安倍晋三は普遍的価値観に基づいた外交・安保政策の仮面・積極的平和主義の仮面をかぶった政治家に過ぎない

2013-12-29 09:36:10 | 政治

 
 
 我が日本の国家主義者安倍晋三が2014年2月7日のロシア・ソチ冬季五輪開会式を欠席すると「毎日jp」記事と「YOMIURI ONLINE」記事が伝えている。

 理由は「北方領土の日」の日と重なるからだという。

 内閣府のHPに、「2月7日は『北方領土の日』」として次のように記述されている。

 〈2月7日は「北方領土の日」です。1855年のこの日に、日魯通好条約が調印されたことにちなみ、北方領土返還要求運動の全国的な盛り上がりを図るために設定されました。

 毎年、「北方領土返還要求全国大会」が、東京で開催されるほか、この日を中心として全国各地で講演会やパネル展、返還実現のための署名活動などさまざまな取組が行われています。〉――

 「北方領土返還要求全国大会」には首相や外相などの政府代表や衆参両院代表、各政党代表の出席が慣例となっているという。

 但し開会式には欠席するものの、2月23日までの五輪開催中にソチを訪問、プーチン大統領と首脳会談を開く方針でいるそうだ。

 ソチ五輪開会式に関しては12月21日(2013年)の当ブログ記事――《安倍晋三は各国首脳によって人権意識を試す踏み絵と化したソチ五輪開会式にどう身を処すのか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に既に書いたが、ガウク独大統領が同性愛宣伝禁止法を始めとするロシアの人権政策に抗議するために欠席の方針を決めてロシア政府に伝えたと12月8日の週刊誌シュピーゲルが伝えたのを始めとして、レディング欧州委員会副委員長、オランド大統領、オバマ米大統領とミシェル夫人、バイデン副大統領が欠席を表明している。

 ガウク独大統領以外は欠席の理由は明確にはしていないが、プーチン大統領署名によって2013年6月29日制定された、同性愛者を社会的に有害な存在として差別し、その人権を侵害することになる「同性愛宣伝禁止法」や政府批判者に対する拘束と恣意的な法執行による重罰、ジャーナリストやNPO等の活動に規制を課す法案の可決による活動や言論の自由の制限等々に見ることができる基本的人権の抑圧政治に対する抗議の意思表示だと、内外の大方のマスメディアは見ているし、他に欠席理由を見い出すことができないことからも、そうであることは確かである。

 いわば人権抑圧のプーチン政治に対する抗議の意思表示として各国首脳がソチ五輪開会式欠席で足並みを揃えている状況にある中で我が日本の安倍晋三は五輪開会式欠席を「北方領土返還要求全国大会」出席を理由として、一人足並みを揃えない状況に自身を置いている。

 この違いは欧米各国首脳との人権意識(=人権擁護意識)の違いの反映として現れた、それぞれの状況でもあるはずだ。

 もしロシアの人権状況に憂慮を抱くだけの人権意識を抱えていたなら、例え「北方領土返還要求全国大会」の日と重なったとしても、欧米各国首脳と足並みを揃えて、欠席の理由を明確にしないことによって暗にロシアの人権状況を理由とした欠席であることを仄(ほの)めかす人権意識を示し得たはずである。

 だが、そういった方法は採らなかった。ロシアの人権状況に無感覚であり、何ら憂慮もしていない様子しか窺うことができない。

 北方領土返還要求はロシアに対するものである。今年4月29日のモスクワ・クレムリンでの安倍・プーチン首脳会談で、北方領土問題を巡る交渉を再スタートさせ、双方に受け入れ可能な形で最終的な決着を図って、平和条約の締結を目指すことで合意していて、既に北方領土問題はデモンストレーションとしての「返還要求」から具体的な交渉を手段とした「返還要求」へと政治日程入りしている。

 いわば「北方領土返還要求全国大会」出席を優先させる理由はない。優先すべきはあくまでも安倍内閣の北方領土返還に関するロシアとの交渉の場に於ける外交能力の有効化である。

