片山虎之助の熊本地震は「政局動向にタイミングがいい」は安倍晋三にとっても同じ条件足り得る

2016-04-20 09:07:10 | Weblog


 片山虎之助おおさか維新の会共同代表の4月19日の党両院議員懇談会での発言がマスコミによってクローズアップされている。二つの記事から見てみる。

 一つは「時事ドットコム」記事。分かりやすいように解説文を下線付きで会話体に直した。  

 片山虎之助今回の熊本地震は環太平洋連携協定(TPP)承認案や衆院2補選、消費税率の引き上げや衆参同日選挙全てに絡む。政局の動向に影響を加えることは確かだ。大変タイミングのいい地震だ

 この後コメントを発表。「政局的な節目に重なってしまった、という趣旨で発言した。言葉の使い方が不適切だった」と釈明。

 悪いタイミングの地震発生だと把えて「政局的な節目に重なってしまった」と、いわば政治動向に悪影響を与えると解釈していたとしても、政治の側の立場にのみ立ったマイナスの利害であって、家を失ったり、肉親を亡くしたり、避難所で窮屈な生活を強いられ、困難や苦痛・不安を抱えることになっている被災者たちの立場に立った発言ではない。

 尤も「悪いタイミングの地震だ」と実際に口に出して言ったとしても、政治の動向のみに焦点を当て、被災者を見ていない発言であることに変わりはない。住民の生活に大きな打撃を与える自然災害を、憲法が国民の生命・財産を保障しているにも関わらず政治のタイミングのみで判断されたのでは適わない。

 「毎日jp」記事。  

 片山虎之助大変、タイミングのいい地震だ。ダブル(衆参同日選)になるのかならないのか、消費税を上げるのか上げないのか、政局の動向に影響を与えることは確かだ」

 この記事も末尾に片山虎之助の釈明のコメントを紹介している。

 どちらの記事でも「大変タイミングのいい地震だ」となっている以上、おおさか維新の会から見た場合は今後の自分たちの政治の動向に都合のいい展開を与える地震の可能性に言及していることになる。

 おおさか維新の会はTPP推進派であり、来年4月の消費税増税先送りを主張していて、憲法改正の点では安倍晋三と歩調を合わせようとしている。安倍晋三の方はアベノミクスがパッとせず、色褪せつつあるから、決定的なダメージを与えかねない消費税増税を先送りすることでアベノミクスの延命を図ると同時に参院選を有利に戦うことのできる状況に持っていき、先送りした消費税増税が2018年12月13日の衆議院任期満了前となった場合の選挙に与えかない悪影響をクリアするために国民の多くが歓迎している消費税増税を先送りするこの有利な時期に衆議院選挙も同時に行うのではないのかと観測されているが、同日選挙をおおさか維新の会は議席を伸ばすチャンスと見ていて、消費税増税先送りにしても衆参同日選挙にしても利害を一致させることができる。

 特に安倍晋三は「消費税については、リーマンショック級、あるいは大震災級の事態にならないかぎり、予定どおり引き上げていく。この基本的な考え方に変わりはない」と国会答弁や記者会見で前々から発言していて、消費税増税先送りの条件にリーマン・ショックのような世界的な金融破綻や東日本大震災級の大自然災害を挙げてきた経緯がある。

 片山虎之助はおおさか維新の会が望む消費税増税先送りと、このことに関連付けられていく可能性のある衆参同日選挙の、この両方の利害を満足させる方向に持っていくキッカケを作るかもしれない被害規模甚大な熊本地震と見て、「大変、タイミングのいい地震だ」と評価したと言うわけである。

 勿論、既に触れたように被災者が置かれている避難生活の苦労や先行きに対する不安、その他様々な感情を置き去りにしていなければこのような評価はできない。自分たちの政治上の利害を満足させることだけを考えていた。

 もし安倍晋三が世界経済の低迷と共に熊本地震が日本の経済に少なからざる悪影響を及ぼす誘因と看做して消費税増税先送りの理由とし、増税先送りの有利性を利用して同日選挙に打って出たとしたら、片山虎之助と同様に熊本地震は「大変、タイミングのいい地震」だったことになる。

 同日選挙で安倍晋三が大きな勝利を収めることができたなら、同日ではなく、参院選単独であったとしても、それなりの勝利を収めることができたなら、その勝利と消費税増税先送りによるアベノミクスへの悪影響回避が熊本地震から得た安倍晋三の大いなる利益と言うことになる。

