安倍晋三のアメリカとEUの動きを様子見した「ウクライナの統一性、主権および領土の一体性」

2014-03-21 05:27:05 | Weblog



      《生活の党PR》

      《3月17日(月)、鈴木克昌代表代行・幹事長定例記者会見要旨》

      【質疑要旨】
      ・鹿児島県2区補欠選挙について  
      ・集団的自衛権について  
      ・拉致問題、横田夫妻の孫娘との面会について  
      ・国民投票法改正案協議について  
      ・小沢代表会見欠席について  
      ・小松一郎法制局長の言動に対する野党の対応について
   
      《畑生活の党総合政策会議議長「放送法改正案」民主党・結いの党・生活の党3党共同衆議院提出詳細》

 3月7日、オバマ大統領はクリミア自治共和国制圧に向けた軍の活動活発化を見せていたロシアに対して政府高官へのビザ発給制限などの制裁を発動した。このことを知らせる目的も含めていたのだろう、同3月7日、オバマ大統領の方からの申し込みによって正午から約40分間、安倍晋三と電話会談が行われた。

 どのような内容の電話会談だったのか、菅官房長官が同3月7日(金)午後記者会見で述べている。

 菅官房長官「ウクライナ情勢の改善のためのオバマ大統領の努力を支持している。 日本も情勢の早期改善を期待しているという趣旨を述べたということです」

 記者「努力を支持する中に制裁措置というものも含まれるのか」

 菅官房長官「全体としての努力への支持と私は受け止めました。一致したということはウクライナの主権と領土の一体性を尊重することが重要だという認識で一致したということで、G7の重要性を確認して、日米首脳が緊密に連携を取っていこうと。そして政治改革と経済改革の姿勢を確認をした、そういうことです」(首相官邸動画か ら)

 「ウクライナの主権と領土の一体性を尊重することが重要だという認識で一致」し、オバマ大統領のクリミア問題に発した対ロ外交の努力全体に対して支持したが、アメリカの対ロ制裁に直接的に支持を与えて日本が同調することはなかったということである。

 安倍晋三がオバマ大統領の対ロ制裁に同調しなかったのは大方のマスコミが伝えていたように北方四島返還交渉の問題があったからで、プーチンとの信頼関係を壊したくなかったからだろう。いわば「ウクライナの主権と領土の一体性」よりもプーチンとの信頼関係と北方四島返還交渉問題を優先させた。

 だが、「主権と領土の一体性」は尖閣諸島や北方四島問題と深く関わっている上に、安倍晋三が掲げている「地球儀を俯瞰する外交」に於ける重要な基礎の一つとしなければならないはずだ。

 また、「主権と領土の一体性」はこれも安倍晋三が掲げている「自由や民主主義、人権、法の支配」等の価値観に基づいた外交と表裏の関係にある。自他共に後者を守ることによって前者を守ることができる。前者は後者の尊重なくして成り立たない。

 いわば後者を無視することによって前者を損なうことが可能となる。

 安倍晋三がもし厳密に有言実行の人なら、外国の問題であっても、損なってはならない世界の原則として敏感に危機感を感じ取り、プーチン・ロシアに対してオバマ大統領やEU諸国首脳のように制裁の形で表すことになる強い阻止の意志が働いたはずだ。

 「NHK NEWS WEB」記事によると、3月16日にクリミアでロシアへの編入の是非を問う住民投票が実施されたことを受けて3月17日、オバマ大統領はロシア政府高官らの資産凍結と渡航禁止の第2弾目となる制裁発動に踏み切った。

 制裁対象はプーチンの補佐官ら側近やロシア議会上院の議長、ウクライナのヤヌコビッチ前大統領らを含む11人。

 そしてこれに歩調を合わせる形でEUが21人対象の制裁を発動。

 安倍政権はアメリカが第2段目の制裁発動を行った翌日の3月18日、査証(ビザ)発給要件緩和に関する協議停止の制裁と日ロ新投資協定等3つの協定締結交渉開始見合わせの措置を行った。

 アメリカとEUはそれぞれに対しても実害を与えない保証はない制裁発動に踏み切ったのに対して日本は日ロ双方に実害と言うことができる程の実害を与えないレベルの制裁にとどめた。

 いくら言葉で「主権と領土の一体性」を言おうと、それに対する危機感の差は歴然としている。

 3月19日の参院予算委員会でのロシアがウクライナ南部クリミア半島の編入を決めたことについての国会答弁。

 安倍晋三「ウクライナの統一性、主権および領土の一体性を侵害するものだ。(オランダ・ハーグでの3月24日先進7カ国(G7)首脳会合で)G7を含む各国と連携しながら、適切に対応したい」(時事ドットコム)――

 アメリカとEUの動きを様子見した、危機感がその程度の「ウクライナの統一性、主権および領土の一体性」となっている。

 オバマ米大統領は3月20日午前(日本時間3月21日未明)、第3弾目の追加制裁の動きに出た。《米、制裁対象に主要産業 ロシアは報復措置発動》日経電子版/2014/3/21 1:38)  

 オバマ米大統領がホワイトハウスで声明を読み上げ、ロシアがクリミア編入の既成事実化を進めた場合、ロシアの主要産業への制裁を可能にする大統領令に署名したと発表。

 制裁対象は一連の行動に関与したロシア政府高官ら20人と関連する銀行、さらにソチ・オリンピックに協力した一部のロシア企業の関係者。

 オバマ大統領声明「ウクライナでの違法な住民投票とクリミア編入について深く懸念している。新たな制裁で、ロシア経済だけでなく、世界経済も打撃を受ける恐れがある」――

 ロシアに対してだけではなく、アメリカやその他の国が実害を受けるかもしれない制裁であることを覚悟した危機感露わな「主権と領土の一体性」に向けた強い意志を示している。

 記事はこの20人の政府高官が、「その多くがプーチン大統領と関係が近い」と米ホワイトハウス高官の声を伝えている。

 ロシア外務省はオバマ大統領の声明発表の直後に9人の米政府高官や議員らのロシアへの渡航制限などの制裁措置の発動を公表。

 制裁合戦がエスカレートした場合、オバマ大統領が言っているように経済への打撃も当時国に限らない広がりを見せて大きくなる。それでもオバマ大統領は「主権と領土の一体性」を優先させる強い意志を見せた。

 安倍晋三の口では非難すれど、非難を形に表さない「主権と領土の一体性」と何と大きな違いだろうか。

 日本政府関係者「ロシアには数多くの日本企業が進出しており、仮に経済制裁などを行えば、日本の方が経済的な損失を被ることになる」(NHK NEWS WEB)――

 安倍晋三の頭の中では、自国の経済的利益や領土的利益のみを優先させた「主権と領土の一体性」が「地球儀を俯瞰する外交」の名に恥じない、あるいは「自由や民主主義、人権、法の支配」に基づいた価値観外交に即応した「主権と領土の一体性」となって収まっているに違いない。

 そうとでも解釈しないことには、このアメリカとEUの動きを様子見した対ロ外交の当たり障りなく遣り過そうとする及び腰は理解できないことになる。

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籾井勝人NHK会長の全理事に対する日付欄空白辞表提出強制は人格権の侵害であって、会長の資格はない

2014-03-20 10:05:28 | Weblog



 籾井勝人NHK会長を辞任に追い込むにはNHK会長としての資質も資格もないことを、本人がいら否定しようと世間に的確に知らしめることであるはずだが、3月19日(2014年)の参院予算委員会での徳永エリ民主党議員の籾井会長に対する辞職を迫る追及は肝心のことから離れたどうしょうもない、お粗末な追及でしかなかった。

 徳永エリの追及は要旨のみを記し、籾井会長と安倍晋三の答弁はそのまま伝える。

 徳永エリ「籾井会長の1月25日の(就任)記者会見からもう2カ月になろうとしています。いつまでもこの問題を引きずり続けるのでしょうか。もうそろそろご自身で決着をつけたほうがよろしいんじゃないでしょうか。如何でしょうか」

 辞めるつもりもない相手に糠に釘でしかない質問であることに気づいていない。

 籾井勝人「えー、私も一日も早く決着がつくといいと思っていますが、あー、そのオプションは私にはないと思っています」

 この答弁に対して、当然、いや、あなたはNHK会長の資格も資質もないんですよと、資格問題・資質問題として論理的な取り上げ方をしなければならないはずだが、論理的であることから遠く離れた情緒的な対応となっている。

 徳永エリ「ご自身で決着がつけられないということですか」

 籾井勝人「えー、本当に私個人としては、一日も早くこの問題を収拾できればと思っていますが、残念ながら、私自身が収拾するわけにはいかないわけでございます。ただ私自身、業務に全力を上げることに会長としての責務を果たし、公共放送の使命に基づいてよりよい放送とサービスを視聴者の皆さんにお届けしたいというふうに思っています。

 その結果がNHKの信頼回復につながるというふうに思っています」

 馬の耳に念仏とはこのことだろう。

 徳永エリ「もう収拾する方法は一つしかないと思っています。お辞め頂きたいと思います」

 辞めるつもりはさらさらない相手にただ単に「お辞め頂きたい」と迫るのは滑稽でしない。

 籾井勝人「えー、NHK会長の重みはしっかりと受け止め、放送法に基づいて公共放送の使命を果たしていくということで、会長としての責任を全うしてまいります」

 徳永エリ「お辞め頂きたいと失礼な言い方をしたのは国の未来を変えるような集団的自衛権の行使など議論がある中で報道が偏っては困るからだ。そこで安倍総理に伺うが、籾井会長はNHK会長としてふさわしいのか、会長を続けてもいいと考えているのか」

 安倍晋三「放送機関のトップの個別の発言についてですね、えー、また、そのトップが辞めるとかについてですね、政府としてコメントすべきではないとこのように考えております。会長は経営委員の規定によって適切に選任されているものでございます。

 NHKについてその信頼性をさらに向上させるよう、社会的信頼を担う公共放送についてですね、会長以下、役職委員が力を合わせて、自主・自立のもと豊かで良い放送番組による放送を期待しております」

 資格・資質についての具体的な追及ではないから、一般論で逃げられることになる。

 徳永エリ「記者会見以来、NHKに何件の苦情が寄せられているのか」

 籾井勝人「本日現在の数字については私は正確には持っていませんが、3万件を超える意見があると聞いております」

 徳永エリ「しっかりと把握して重く受け止めて貰いたい。約32700件寄せられていて、そのうち21100件が批判的な意見で、その中で受信料に言及した意見は何割かご存知か」

