マストは無事に立った、ブームも大丈夫。
となると、後はラダー(舵)とセンターボード、そしてセイル。
大騒ぎだったセイルボトムですが、ブームはこれでよしとして、最終的にはマストへ通してみなけりゃセイルの状態が分からない。
まずは、「ジブセイルを張るぜ!」とばかりアップすると、 「およよ」と、多少の錆痕らしきポツポツは有れども、セイルそのものは綺麗。
お次がメインセイル、 真っ白で汚れもなく、「ほ~」 とため息。
これも”かなり”綺麗だ、というか「殆ど使ってなくね~」 なんて高校生みたいな言い回しをついしてしまうが、角から角までほつれもなく、
破れもなく、当然バテンポケットも何ら問題ない。
「これってもしかして・・・」、と思う。
マリンスポーツに良くあることなのですが、一時的な感情で買ったものの、結局乗れずじまいで飽きて手放すパターンそのものか?
実に多いんです、この手のパターンが。
クルーザーみたいに船体下にバラスト抱えて転覆しにくい構造になっているわけでなく、実にあっさりひっくり返るのがディンギーヨット。
そのアンバランスなのが面白いのだけれど、スキーやスノーボードなんぞと違ってお尻ぱんぱん叩いて立ち上がり、即走り出しOKなんて
いうイージーな物ではなく(自分もやっていたのでよく分かります)、転覆する際にロープやワイヤーに体が引っかかったり絡んだり、
又それが簡単に外れず溺れて怖い思いをしたり、セイルの下敷きになって息できなかったり、腕や足を船体のどこかにぶつけて切ったり
青あざ造りまくったりするのがヨット。
もちろん常にそんな事が有るわけではなけれど、基本的に全身ずぶ濡れになるのを喜んでヘラヘラしていられる神経。
爆風の海で何度も横っ面を張り倒されて完沈(完全に上下逆さま)した船を、エレベーション(波の)状況下で引き起こす根性。
恐怖を快感へと容易に転換できる楽天性。
この三つが無いと、ウインドサーフィンやヨットというスポーツには馴染まない。
言い方が悪いのだが、多少マゾ的で”おかしな人間でないと?”楽しくならない乗り物とも言える。
とまるで変態みたいな書き方をしてしまったが、要はめげずに前向きな姿勢が貫けるかどうかだ。
まあヨットやウインドサーフィンの方から乗り手を選んでくるというか、全くそうしたことを考えずに乗ると、楽しくないし、数回で
うんざりしてしまうものともいえる。
まあ、乗せられているだけなら至極楽しいのですが・・・、
そんでもって、倉庫内からごそごそ出してきたラダーとセンターボードだけれど、見たところ「これ使ったことあるの?」という感じ。
なんか、本当にゴミなのかな~? 緑色に染まってこそいるけれど、実は程度の良い中古なのだろうか? と、段々と分からなくなってきた。
この船はトラピーズやスピンを当然想定しているので、マストにはトラピーズワイヤが取り付けられていて、スピン用のブロックやら何やらがこれまた当然ついている。
スピンポールはおそらくこれだろうと思うのが、ブームの有ったところにおかれていてる。
結構時間かけて丁寧に点検したところ、結局問題有るのは風雨にさらされて痛んだロープが数本、そしてロープを通すプラスチック製の部品(太陽光でどうしても劣化する消耗品)が10個程度だった。
念のためにマストも再点検したが、痛んでいる箇所もなく、極めて状態は良質。
そういえば、セイルを見ていて気がついたのだけれど、前のヨットのセイルと似ている?
というか、前のヨットで使用していたセイルが実はこのヨットの物を流用していたのですね。
ジブセイルのサイズはさすがに異なる物の、これも流用可能なので、結局スペアが出来たようなもの。
ますますゴミ再生と言うより、とんでもなくラッキーなもらい物をしたのではないかという思いが出始めた。
なぜならセイル一枚7~8万、前についている3角形型のジブセイルもその半額くらいする。
使い方が乱暴な僕のことなので、割と早いうちに駄目になる可能性が高いことから、こうしたスペアセイルは貴重だ。
その3へ続く