 政治上の利害というカガミを通してしか国民を見ていない。

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熊本地震:安倍晋三はいつまで車中泊を続けさせるのか なぜ観光バスを用意しないのか

2016-04-19 11:29:40 | 政治


 4月18日19時21分発信の「NHK NEWS WEB」記事によると、熊本地震による熊本県内の避難所避難者は約9万4500人にのぼると伝えている。

 内訳は――

 熊本市5万244人
 益城町9100人
 阿蘇市6225人
 御船町6131人
 大津町4040人

 なおかつ現在も避難勧告や避難指示が発令されているというから、余震の影響次第で避難所生活者が増える可能性もある。
 
 但しどこの避難所も満杯状態だそうだ。自治体指定の避難所に入りきれなくて、避難所に指定されていない自治体公共施設を急遽避難所にして対応しているというが、それでも収容しきれないから、このような公共施設や避難所の駐車場に止めた自身所有の車の中に寝泊まりする車中泊を余儀なくされると言うことなのだろう。

 車中避難者の中から地震発生から4日目で「エコノミークラス症候群」の疑いで熊本県内の医療機関に搬送された患者が既に18人にも上ると「NHK NEWS WEB」が伝えている。 

 「エコノミークラス症候群」とは狭い場所で長い時間同じ姿勢を取っていると、血管が詰って肺血栓塞栓(そくせん)症を引き越し、胸の痛みを訴えたり、呼吸困難などに陥るという。

 中には病院搬送後、意識不明の重体となっている患者も何人かいるという。

 この記事は熊本県益城町だけで、〈数千人が車中に寝泊まりしているという>と伝えている。

 熊本全体でどれくらいに避難者が車中泊をしているのだろうか。

 《車中泊 エコノミー症候群予防法は 水分補給と運動を 九州大助教杉本氏に聞く、熊本地震》西日本新聞/2016年04月19日 03時05分)なる記事から正確な人数は記していないが、その多さを窺わせる記述に触れることができる。

 杉本めぐみ九州大助教(持続可能な社会のための決断科学センター、地球環境学)が自分の目で見て回った観察記である。

 〈熊本市、益城町、大津町、南阿蘇村を訪れた。避難所を見て気付いたのは車中泊の避難者が多いこと。近くの店舗も含めて、どこの駐車場もいっぱいで驚いた。自宅の倒壊が怖いとか、揺れに驚いた子どもが泣くのを周囲に遠慮する心理があるからで、余震が続いている今回の特徴と言える。〉・・・・・

 そして〈水分補給と適度な運動を心掛け、塩分の摂取は控えた方がいい。〉といった注意点を挙げている。

 NHK NEWS WEB記事は熊本県益城町のみで車中泊避難者が数千人に上ると伝えていた。杉本めぐみ州大助教が訪れた熊本市、益城町、大津町、南阿蘇村の自治体と最初に上げた避難所避難者数を伝えているNHK NEWS WEB記事の自治体と重なる自治体の避難所避難者数を改めてみてみる。

 NHK NEWS WEB記事には南阿蘇村は入っていなかったから、除くことにする。

 熊本市5万244人
 益城町9100人
 大津町4040人
 
 熊本市は2015年4月1日現在の推計人口は74万人を少し欠けるが、国が大都市の扱いをしている政令都市である。にも関わらず、5万人余の避難所避難者に対応しきれずに、〈避難所を見て気付いたのは車中泊の避難者が多いこと。近くの店舗も含めて、どこの駐車場もいっぱい〉の状況となっていた。

 益城町9100人に対して車中避難者がNHK NEWS WEB記事が言う「数千人」を、より正確な数字に近づけるために低く見積もって千人と見たとしても、約11%の割合の車中避難者となり、熊本市は5万244人の11%、約5500人、大津町4040人の11%、約400人となって、合計7000人近くになる。

 この半分と見たとしても3500人の車中泊者ということになる。

 この人数は必ずしも正確ではないが、車中泊を伝えている4月18日付の「日経電子版」は、〈熊本県益城町の産業展示場「グランメッセ熊本」。2200台を収容可能な駐車場の9割近くが、自宅などから避難した住民らの自家用車で埋め尽くされた。〉と報道していることからすると、場違いな数字とは言えない。