 辞めるつもりもない人間はそんなことは気にもしていない。蚊に刺された程の痛みも感じていないといったところだろう。

 籾井勝人「個々の数字につきましては色んな意見が混じっておりますので、そういうふうなキメの細かい数字は取っておりません」

 徳永エリ「NHKはちゃんと統計を取っている。受信料に言及した意見は全体の3割。年払いの解約の電話が殺到し、局内では不払い運動につながるのではないかとの懸念が広がっているという報道もある。このままでは受信料収入に大きな影響が出るのではないのか」

 籾井勝人「えー、お答え致します。やはりですね、こういう状態が続けば、もしかしてそういう影響があるかもしれませんが、私自身は、今後ですね、各地方を回りながら、私自身も営業に全力を尽くし、営業の人に任せるのみならず、努力を続けていいくつもりです」

 年払い解約の状態が続けば、“当然”影響が出るとするのではなく、「もしかして」影響が出ると他人事とすることのできる神経の持ち主である。

 徳永エリ「NHKの現場や受信料収納業務の職員はどんな思いをしているか。心が傷まないのか」

 心が傷まないから、NHK会長でございますと鎮座していられる。そういった人間に「心傷まないか」と尋ねる。

 籾井勝人「えー、お答え致します。受信料の収納については先程申しましたけど、私も含めて職員一丸となってやりますが、同時に職員の問題につきましては、私は、今は各現場を回っております。職員は一生懸命仕事をしてくれております。(ざわめきが起こり)いや、そのとおりでございます。

 まあ、中にはこういうことで志気が上がらないという人もいるかもしれませんが、えー、やっぱり職員全体としては一生懸命やって貰っていると思います。同時に私自身はですね、そういう心配をする職員がいることに対して非常に私自身も申し訳なく思っているわけでございます。本当に一生懸命やってくれておりますので、これから先、今から先、さらに頑張って参りたいというふうに思っております」

 職員が頑張っていることに主体を置いている。つまり志気に関しては影響なしとしている。

 徳永エリ「とても心が傷んでいるとは思えませんね。実はわたしは100人にアンケートを取った。12月8日の北海道釧路で女性国際デーの催しが開かれた公園と翌日の中標津酪農家の集まりで意見交換したときのアンケートで、会長は辞任すべきだと思うかの質問に87人が辞任すべきだと答えた。

 自由記述欄には『今回のことだけではなく、会長として失格』、『安倍さんのお友達人事で、安倍さんは信頼を失った』、『銀座のクラブのママに放り出された話は有名』等々。総理はアンケート結果についてどう思うか」

 安倍晋三「先程の世論調査風の数字の結果はですね、統計学的には何の意味もない、だろうと思います。後者(自由記載)については、徳永さんのいわば後援会みたいなところで聞いたんじゃないんですか。後援会の皆さんに集まって頂いたんでしょう。

 でも、私は全く私は意味がないんだろうと、このように思・・・・。(ヤジが起こる。)」

 午前は時間切れ。午後再開。

 徳永エリ「総理からこのアンケートは何の意味もないという発言があった。この問題は看過できない。私たちは選挙で国民に選ばれて、国民の負託を受けて国会で働いている。どんな形であれ、国民の声をしっかりと届けるのが私たちの国会議員の仕事であり、民主党の責任だと思っているので、今後しっかりとやらせて頂きます」

 TPP問題に移る。

 いくら国民の声を届けるのが国会議員の務めだからと言って、その声は合理的な妥当性を持たなければならない。

 徳永エリの追及は最初から最後まで合理性を欠いた情緒的追及で終わった。100人人アンケートで籾井会長は辞任すべきだと思うが87人の87%であるなら、NHKに寄せられた苦情が約32700件で、そのうちの批判的な意見21100件、約65%と比較した場合、意見聴取の場所や集まりの性格の影響は受けるが、一定程度相互反映する関係にあることから、最初にアンケートを取った女性国際デーの催しではより多く集まった女性の意見に偏っていたとしても、あるいは中標津の酪農家の集まりでは森永エリに近い立場の意見であったこしても、そのことをタップリと差し引いたとしても、NHKの批判的な意見約65%とより遥かに下の反応とすることはできないことになり、決して「統計学的には何の意味もない」と無視することはできないとより合理的に反論できなかったのだろうか。

 もしNHKの批判的な意見の約65%よりも遥かに下の数字だとしたなら、相互反映の関係を崩すことになり、NHKの批判的な意見自体を「統計学的には何の意味もない」とすることになり、いくら安倍晋三や籾井勝人が図々しい人間であったとしても、それはできないはずだ。

 各報道機関の世論調査にしても、一定程度の相互反映の形を取るから、各社とも似通った数字を取ることになる。

 籾井勝人に関しては問題としなければならないのはやはりNHK全理事に対して日付欄空白の辞表を強制的に書かせたことにあるはずだ。

 日付欄空白の強制的辞表堤出は、何かあったら辞職して貰いますよという辞職の可能性の提出者への伝達であろう。

 但しその何かとは放送法が決めている。

 NHKの会長の罷免権行使が許されるのは放送法第31条第3項各号のいずれかに該当するケースとしている放送法第54条の規定に基づくか、第55条に規定する、「副会長若しくは理事が職務執行の任にたえないと認めるとき、又は副会長若しくは理事に職務上の義務違反その他副会長若しくは理事たるに適しない非行があると認めるときは、経営営委員会の同意を得て」罷免行使が可能となる。

 第31条第3項各号は次のようになっている。

 一 禁錮以上の刑に処せられた者

 二 国家公務員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者

 三 国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であって非常勤のものを除く。)

 四 政党の役員(任命の日以前1年間においてこれに該当した者を含む。)

 五 放送用の送信機若しくは放送受信用の受信機の製造業者若しくは販売業者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを 問わずこれと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下この条において同じ。)若しくはその法人の議決権の10分の1以上を有する者(任命の日以前 1年間においてこれらに該当した者を含む。)

 六 放送事業者、第152条第2項に規定する有料放送管理事業者、第160条に規定する認定放送持株会社若しくは新聞社、通信社その他ニュース 若しくは情報の頒布を業とする事業者又はこれらの事業者が法人であるときはその役員若しくは職員若しくはその法人の議決権の10分の1以上を有する者

 七 前2号に掲げる事業者の団体の役員

 4 委員の任命については、5人以上が同一の政党に属する者となることとなってはならない。.(以上)

 放送法第54条が規定している第31条第3項各号に於ける能力・資質の不適格性は一の「禁錮以上の刑に処せられた者」と、「国家公務員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者」のみが該当して、後は身分の線引きの問題である。

 上記二つの不適格性は第55条が規定する職務執行に於ける能力不足や職務上の義務違反、役職に相応しくない非行等の不適格性と重なる。

 いわば資質・資格を不適格と看做す合理的理由の存在を前提として初めて「経営委員会の同意を得て」初めてNHK会長は理事等を罷免することが可能となる。

 だが、籾井勝人は不適格と看做す合理的理由の存在なしに、いわば合理的理由がまだ発生しないうちから、発生を前提としたことになり、さらに罷免は経営委員会の同意が必要でありながら、辞表を提出させたことを経営委員会員に伝えもせずに理事全員に対して日付欄空白の辞表を提出させた。

 このことについて2月26日(2014年)の当ブログ記事――《籾井会長の全理事に対する日付欄空白辞表提出強制の権威主義性も問題だが、理事全員提出の無条件従属も問題 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に次のように書いた。

 〈「NHKの経営委員会によって任命される会長は、理事を罷免する権限を持っているが、それは職務義務違反などがあった場合に限られる」と「FNN」 が解説している。

 ということは、籾井会長が理事全員に対して日付欄空白の辞表提出を強制したことは「職務義務違反」等の理事自身の不適格性を基準としない、慣例にはない提出の強制となる。

 もし「職務義務違反」 等の理事自身の今後現れるかもしれない不適格性を考えて堤出を強制したとしたら、確かに不祥事を起こしそうでない人間が不祥事を起こして考えられない不適格性を示すこともあるが、前以て不適格性が現れそうだと理事に採用しているわけではないから、今後現れ得る不適格性を考えての辞表堤出は人格・人柄を理由もなく、あるいは根拠もなく疑ったことになって、人権問題に発展する。

 当然、不祥事等の不適格性を基準 としない堤出の強制だったことになる。〉――

 このブログ記事を書いたときには触れなかったが、この人権問題とは個人の人格的利益を保護する人格権の侵害に当たるはずだ。

 現時点で資格・資質上何も不適格なことを侵したわけではないそれぞれの人格に対してNHK会長として放送法が規定する罷免可能範囲内の不適格性を想定した辞表を準備させたことになるからだ。

 まさしく人格権の侵害となるはずだ。部下に対して人格権の侵害を犯すような人間がNHK会長を務める資格はない。

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安倍晋三の、クリミア・ロシア編入に見る力による現状変更者プーチンとの信頼関係は倒錯性を帯びつつある

2014-03-19 05:03:19 | Weblog

 


      《生活の党PR》

      《3月14日 鈴木克昌代表代行・幹事長定例記者会見》
     
      『野党が一致して問題にあたらなければ、政府の思惑通りに進んでしまう』  
    
      【 質疑要旨 】  
      ・小松一郎法制局長官について  
      ・選挙制度改革について
      ・国民投票法改正案について
      ・他党との統一会派について   

 プーチン・ロシアが軍事的制圧下に置いたウクライナのクリミア自治共和国で3月16日ロシアへの編入を問う住民投票が行われ、96.77パーセントの賛成という結果となった。この結果を受けて、プーチンは3月18日、クリミア自治共和国のロシアへの編入を表明、編入の条約にも調印したとマスコミが伝えている。

 ウクライナ憲法は領土問題はウクライナ全土での国民投票で決めると規定しているという。それをプーチンは自分自身はクリミア編入は考えていないが、「クリミアの将来は住民自身の決定による」と、あくまでもクリミア国民の意思だとしていたのはロシア系住民が人口の60%以上を占める数的優勢を背景に賛成多数の結果を予測し得ていたからだろう、編入は最初からのシナリオということになって、それを完結させたといったところである。

 住民投票の形を取っているが、全土での国民投票を規定しているウクライナ憲法に則っていないことと軍事的制圧下の住民投票である以上、「力による現状変更」以外の何ものでもない。

 安倍晋三は尖閣諸島の領有権を念頭に中国が自国領土だと主張して尖閣諸島周辺の日本領海を公船を用いて侵犯する行為を「力による現状変更の試み」だと批判しているが、プーチンがクリミアで見せた「力による現状変更の試み」を国際社会が無力なままに既定事実化させた場合、中国の尖閣諸島に対する「力による現状変更の試み」に一定の正当性を与えることになることは誰の目にも明らかなことであるはずだ。

