安倍晋三の国家主義を露わに見せつけた、格差拡大を伝える2014年9月26日夜7時NHKニュース

2014-09-27 10:09:34 | Weblog



      生活の党PR

       《9月28日(日) 鈴木克昌代表代行・幹事長『日曜討論』出演》 

      内 容:○臨時国会にどう臨むか
      ○“地方創生”に何が必要か
      ○消費税率10%への引き上げについて
      ○安全保障政策と国民の理解について等   

 昨日、2014年9月26日夜7時からのNHKニュースで、サラリーマンの給与が3年ぶりに前年比増となったことを伝えていた。但し前年比増は正規社員のみのことで、非正規社員は逆に減っていて、格差が広がっていると解説していた。

 途中画面にアベノミクス効果で「雇用と賃金が増えている」と自信に満ちた様子で誇らしげに胸を張り、自らの成果を強調する、例の如くの安倍晋三を登場させていた。

 NHKは安倍晋三を登場させることで、成果と格差という皮肉な対比を意図的に演出したように見えた。

 だが、その登場は安倍晋三の国家主義を露わに見せつけた瞬間でもあった。NHKがこのことをも意図していたかどうかは分からない。

 国家主義とは「国家をすべてに優先する至高の存在あるいは目標と考え、個人の権利・自由をこれに従属させる思想」(「大辞林」)を言う。

 しかし現代は個人の権利・自由を最大限に尊重しなければならないとされている。そのため表向きは最大限に尊重するタテマエを取りつつ、経済的な利益の点で国民の利益よりも国家の利益を最優先させて、国民を国家の利益に奉仕する存在とする形で国家主義はその装いを存続させている。

 国家の利益により多く奉仕できる国民はより多くの経済的利益を獲得し得た国民であるのは断るまでもない。

 個人の権利・自由は常に絶対的な姿を取るわけではない。現代の国家主義が国家の経済優先の構造を取るために個人の権利・自由が経済的利益に応じて左右されることも起こり得る。

 経済格差と教育格差の相関関係が何よりもこのことを証明する。経済的に豊かであることが教育を受ける権利を十二分に保障し、貧しいことがその権利を阻害する。

 NHKが伝えたニュースの記事から成果と格差という皮肉な対比と安倍晋三のアベノミクスの効果を誇る発言から、その国家主義を見てみる。但し記事には安倍晋三は登場しない。

 《サラリーマン年収3年ぶり増加》NHK NEWS WEB/2014年09月26日 17時19分) 

○国税庁が去年1年間を通して民間企業で働いた会社員やパート従業員などの給料を調査したところ、平均年収は、前の年より6万円多いおよそ414万円。
○正社員は男性が527万円、女性が356万円、全体では473万円で、前の年より5万円増。
○非正規雇用は男性が225万円、女性が143万円で、全体では前の年より2000円少ない168万円。
○年収1000万円を超える人が前年より14万人増えて186万人、全体の4%となった一方、200万円以下の人は30万人増えて1120万人に上り、全体の24.1%を占める。
○業種別平均年収

 「電気、ガスなど」前年マイナス22万円の696万円と最高。次いで「金融、保険」の617万円、「情報通信」の592万円。
 最低は「宿泊、飲食サービス」の233万円。

 正規と非正規の平均年収の格差が473万円-168万円=305万円もあり、正規と非正規とに関わらず男女格差が存在し、年収1000万円を超える国民が186万人、労働者全体の僅か4%の少数派が年収エリートを築いているのに対して年収が200万円以下の国民は30万人増えて1120万人、全体の24.1%を占める。

 これが国民の経済に関わる足元の格差の実情である。

 では、安倍晋三の自らの経済政策であるアベノミクスを誇る発言を見てみる。

 《シティ主催歓迎晩餐会 安倍内閣総理大臣スピーチ》(2014年〈平成26年〉5月1日)

 安倍晋三「賃金と、雇用が目に見えて上向くことこそ、デフレーション克服に欠かせません。

 もっと嬉しいのは、中小企業の景況感が、製造業では6年ぶり、非製造業では、実に22年ぶりの、プラスになりました。成長の実感が、徐々に浸透してきたということでした」

 《安倍晋三ブリュッセル内外記者会見》(首相官邸/2014年〈平成26年〉6月5日)
 
 安倍晋三「夏のボーナスにつきましては、経団連の調査では、昨年より8.8%上昇しています。この数字は過去30年間で最高の伸び率となっています。雇用においても賃金においても大変よい結果ででてきています。企業収益の向上が賃金に回り、消費につながっていく『経済の好循環』に向けた動きは、途切れていないと判断しています」

 《安倍改造内閣発足安倍晋三記者会見》(首相官邸/2014年〈平成26年〉9月3日)

 安倍晋三「さて、さきの総選挙で政権交代が実現し、危機突破内閣を発足してから600日余り。1人の閣僚も替わることなく、安定的に政策を進めることができました。

 そして今、有効求人倍率はバブル崩壊以来、22年ぶりの高い水準となっています。また、今年の春、多くの企業で給料アップが実現し、連合の調査によれば、賃金の伸び率は過去15年間で最高となりました。内閣一丸となって三本の矢を射込んできた結果、雇用の改善、賃金の上昇という形で景気の好循環が生まれ始めています。この道しかない。私はそう確信しています」