 2200台の9割は1980台。1台1人とは限らないから、優に2千人は超える車中避難者と言うことになる。その他公共施設の駐車場や自宅庭駐車場での車中泊を計算すると、NHK NEWS WEB記事が伝える益城町だけでの「数千人」は3、4千人と見ることもできる。

 確かに政府は努力している。国土交通相の石井啓一が熊本港に600人乗りと430人乗りのフェリー2隻を停泊させて計1030人を受け入れる準備を進めていることと、民間の賃貸住宅を1500戸借り上げる考えを表明したことを、4月17日付「時事ドットコム」記事が伝えている。  

 記事はさらに政府が旅館やホテル計59施設に約1500人分の部屋を既に確保していることを伝えている。

 熊本港のフェリー1030人、民間賃貸住宅1500戸借り上げ、旅館・ホテル59施設約1500人分の部屋を合計すると、民間賃貸住宅のみは家族数に応じて収容人員を増やすことができるから、2人家族で3千人、他二者と合わせて5千500人。3人家族なら4千500人、他二者と合わせて7千人は収容できる。

 だが、この大人数の裏を返すと、全部が全部車中避難者数に合わせたものではなく、満杯状態になっている避難所に少しでも余裕を持たせるための間引き数が計算されているとしても、車中避難者を3、4千人と見たとしても、決して不正確とは言い切れない。あるいは3、4千人以上かもしれない。

 但し政府の努力の内、より困難な生活状況に置かれている車中避難の解消から手をつけることになるだろうから、そのことを直ちに実行できるのは既に予約済みだとしている旅館やホテル計59施設の約1500人分のみである。

 フェリーは準備を進めている段階であり、民間賃貸住宅は借り上げの考えを表明したに過ぎない。

 「これまで経験したことのない地震活動」だとしている地震専門家の発言を待たずとも、素人目に見ても異常な地震活動であることは理解できる。予測できない事態の急展開に政府の対応遅れが生じたとしても止むを得ない点があるが、安倍晋三は一旦は4月15日中の屋内の避難を公約としたのである。

 その後屋外避難、あるいは車中避難が急激に増えたとしても、早急に屋内避難に振り替える責任を有していることに変わりはない。にも関わらず、当分の間車中避難・車中泊を強いる状況にあることに対して何も手を打つことができないでいる。

 果たしてフェリーの準備や民間賃貸住宅は借り上げの方針以外に何も打つ手はないのだろうか。

 5月のゴールデンウイークを控えて、熊本地震によって熊本県内だけではなく、旅行や宿泊のキャンセルが九州全体に広がっていると、4月17日付「西日本新聞」が報道している。   

 別府市のホテルが4月14~16日に受けた予約取り消しは計3千人分。

 4月16日1時25分頃の熊本県内震源の地震では福岡県の久留米市、柳川市、大川市、みやま市、佐賀県の佐賀市、上峰町、神埼市、長崎県の南島原市などが震度5強の揺れを受けている。

 震度5弱の揺れもそれぞれの自治体が受けている。

 上記記事が「今後福岡で揺れが続くと、5~6月分もキャンセルに歯止めが利かなくなるかもしれない」とホテル副支配人の声を伝えているが、一部ホテルは車中避難者の宿泊の用に立てることでキャンセルの埋め合わせはある程度できるとしても、バス会社の観光バスは車中避難者の受け入れの移動に利用できるとしても、それでキャンセルの全てを賄うことはできないはずだ。

 観光バスは車中泊に利用している軽自動車や普通乗用車よりも室内が広くて、リクライニングを倒して仰向けになるにしても一般の乗用車よりも余裕を持って仰向けになることができし、より多くの避難者とコミュニケーションを取ることもできる

 それにテレビがついていて、ニュースでも何でも視ることができ、その分リラックスできる。音楽も聞ける。

 フェリーの準備ができ、民間賃貸住宅を借り上げて、双方共に受け入れを開始するまでのつなぎとして、なぜ観光バスを軽自動車や普通乗用車に変わる車中避難・車中泊の代用としないのだろうか。

 軽自動車や普通乗用車の狭い空間に閉じ込めておく窮屈さから早急に解放して少しでも人間らしい生活ができるようにするのが政府の務めであり、責任であるが、一時的にそのことが可能となる観光バスのより広い空間への解放を思いつかないようだ。