 いわば中国が国際社会の無力と既定事実化を当てにして「力による現状変更の試み」に打って出ない保証はなくなる。

 また安倍政権がプーチンのクリミアに対する「力による現状変更の試み」に北方四島問題やロシアとの経済関係を優先させて特別な危機感を持たない態度に終始した場合、中国の尖閣諸島への「力による現状変更の試み」に対しても特別な危機感を訴える資格を失うことになる。

 外国の問題については危機感を持たないが、自国の問題となると、危機感を持たないわけにはいかないではご都合主義に過ぎる。

 尤も安倍晋三は内政に於いても外交に於いても「基本的人権や民主主義、法の支配」等の価値観を尊重する積極的平和主義を掲げながら、外国の人権問題については何ら批判の声を挙げないご都合主義を常態としていて、内政と外交を使い分ける名人ではある。

 プーチンが外国の領土と住民に対して力による現状変更者であると分かった今、安倍晋三とプーチンとの信頼関係は倒錯性を帯びることになる。この倒錯性を無視して信頼関係のなお一層の構築に努めるとしたら、領土に対する「力による現状変更の試み」が外国のケースの場合は問題視しないというご都合主義をより鮮明にすることになる。

 日本政府はプーチンがクリミアのロシアへの編入を決めたことでやっと制裁の動きに出た。だが、その制裁措置はビザ発行手続き簡略化協議や開始予定の投資協定締結交渉の凍結程度であって、プーチンとの信頼関係の維持の範囲内の及び腰の制裁措置となっている。

 領土問題は信頼関係に基づいてではなく、あくまでもビジネスライクに行うべきだろう。

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北朝鮮が拉致被害者家族会横田夫妻に孫娘とその子を会わせたのはめぐみさん一家の北朝鮮化のサインか

2014-03-18 05:20:11 | Weblog

 

 北朝鮮に娘めぐみさんを拉致された横田夫妻が3月10日から14日の日程でモンゴル首都・ウランバートルを訪れ、孫娘ウンギョン(以前はヘギョンと名乗っていた)さんと面会したという。

 これは北朝鮮からのどのようなサインなのだろうか。いくつかの記事から、探ってみる。

 《【横田さん孫面会】関係改善急ぐ北政府、拉致解決の本気度見極め》MSN産経/2014.3.16 22:42)
 
 孫娘ヘギョンさんはウンギョンに名前が変わっている。これも何かのサインが含まれているのだろうか。
 
 記事は冒頭で、〈日本政府は、北朝鮮が横田めぐみさんの娘、キム・ウンギョンさんを第三国に連れ出す形でめぐみさんの両親の滋さん、早紀江さん夫妻との面会に同意したことを、日本との関係改善を急ぐ動きと受け止めている。〉と解説している。

 政府は北朝鮮の関係改善を欲しているサインだと解析していることになる。

 北朝鮮はこれまで横田夫妻に対して北朝鮮に渡航するよう求めてきたが、日本側が拒否。理由は、

 日本政府関係者「北朝鮮でウンギョンさんと会えば、めぐみさんの死を受け入れたことになり、拉致事件の幕引きに利用されかねない」――

 「NHK NEWS WEB」記事によると、横田滋さん自身が北朝鮮で面会するのを警戒していたことになっている。

 横田滋さん「監視下に置かれた状況では本当のことを話せるわけもなく、北朝鮮当局は再びウンギョンさんに『母親は死んだ』と、同じことを言わせようとするはずだ」

 このような解釈だと、モンゴルでは北朝鮮の監視が解かれた状況となるということになるが、誰かを人質に取っていれば、監視は遠隔操作が可能となるし、付き添いの形で行動を共にし、横田夫妻の面会にも同席した北朝鮮当局者自身が監視者の役目を負っているはずだから、監視はどこであろうと付き纏わせることができる。

 尤も横田夫妻は百も承知の上で、自分たちの年齢を考えて面会に応じたのだろう。

 但し北朝鮮側はめぐみさんの死去に改めて言及したと記事は伝えている。

 政府関係者「新たな拉致被害者の帰国につながるのかは、より慎重に見極めなければならない」

 安倍晋三がかねがね言っている、金正恩に対して「拉致解決という大きな決断をしようという方向に促していく必要がある。そのためにはやっぱり圧力しかない」が未だ効果を上げていないことになる。

 別の「MSN産経」記事が北朝鮮側の従来の死亡の主張を受ける形でのウンギョンさんの発言を伝えている。

 ウンギョンさん「私が言っていることは本当です。信じてください」――

 2002年の北朝鮮が拉致を認めた日朝首脳会談のあとの日本政府調査団に対する彼女の発言。

 ウンギョンさん「母親は自分が幼稚園のときに亡くなった」(NHK NEWS WEB

 「母は私が幼稚園のときに亡くなったと言ったことは本当のことです。信じてください」ということになる。

 今回の面会について重村智計(としみつ)・早稲田大教授(68)と李英和(リ・ヨン ファ)・関西大教授(59)の発言を「MSN産経」が別々の記事で伝えている。

 重村智計教授「今回の面会は、北朝鮮が中国との関係悪化で追い詰められ、日本との関係改善に乗り出さないと国が崩壊する、と生き残りをかけ歩み寄った結果だろ う。本気度は、1月のベトナムでの日朝極秘会談に、朝鮮労働党直属機関で権力のある『国家安全保衛部』当局者が出席したことからも読み取れる。拉致問題解決へ展望が開ける可能性も出てきた。日本政府は、今後も核やミサイル問題も含めた米国との協調を崩さず、関係改善は北朝鮮側の姿勢にかかっている、という強い態度が必要だ」――

 この解説だと安倍政権の圧力が功を奏しているように見える。但し拉致解決を交換条件とした関係改善につながるかどうかにかかっているが、めぐみさんの娘のウンギョンさんに再びめぐみさんの死を言わせたところを見ると、その死が事実か、事実ではなく生存しているとしても、死を事実と見せかけて、めぐみさん以外の拉致被害者の解決で以って日朝関係改善に持っていく思惑を窺い取ることができないでもない。

 李英和教授「北朝鮮としては、関係が悪化した中国に石油や食糧の輸出を早く再開してもらうため 『だったら日本と仲良くするよ』という挑発姿勢を見せる戦略の一つで、残念ながら拉致問題を全面解決する決断までしたものではないだろう。めぐみさん問題の進展につながる話題までは出ていないのではないか。 ただ、1年以上途絶えている政府間正式協議が再開されれば、 拉致解決の糸口となる。日本政府は今回の面会は外交駆け引きの結果だと理解しつつも、このチャンスを生かしてほしい」――

 政府間正式協議再開を条件に拉致解決の可能性を言っているが、それがめぐさんまでを含めた解決可能性なのかの言及はない。

 横田夫妻との面会ではウンギョンさんの夫とされる男性と娘と見られる生後まもない女の赤ちゃんが同席していたことが関係者への取材で分かったと「NHK NEWS WEB」記事伝えていた。

 2002年の小泉訪朝時には15歳の中学生だったウンギョンさんが現在26歳になっていて、結婚して子どもを設けた。めぐみさんの子どもとして生まれて、北朝鮮の生活者として26年の歳月かそこらを重ねて結婚し、母親と同じように自分も子どもを持った。

 そこに日本の生活を送ってきたのではない、北朝鮮の生活を送ってきた消すことのできない確固とした痕跡を見ることができる。北朝鮮側は夫と生後間もない女の子を同席させることで、北朝鮮での生活の歴史を見せようとしたのではないだろうか。

 日本という国や日本人であることはもう関係はない。北朝鮮という国で北朝鮮人として生き、生活しているという歴史の突きつけ――北朝鮮化のサインを突きつけたのではないだろうか。

 この解釈が間違っていないとしたら、横田めぐみさんは生存していたとしても、北朝鮮側は死を事実とする態度を変えることはないように思える。当然、拉致問題の解決があったとしても、めぐみさん抜きの解決となる恐れが出てくる。

 めぐみさん抜きの最悪の解決となったとしても、生存さえしていたなら、めぐみさん一家の北朝鮮での生活までが消え去るわけではない。生き、生存していることを信じるしかない。

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安倍晋三と新藤義孝の3月12日参院予算委、長谷川三千子憲法観擁護の小賢しき頭の悪さ

2014-03-17 05:56:18 | Weblog



 公共放送・外交安保をテーマとした3月12日予算委員会集中審議。

 小西洋之「長谷川三千子さんをNHK経営委員に任命された、その理由をご答弁ください」

 安倍晋三「放送法上ですね、経営委員の選任に当たりまして、公共の福祉に関し、公正な判 断をすることができ、広い経験と知識を擁する者のうちから、教育・文化・科学・産業といった分野等を考慮して、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとなっています。

 現在経営委員の方々は、そのよう手続きに従って、適切に専任されているものと認識しております。なお、長谷川氏につきましては、我が国の思想・哲学のあり方を探求した著作活動を行い、著名な哲学者・評論家としても活躍をしており、文化等の分野についてですね、広い経験と知識を有していることから、専任されたと認識しているところでございます。

 長谷川三千子氏は昭和61年に発表した『からごごろ―日本精神の逆説』を中心に言語を主体として我が国の思想や哲学のあり方を探求し、えー、平成8年に発表した『バベルの謎―ヤハウィストの冒険』 、えー、に於いてですね、文化賞を受賞するなど、その著作は高い評価を受けているところでございます。

 我が国を代表する哲学者・評論家として、えー、えー、活躍しているわけでございまして、えー、このような観点からですね、公共放送の、公共放送機関の構成委員として、その手腕が発揮されることが期待されるためですね、えー、日本放送協会経営委員として同氏を任命したところでございます」

 小西洋之「総理、答弁が非常に長くございます。

    (一部省略)

 今の総理の答弁は国民の皆様に対して大きなゴマカシがございます。適切に専任されたと認識しているとおっしゃっていますけども、法律上、この経営委員を任命しているのは安倍総理、ただ一人でございます。

 放送法の任命権者はこの日本でただ一人、安倍総理が全責任を持って任命しているんでございます。国会は同意権を持っていますけどんも、任命権は持っておりません。国民の皆さんをゴマカさないようにお願いします。

 今、安倍総理は我が国を代表する評論家、哲学者であるとした上で長谷川三千子氏を任命した言っておりますけども、その長谷川三千子氏、実は驚くような発言を色々な所で発言をされております。調べさせて頂きましたが、パネルをご覧頂けますでしょうか。


 長谷川三千子氏発言

 「日本国憲法は全くめちゃくちゃな憲法なのです」2011年4月20日産経新聞社刊

 「日本国憲法というものが日本の近代史に於ける最大の汚点であることをはっきりと見つめ、 そこに盛り込まれた民主主義イデオロギーの虚構をあばき、われわれの『建国ノ体」にもとづく憲法をしっかりと作り直すこと――地味なようでも、これ以外の正道はないだろうと思っています。

 長谷川三千子他『激論 日本の民主主義に将来はあるか』(岡崎久彦との対談)など著書で主張しており、また、「大日本国憲法は改正する必要がなかった。むしろ、GHQは大日本国憲法よりも劣るアメリカ合衆国憲法を改正するべきだった」などの主張を行っている。

 小西洋之 「『日本国憲法は全くメチャクチャな憲法なんです』

 これは昨年4月の産経新聞長官への投稿でございます。

 『日本国憲法というものが、日本の近代史に於ける最大の汚点である』

 これは近年、2012年の著書であります。長谷川三千子さんのご著書であり、私は長谷川三千子さんの著書を、今総理がおっしゃったことを含 め、国会図書館から10冊あまり集めました。10冊以上集まりま したけども、全部目を通させていただきました。

 こういう方がこの世にいらっしゃるんだということは私は驚きま した。 どのような思想の持ち主がいらっしゃったとしても、それは構いません。思想・信条の自由がございますから。

 しかし国民の皆様の受信によって支えられている公共.

