明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



わざわざ狭いスペースに本棚を置き、文机、さらに火鉢でスペースを埋め、狭い所で挟まって作業をしよう、と試みる。引っ越し前、どういう理由だか、様々な物に追い詰められ極狭いスペースで作業していると、存外居心地が良い。岩礁の底魚の心持ちと言って良いだろう。 乱歩のように、わざわざ押し入れに閉じ籠もり、ふと見上げた天井板を押し上げ覗いてみたり、椅子の中に入ってみようなんて大人の考える事ではない。あげくは現世は夢で夜の夢がホントだ、などと。還暦過ぎてしまえば、着ける薬などもはやない。現世でも、人を轢き殺しておきながら、高齢だから、なんて刑務所行かずに済む悪党もいるから、歳は取っておくべきかもしれない。それでも今から更生しろ、と口うるさく言われたりするから、今日も電気掃除機を拒否して入手した箒とブリキ製ちり取りで掃いてみた。 部屋の掃除と言うものは、しでかした過去を振り返るような面白味のない行為である。よって昔、六部屋ある一軒家に住んだ私は、過去を一切振り返ることなく、前だけを見て、順番に部屋を移動したものである。しかし今の住まいでそれをやるわけには行かない。 箒で掃くたび思い出すが、子供の頃寝転がって本を読む私は、掃除の邪魔だと母に叱られ、本から目を離さないまま横に転がって移動し、さらに激怒された、そりゃ粗大ゴミが転がって移動すれは頭に来るだろう、と思う。






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