さて、作業は中盤。
冒頭にDOHC(ツインカム)エンジンはコツがいると書いてますが、その理由はバルブをコントロールするカムが2本あるところから来ています。
下手にタイミングベルトを外すとカムがくるんと回ってしまうことがあり、そうなると後の作業がやたらとやりづらくなる・・・・
というか、ある程度のテクニックがないとその後の作業が出来ないという方が正解。
さらに、OHC のシングルカムならクランクシャフトプーリの上死点とカムプーリのタイミングマークの二点をあわせればOKなのですが、
DOHCだとこれがもう一つ増えて3点となるので、結構シビア。
カムが回らないように専用工具を使う手もあるのですが、高いし、無駄な出費などしたくない僕は安価に作業を終わらせています。
さてさて、そんなわけで、いよいよタイミングベルト交換を開始します。
中盤作業でまずやらねばならないのはクランクプーリ類の取り外し、とそれに伴う交換予定のアイドラープーリーやらテンショナープーリー交換、他オイルシール、ウオーターポンプの交換も含みます。
各部の名前を知らねば話になりませんので、写真で説明します。
黄色い矢印がカムプーリー
赤い矢印がアイドラープーリー
白い矢印がオイルポンププーリー
緑色の矢印がテンショナープーリー
水色の矢印がクランクシャフトプーリー
ピンクの矢印がウォーターポンプです。
作業はまずこれらを覆っているカバーを外すことから始まります。
タイミングベルトカバーは、上下に分割して取り外し、取り付けが出来る様になっており、まずは上のカバーから取り外します。
下のカバーを留めているボルトはまだ外さないでください。
そして恒例のクランクベルトプーリ固定ボルトの取り外しですが、これは以前行ったハイエースのタイミングベルト交換をした際に紹介した方法でかまわないのですが。
今回はハンドインパクトを使っています。
ヤフオクで2000円くらいで売っており、安いですし、エアコンプレッサー不要で、他の修理でもつかえますので、今回購入しました。
このハンドインパクトをこのようにクランクベルトプーリーの固定ボルトにかけ、トップの部分をでかいハンマーでガツンと叩きます。
トルクがバカみたいにでかいので、弛める方向ではなく締める方向に叩くとボルトが折れたりしますので注意。
弛める場合は、写真のかけ方でOKです。
この作業をするときに、忘れてならないのは、必ずクランク固定を行っておくこと。 ギアを5足へ入れておくことですが、その1で方法を紹介しました。
この固定をしてクランクが回らないようにしておかないと、ボルトは弛みません。
ボルトが弛んだら、指で回るくらいまでのところまで弛めておきます(抜かない)。
次にカムシャフトを回転させますので、クランクシャフトが回転するようにロックは外します(ギアをニュートラルにします)。
次に、カムのプーリーボルトにソケットレンチを噛ませ、必ず右回り(白い矢印の方向)にゆっくりと回転をさせていきます。
正直、プーリーをこのように回してはいけないのですが、タイミングベルトが張られている状態だと、僕は結構お構いなしにやっています、作業性第一ですから・・・
ちなみにスパークプラグはこの段階までに必ず抜くか弛めておいてください。
ゆっくりカムプーリを回転させて行くと、クランクベルトプーリーが一緒に回りますので、その際に黄色と赤の矢印の部分を必ず見ていてください。
水色の矢印にある T がピストン上死点で、そこに 赤矢印の切欠きをあわせます。
さらにもう一つ合わせなければならないのがカムプーリーのタイミングマーク。
パジェロミニの場合、カムプーリーに二つのマークがあります。
間違えやすいので、写真をアップ。
4サイクルエンジンは構造上2回転で一工程となりますので、上死点が二回ある。
しかし吸排気は一工程でそれぞれ一回ずつですから、クランプーリー二回転に対してカムプーリーは一回転しか回りません。
カムプーリーには二つの印がされており、丸いのと三角の二種類あり、僕はどちらでも良いと思うのですが、三角に合わせるのが正解のようです。
こちらを合わせるのが正解。
