GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

GetUpEnglishについて

毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

NATIONAL STORY PROJECT

2019-12-24 02:43:34 | N

 英日翻訳をしていていると、「地の文に出てくる会話」をどう訳出したらよいか悩むことがある。
 本日のGetUpEnglishはこの問題を考えてみたい。
 例えば以下の表現はどうか?

I was in the NPR studio on Second Avenue in New York, and he was in Washington, D.C.  For the past twenty or thirty minutes we had been talking to each other through microphones and headsets, aided by a technological marvel known as fiber optics.  I asked him what he had in mind, and he said that he wasn’t sure. Maybe I could come on the air every month or so and tell stories.

 これはPaul Auster, National Story Projectの “Introduction“からの引用であるが、昨日紹介した『新装版 柴田元幸ハイブ・リット』とともに発売になった『新装版 ポール・オースターが朗読するナショナル・ストーリー・プロジェクト』に、ポール・オースターの作品をほぼすべて訳している柴田元幸の訳が掲載されているので、ぜひご確認いただきたい。
 重要なのは、「語り手の視点」と「各キャラクターの視点」とあわせて、文と文とのつながりを考えながら英語を読み解くということだ。それができれば、自然な日本語表現を捻出できると思う。
 Maybe I could come on the air every month or so and tell stories.を柴田元幸はどう訳しているか? ぜひ『新装版 ポール・オースターが朗読するナショナル・ストーリー・プロジェクト』で確認してみてほしい。
 翻訳者に必要なのは、まずは英文を大量に読むことだ。加えて、自分より明らかにすぐれた訳者がどんな訳をしているか見てみることも大切だ。その意味で、評判の高い訳者の翻訳書を買って読んでみることは不可欠だと思う。
『新装版 ポール・オースターが朗読するナショナル・ストーリー・プロジェクト』は『新装版 柴田元幸ハイブ・リット』同様、「英文対訳で読める」「英語表現の注も充実している」ことに加えて、ダウンロード音声(無料)でポール・オースターの朗読(=英語)を聞くことができる。
 管理人も本書で英語のリーディングと翻訳力とリスニングを日々鍛えている。


新装版 ポール・オースターが朗読するナショナル・ストーリー・プロジェクト
ALCO 無料アプリ 音声DL&再生がスマホでできる!
価格(税込)
2,530円
商品分類レベル付属品
書籍英語中級~-
商品構成 本(B6変型、縦182×横131×厚さ24mm、238ページ)+ダウンロード音声120分収録
著者 ポール・オースター、柴田元幸、畔柳和代、岸本佐知子、前山佳朱彦、山崎暁子
発売日 2019年12月17日
商品コード 7019061
ISBN 9784757433885

商品詳細
米人気作家ポール・オースターが、ラジオ番組でリスナーに投稿してもらった実話からおもしろいものを選び朗読。オースターが「アメリカが物語るのが聞こえる」と語る本書で、ベストセラー作家の英語、そして、“本当のアメリカ”に触れてください。

アメリカの人気作家ポール・オースターは、1999年から2001年にかけ、アメリカの公共ラジオ放送NPRでラジオ番組National Story Projectのホストを務めた。週一回放送されたこの番組でオースターは、アメリカ人に実話を投稿してもらい、その投稿すべてに目を通しおもしろいものを選んで朗読。

人種差別、銃など、今日アメリカが抱える問題から、第二次世界大戦、ベトナム戦争といった過去の戦争が残した古傷まで、投稿者が綴ってきた話題は多岐にわたった。

「アメリカが物語を語るのが私には聞こえたのだ」と、オースターがイントロダクションで語るように、このプロジェクトは、アメリカとは、そして、アメリカ人とはなんなのかをわれわれに語りかける。

興味深い物語を英語で読み、そして、柴田元幸をはじめとする第一級の翻訳者による訳文を楽しみ、そして、ダウンロード音声(無料)でポール・オースターの朗読(=英語)を聞くことのできる贅沢な一冊。

【対象レベル】
中級以上

【目次】
英語とアメリカの物語を楽しむ『ポール・オースターが朗読する ナショナル・ストーリー・プロジェクト』 編集部編… 008

【無料】英文音声の入手・活用方法 編集部編… 010

INTRODUCTION TRACK001-021
イントロダクション ポール・オースター… 011
編訳者まえがき 柴田元幸… 038

[Story 1] TRACK022-023
ANIMALS
The Chicken
鶏/リンダ・エレガント(オレゴン州ポートランド)… 044

[Story 2] TRACK024-037
ANIMALS
Vertigo
ヴァーティゴ/ジャネット・シュミット・ズーパン(モンタナ州ミズーラ)… 046

[Story 3] TRACK038-047
OBJECTS
A Bicycle Story
自転車物語/イーディス・ライマー(ニューヨーク州チェリーヴァレー)… 060

[Story 4] TRACK048-053
OBJECTS
The Striped Pen
縞の万年筆/ロバート・M・ロック(カリフォルニア州サンタローザ)… 070

[Story 5] TRACK054-058
FAMILIES
Rainout
雨天中止/スタン・ベンコスキー(カリフォルニア州サニーヴェイル)… 078

[Story 6] TRACK059-091
FAMILIES
Taking Leave
別れを告げる/ジョー・ミセリ(ニューヨーク州オーバーン)… 082

[Story 7] TRACK092-096
SLAPSTICK
A Felt Fedora
フェルトの中折れ帽/ジョーン・ウィルキンズ・ストーン(ワシントン州ゴールデンデール)… 108