 道路が寸断されていてバスの通行不能避難所・駐車場はヘリコプターで被災者を逆に移送すればいい。 (青文字個所は4月19日毎1時41分加筆)

 安倍晋三の「被災者の皆さんの多様なニーズを的確に把握しながら迅速に対応し、被災者の皆さんの生活を全力で支援する」とか、「被災者の気持ちに寄り添って、政府を挙げて、全力を挙げて、取り組んでいきたいと思います」といった発言が明らかに言葉だけで終わっていて虚ろに聞こえる。

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熊本地震:安倍晋三が「先手、先手」、「現場主義」と言う程には現場を理解していない生活支援遅れ

2016-04-18 09:59:09 | Weblog


 4月14日21時26分頃の熊本地震発生から2日目以降からか、生活物資の不足を伝える報道が増えた。発災直後は人的・物的被害の広がりを伝えるのに手一杯で、物資不足まで伝える余裕がなかったということもあるかもしれない。

 大災害時に於ける物資不足を我々は最近、と言っても5年前のことだが、東日本大震災で経験した。「水が足りない」、「食料が足りない」、「医薬品が足りない」

 原因の一つは例え住民が大災害を予想して食料品や医薬品を備蓄していたとしても、その多くを津波が多くの人命と共に一瞬にして無にしてしまったからであろう。役に立てるべき備えを津波が荒々しく奪い去り、手の届かないものに変えてしまった。

 商店の品々もその多くを津波が奪い、破壊してしまった。

 原因の二つ目は道路が寸断されて輸送が滞り、支援物資を必要とする場所に迅速に届けることができなかった。

 我々はこういったことを経験した。

 今回の多くの家屋倒壊を招いた熊本地震にしても、災害に備えた食料品等の備蓄品、あるいは備蓄していなくても、冷蔵庫やその他の場所に買い備えていた食料品その他は家屋倒壊の場合は中に入って持ち出すことが不可能ゆえ、役に立たない点では津波に奪い去られるのと同じである。

 例え半壊でも、中に入るのが危険な状態なら、役に立てることができない点で全壊と変わりはない。

 結果、政府や自治体の支援物資の配布が遅れると、水不足や食糧不足が生じることになる。紙オムツがないとか、医薬品がないということが起きる。

 但しこのような物資不足の発生は何も東日本大震災や今回の熊本地震だけに限ったことではない。現地時間2015年4月25日正午前マグニチュード7.8のネパール地震でもそうだったし、現地時間2010年1月12日午後5時前マグニチュード7.0のハイチ地震でも似た事態を招いていた。その他の災害でも同じであろう。

 いわば何が不足し、何を必要とするようになるのかは災害という性質によって定番化させることになっている。それがないと生活上切実な問題を引き起こして早急に必要とする飲料水、食料、寒さ凌ぎの毛布、体調不良を起こしたり、怪我をしていた場合、あるいは持病があって常備薬を切らした場合の医薬品、持ち出すことができても、切らしてしまったオムツや生理用品等々。

 参考までに東日本大震災時に新聞記事から抽出した定番化していた不足物資を「東日本大震災・緊急支援物資の流動実態の定量的把握」(平成23年度国土政策関係研究支援事業研究成果報告書)から挙げておく。

 当然、国や自治体は規模の大きな災害が発生した時点で定番化している必需品の配布と充足に迅速に対応すべく行動しなければならないことになる。

 被災を免れた近隣の自治体の災害に備えた食料品や医薬品、毛布等の備蓄品を災害発生後の早い時間内に災害地近くに輸送する。道路が寸断されている可能性を考慮して自衛隊のヘリコプターを準備させる。

 今朝のNHKテレビのニュースでは熊本市では物資集積所に一度に大量に届いた支援物資を振り分けるボランティア等の人手不足や自治体自体がどこの避難所でどのような物資が必要なのか、各避難所のニーズの把握が追いついていないために満足に捌ききれていないといった趣旨の報道をしていたが、必要とする物資が定番化している以上、定番となっている物資をトラックに積んで先ずは各避難所に向かい、そこで必要とする物資と個数を聞いて降ろしていく。不足なら、次の便で不足分を届ける。余った物資は次の避難所に届ける。