この長谷川三千子さん、実はですね、日本国憲法の3大原則の一つである国民主権を全く間違った思想だと、色んな著書でおしゃっています。だ か ら、メチャクチャな憲法だそうです」

 次のパネルを掲げる。 

 長谷川三千子氏の主張

 三 大日本国憲法の性格・・・・帝国憲法における国民の自由の保障が少なくともアメリカの憲法におけるのと大差ない水準のものであった。

 四 改正の必要がなかった大日本帝国憲法

 「第二十九条 日本臣民ハ法律ノ範圍内ニ於テ言論著作印行集會及結社ノ自由ヲ有ス」

 ・・・・帝国憲法の自由の保障は不十分であり、改正の必要があると言ふならば、占領者たちは自国の憲法の方をまづ改正する必要がある。・・・・・

 ・・・・合衆国は『言論の自由」については、それを間接的に保障するお粗末な一条があるにすぎない。

 ・・・・合衆国憲法修正第4条・五条・・・・と、帝国憲法の第二十二条から第二十七条までを比べてみても、・・・・帝国憲法の人権規定は少しも見劣りするものではない。

 小西議員「日本国憲法が近代最大の汚点とおっしゃるけれども、天皇を中心として建国ノ体に基づく憲法を作りますともおっしゃっておるます。

 また、別の発言もなさっております。『改正する必要がなかった大日本帝国憲法』

 大日本帝国憲法が改正する必要がなかった。しかもその理由が凄いでございます。合衆国憲法よりも、アメリカ合衆国憲法よりも、大日本帝国憲法は 人権保障の意味に於いて水準が高かったんだと。

 占領軍のGHQの方々は日本に大日本帝国憲法を改正する、これはポツダム宣言の要求でもございますけども、それを要求するくらいだったら、 自分たちの国の憲法を変えろ。

 しかも戦前NHKも苦しみました。苛烈な治安維持法を始めとする法律のもとで苛烈な言論弾圧を加えたあの大日本帝国憲法第29条。『法律の範囲内において言論の自由を有す』

 法律さえ定めれば、何でもできる。そうした憲法をそれを変えなくていい。そしてアメリカ合衆国憲法を、立憲主義に基づく近代憲法の魁(さきがけ)の憲法でございます。今は世界でも随一の言論・報道の自由を保障した憲法でございます。この条件でも、劣るものがあると言っているわけであります。

 安倍総理に伺わせていただきます。要するに長谷川三千子さんという、あなたが任命したNHKの経営委員は日本国憲法を近代史の最大の汚点であると。つまり日本国憲法を否定し、大日本帝国憲法を肯定し、しかも合衆国憲法を否定しているわけでございます。

 今の資料、既にアメリカ大使館の方に提供させて頂いております。あなたの答弁はアメリカ政府、アメリカ国民も見ております。先程おっしゃったように日本を代表する評論家・哲学者、合衆国憲法を否定する方はそういう方なのか。

 そして放送法上の経営委員の任命要件。こういう方が公共放送について公正な判断ができる方なんですか。明確にご答弁ください」

 安倍晋三ではなく、新藤義孝総務相が手を上げて、委員長から指名を受けたため、一悶着。

 新藤義孝「いいですね、これ事実確認したいと思います。事実の確認をしたいから、聞 いてください。先ず大西・・・・。小西さんだっけ?小西さんがですね、あなた、自分の説ばっか言わないで、人の話もちゃんと聞いた方がいいと思いますよ。ね、いいですか。

 先ず、(小西)委員が引用した『この日本国憲法はメチャクチャな憲法なのです』と。これは全部理解しなければいけないと思うんです。『それは国家が一切の力を放棄するという日本国憲法の平和主義は国家主権の放棄であり、そこでは国民主権が成り立たないどころか、近代憲法自体が成り立ちません。国民の基本的人権も守ることも不可能になります』 と。
 
 だから、『基本的人権を守るためには、この憲法はまだ物足りないんではないか』ということを主張しているのであって、基本的人権を大切だって言ってるんで す。

 それから国民主権を否定しているというのは、それは元々から言うと、『フランス革命に於いて王様を殺して国民が権力を奪うのは正義だという思想に基づく問題のある政治原理なのではないか』と。だから、こういうことに関しては『国民主権は成立しないのではないか』。だから、『基本的人権は大切だ』と、こういうことをおっしゃってるわけなんです。

 それで先程総理がですね、全責任を持ってとおっしゃいましたが、総理が任命する際には国会の同意を経ているわけであります。これ民主主義の最大のルールを持ってやっているわけでありまして、それをですね、適正ではないと言われると、私は法律・制度をきちんと理解して頂きたいと、私はこういうふうに思っているわけであります」

 安倍晋三「ただ今小西委員が質問の中でですね、『こんな人が存在することは信じられない』、私は驚いて今、委員の言葉を聞きました。自分の決めてかかる考え方と違う人の存在を許さない。そういう考え方は私はびっくりしたわけでございます。様々な考え方の人たちが、この世の中に存在するわけでありまして、当然、私と違う考え方方もおられる。しかし私は、そんな人が存在するとは思わないなどということは、露程も思いません。

 そう思うべきではないと思っているから、であります。つまり、そのような、そういう自分と考え方の違う存在は許さない。そうした狭量な考え方自体、私は極めて問題であろうと、極めて危険なものを感じていると言わざるを得ないわけでございます。

 その上に於きまして、その上に於きまして、いいですか、よろしいですか。その上に於きまして、例えば長谷川委員からのですね、これ説明でございますが、えー、それは経営委員の議事録にございます。

 『NHKが真の意味の公共放送としての役割を果たすことができるようにお手伝いするための基本姿勢は常に根本のところから考えるということ。常に根本から物事を考え、是々非々判断をし、その論理に於いて常に反対意見にも耳を傾け、本当の議論を心がけたい。これが研究・執筆活動に於ける基本姿勢だが、その結果として殆どの場合、私の辿り着 先は常識的見解と一致しない。

 しかしむしろそのような常識を疑って見る目というものが公正・中立を旨とするNHK経営委員のお役に立つと信じ、放送にも経営にも全く素人である私がNHK経営委員会の委員をお引き受けをしました』

 このように述べているわけでありまして、小西さんは自分と考えの違う存在は信じられないわけでありますが、長谷川さんには予めそういう人もいる。しかし、自分の考えをそん中で述べてみることにも意味があるではないかと、いうことを述べられているわけであります。

 繰返しになりますが、小西さんは自分の考え方と違う人がこの世に存在することに驚いたと言ったわけでありました。私は小西さんその発言に大変驚 いたわけであります」

 してやったりと思ったのか、自身の能力を信じる人の善さそうな笑みを浮かべる。

 小西議員は、「違う考えを持つ存在を許さないといったわけではない。どのような思想の持ち主がいらっしゃったとしても、思想・信条の自由が ございますからと既に断っている」といったことを言って反論したが、最後まで追及し切れなかったことと、新藤義孝と安倍晋三の小賢しさ加減を証明するにはここで紹介するそれぞれの発言だけ十分ゆえに、後は省略する。

 それにしても、小西議員は長谷川三千子の書物を国会図書館から10冊以上借りてきて読み通したとか、安倍総理の答弁はアメリカ政府とアメリ カ国民が見ておりますなどと余分なことを言い過ぎる。

 問題は読んだ情報から如何に的確な追及の言葉を紡ぎ出すことができるかどうかであって、できなければアメリカ政府とアメリカ国民が如何に注視していようと意味を成さない。

 長谷川三千子がどのような言葉を使って具体的にアメリカ合衆国憲法が「大日本国憲法よりも劣る」と解釈したのか、「帝国憲法における国民の自由の保障が少なくともアメリカの憲法におけるのと大差ない水準のものであった」と結論づけたのかは知らないし、知ろうとも思わない。

 憲法が描く国家・国民と社会の現状としてある国家・国民との関係は憲法が描く国家・国民をカガミとして社会の現状としてある国家・国民を映し出す関係にあるはずである。

 その逆では決してない。いわば社会の現状としてある国家・国民の姿が憲法が描く国家・国民の姿の実際を物語ることになる。

 憲法がどのような美しい言葉を連ねて基本的人権の保障を謳おうと、あるいは逆に素っ気ない短い言葉を記すだけであったとしても、社会の現状としてある基本的人権の質・程度を見れば、憲法が描く基本的人権の保障の実際を知ることができるということである。

 小西洋之議員によると、長谷川三千子は帝国憲法の第二十二条から第二十七条までが描く人権規定は合衆国人権規定と「少しも見劣りするものではない」と言っているそうだが、それが事実かどうかはアメリカ社会の現状としてある国家・国民の姿と戦前の日本社会の現状としてあった国家・国民の姿を比較すれば判定がつくことになる。

 日本の明治時代から敗戦までの社会の現状としてあった基本的人権の保障の状況から現実としての国家と国民の姿を見通して、大日本国憲法の人権規定が の程度のものであったかを見てみる。

 「大日本帝国憲法」 は明治22 年(1889年)発布、翌年の明治23年(1890年)発効となっている。明治半ばのかなり遅い時期である。

 だが、出版物を検閲し、その取締まりを目的として言論統制を謀ることになった「出版条例」は明治2年(1869年)5月に行政官達として布告された。いわば明治の国家権力は社会・国民の取締まりから入ったのである。社会・国民の取締まりありきで明治という時代を出発させたと言うことができる。

