2月1日衆院予算委員会。質問者「新党きづな」斉藤やすのり議員。以下発言は「2チャンネル」から引用。
斉藤やすのり議員 「私ひとつ気になったのですが、すいません、これ通告ないんですけれども、先日岡田副総理のですね、 キャラクターを前面に押し出した「税と社会保障の一体改革」の新聞の全面公告が出てましたけれども、あれは一体いくらくらいかかったんでしょうか?すいませんちょっと、通告なしで申しわけないんですが」
岡田副総理「えー、ご通告いただいてないので具体的金額はわかりません。ご通告いただければ、ちゃんと調べておりました」
藤村官房長官「えー、政府広報といたしまして約3億円をかけての広報でございました」
斉藤やすのり議員「あの、3億円の広報ということでございました。
私はですね、そんな政府広告出さなくてもですね、野田総理がですね、テレビメディアを使って出していけば全然発信になると思いますし、いま国民の負担をお願いしようというときに、億円単位の広告費というのは非常に私は疑問だと思います。
是非お金のかけないような、無駄のないような情報発信をよろしくお願い申し上げます」(以上)
「野田総理がですね、テレビメディアを使って出していけば全然発信になると思いますし」と言っているが、自らが前面に出て、「正心誠意」説明尽くすという意思も姿勢もないから、カネを掛けた新聞広告というアイデアが出てくる。
今日は2月3日。「新党きづな」斉藤やすのり議員の質問から2日経過している。質問当日の2月1日18時46分に「サーチナニュース」がこの件について報道しているが、他のマスコミの報道は「google」を探しても、他のサイトを探しても見つけることができなかった。
ニュースバリューを認めなかったということなのか、批判記事を書いたなら、自らの広告収入に影響しかねない利害上の懸念から、目を背けたということなのだろうか。
《全国紙など71社への政府広告 1回3億円》(サーチナニュース/2012/02/01(水) 18:46)
経費3億円で広告会社「電通」を通じて1月28日付全国紙等71社の新聞媒体に全面広告。
但し記事は昨年12月4日にも全面広告掲載、〈合計6億円あまりを新聞媒体に投じた格好。〉と伝えている。
政府広報「5400万世帯の80%をカバーしていること。価格についても当然、交渉しており、通常掲載価格より低い価格で契約している」
「5400万世帯の80%をカバーしている」はあくまでも発行部数から見た計算上のことで、80%の世帯の内、何%が目にしたか、その内の何%が理解したのかの数字ではない。
それをさも見込み効果のように言うのは一種の情報操作に当たる。
果して3億円という大金をかけるだけの価値ある全面広告だったのだろうか。
新聞社に批判の声「社会保障と税の一体改革は全国民がかかわる内容であり、情報提供を社会的使命として掲げる日刊紙であれば有料でなくとも掲載協力して良いのではないか。こうしたケースの時だけ商業ジャーナリズムになるのはいかがなものか」
新聞社にとっては命綱の広告費である。無料というわけにはいくまい。問題はあくまでも政府の姿勢だろう。
新聞社側の利害から見た場合、広告発注主たる政府だけが絡んでくる問題ではなく、広告代理店「ガリバー」電通が扱った広告となれば、広告獲得に絡んでくる。
広告獲得は社の命運に即関わってくる。そのための情報伝達無視であり、日本の企業でありながら、ウエブサイト情報発信体である「サーチナニュース」のみが可能とした情報発信ということもある。
全面広告の文面は、すべての国民の皆さまへ ──「 社会保障と税の一体改革」について ──の「シンポジウム 社会保障の明日を考える」で寄せられたご意見に、お答えします」に記載されている。
「子ども・子育て支援の強化」に関しては、〈子ども・子育て家庭への支援を行い、結婚・出産・子育てへの希望がかなう制度をつくります。〉、「年金制度の改善」に関しては、〈基礎年金の財源を安定させ、最低保障機能を強化します。〉、「雇用や貧困・格差の問題への対応」に関しては、〈非正規労働者の増加、貧困格差に対応します。〉と能書きを述べているだけで、こういう政策を行なって、現状をこういうふうに変えていきます、変わりますといった具体的、懇切丁寧な説明が抜けている。
要するにスローガンだけが並んでいる。
しかも、「社会保障と税の一体改革について詳しく知りたい方は」と書いて、アドレス伝いにフェイスブックにつながるページに誘導、「いいね!を押して議論に参加」と書いてあるから、クリックしさえすれば簡単に議論に参加できると思ったら、フェイスブックのアカウントを持っていない場合はアカウント登録をしなければならない面倒な手続きが待ち構えている。
どう見ても、3億円という税金を掛けるだけの価値を認めることができる内容には思えない。
「衆議院議員定数の削減、独立行政法人改革、公益法人改革、特別会計改革、国有資産見直し、公務員給与の削減、公共調達改革」についての言及は、〈こうした行政改革を強力に推し進め、徹底的に歳出の無駄を排除します。これらの身を切る改革なくして、国民の皆さまの納得と信頼を得ることは出来ないと考えます」と何十回と言っている、まさしくスローガン以外の何ものでもない能書きを尤もらしげに活字にしているだけである。
岡田原理主義の現れと見るなら、あまりにも原理主義過ぎる全面広告だとは言える。
政治で常に問題とされるのは指導力であり、実行力である。能書き、スローガンの類を如何に着実、効率的に実行・実現して、制度としていくかが常に問われているはずだ。
マニフェストにしても、公約だとして書いてあることは初期的には単なるスローガン、能書きの類に過ぎない。民主党政権は自らがマニフェストに掲げた政策の多くが中期的にも最終的にもスローガン、能書きの類に過ぎなかったことを証明した。