 道路が寸断されていたなら、自衛隊のヘリコプターを利用して先ずは隊員一人をロープで吊り降ろして、その隊員が避難所とヘリコプター間の意思疎通を無線機で仲介して必要とする物資を伝え、伝えた物資を地上の隊員の誘導で同じくロープで吊り降ろして、物資調達を果たす。

 こういう方式にすれば、迅速に被災者のニーズに応じることができるはずだ。

 必要物資が定番化しているにも関わらず、その種類と個数の把握に手間取って却って配達が遅れるのはバカげている。遅れる程、被災者の生活を難儀にする。

 不足物資が定番化していることはマスコミの報道を見れば一目瞭然である。

 〈熊本市内の多くの避難所では、食料や水などの物資が不足しています。〉(NHK NEWS WEB)  

 〈16日に同県益城町に入った福岡市のボランティアグループ「夢サークル」の吉水恵介代表(59)は、避難所で寒さをしのぐ毛布類や、プライバシーを守る仕切り、避難所を清潔に保つ消毒液などが足りていない、と指摘する。〉(asahi.com) 

 どれもが東日本大震災で被災者が経験した不足物である。海外の大災害でも報道された不足物であろう。

 4月17日(2016年)、安倍晋三が「平成28年熊本地震被災者生活支援チーム」を立ち上げ、その第1回会合を首相官邸で開催した。   

 「被災者生活支援チーム」と銘打っているし、その挨拶からも先ずは被災者の基本的な衣食住の充足を図る組織ということなのだろう。充足のニーズとして食料や水、紙おむつ等の生活必需品、トイレ、医薬品や医療を挙げている。

 全て災害時に被災者が不足に陥り、必要に迫られる定番化した品々であり、定番化したサービスである。

 安倍晋三「この支援チームで緊密な連携をとりながら、政府一丸となって、先手先手で被災者の生活支援に対応してまいります。『現場主義』を徹底して、最前線で災害対応に当たっている被災市町村を支援するとともに、被災者のニーズを的確に把握して、迅速に対応することが重要です」

 各避難所で既に生活必需品の不足状態が生じているのに「先手先手」の生活支援を言う。

 殆どの避難所で何が不足し、何を必要とするのか、それらが定番化した現場となっていることを把握できずに被災者のニーズの的確な把握を先に持っていって、それを「現場主義」だと言う。

 定番化に迅速に対応できていれば、極力抑えることができる食料不足であるはずだが、その報道が目立つようになってから、「今日中に70万食届ける」と決断実行を見せる。

 要するに安倍晋三は大災害が発生した場合に被災者が避難してある一定の期間生活の場所とする“現場”を殆ど理解していない。

 このような無理解の延長上に現れることとなった生活支援遅れであろう。

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安倍晋三の熊本視察中止を推測 余震を想定外に置いた安易で安請け合いの危機管理が原因ではないか

2016-04-17 11:32:38 | Weblog


 4月14日21時26分頃熊本で発生した震度7の前震とその後の本震・余震によって4月17日未明のネット記事は死者41名に達したと伝えている。

 これだけの強い余震が続くことや、本震と思えた4月14日の震度7の地震(マグニチュード6.5)が気象庁が発表するまでは実は前震で、4月16日午前1時25分頃発生の震度6強(マグニチュード7.3)の地震が本震だと気づく者は少なかったはずだ。

 今朝早くの各マスコミ記事は千人孤立や9万人の避難を伝えている。熊本で発生した地震は 福岡、大分、佐賀、宮崎と各県に広がり、今まで例にないような広範囲への拡大状況を見せている。

 多分、政府もこのような異常とも言える様相を呈するとは予想もしていなかったに違いない。

 だが、地震発生から約41分後の22時07分に震度6弱の地震を観測、その33分後の22時40分に熊本県知事が陸上自衛隊第8師団長に対して人命救助に関わる災害派遣要請を行ったのは引き続いた地震によって被害が拡大したからだろう。

 どちらの地震も内陸型であることから津波情報は発せられなかったから、当然考えられるのは家屋の倒壊や土砂災害といった被害であって、自衛隊の手を借りなければならない程にその被害は大きかったことになる。

 気象庁は4月14日21時32分に4月14日21時26分頃の震度7の地震を伝えてから1時間58分後、熊本県知事が自衛隊に災害派遣要請を行ってから50分後の4月14日23時30分から記者会見を開いて、「今後1週間、震度6弱程度の余震が発生する恐れがある」と警戒を呼び掛けている。