 《産業競争力会議》(首相官邸/2014年〈平成26年〉9月18日) 
 
 安倍晋三「産業競争力会議の皆様のお力をいただきながら、三本の矢の政策によって、間違いなく、日本の景気が好循環を迎えつつあるわけであります。

 雇用においても、あるいは、賃金においても、改善、良い数字が出てきております。

 ただ、ここからが勝負でありますし、これからも経済再生が最優先であります」

 《安倍晋三内外情勢調査会講演》(2014年9月19日)
 
 安倍晋三「今年の春は、連合の調査で、平均2%を超える賃上げが実現しました。過去15年間で最高の賃金アップです」(以上)――

 アベノミクスの効果を通した国全体の経済の成果のみの言及となっていて、足元の格差の状況には一言の言及もない。国家の経済を優先させて、国民個々の経済の状況には目を向けない国家主義者の姿が否応もなしに現れている。

 安倍晋三が数々ある演説のうち、「非正規」という言葉を使っているのは数回しかない。国会答弁では質問者の質問に応じて何回も使っているだろうが、その言葉がどのように非正規雇用者の利益を訴えていようとも、正味のところは各演説での国家の経済を優先させた国家主義に対応していなければ矛盾や二律背反を侵すことになる。

 このことは演説に於ける数少ない「非正規」に言及した発言自体が証明することになる。

 《経済の好循環実現に向けた政労使会議》(首相官邸/2013年9月20日)

 安倍晋三「非正規雇用や女性をはじめとする多様な働き方の重要性など、様々なご意見をいただきました」

 《第186回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説》(2014年〈平成26年〉1月24日)

 安倍晋三「政府、労働界、経済界が、一致協力して、賃金の上昇、非正規雇用労働者のキャリアアップなど、具体的な取組を進めていく。政労使で、そ の認識を共有いたしました」

 《安倍晋三通常国会閉会記者会見》(2014年年6月24日)

 安倍晋三「雇用状況が改善する中、非正規従業員を正社員にする企業も出てきています」

 《安倍晋三、長州「正論」懇話会講演会》(2014年年7月19日)

 安倍晋三「人材への投資の重要性が改めて認識され、非正規従業員を正社員化する企業も出始めています」(以上)――

 味も素っ気もない事務的な発言に終始している。格差解消に向けた視線や意欲はどこからも感じ取ることはできない。

 国家の経済利益、国家の景気を優先させ、そのことに貢献する経済的エリートたる企業や個人を重用しているがゆえの非正規等の社会の下層に位置する国民に対する軽視であるはずだ。

 安倍晋三等の国家主義者にとっての非正規雇用者の価値は安価な人件費が企業の利益獲得に貢献し、その利益が国家の経済に貢献する、そういう構造を担っている点のみであろう。

 当然、非正規雇用者の正社員化は企業の利益や国際競争力を侵害しない範囲のものでなければならない。

 安倍晋三は国家主義者ある。女性の活躍にしても男女平等意識に立った政策ではない。日本国家の経済を活性化し、拡大するための未だ利用し尽くしていない分野であり、人材と見ているに過ぎない。

 男女平等とは男女共に同じ人間存在と見て、そこに差別はないと見る思想であるはずである。また、人間存在の違いが能力の違いを生むのではなく、能力の違いは男女別なく個々の人間に応じて生じると見なければならない。

 だが、安倍晋三が「皇位継承は男系男子という私の方針は変わらない」としていて、そこに男女共に人間存在を平等と見ていない男女不平等観が象徴的に現れている。

 万世一系を伝統としていることからの天皇家に限った「男系男子」と言うだろうが、現代に於いて男女それぞれの人間存在は平等と見る男女平等観に真に立っていたなら、拘ることはできないはずだ。

 そもそからして子どもは親の血を正確に半分ずつ受け継ぐわけではない。ある性格は父親の性格を継ぎ、別の性格は母親の性格を継いだり、父親の性格をより多く継ぐこともあれば、母親の性格をより多く継ぐこともある。そして子どもはそれらを総合した血や後の環境に応じて自らの人間存在や能力を確立していく。

 いわば男か女かではなく、男女別なく人間存在として天皇に相応しい能力を有しているかどうかで決めるのが男女平等姿勢であるはずで、にも関わらず男か女かで決める「男系男子」と限定しているところに男女平等思想を見て取ることはできない。

 また、国家の内容としてある国民個々の人間存在を平等と見る男女観ではなく、伝統的な国家の姿に拘る点に於いても国家主義が現れている。

 基本の姿勢がそうなのだから、女性の活躍もその延長線で把えなければならない。

 格差が進めば進む程、それは安倍晋三の国家主義の成果でもあるのだから、必然的に国家主義者の姿を露わにすることになる。

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