 そして明治22年(1889年)の「大日本帝国憲法」の発布である。

 長谷川三千子が合衆国憲法と人権規定の点で劣らない根拠と して上げている帝国憲法の第二十二条から第二十七条までを見てみる。

 第 二十二條 日本臣民ハ法律ノ範圍内ニ於テ居住及移轉ノ自由ヲ有ス

 第 二十三條 日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問處罰ヲ受クルコトナシ

 第 二十四條 日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ權ヲ奪ハルルコトナシ

 第二十五條 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク 外其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ及搜索セラルルコトナシ

 第 二十六條 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ祕密ヲ侵サルルコトナシ

 第 二十七條 日本臣民ハ其ノ所有權ヲ侵サルルコトナシ

 いずれも国家権力が制定する一般法の規定内の人権の保障となっている。と言うことは、国家権力次第の人権の保障となる。

 なぜ長谷川三千子が「第二十八條」と「第二十九條」を抜かしたのか、あるいは抜かしていなかったのかは分からない。

 第二十八條 日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス

 第二十九條 日本臣民ハ法律ノ範圍内ニ於テ言論著作印行集會及結社ノ自由ヲ有ス

 いずれの基本的人権上の「自由」にしても、国家権力が規定する「安寧の秩序」、あるいは国家権力が制定・規定する「法律」の範囲内のものとなっている。

 その「安寧の秩序」や「法律」に当たるのが、そのハシリとしてある「出版条例」であった。

 アメリカ合衆国憲法「修正第1条 連邦議会は、国教の樹立をもたらす法律、もしくは自由な宗教活動を禁止する法律、あるいは言論または出版の自由、平和的に集会し、苦情の救済を求めて政府に請願する人民の権利を縮減する法律を制定してはならない」(1791年)となっていて、大日本帝国憲法とは逆に基本的人権の自由を規制する如何なる法律の制定も禁止している。

 そして明治22年(1889年)の「大日本帝国憲法」発布から4年後の、明治26年(1893年)に「出版条例」を引き継いで、「出版法」が公布された。検閲を通して、一段と言論統制が強化されたという。 

 さらに明治42年(1909年)になって新聞を検閲し取り締まる言論統制としての「新聞紙法」が公布された。

 このような検閲・言論統制の頂点として、大正14年(1925年)の「治安維持法」がある。無政府主義者や共産主義者の活動に対する安寧秩序維持のための特別刑罰法規だということだが、宗教団体や、右翼活動、自由主義等、政府批判はすべて弾圧の対象となっていったとう。

 この弾圧は当然、言論の自由、思想・信条の自由に対する抑圧、あるいは統制を含む。

 大日本帝国憲法は自らが描いている国家・国民をカガミとしてこのような社会の現状――国家・国民を映し出していた。弾圧する国家権力と弾圧される国民の姿である。

 国家権力による言論の自由や思想・信条の自由等の基本的人権の保障に関わる自由に対する抑圧・統制と、それを受ける国民の姿・社会の姿である。

 当然、大日本帝国憲法の規定・文言をどう読もうと、どう解釈しようと、社会の現状としてある国家・国民の姿をカガミとすれば、そこに大日本帝国憲法の人権規定に関わる実際の姿を映し出すことができる。

 では、次に新藤義孝の答弁と安倍晋三の答弁の妥当性を見てみる。

 新藤義孝は長谷川三千子が言う「国家が一切の力を放棄するという日本国憲法の平和主義は国家主権の放棄であり、そこでは国民主権が成り立たないどころか、近代憲法自体が成り立ちません。国民の基本的人権も守ることも不可能になります」の主張を支持しているが、確かに日本国憲法は「戦争の放棄」を謳っているが、外交と経済活動まで放棄したわけではない。国民主権に基づいて国家(主権・領土・国民)を外交と経済力で守る責任を国家と国民は負った。

 当然、日本国憲法の平和主義が直ちに国家主権の放棄に当たるわけではないし、国民主権の不成立に直結するわけではない。長谷川三千子がもし「大日本国憲法は改正する必要がなかった」と主張しているとしたら、新藤が長谷川三千子の主張を代弁して、「基本的人権を大切だって言ってるんです」は大日本国憲法下の社会の現状としてあった基本的人権の否定的状況を見た場合、虚偽の言葉と化す。

 あるいは「基本的人権を守るためには、この憲法はまだ物足りないんではないか」が外国に武力的支配を受けた場合の基本的人権の侵害を言っているのだとしたら、それは別の問題である。国民の基本的人権の保障は現憲法で十分であるし、21世紀の今日、他国侵略は世界が容易には許さない状況にある。

 もし許す状況にあったなら、中国は尖閣諸島をとっくに侵略し、実効支配していただろう。

 他国侵略を世界が容易には許さない状況を守り通すためにも、安倍晋三はそれを崩す懸念があるロシアのクリミア軍事的制圧に対して高い代償がつくことを知らしめるために制裁をも手段とした厳しい態度を示すべきだが、そのような大局よりも北方四島問題を優先させて、口で平和的解決を言うだけとなっている。

 新藤義孝は自らの解釈もなしに単に長谷川三千子の主張の小賢しいだけの受け売りをしているに過ぎない。そして長谷川三千子は大日本帝国憲法制定下の社会の現状としてあった基本的人権の状況を見ずして、条文だけを見てその人権規定の程度を解釈しただけと看做さざるを得ない。

 安倍晋三は得々と小賢しげに小西議員が「自分の決めてかかる考え方と違う人の存在を許さない」姿勢を取っているかのように発言しているが、小西議員は「どのような思想の持ち主がいらっしゃったとしても、それは構いません。思想・信条の自由がございますから」との条件付きのもと、「こういう方がこの世にいらっしゃるんだということは私は驚きました」と単に極めて特異な考え方の持ち主――そのような存在に驚いたに過ぎない。

 そして、既に触れたが、「こういう方が公共放送について公正な判断ができる方なんですか」とNHK経営員としての資質を問い質したに過ぎない。

 それを安倍晋三は「自分と考え方の違う存在は許さない」と勝手に決めつけて、「そうした狭量な考え方 自体、私は極めて問題であろうと、極めて危険なものを感じている」と頭がどうにかなっているのではないかと疑いたくなる批判を展開し、そうでありながら、、最初の「自分の決めてかかる考え方と違う人の存在を許さない」とした決めつけをどこかに置き忘れて、「繰返しになりますが、小西さんは自分の考え方と違う人がこの世に存在することに驚いたと言ったわけでありました」と、今度は正確に「驚いた」こととして取り上げたものの、それが単に極めて特異な考え方の持ち主――そのような存在に驚いたに過ぎないことだと合理的に判断する力を持たずに、「私は小西さんその発言に大変驚いたわけであります」と、見当違いな小賢しいばかりの驚きの表明で締めくくった。

 この小賢しいだけの頭の悪さ――判断能力の欠如はこの男の特徴でもあるが、自分では有能な雄弁家だと思っているから始末に負えない。

 長谷川三千子は確かに立派な哲学書や評論を書くかもしれないが、それは言葉を紡ぎ出す能力に負った成果であって、決して国家・社会の現状から汲み出した能力からの成果であるようには見えない。

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安倍晋三東日本震災3周年記者会見で言った被災地の「縦割りを排した現場主義」は機能していなかった

2014-03-16 06:50:27 | Weblog



 3月10日のあさひテレビ『たけしのTVタックル』は、「震災3年・・被災地の声を聞け! 安倍政権に怒りの直談判SP」と題して、復旧・復興に名を借りたムダな公共事業が行われているとの批判を繰り広げていた。

 私は確かにムダはあるだろうが、そこにタテ割り行政を見た。

 但し安倍晋三は3月10に行った震災3周年を迎えるに当たっての記者会見でタテ割り否定している。

 安倍晋三「総理に就任以来、13回にわたり被災地を視察いたしました。昨年春ごろはあちこちで用地確保が難しいという切実な声がありました。特に、いつ、何戸の住宅が再建されるかの見通しも全く立っていませんでした。

 こうした中、安倍内閣におきましては、省庁の縦割りを排しながら現場主義を徹底し、政府一丸となって加速化に全力をあげました。被災地 の抱える課題は制度面、執行面、多岐にわたります。現場主義で用地取得手続の迅速化、そして自治体へのマンパワー支援などきめ細やかに対応してまいりました」――

 全て過去形となっていて、現時点までの責任を果たしたと言い切っている。

 果たして言っているように「省庁の縦割りを排した現場主義」は徹底されたのだろうか。

 番組からはブログ記事に必要な箇所のみを抜き出して、簡略に見てみる。

 復旧・復興に名を借りたムダな公共事業の例として、いくつかの公共事業を挙げている。

 1.宮城県気仙沼市小泉地区の3枚の防潮堤

 一番内陸側の防潮堤は住民を守るためを目的として建設、中間の防潮堤は国道を守るためが目的、海側沿岸部の防潮堤は農地を守るため。

 だが、小泉地区の住民は全て高台移転を決めていて、無人化するから、ムダな復旧事業だとしている。

 2.宮城県松島湾に浮かぶ無人島に防潮堤

 20億円の防潮堤建設予算。

 無人島の近くの男性住民「ホンネで言えば、目の前の復興が進んでいない中で、日々の生活を精一杯頑張っている中で、誰も使っていない無人島に20億もかけて直すというのは腹立たしい限りですよ。我々弱者を愚弄しているような、こんなふうに受け止めました」

 解説「住民の反対を受けて、県は見直しを含めて検討中」

 番組出演の臼井壯太朗宮城県気仙沼市遠洋漁業会社社長の発言。

 臼井壯太朗社長「最初にやって貰いたいのは先ずは防潮堤ではなくて、生活の再建と産業の復興なんです。防潮堤建設に住民が合意しないと後の街はつくらないという感じになっている。街づくり自体が人質になっていて、そんなに大きな防潮堤は必要ないし、(建設に)合意したくないが、それをしないと街が前に進まないというので、内陸部に済む方々は早く防潮堤を造ってくれという人もいるし、それをわざと狙ってやっているのか・・・・」

 3.宮城県石巻市大川地区農地復旧事業

 約413ヘクタールの大川地区農地が津波に呑み込まれて、現在も巨大な塩水湖化している。

 復興交付金17億1300万円+農地等災害復旧事業費95億7600万円――合計112億8900万円の事業費。

 地元男性農業者「私たちは工事を望んでいない。専業農家は殆どいない。殆どが兼業農家で、収入の大半は農業以外での収入。{農業機械など)全部流された。新しく設備を整えてやると言ったら、誰も復旧されても困るという考えが殆ど。