当然、政府広報の全面広告にしても見込み効果は野田政権の指導力、あるいは実行力を前提として、「5400万世帯の80%をカバー」から差引き計算しなければならない。差引き計算することによって実態的な効果が推定できるはずだ。
政府が最初(?)の広告を出した昨年の12月4日から約1週間経過した12月10、11両日の野田内閣支持35・6%、不支持51・6%の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)合同世論調査での、《国民へのメッセージ発信》という問は、「評価」21・7%、「評価しない」71・7%とつけている。
そして《首相の指導力》に関しては、「評価」20・2、「評価しない」72・9%と著しく低評価となっている。
このことはいくら立派なスローガン、能書きを並べられても、国民からしたらその実現に信用できないということを示しているはずだ。
NHKが12月9日から3日間行った野田内閣支持37%、不支持42%の全国世論調査での不支持理由は、「政策に期待が持てないから」39%、「実行力がないから」34%となっている。
これではいくら言葉の贅を尽くした特別仕立てのスローガン、能書きを並べ立てようとも、それが実効性を持った制度となると信じる国民は少ないことの証明としかならない。
読売新聞社が12月13日付で報道した、野田内閣不支持42%の全国世論調査での「首相の国民への説明」では、「十分に説明している」が10%、「そうは思わない」が85%である。
毎日新聞が1月21、22両日実施の野田内閣支持32%、不支持44%の最新の全国世論調査での「消費税増税を引き上げなくても、今の社会保障制度を維持することが可能か」との問に、「可能だと思う」が28%、「可能だと思わない」が68%である。
だが、消費税増税に「賛成」37%、反対60%。
これら2項目の数字を野田内閣の不支持率と併せて解釈すると、社会保障制度維持のためには消費税増税は必要と認めるものの、野田内閣では満足な社会保障制度改革は望むことはできないが大勢を占める答だということになるはずである。
この毎日新聞の世論調査は野田首相の指導力を問う項目を用意していないが、大方の世論調査で不支持理由が「政策に期待が持てない」、「実行力がない」が理由となっている以上、当然の動向と言える。
野田首相に指導力がない、あるいはその政策に期待が持てないという有難い評価が大勢を占めている以上、政策を説明するどのような能書き、スローガンも実現可能との評価は期待薄であるにも関わらず、能書き、スローガンを並べているだけの政府広告を3億円もかけて二度も新聞に出した。
当然、指導力、実行力がないことを計算に入れて広告も一工夫あるべきだが、何ら一工夫もなく、3億円という税金をはたいた。
これを民主党が掲げる「ムダ遣い削減」のスローガンが実行ができていないムダ遣いだと断言できないはずはない。
「新党きづな」齋藤やすのり議員が政府広報の全面広告費を問う前に被災地の寒さ対策を質問している。
被災地では生活費節約から、夜暖房を消して寝ている。都市ガスからプロパンガスに変わってガス代が3倍となり、風呂に追い焚き機能がないために冷めた湯の中に我慢して入っている。災害救助法が定める仮設住宅の仕様には追い焚き機能はつけてなくてもいいとされているが、実際に入っている仮設住宅もあり、不公平が生じている。仮設住宅の仕様の見直しを見直すべきではないかと追及した。
小宮山厚労相「仮設住宅の中で追い焚き機能の声が強いことは仮設住宅でのヒヤリングで承知している。色々と検討したが、各県が仕様を決めて発注する。
一気に短時間にたくさんのものを(建設)ということで、特に仕様に盛り込まれていない追い焚き機能がついていない所が殆ど。
何とかできないかと、全体5万戸の仮設住宅があるが、検討したが、追い焚き機能があるものにするには、今ある風呂釜を全部取り替えなければならず、30万ぐらいかかる。それを全部廃棄物にしなければならない」
最後は血も涙もない役人式答弁。
小宮山厚労相「今回は大変申し訳ないが、お湯を注いで入っていただくしかない。これからは寒冷地仕様のきちんとした仮設住宅を造ることをこれからの課題としなけれがならないと考えている」
今現在不自由している被災者に対して今回は我慢してもらいたいと放置し、今後は寒冷地仕様のきちんとした仮設住宅建設を課題にすると言っている。
これが民主党がかねがね言っていた「被災者に寄り添う」政治ということなのだろう。
風呂にガス釜がついていないか、湯が冷めると給湯器が自動点火して湯を注ぎ、設定温度に保つ形式の風呂釜ではなく、給湯器から配管伝いに湯を注ぐだけだから、湯が冷めるたびに給湯器を点火して湯を注ぎ直さなければならないためにガス代が嵩むということなのだろうか。
「一気に短時間にたくさんのものを(建設)」は菅仮免が「8月お盆まで完成」を無理やり急がせたことからの床下給水管凍結や雨漏りといった欠陥であり、網戸不備、寒さ対策不備であり、こういった不備の延長に生じた寒冷地非仕様の風呂ということも疑うことができる。
ガス代が3倍になっても痛くも痒くもない生活の余裕があれば、いくらでも湯を注ぐ。切り詰めた節約をしているから、冷めた湯で我慢しなければならない。
なぜ冬の間ガス代を補助する政策を考えることができないのだろうか。
政府広報全面広告代6億円を月々の補助に回したらどうなるのだろう。
6億円÷全体5万戸の仮設住宅=12000円
全戸必要というわけではないだろうから、11月から3月までの5ヶ月間と想定して、各戸月2400円以上の補助が可能となる。11月から4月までの6ヶ月間なら、月2000円ずつ。
「ムダ遣い削減」とは単にムダを削るだけではない。ムダとして削った税金を如何に活用するかも「ムダ遣い削減」に入るはずだ。
税金の効率的な使い方をもっと勉強した方がいい。 |