 領土問題の事務的な交渉を担う日ロ次官級協議の第1回協議が今年の8月19日にモスクワで開催されたが、具体的進展はなかったものの、ロシアで9月開催のG20サミットに合わせて日ロ首脳会談を行うことやテンポよく政治対話を進める考えで一致している。

 この決定によって9月5日、安倍・プーチン首脳会談が、開催され、領土問題は話し合わなかったものの、11月1~2日にラヴロフ外相とショイグ国防相が訪日して外務・防衛閣僚級「2+2」を開催することを決めている。

 麻布台外務省飯倉公館で開催の「2+2」に於いても領土問題は議論しなかったが、日露の安全保障問題を話し合い、幅広い分野での安全保障・防衛協力を進めることで一致、ゆくゆくは信頼関係の醸成に結びつく関係強化を約束している。

 この9月5日の「2+2」前の10月7日、APEC首脳会議出席でインドネシア・バリを訪問していた安倍晋三とプーチンはここでも首脳会談を行っている。

 ここでも領土問題は議論されなかったが、安全保障分野での協力深化、人的交流等を話し合うことで両国関係の強化を謳い、領土問題解決の土壌づくりを進めている。

 そして事務的に領土問題の進展を図る第2回目の日ロ次官級協議が来年の1月31日東京での開催が決まった。全ては政治家・官僚のタッグマッチによる外交能力発揮にかかっている。

 「北方領土返還要求全国大会」出席をソチ五輪開会式欠席の理由とする合理性がどこにあるのだろうか。

 だが、欧米各国首脳のようにロシアの人権状況に対する忌避意識からではなく、前者の出席を理由として後者の欠席を決めた。

 右翼の軍国主義者安倍晋三に欠けているものはロシアの人権状況から感取すべき自らの人権意識に基づいたあるべき人権状況ということになる。暗にロシアの人権状況を欠席理由とすることは今後の領土交渉を考えてプーチンに対して遠慮があったかもしれないが、実際に遠慮があったとしたら、領土交渉は領土交渉、人権問題とは別問題だと割り切ることができない外交意志の薄弱さを示していて、割り切ることができないこと自体がやはり自身の人権意識の希薄さを起点とした遠慮であることを物語ることになるはずである。

 そうである以上、遠慮があったなしのどちらにもに関係なく、また「北方領土返還要求全国大会」出席をソチ五輪開会式欠席の理由とする合理性がどこにもないにも関わらず、「北方領土返還要求全国大会」出席をソチ五輪開会式欠席の理由としたことになる。

 上記当ブログにも触れているが、安倍晋三は「自由、民主主義、基本的人権、法の支配」といった普遍的な価値観を自身の外交・安保政策の基本的理念としている。これを以て「積極的平和主義」だと称している。

 だが、現在のロシアでは自由も民主主義も基本的人権も法の支配も未成熟の状況にあり、法に恣意的に手を加えた変更等を手段とした国家権力による言論の弾圧、思想・信教の自由に対する抑圧等が公然と行われている。

 政敵や政府批判のジャーナリスト等に対する暗殺に対してその多くが犯人検挙が未解決な状況は警察と国家権力の癒着の状況を相互反映させているはずである。

 だが、このようなロシアの状況に対して自身の外交・安保政策の基本的理念としている「自由、民主主義、基本的人権、法の支配」といった価値観を欧米各国首脳がソチ五輪開会式を機会としてロシアに認識させようと試みているのに対して何ら試みることもなく、プーチン・ロシアの価値観と自身が思想としている価値観を響き合わせて、その落差に何ら憂慮を示すこともなかった。

 このことは「自由、民主主義、基本的人権、法の支配」といった普遍的価値観に基づいた外交・安保政策、「積極的平和主義」のニセモノ性の証明以外の何ものでもないはずである。

 要するに普遍的価値観に基づいた外交・安保政策の仮面、あるいは積極的平和主義の仮面をかぶった政治家に過ぎないことになる。

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