 だったら、メガソーラ、風力発電でもいいし、総合飛行訓練場でもいいじゃないですか」

 大川地区農家533戸(1997年時点)
 専業農家26戸
 兼業農家507戸

 前出の男性。

 地元男性農業者「正直、こうした海と化した所にどんなにいい土を盛ったとしても、その下が砂浜の土ですから、いい作物を採れるまで何百年もかかると思う。育たないですね。例え農地が復旧したとしても、農業をやる気はない。ですから、(国が農地を)買って頂けるんでしたら、売りたいというのが現状です」

 解説「再び農業をするのはリスクが高い。殆どの農家の方が耕す気がないという大川地区の農民。国が誰のために何のために113億円というおカネをかけ、農地を復旧させようとしているのか」
 
 自民党衆議院議員・前復興副大臣・東日本大震災復興特別委員長。

 秋葉賢也「ここ(大川地区)は被災直後のアンケートで9割の人が続けたい、自作したい、誰かに委託したいと、受託生産して欲しいというのが一番多くて、75%。県がやったアンケートでそういう報告が私たちの所に来ているんですよ。殆どの人が受託生産したいということで。

 これは発災(平成)23年の6月に県がやったアンケートで、受託生産で続けて欲しいんだという声が県に届いている」

<align="center"<p>調査票

 水田として利用する場合

 水田として利用する場合の取り組みについて該当するものを◯で囲んでください。

 1.自作する   16人
 2.担い手、認定農業者に委託 86人
 3.その他 12人

 ・組合で運営 ・法人組織 ・復旧が早ければ自作する ・共同など 
 ・国の買い上げ 

 計114人

 番組はこの割合をパーセントで表している。

 自作する14%
 担い手に委託する75%
 その他11%
 
 解説「自作する14%と担い手に委託する75%合わせて90%が農地の復興に前向きとされた。

 県が地権者の要望があったとして、復旧工事を進めている」

  宮城県石巻市大川地区復興協議会事務局長。

 濱畑幹夫「調査票来たのは分かっていた。私が聞くと皆んな売りたいと言っている」

 ビートたけし「土をかぶして農作物ができるかどうかのテストぐらいすべきではないか」

 地元男性農業者が「正直、こうした海と化した所にどんなにいい土を盛ったとしても、その下が砂浜の土ですから、いい作物を採れるまで何百年もかかると思う。育たないですね」と言っていることも、ビートたけしの発言も、その言葉の証拠能力は浅瀬に土を盛って農地とした諫早湾干拓事業が否定することになる。

 全員が高台移転を決めていて、無人化する小泉地区にしても、農地として復旧した場合、通いで農業ができることになるから、一概にムダな公共事業だとは言えない。

 問題の一つは石巻市の大川地区農家に対するアンケート調査が彼らの運命が急変して、今後の運命に対する知識が十分に固まっているとは思えない発災から3カ月後の早い段階に行われたことである。時間の経過によって心理的に落ち着き、他の者の意見などを聞いて考えが変わった者もいるはずである。

 次の問題点は、番組は1997年時点の統計として、大川地区農家は専業農家26戸、兼業農家507戸、合計して533戸と紹介しているのに対して、アンケート調査は計114戸を対象としているに過ぎない。

 1997年時点の533戸が2011年6月時点で津波等の被害を受けて多くの死亡者を出して114戸に減ったというわけなのだろうか。

 だとしても、死亡者の全員が全員、土地を相続する者がいないということは考えられないから、相続者の意見も聞かなければならない。例え相続者の殆どが「担い手、認定農業者に委託」を選択するだろうと予想できたとしても、統計を推計で行うのはその確実性を失わせることになる。

 この二つの問題点を百歩譲って正当性を与えるとしても、アンケートには何年で復旧工事が終了して、何年後から農業を開始できるか、国が買い上げる場合の単価は2011年3月11日以前の土地価値に対して何割程度になるのか、委託生産の場合の土地貸付金や収穫農産物の取り分等の契約はどうなるのか、具体的な計画が何一つ含まれていない。

 もし具体的な計画を示していたなら、農業開始が可能であるという知識を得ることができて、「いい作物を採れるまで何百年もかかる」などといった発言は出てこないだろうし、ビートたけしの発言もないことになる。

 さらに言うと、どの地区にしても後継者不足・高齢化は免れることのできな状況となっているはずだから、自身の年齢や後継者の有無が影響する問題でただ単にアンケートを取るだけではなく、将来的な具体的な計画表を示されなければ、信頼の置ける進路の選択はできなはずだ

 だが、宮城県は具体的な計画表を示した上での地元住民の意向確認を省いて、簡単なアンケート調査を以って住民の意思だとして国に事業を申し出て、国はその報告を受けて、県の報告通りに事業を許可した。

 とう言うことは、安倍政権は復旧・復興に必要な役人を各省庁から復興庁に集めて情報の一元化・意思決定の一元化を図ることでタテ割りを排し、現場主義を徹底させることで地元要望を正確に吸収・把握するとしているが、タテ割り排除は復興庁の中だけのことで、復興庁と県・市町村との間には、そこに地元住民の声が入ってこない構造のタテ割りが厳然として存在していだけではなく、県・市町村が態度とすべき現場主義に関しても地元住民の声を正確に把握し切れていなかった点に於いて実際的で正確な現場主義を採用できていなかったことになる。

 だから、宮城県は松島湾に浮かぶ無人島の防潮堤建設を見直しを含めて検討しなければならなくなったし、安倍晋三も国会答弁で防潮堤の高さ等の見直しをする発言をせざるを得なくなった。

 安倍晋三の「縦割りを排した現場主義」は偉そうに言う程には実際には機能していなかったのである。

 これでは「総理に就任以来、13回にわたり被災地を視察」は全く以ってクソの役にも立たなかったことになる。

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ニ之湯自民参院議員の「子供産むのは国家への貢献」の考え方は産む・産まないで国民を選別する国家主義思想

2014-03-15 03:44:53 | Weblog




      《生活の党PR》

      《3月16日(日) 主濱了生活の党副代表NHK『日曜討論』出演ご案内 》

      内 容
      ○平成26年度予算案と日本経済について
      ○集団的自衛権について      
      ○参議院のあり方について等  

 自民党の二之湯智参院議員が 3月12日 (2014年)参院本会議での少子化問題をテーマとした代表質問で「子供を産み、立派に育てることが国家に対する最大の貢献」 とする趣旨の主張を用意していたが、公明党を含む与党としての代表質問であったため、公明党から党の政策と相入れないと修正のクレームが入って、 自民党が応じて修正することになったと伝えている記事に出会った。

 《「子供産むのは国家への貢献」 公明指摘で自民代表質問から削除》MSN産経/2014.3.13 00:42)

 この国家主義は安倍晋三の国家主義と極めて近似性がある。

 記事によると、二之湯参議員の代表質問原稿案には「結婚しているのに子供を持つことが社会人としての義務だと考えない人たちが増えている」との主張も用意していたらしい。

 まさか「社会人としての義務」から子どもを持つわけではあるまい。もし結婚女性がそうすることが「社会人としての義務」とされた場合、子どもを産むことのできない身体の女性は「社会人としての義務」を果たすことができないことになって、社会的不適格者としての烙印を押されかねない危険性を抱えることになる。

 戦前の産めや増やせの時代、それに応えて国民としての義務を果たすことのできなかった女性が肩身の狭い思いをしたと聞く。男性の場合、〈徴兵検査に不合格とされた障害者は「戦う」ことの出来ない身体(あるいは精神)を持つがゆえに、「国賊」「非国民」呼ばわりされた。〉という一節を、『戦争が創り出す「精神障害」者-清水寛編著『日本帝国陸軍と精神障害兵士』へのオマージュ-』と題したインターネット記事が紹介している。

 国賊・非国民呼ばわりをされた身体障害者の中には国民としての義務を果たすことができない思いから、自分から自分を人間的に貶めて、陰湿な生活を送らなければならなかったこともあったと聞く。

 未婚女性にしても、前以て調べることができるのかどうかの知識は持たないが、自身の子どもを生む能力の有無を医学的に調べて貰ってからではないと、結婚できないことになる。結婚をしたはいいが、子どもがなかなか授からなかった場合、社会的不適格者の烙印が目に浮かぶことになって、焦ることになるだろし、そのストレスから、精神を病むことにならない保証はない。

 社会的不適格者とされた場合、社会に居場所を失う。いわば若い男女に対して「子供を持つことが社会人としての義務」とした場合、その「義務」は子どもが授からない男女から社会的居場所を奪う義務となる。

 そのような義務は基本的人権上、許されるだろうか。その義務は基本的人権に反する義務でもあるということである。 

 「子供を産み、立派に育てることが国家に対する最大の貢献」 という考え方はそうすることのできる国民のみを国家への奉仕者に位置づけ、栄誉とする最大の国家主義思想に他ならない。

 なぜなら、「国家に対する最大の貢献」は国家に対する最大の奉仕によって成り立ち可能とする構図を必然化させることになるからだ。“奉仕”によって「貢献」がつくり出される。

 【奉仕】「国家・社会・目上の者などに利害を考えずに尽くすこと」(『大辞林』三省堂)

 子どもを産み育てることが国民による国家への奉仕の一つ大きな手段であり、それを果たしたとき国民は国家への「最大の貢献」として評価を受けることになる。

 上に「最大の貢献」を置いたとき、下にその正反対の評価を置くことになって、結果的に国家は出産と育児をモノサシとして国民を社会的適格者か社会的不適格者かを選別することになる。

 このことだけで十分に国家主義であるのに、選別が他の営みにまで広がって、国家が決めた義務づけのモノサシによって規制しない保証はない。それが国民生活・国民行動の全てに亘って国民を選別したとき、恐ろしいまでの全体的な国家主義が出現することになる。

 安倍晋三にしろ、国家主義者はそうしたい衝動を常に抱えている。二之湯参議員の場合、代表質問で用意した主張がその現れだったのだろう。

 国民ではなく、国家を主体に置くことから国家主義が生まれる。

 国家がなすことができることは国民が満足のいく形で出産し、育児できる経済的環境や医学的環境、あるいは社会的環境の構築であるはずである。そして出差に恵まれない男女に対する差別のない社会の構築でであろう。

 国家ではなく、国民を主体とすることによって国家はそれぞれの環境の構築を自らの役目とする。

 出産・育児に課す国家的義務は基本的人権に反する義務だと既に書いたが、二之湯参議員の出産・育児で国民を選別する国家主義思想が誰にでも保障されている基本的人権の差別となって現れることは、出産・育児で否定的な選別を受けた国民が思想・信条の自由等の基本的人権を思いのままに発露することができない危険性を抱えることによって証明され得る。

 いわば肩身の狭い思いは基本的人権の保障にまで及び、それを阻害し、制限させることになるだろう。戦前の「非国民」呼ばわり、「国賊」呼ばわりが、「子どもも産めないのに偉そうなことを言うな」、「一人前の顔をするな」といった非難に変わることもあり得る。