[Story 8] TRACK097-108
SLAPSTICK
Bronx Cheer
ブロンクス流どたばた/ジョー・リゾ(ニューヨーク州ブロンクス)… 112

[Story 9] TRACK109-113
STRANGERS
Dancing on Seventy-fourth Street
74丁目のダンス/キャサリン・オースティン・アレグザンダー(ワシントン州シアトル)… 122

[Story 10] TRACK114-151
STRANGERS
A Shot in the Light
怪我の「光明」/ライオン・グッドマン(カリフォルニア州サンラファエル)… 126

[Story 11] TRACK152-156
WAR
I ought My Father Was God
父さんは神様だと思った/ロバート・ウィニー(アイダホ州ボナーズフェリー)… 156

[Story 12] TRACK157-164
LOVE
What If?
もしも/シオドア・ラスティグ(ウェストヴァージニア州モーガンタウン)… 164

[Story 13] TRACK165-178
LOVE
Table for Two
お二人席/ロリー・パイコフ(カリフォルニア州ロサンゼルス)… 170

[Story 14] TRACK179-187
DEATH
I Didn't Know
知らなかった/リンダ・マリーン(ウィスコンシン州ミドルトン)… 182

[Story 15] TRACK188-201
DEATH
Dress Rehearsal
予行演習/エレン・パウエル(ヴァーモント州サウスバーリントン)… 188

[Story 16] TRACK202-208
DREAMS
Heaven
天国/グレース・フィクテルバーグ(ニューメキシコ州ランチョス・デ・タオス)… 202

[Story 17] TRACK209-222
MEDITATIONS
Homeless in Prescott, Arizona
アリゾナ州プレスコットのホームレス/B・C(アリゾナ州プレスコット)… 212

[Story 18] TRACK223-238
MEDITATIONS
An Average Sadness
ありきたりな悲しみ/アメニ・ローザ(マサチューセッツ州ウィリアムズタウン)… 222

Spoken Introductions to the Stories
ポール・オースターによる物語紹介… 232

What's ""Paul Auster Reads the National Story Project""?
『ポール・オースターが朗読するナショナル・ストーリー・プロジェクト』とは? … 236
ポール・オースター プロフィール
1947年ニュージャージー州生まれ。コロンビア大学大学院を中退後、フランスに渡り、別荘管理人など、さまざまな仕事に従事。帰国後、詩の創作や翻訳に携わったのち、「ニューヨーク三部作」で一躍小説界の表舞台に躍り出る。読みやすい文章のなかに哲学的要素などを組み込んだ秀作を次々と発表し、本国アメリカをはじめとしてフランス、日本など海外にも多くの読者を持つ希代のストーリーテラー。

柴田元幸 プロフィール
1954年東京都生まれ。東京大学名誉教授。著書に『翻訳教室』『アメリカン・ナルシス』『ケンブリッジ・サーカス』、村上春樹との共著に『本当の翻訳の話をしよう』などがある。本書掲載の作家以外にも、スティーヴ・エリクソン(『ゼロヴィル』)、マーク・トウェイン(『ハックルベリー・フィンの冒けん』)、ジャック・ロンドン(『火を熾す』)など、現代・古典の多数の作家作品を翻訳。雑誌『MONKEY』責任編集。本書ではAnimals、Objectsの章の翻訳と監訳を務めた。

岸本佐知子 プロフィール
翻訳者。訳書に『掃除婦のための手引き書』(ルシア・ベルリン著/講談社)、『話の終わり』(リディア・デイヴィス著、作品社)、『最初の悪い男』(ミランダ・ジュライ著/新潮社)、『セミ』(ショーン・タン著、河出書房新社)ほか。編訳書に『変愛小説集』『楽しい夜』(以上 講談社)ほか。著書に『ひみつのしつもん』『ねにもつタイプ』(以上 筑摩書房)ほか。本書ではStrangers、Dreamsの章を担当。

畔柳和代 プロフィール
1967年生まれ。東京医科歯科大学教授。訳書に『空腹の技法』(ポール・オースター著/新潮文庫 柴田元幸と共訳)、『マン・オン・ワイヤー』(フィリップ・プティ著/白揚社)、『オリクスとクレイク』(M・アトウッド著/早川書房)、『秘密の花園』(F・H・バーネット著/新潮文庫)、『サンタクロース少年の冒険』(L・フランク・ボーム著/新潮文庫)ほか。本書ではFamilies、Loveの章を担当。

前山佳朱彦 プロフィール
1972年生まれ。翻訳者。訳書に『エドガー@サイプラス』(アストロ・テラー著/文藝春秋)、『サロン・ドット・コム 現代英語作家ガイド』(ローラ・ミラー編、共訳/研究社)。本書ではSlapstick、Meditationsの章を担当。

山崎暁子 プロフィール
1972年生まれ。法政大学文学部准教授。訳書に『火山の下』(マルカム・ラウリー著、共訳/白水社)、『ヒア・アンド・ナウ 往復書簡2008‐2011』(ポール・オースター、J・M・クッツェー著、共訳/岩波書店)、『潟湖』(ジャネット・フレイム著/白水社)ほか。本書ではWar、Deathの章を担当。

https://ec.alc.co.jp/book/7019061/

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