 震度6弱程度の余震ということなら、家屋の倒壊や土砂災害は更に広がる可能性を想定しなければならないし、倒壊を免れた家屋であっても、そこでの居住は不安を誘うことになって、屋外生活を余儀なくされる被災者も出てくることも想定しなければならない。

 我が首相安倍晋三は時事ドットコム記事の「首相動静(4月15日)」によると、4月15日午前7時6分から同22分まで河野太郎防災担当相と首相官邸で面会している。  

 面会後の対記者団発言を「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 河野太郎「全員、今日(4月15日)中には、屋内の避難所にきちんと入れるようにしていきたい。熊本の避難者が2万数千人で、益城町からも相当数、避難しているのではないかと思う。そのへんの現状をしっかり確認し、午後、また安倍総理大臣に報告したい」

 この発言を記事は河野太郎が確認済みの被害状況の報告を行った後、安倍晋三が現在屋外で避難しているすべての人が15日中に屋内の避難所に入れるよう指示したことを受けた発言として紹介している。

 この指示がどのような言葉でなされたのか、午前8時8分から同20分まで出席した第3回「地震非常災害対策本部会議」での発言から見てみる。  

 安倍晋三「また、依然として、多くの方々が避難を余儀なくされています。

 明日以降の天候悪化の予報に鑑みると、今日中に安全な避難先を確保することを最優先に、全力で対策に当たる必要があります」

 天候悪化を前提とした「今日中に安全な避難先を確保することを最優先」の言い回しは“今日中の屋内避難”の公約そのものであろう。

 気象庁が4月14日の深夜に記者会見で「今後1週間、震度6弱程度の余震が発生する恐れがある」と警戒を呼び掛けたその翌日の朝も早い7時、8時の時間帯に、いわば地震につきものである余震の回数や規模が判断できない内に、当然、それらの事態に応じて屋外避難者がどう増えるのか分からない状況下で全員の屋内避難を公約とした。

 確かにそうありたい。だが、この約束の裏を返すと、約束した時点で以後余震も何も起きない過去完了形の地震と見ていなければならない。屋外避難者を4月15日朝7時8時の人数程度と見て、これ以上家屋倒壊も土砂災害も発生しない、当然、屋外避難者も増えないと想定した危機管理を発動させていたということである。

 そして河野太郎はこの日(4月15日)の午後1時前に首相官邸で安倍晋三と面会、〈被災状況などを報告したあと、記者団に対し、現在屋外で避難している人のための屋内の避難所について、15日夜までに確保できる見通しが立ったことを明らかにし〉たと「NHK NEWS WEB」(2016年4月15日 14時28分)が伝えている。  

 屋外避難者の人数を現状のまま把握した危機管理に依然として立っていることを意味することになる。

 安倍晋三のこの屋外避難を全員屋外避難に振り替える方針に蒲島熊本県知事が反発している。

 熊本県庁での松本文明副内閣相との会談。

 松本文明副内閣相「河野(太郎)防災担当相に『今日中に青空避難所というのは解消してくれ』と強く言われて参った」

 蒲島県知事「避難所が足りなくてみなさんがあそこ(屋外)に出たわけではない。余震が怖くて部屋の中にいられないから出たんだ。現場の気持ちが分かっていない」(毎日jp

 河野太郎の「今日中に青空避難所というのは解消してくれ」という発言自体が屋外避難者数を現状のまま把握した危機管理となっている。鉄筋コンクリートの頑丈な建物であっても、余震で揺れを経験する内に不安になって、屋外避難と変わらない保証はない。ましてや木造となると、それまでの地震に耐えたとしても、安全・安心は限りなく不確かとなって、いつかは外に逃げ出す可能性は否定できない。

 逃げ出しても、屋内避難所に余裕がなければ、屋外避難を余儀なくされる。

 つまり、屋外避難の解消は日を限って一度に片付く性質の危機管理ではない。片付かない部分をテントとか雨具を早急に用意して補うのが配慮ある危機管理というものであろう。

 だが、安倍晋三も河野太郎も一度に片付く性質の危機管理と思い込んだ行動を取っている。

 結局4月15日中に屋外避難者全員を屋内避難に振り替えることはできなかった。

 翌4月16日、安倍晋三との面会後なのだろう、首相官邸を出る際に記者団に発言している。

 河野太郎「「今夜から、かなり強い雨が予測されるので、とにかく下敷きになっている方の救出を徹底的にやる。6万9000人を超える方が避難されているので、きちんと屋内に収容するか、最悪、自衛隊のテントに収容することに全力を挙げる」(NHK NEWS WEB)/2016年4月16日 13時20分)  