 戦後日本が民主主義を得て70年近くも経った今日、安倍晋三や二之湯のような国家主義の生きた化石が存在する。

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安倍政権の「河野談話」継承見直しなしの検証作業に見える、事実でないが継承しますの二重人格性

2014-03-14 08:02:42 | Weblog

 

 ――河野談話の事実が否定されたとしても、全体的には日本軍関与と強制連行は否定できない――

 2月20日の衆院予算委員会で菅官房長官が従軍慰安婦に対する旧日本軍の関与と強制性を認めた1993年の「河野談話」の見直しの検証作業を行う政府チームの設置を明らかにした。

 と言うことは、「河野談話」に書いてあることが事実なのか、全くの事実ではないウソなのかを検証することになる。あるいはどれだけ事実であり、どれだけ事実ではないウソが書かれているのかの検証ということになる。

 だが、検証如何に関わらず安倍内閣として「河野談話」を継承していくと言っている。

 3月12日午後の記者会見。

 菅官房長官「安倍政権は一貫して第1次安倍内閣で閣議決定された答弁書に対しますようにですね、河野談話を継承するという内閣の方針で、これは全く変わりはありません」(政府インターネットテレビ)――

 辻元清美の質問書に対して第1次安倍内閣は2007年3月16日に従軍慰安婦の軍関与と強制性について次のように答弁書を出している。

 〈お尋ねは、「強制性」の定義に関連するものであるが、慰安婦問題については、政府において、平成三年十二月から平成五年八月まで関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、同月四日の内閣官房長官談話(以下「官房長官談話」という。)のとおりとなったものである。また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである。〉――

 旧日本軍の関与と強制性を否定した。

 そして、〈官房長官談話は、閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承しているものである。〉として、〈政府の基本的立場は、官房長官談話を継承しているというものであり、その内容を閣議決定することは考えていない。〉

 「河野談話」は閣議決定されていなかった。しかし安倍内閣として「河野談話」を閣議決定するつもりはないが、歴代内閣が継承しているように第1次安倍内閣としても継承しているとしている。

 閣議決定によって決定された事柄は政府全体の合意事項となる。

 いわば「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」ことを以って閣議決定して、政府全体の合意事項とする程の重要性は全く認めていないが、第1次安倍内閣として「河野談話」の継承は政府全体の合意事項とするということになる。

 安倍晋三は第1次安倍内閣の時点で既に「河野談話」は事実ではない、その内容はウソだとしていたのである。

 にも関わらず、継承に関しては政府全体の合意事項とする。

 欺瞞そのもので、二重人格の体をなしている。

 勿論、安倍晋三が歴史修正主義者である以上、自らに課したニ重人格から脱したい強い衝動を同時に抱えていたはずだ。

 この衝動が2012年9月16日の自民党総裁選討論会での安倍晋三の発言となって現れた。

 安倍晋三「河野洋平官房長官談話によって、強制的に軍が家に入り込み女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという不名誉を日本は背負っている。安倍政権のときに強制性はなかったという閣議決定をしたが、多くの人たちは知らない。河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がある。孫の代までこの不名誉を背負わせるわけにはいかない」――

 要するに閣議決定した「河野談話」否定が第1次安倍内閣の全体的な合意事項であって、「孫の代まで」「河野談話」の「不名誉を背負わせるわけにはいかない」から、閣議決定の重要性を国民に知らせて、否定を確定事項としなければならないと言っている。

 そうすることによって安倍晋三は二重人格の状況から脱することが可能となり、歴史修正は完成する。

 だが、二重人格の状況からの脱出を強く望みながら、外交上の理由からだろう、依然として二重人格を自らに強いることになっている。

 そこで同じ二重人格状況であっても、「河野談話」の再検証によって内容が事実でないこと、ウソであることを再度確認して、その非事実性と、同時に旧日本軍は間違っていなかったとする事実の国民に対する周知徹底を謀る歴史修正によって、例え「河野談話」を継承することがあっても、継承よりも「河野談話」の非事実性を全面に押し出すことができて、あるいは一人歩きさせることになって、限りなく二重人格性を薄めることが可能となる。

 但しこのような構図は国際的に見た場合、継承は国外向け、事実否定は国内向けという、新たな二重人格性を生むことになる。

 あわよくば、「河野談話」の歴史修正に恵まれないとも限らないという希望的観測がそこに混じっていない保証はなく、それが実現したとき、初めて一切の二重人格状況から解放されることになる。

 既にブログに何度も書いてきたように、安倍晋三が言う「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」ことが事実であったとしても、「軍や官憲によるいわゆる強制連行」に関しては占領インドネシアでの現地インドネシア人女性と民間収容所のオランダ人女性を両者共に未成年者を含んで日本軍兵士が暴力的略取・誘拐の形で強制連行した事実が複数の人間による聞き取り調査によって明らかになっていて、記録に残されている以上、全体的には決して否定することはできない。

 例え安倍晋三が日本人優越意識に基づいた戦前の日本国家を否定したくないために歴史修正の衝動を抱え続けたとしても、従軍慰安婦に関わる軍関与とその強制性を全体的に否定することができない以上、「河野談話」にしても資料がないからといって全面否定するわけにはいかず、河野談話否定と継承のどのような二重人格性を抱え続けることになるはずだ。

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安倍晋三の東日本大震災3周年記者会見「震災復興契機の人口減少、高齢化、産業の空洞化等課題解決」のウソ

2014-03-13 07:50:07 | Weblog

 

 記者会見後半の記者との質疑で次のような遣り取りがあった。

 若林河北新報記者「被災地は、人口流出が今も止まっていませんで、発災から3年となる今も縮みつつあるという状況にあります。この点に関する総理の受けとめというのをお聞かせいただきたいのが1点。

 一方で、政府は復興を通じた新しい東北の創造というのを目指していらっしゃいます。東北地方への医学部新設などに向けた動きなどもありますけれども、こうした取組への意欲と今後のスケジュールの見通しをお聞かせいただきたいのですが」

 安倍晋三「被災地を単に現状復旧するのではなく、震災復興を契機として、人口減少、高齢化、産業の空洞化等の課題を解決をしていくことが重要であると考えています。

 私自身、昨年12月、宮城県で、地域の産学官の協力による未来の自動車交通システムの研究開発の様子を拝見いたしました。未来を見据えたこうした取組は東北の希望だというふうに感じました。

 政府としては、我が国が世界のモデルとなるような、新しい東北の創造にしっかりと取り組んでいく考えであります。

 以上であります」――

 2011年1月から12月まで福島県人口は震災前の1月~3月は前月比で減少傾向にありながらも、200万人台を保っていたが、震災直後の4月と5月には前月比で約9千人減少し、7月時点で200万人の大台を割ったという。

 そして現在、大震災の影響で特に原発事故の影響下にある福島を筆頭に被災3県の人口減少に歯止めが掛からないと次の記事が伝えている。《震災3年 人口13万人 減歯止めかからず》NHK NEWS WEB/2014年3月11日 18時32分)

 NHKが人口のデータを使い、震災前の平成23年3月1日から先月2月1日までの人口の増減を調査。

 震災1年目8万5485減少。
 震災2年目2万9247人減少。
 震災3年目1万7478人減少

 減少幅が小さくなってきているものの、人口減少に歯止めがかかっていないとしている。

 この3年間の県別減少人数

 福島県7万9601人減少
 岩手県3万4636人減少
 宮城県1万7973人減少

 自治体別の人口の減少率

 宮城県女川町28%
 岩手県大槌町22%
 宮城県山元町21%
 宮城県南三陸町18%
 岩手県陸前高田市16%
 岩手県山田町13%
 福島県浪江町10%
    富岡町10%
    双葉町10%

 但し、〈一方、仙台市や盛岡市といった都市部や内陸部だけでなく、宮城県岩沼市のように津波の被害を受けた自治体でも防災集団移転の造成などが進んでいる地域では、3年目になって人口が増加に転じたところも出てきていて、被災地での二極化がより一層進んでいます。〉と解説している。

 人口の県外流出が続いていながら、一方で県内地方から県内都市部・内陸部流出の二重の過疎化が発生している。

 記事は災害公営住宅の建設遅れが人口流出の一因となっていると指摘している。

 災害公営住宅約3万戸計画――完成3%(2月末時点)
 防災集団移転先土地造成工事――完成10%(1月末時点)

 岡田豊みずほ総合研究所主任研究員「被災地では若い人の雇用の場がなく、将来のまちづくりが分からない状況のため、今後も人口減少が進む可能性は高い。人口が減るところと増えるところの二極化が進んでいく なかで、東北全体で復興の在り方をどのように描いていくのか、前例にとらわれない形で抜本的に考え直していく必要がある」――

 では、福島県のHPから、福島県の高齢化の状況を見てみる。

 1965年(昭和40年)
 福島県総人口約198万人
 65歳以上人口約13万5千人

 65歳以上人口割合
     全国6.3%
    福島県6.8%
 75歳以上人口割合
     全国2.0%
    福島県1.9%

 2010年(平成22年)
 福島県総人口約20029万人
 65歳以上人口約50万人

 65歳以上人口割合
     全国23.0%
    福島県25.0%
 75歳以上人口割合
     全国11.1%
    福島県13.5%  

 2014年(平成26年)
 福島県総人口約194万人
 65歳以上人口割合
     全国25.4%
    福島県27.2%
 75歳以上人口割合
     全国12.4%
    福島県14.7%%    

 1965年(昭和40年)の福島県の65歳以上人口割合と75歳以上人口割合は全国の割合とさして変わりはなかったが、東日本大震災前年の2010年と2014年(平成26年)になると、2%前後の差が出てきている。人口減少と高齢化は労働力人口の減少を裏合わせとする。

 安倍晋三はこのような人口減少と高齢化状況を跳ね返して新しい産業を創造し、「新しい東北の創造にしっかりと取り組んでいく」と宣言している。

 だが、日本全体が人口減少と高齢化へと突き進んでいる。全体的な人口減少下で被災地に新しい産業を創造することによって産業の空洞化を防止し、被災地から流出した人口を取り戻したとしても、被災地の高齢化の状況は変わらないのだから、被災地以外から労働力人口を、それもより若い労働力人口を取り込んで高齢化を阻止しなければ、折角創造した新しい産業も維持できないことになる。

 但し取り込んだ場合、それは被災地以外の自治体の人口減少と高齢化に輪をかけることになって、悪影響を他に及ぼす「新しい東北の創造」になりかねない。

 いわば労働力人口減少を裏合わせとした人口減少と高齢化という縮んでいくパイを奪い合うようなもので、パイ自体をより良い方向に大きく修正する政策を打たなければ、「新しい東北の創造」は正当性を得ることはできないことになる。