ここを合わせた時、再びクランクベルトプーリーを見ますが、Tと切欠きがぴたりと合っていればOK。
この3点がぴたりと合っていなければならない(重要)のです。
もしこれがずれていたら(歯飛び)、そのエンジンはまともな性能を発揮していなかったということ。
さて、先ほどカムプーリーはタイミングベルトを外すと、くるりと回ってしまうという話をしました。
これはバルブを押す構造からそうなるのですが、一度ずれるとタイミングマークを合わせるのが結構大変なことになります。
そこで、安価で確実な固定方法として、僕の場合はタイラップを使っています。
ホームセンターで安く売っていますから、20本もあれば(後の位置修正作業で何回か使う可能性があるため)十分。
それをこのように通して締め上げ(最低2本必要)、がっちりとプーリーを固定。
これでプーリーは回りません。
次、再びクランク固定(ギアを5足)。
そして先ほど弛めておいたクランクベルトプーリーのボルトを取り外し、さらに下側カバーを留めているボルトをはずせばタイミングベルト全体が現れます。
こんな感じ
早速 ベルト交換といきたいところですが。
今回は赤矢印のアイドラープーリー、緑矢印のテンショナープーリー、そして白矢印オイルポンププーリーのオイルシールを交換しますので。
この状態のをキープしたままで赤矢印の真ん中にあるボルトをまず弛めます(抜き取らない)。
注意 クランクの固定を忘れると大変ですから、この作業前にもう一度固定してあるか再確認
次にオイルポンププーリー(白矢印)の、やはり真ん中のボルトを弛めます(抜き取らない)。
この際に、カムプーリーのタイミングマークの合わせ目がずれないように注意してください。
心配な場合はカムプーリにソケットかまして回らないようにすると,さらにOK。
万が一カムプーリーのタイミングマークがずれたら、面倒ですが、タイミングカバーの下を仮付けして、クランクベルトプーリーを取り付けて、もう一度タイミング合わせる要領でのやり直しが必要です。
うまくオイルポンププーリーのボルトが弛んだら、次はテンショナー。
赤い矢印のスプリングがどう取り付けられているかを、完全に確認した上でペンチなどを使ってスプリングを外します。
そして黄色矢印のボルト2本を弛めるとテンショナープーリーがフリーとなってタイミングベルトが弛みます。
タイミングベルトをはずしたら、今のテンショナープーリー、先ほど固定ボルトを弛めておいたアイドラープーリーとオイルポンプ
プーリー、クランクプーリーを取り外します。
クランプーリはただ引っ張れば抜ける。
アイドラープーリーとテンショナープーリは必ず交換します。
ちなみにテンショナープーリーは新旧こんな感じですが、形が違う・・・・・・ ちなみにアイドラープーリーも違いました。
ちなみにですが、これらのプーリー類を外した段階で、オイルシールの劣化によるオイル漏れが発生していることが分かり、さらにそこへ蓄積されたほこりなどで、かなり汚れていましたので洗浄を行いました。
パジェロミニはクランクオイルシールとオイルポンプシールからの漏れが多いので有名で、これらは後に交換しますが、これでカムプーリーのオイルシールからもだだ漏れしていたら結構大変な作業になるところでした。
今回はそこからの漏れが全くありませんでしたので、カムのオイルシール交換はしていません。
ウォーターポンプの交換。
5本あるボルトを弛め、ゴムハンマーなどで本体を軽く叩くと外れます。
この際にクーラントが多少出てきます。
ちなみに洗浄された下部分が光っています。
外されたポンプですが、下の逃がし穴からの水漏れ跡は全くありませんでした。
ということは前回交換されているのか?
ちなみに、ポンプにはオルターネータステーがまだついています、これは取り外して新しいポンプへ取り付けておきます。
ポンプを取り外した後はドライバーやスクレーパーなどで、ガスケットなどを取り除く必要があります。
新品と比較。
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