真部沖縄防衛局長“講話”、投票依頼でないは自分がそう言っているだけのこと

2012-02-01 09:56:51 | Weblog

 昨1月31日(2012年)、衆議院予算委員会集中審議で赤嶺共産党議員が防衛省沖縄防衛局の宜野湾市長選挙投票依頼疑惑を取り上げた。《“防衛局が選挙関与”指摘で調査》NHK NEWS WEB/2011年1月31日 14時52分)

 1月に防衛省沖縄防衛局の総務課が職員に対して選挙権を持つ親族がいるかどうかを調査、真部局長の講話を聴くよう指示したなどと指摘。

 宜野湾市長選は2月5日告示、2月12日(日)投票日。立候補を表明した伊波洋一元市長への応援をよろしく。個人的立場しか持たない私が応援(投票ではない)依頼しても問題はあるまい。

 赤嶺共産党議員「沖縄防衛局が、職務命令によって有権者リストを作ったということであり、極めて重大だ。国家機関の中立・公正の義務や、選挙における地位利用の禁止に反することは明らかで、許されない」

 田中防衛相「あってはならないということで、今、調査している。事実関係を明確にしたい」

 防衛省が職員を派遣して、沖縄防衛局から事情を聞くなど事実関係を調べていて、予算委員会の理事会に結果を報告することにしていると記事には書いてある。

 宜野湾市はご承知のように普天間飛行場移設問題を抱えている。市長選両立候補者とも普天間県内移設に反対しているが、革新系候補の伊波洋一氏は「国外・県外」移設を主張、特に県内移設を強硬に反対している。

 伊波氏が仲井真知事と争った県知事選では普天間即時閉鎖と米海兵隊の国外移転を主張していた。いつ強硬な牙を剥くか分からない。

 対して保守系は「県外」を主張しいるが、防衛省の利害からしたら、保守系候補の方がより組み易い相手であることは間違いない。保守系は宜野湾市民も含めて沖縄県民の多くが普天間の県内移設を反対している関係から、当選に必要な票数稼ぎに同調姿勢を取らざるを得ない事情も抱えているはずだからだ。

 上記記事には触れていなかったが、NHKの国会中継では赤嶺議員はすべてメールを使って情報伝達していたと伝えていた。

 《沖縄防衛局長に更迭論…宜野湾市長選で投票要請》YOMIURI ONLINE/2012年2月1日03時03分)

●沖縄防衛局総務部職員が1月4日付の電子メールで各部庶務担当者に宜野湾市に住む職員とその親族を報告
 するように要請。
●18日付のメールで、23、24両日に真部局長の講話を聴講するよう要請。
●真部局長は23、24両日、局内で計約20人の職員に対して5分程度の講話を行う。

 真部局長「宜野湾市長選では投票を棄権しないように」

 この発言は真部局長自身の口から証言として出てきた言葉であろう。

 記事は書いている。〈また、普天間移設問題をめぐる各候補者の主張にも言及したという。講話の議事録や録音は残っていない。〉

 防衛省は、〈真部氏が特定の候補者への投票を指示しておらず、国家公務員の地位を利用した選挙運動を禁じる公職選挙法などには違反していない〉という立場を取っているという。

 次の《防衛局長講話問題 野党批判強める》NHK NEWS WEB/2011年2月1日 5時13分)により詳しい発言が出ている。

 真部局長「投票に行くよう促す啓発活動の一環として行ったもので、特定の候補者への投票を依頼したことはない」

 野党側「投票に行くよう呼びかけただけなら問題はない」

 同野党側「局長の講話は事実上の投票の依頼で、自衛隊員にあるまじき行為だ」

 どの野党の誰が話したかは記事は触れていない。

 防衛省沖縄防衛局の所在はインターネットで調べたところ、「沖縄県中頭郡嘉手納町字嘉手納290番地9」にある。那覇防衛事務所と名護防衛事務所と金武(きん)出張所を抱えているが、宜野湾市には事務所も出張所もない。

 金武出張所の所在地は「沖縄県国頭(くにがみ)郡金武町(きんちょう)字伊芸7(いげい)6-1」であって、沖縄本島北部の東海岸に位置している。

 防衛省沖縄防衛局がある嘉手納町は沖縄本島の中部に位置し、東シナ海に面している。インターネット地図で調べたところ、多分間違っていないと思うが、沖縄本島中南部の中央に位置する宜野湾市から北方向に10キロ前後離れている。

 真部防衛局長が宜野湾市の住人であったとしても、防衛局が所属する自治体の選挙ではない。

 個人の立場では宜野湾市の選挙結果が個人的心情に影響することはあるだろうが、防衛局が所属する自治体の選挙ではなくても、防衛省沖縄防衛局という役所の立場、あるいは防衛省沖縄防衛局長という職務上の立場から見た場合のみ影響する選挙の利害・趨勢のはずである。

 既に触れたように伊波洋一氏が国外移転の強硬な主張を抱えているからだ。政府が普天間の移設先としている辺野古がある名護市の、辺野古移設反対強硬派の稲嶺市長といつ連携して、普天間の国外移設の運動を起こさないとも限らない。

 いわば沖縄防衛局としては伊波当選は、その可能性はあるものの、可能性があるからこそ、あってはならない悪夢となっているはずである。

 対立候補投票要請に動いたとしても不思議ではない利害状況にあった。

 このような防衛省、あるいは沖縄防衛局としての全体の利害から見た場合、「宜野湾市長選では投票を棄権しないように」との講話だとする、あるいは「投票に行くよう促す啓発活動の一環として」の講話だとする説明はどう見ても説得力に欠ける。

 大体が投票啓発活動は立候補者に対して当選・落選に関わる利害を持たない公平な立場からの活動でなければならない。逆に特定候補に対する投票依頼は当選・落選に関わる利害を持った立場からの働きかけとなる。

 対して沖縄防衛局は明らかに利害を抱えている。

 実際に投票啓発活動だとしたなら、「講話」と名付けたこと自体にしても矛盾することになる。「講話」とは】「(大勢の大衆に)分かりやすく説き聞かすこと」(『大辞林』三省堂)を言う。

 偉いお坊さんが難しい仏の教えの分かりやすく噛み砕いて説くといったことを講話と言うはずだ。実際にも禅の高僧が禅という仏教哲学を信徒や一般人を集めて説き聞かすことを「講話」と名付けている。『臨済録講話』といった禅僧著作の書物も存在する。

 要するに講話とは特殊な学問分野に高度な知識を有している者のみが許される会話形式(集会形式)であろう。

 それを防衛省の出先機関である沖縄防衛局長の身でありながら、高々投票啓発活動の話を5分程度話すだけで(多分罪逃れから時間を短く言った疑いもある。)、それを「講話」だと名づけることができるだろうか。

 だが、講話だとした。講話と名付ければ、選挙運動と取られないと誤魔化すために知恵を働かせたとしたら、サルの浅知恵としか言いようがない。

 いや、昨今愚かしい自己利害の闘いにあくせくしている人間よりもサルの方が知恵は上かもしれない。

 講話の類いであるはずがないのに何様が話し聞かすかのように講話だとさも尤もらしげに誤魔化した点でも、投票依頼でないは自分がそう言っているだけのことと、限りなくクロに近い疑いをかけることができる。

 直接的な依頼はなくても、少なくとも言葉巧みな暗黙の教唆はあったはずだ。

 尤も騒ぎを起こして迷惑をかけたからと責任を取って自ら辞任という手を使えば、一切の疑惑を終息させ、事実を隠すことはできる。

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