 そんなことはとっくの昔に誰もがそう思っていることだと言うだろうが、安倍晋三の記者会見の言葉はこの認識を欠いている。認識を欠いたまま、「被災地を単に現状復旧するのではなく、震災復興を契機として、人口減少、高齢化、産業の空洞化等の課題を解決をしていく」としていること自体が役に立たないという意味でウソだと指摘しているのである。

 勿論、安倍政権は人口減少の歯止めを考えていないわけではない。安倍晋三は日本人優越意識からの外国人単純労働者受入れ解禁には否定的だが、高度人材と認定した外国人に限って日本での在留期間無期限化の在留資格付与には前向きの人材確保策を講じようとしている。

 そしてもう一つの人材確保策。女性の積極的採用。

 だが、これだけで日本の人口減少と高齢化の現状を食い止めることができるのだろうか。できないことは次の記事が証明している。

 《移民受け入れなら1億人維持=年間20万人で-内閣府人口推計》時事ドットコム/2014/02 /24-19:48)

 内閣に2月24日(2014年)の試算公表。

 「出生率回復ケース」

 2015年から移民を毎年20万人受け入れると共に2030年に合計特殊出生率(女性が生涯に生む子供の数の推計)が2.07まで上昇すると仮定した場合。

 2060年――1億989万人の人口
 2110年――1億1404万人の人口

 「出生率現状ケース」
 
 移民を受け入れない場合。

 2060年――8640万人の人口
 2110年――4286 万人の人口

 このような状況を想定した場合、安倍晋三の「被災地を単に現状復旧するのではなく、震災復興を契機として、人口減少、高齢化、産業の空洞化等の課題を解決」云々はまるきりのウソとなる。

 企業は日本国内での人材確保を諦めて、ますます海外移転を加速させることになり、結果、「産業の空洞化」の課題解決は絵空事となる。

 人口減少と高齢化はまた全体的な個人消費の低下を連動させる。いわば産業の空洞化は人口減少と高齢化と、それを受けた全体的な個人消費低下のトリプルパンチのダメージとして現れ、相互的に悪循環のスパイラルに陥ることになる。アベノミクスやその亜流にしても、ゆくゆくはこの悪循環のスパイラルに巻き込まれることになるだろう。

 もし歴史修正主義者でもあり国家主義者でもある安倍晋三に全体と先を見る目があったなら、東日本大震災3周年を迎えるに当たっての大事な日に被災地復興に関してこのような役にも立たないウソをつくことはなかったろう。

 そのような目を備えていなから、記者会見発言だけではなく、国会答弁も安請け合いの軽い言葉の羅列となる。

 日本人の血は優秀だからとの理由で日本人だけに頼る国家主義的政策の破綻は既に目に見えている。だが、骨の髄にまで日本人優越意識を染み込ませている国家主義者である。経済政策は別にしてそろそろご退場を願わなければ、日本という国自体が持ちこたえることができなくなる。

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安倍政権のマレーシア不明機捜索自衛隊機派遣はマレーシア政府の協力要請を要請したのではないのか

2014-03-12 09:53:56 | 政治




      《生活の党PR》

      《3月7日(金) 鈴木克昌代表代行・幹事長 定例記者会見要旨》

      【質疑要旨】

      ・国民投票法改正案について  
      ・選挙制度改革について  
      ・教育委員会改革について         

 今日3月12日のブログは昨日の内に題名まで、《安倍晋三の一国平和主義な不明マレーシア機捜索不参加、アジアの成長を取り込むだけでいいのか》と決めていて書くつもりでいたが、自衛隊機派遣決定、あるいは派遣方針が為されているかもしれないと思って確認のため「Google」を覗いて検索してみると、マレーシア政府の要請があって派遣することに決めたと多くの記事が伝えていた。

 題名も内容も成り立たなくなったが、二つの疑問が起きた。2013年11月8日午前8時フィリピン中部上陸の超大型台風30号のときのフィリッピン政府の要請を待っていて、90人態勢の米海兵隊部隊が11月11日に中部レイテ島に入って既に救助活動を開始していたのに対して11月11日午後3時過ぎ、国際緊急援助隊・医療チーム25人が成田空港から出発していたものの、自衛隊機派遣を決めて救援物資輸送隊が中部レイテ島中心都市タクロバンに入ったのは3月20日の大幅な遅れであったことを思い出し、この二の舞いなのか、それとも日本だけ捜索隊に加わらないのは国際的に体裁がつかないことからの緊急の参加決定ではないのかという、いずれかの疑問であった。

 一応、各インターネット記事に頼ってマレーシア航空の旅客機ボーイング777-200型機が消息を絶ってからの経緯を見てみる。

 3月8日午前0時41分(日本時間同1時41分)にクアラルンプール空港出発。同6時30分に北京到着予定。
 3月8日午前2時40分(日本時間同3時40分)、ベトナム海域で管制塔との交信が途絶える。
 3月8日、アメリカが南シナ海の公海上で訓練とパトロール実施中の第7艦隊イージス駆逐艦USSピンクニー(DDG-91)を派遣。同時に沖縄県嘉手納基地からP-3Cを派遣(FlyTeamニュース/2014/03/09 22:30)
 3月8日午後11時50分、南沙諸島任務執行中の中国ミサイルフリゲート艦「綿陽」が同海域に向かう。
 3月9日午後1時2分、「時事ドットコム」配信「機体の捜索は、マレーシアのほか、米国や中国、シンガポール、タイの空海軍などが艦船40隻と航空機34機を投入して実施」と報道。
 3月9日午後5時、中国の水陸両用ドック型輸送揚陸艦「崑崙山」が広東省湛江市から出港。
 3月9日、マレーシア首相府、中国、ベトナム、アメリカからの協力を得ていると公表。(同FlyTeamニュース/2014/03/09 22:30)
 3月10日午前、菅官房長官、不明機に関して記者会見。
 3月11日10時48分発信「ロイター」記事、10カ国の艦船と飛行機が捜索に参加していると報道。
 3月12日現在、依然として行方が掴めない。

 では、3月10日午前の菅官房長官の発言を見てみる。

 菅官房長官「関係当局の捜査が続いており、引き続き注視したい。日本も(協力)要請があればしっかり対応する」(時事ドットコム/2014年3月10日(月)12:32)――

 前段にウエイトを置いた発言となっている。「要請があればしっかり対応するが、関係当局の捜索を引き続き注視したい」というニュアンスの発言となる。そしてこのニュアンスには、要請があった場合、受けないわけにはいかないからという予定調和を込めているはずだ。

 いわば日本側はマレーシア政府の要請を待っていなかったことになる。

 この証明はあとで行う。

 ところが、同じ3月10日に、菅官房長官午前記者会見後になるはずだが、マレーシア政府から支援要請があったとして、自衛隊の派遣を決めた。

 《マレーシア機不明:捜索に自衛隊機を派遣へ》毎日jp/2014年03月11日 22時32分)

 3月10日、マレーシア政府から支援要請。
 3月11日、国家安全保障会議(NSC)開催、要請に応じる方針と自衛官ら4人を先遣隊として現地派遣を決定。
 3月12日、(早ければの12日)国際緊急援助隊法に基づき自衛隊機派遣。

 小野寺防衛相「マレーシア政府からは、航空機による捜索について『一機でも多く参加してほしい』という話があった。正式な要請を受けたうえで、速やかに派遣したい」――

 もし日本側が最初から積極的に捜索に参加する意志を持ち、マレーシア政府の要請を待っていたとしたら、日本側の外交当局に指示を出して、相手側外交当局を介してマレーシア政府の日本の参加を求めるか否かの意思を打診してもよかったはずだし、そもそもからしてマレーシア政府から支援要請があってから国家安全保障会議(NSC)を開催するのではなく、マレーシア政府からの支援要請があった場合はどうするかを議題とした国家安全保障会議(NSC)を前以て開催しておいて方針を決定しておけば、即座の行動開始が可能となったはずだ。

 危機管理とは起こってからの対応も重要だが、起こる前の対応により重点を置いているはずだ。ここに日本側がマレーシア政府の要請を待っていなかったことの証明を置くことができる

 要するに参加する意志はなかった。少なくとも日本側は支援要請を待っていなかった。乗客に日本人が一人も含まれていなかったことも不参加の理由の一つになっていたに違いない。

 だから、国家安全保障会議(NSC)開催がマレーシア政府の3月10日要請から翌日の3月11日となった。

 だとしても、「一機でも多く参加してほしい」というマレーシア政府要請の緊急性を考えた場合、3月10日要請から翌日3月11日の国家安全保障会議(NSC)開催と早ければ3月12日自衛隊機派遣の非緊急性との間にズレが生じる。

 どうも手続きが「一機でも多く参加してほしい」という緊急性に反して几帳面に過ぎる。

 本当に「一機でも多く参加してほしい」という要請がマレーシア政府からあったのだろうか。既にマレーシアを含めた10カ国が艦船40隻と航空機34機を投入して捜索を実施しているのである。艦船派遣なら、速度が遅くても、広い海上を小分けに分担するより確かな方法で身近に海面を視認できるが、飛行機の場合、いくら海面近くの航行であったとしても、それ相応の速度での視認は不確かさが伴う。

 だからと言って、今さら自衛隊機が数機参加したとしても、状況は変わらないとは断言できない。役に立つ可能性は否定し切れないだろう。

 但しマレーシア政府からの要請もなく、最初に触れたように日本だけが捜索隊に参加しなかった場合、アメリカ、中国、豪州という大国とアジアの7カ国が協力して捜索に参加している手前、日本だけが大国でありながら国際的な協力の輪の一翼を担わなかったことを意味し、そのことは記録されて後々まで国際的な評価の対象となる。

 既にマレーシアを含めた10カ国が艦船40隻と航空機34機を投入して捜索を実施しているという事実を無視して、「一機でも多く参加してほしい」というマレーシア政府要請を事実だと認定したとしても、やはり日本だけ捜索隊に加わらなかった場合の国際的な評価は消すことのできない予定事実として考慮に残しておかなければならない。

 そのことを恐れた日本政府からのマレーシア政府に協力要請をして欲しいと要請した「一機でも多く参加してほしい」の口実と疑えないこともない。

 日本政府から要請した自衛隊機派遣だと考えると、派遣決定までの後の手続きが几帳面過ぎるのも納得できる。マレーシア政府の要請を事実らしく見せるためにはそれ以後の手続きをより明確化しなければならないからだ。日本から要請した事実ではないですよと、しっかりと一つ一つの手続きをこなしていかなければならない。

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