは常々書いて来た。真なんていうものにできるだけ携わりたくないし、フレームの中から排除したい。こんな訳をしたボンクラがどこのどいつか知らないが、それまでの日本人がどれだけ日本人なりの真を創造してきたか。昔の日本画が近年“奇想”などともてはやされているが、あれは昔の日本人からすれば奇想でもなんでもなかったはずである。 頭の中のイメージを可視化しようと考えたとき、写真の身も蓋もないリアルさが邪魔になり、断念したことは多い。その行く手を阻んでいたのは“陰影”ではなかったか。そこで、立体を作るということは、陰影を作りだすことに他ならないが、自分で作った陰影をあえて排除してみた。すると虚実のドアが開け放たれ、“何処でもなんでもドア”を手に入れたような気になった。 本日田村写真の田村氏から圓朝図は和紙のインクジェット紙が向いていると連絡を受け、始めて手透き和紙にプリントしていただいた。例によって頭が付いて来れず『私はこんなことをしようとしていたのか』。おかげで帰りの電車は何駅も乗り過ごしてしまった。地元に帰り行きつけの居酒屋に行くと、カウンターに、先日肺に影が在り、初期の肺気腫と判定され、私に「人間に影がないんだから肺に影があるくらいで丁度いい」。といわれたオヤジがいた。作品を見せると、不思議なことにいつもの私の写真作品よりリアルに見えるらしく、陰影のないオヤジが陰影のない写真を盛んに不思議がっていた。

「一角獣の変身-青木画廊クロニクル 1961~2016」刊行記念展Ⅰ
2017.05/20(土)~2017.06/02(金)
平日11:00~19:00 日祝12:00~18:00 5/28(日)休廊

オイルプリントワークショップ参加者募集中
2017年5月27日(土)13:00~
アトリエシャテーニュ・オルタナティブスタジオ
オイルプリントについてはHPをご覧下さい。旧作品ばかりですが。
HP

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