 「時事ドットコム」記事の「首相動静(4月16日)」を見ると、河野太郎は午前5時半前後から6時半前後の間に安倍晋三と会っているが、上記記事配信は13時20分だから、午前11時18分から同31分まで危機管理センターで行った安倍晋三との面会後であろう。

 「6万9000人」全員が厳密な意味での屋外避難者かどうか分からないが、少なくとも「きちんと屋内に収容」できていない準屋外避難も含めた屋外避難者の数ということになる。この存在自体も公約を違えていることになるが、4月15日の河野太郎の対記者団発言では「熊本の避難者が2万数千人」と言っていたから、屋外避難者が一定限度でとどまったわけではなく、確実に増えていった状況を示すことになる。

 確かにこれ程までに規模の強い、回数も多い余震を前以て想定することは困難である。だとしても、気象庁が地震発生2時間4分後の4月14日23時30分からの記者会見で「今後1週間、震度6弱程度の余震が発生する恐れがある」と警戒を発している以上、地震には震度の強い余震を付き物としなければならない危機管理を常に頭に置いていなければならなかったにも関わらず、4月15日午前7時過ぎの時点で規模も回数も不明の以後の余震の可能性と対応させた屋外避難者の増加を想定するきめ細かな危機管理ではなく、それらを想定せずに屋外避難者が一定程度に収まるとする安易な、あるいは安請け合いの危機管理で4月15日中の屋外避難から屋内避難への公約を振りかざした。

 増加を想定した危機管理なら、その数は不明なのだから、とても4月15日中は公約できなかったろう。

 だからなのだろう、翌4月16日の昼前の時点で早くもその公約の破綻を明らかにすることになった。

 この公約破綻は、〈防衛省は被災地で雨が予想されているため、熊本県南阿蘇村など特に被害が大きい地域の住民のうち屋内の避難場所を確保できない人たちについて、本人の同意があれば、陸上自衛隊の車両で屋内の避難場所がある別の地域まで輸送することも検討してい〉ると伝えている「NHK NEWS WEB」/2016年4月16日 17時57分)記事も証明することになる。 

 安倍晋三は16日未明の震度6強2回、6弱1回の余震を理由に16日に予定していた熊本の被災地視察を中止することを決めた。

 いくら安倍晋三が図々しく仕上がっていたとしても、一旦は振りかざした15日中の屋外避難から屋内避難の公約を破綻させておきながら、あるいは今後も増えるかもしれない屋外避難者を前にして、さらには公共施設の玄関外軒先下に雨露を凌ぐ形で避難している準屋外避難者を前にしておめおめと視察で御座いますなどとどの面下げてでかけることができるだろうか。

 視察に出掛けて、厳密な意味での屋内避難者ではなく、屋外避難者や準屋外避難者を万が一にでも目にした場合、自身の公約違反と対面することになる。

 この不都合な事実を避けるためには視察を中止する以外にない。

 例え実際には他の理由であったとしても、地震発生後早々に住民の生命の安全に関わる公約を掲げたものの、それが安易な安請け合いの危機管理から発した公約に過ぎなかったために自ら公約違反を犯すことになったという事実は変わりはないはずだ。

 安倍晋三の危機管理がこの程度なら、安倍晋三がいくら「きめ細かな支援」の徹底を言おうと、行政の行政による事務的で機械的な支援しか期待できないだろう。

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田母神俊雄はシビリアンコントロールを無視、あるいは脅かしかねない典型的に危険な軍人タイプ

2016-04-16 11:03:17 | Weblog


 元航空幕僚長の田母神俊雄67歳が公職選挙法違反容疑で逮捕された。2014年東京都知事選後に運動員に法定外の報酬を支払った運動員買収の容疑だという。

 要するに選挙中、運動員に選挙後の報酬を約束して選挙運動に当たらせた。政治資金から約450万円の私的流用も疑われているという。

 航空幕僚長とは航空自衛隊のトップである。その職にあった間、約5万の全航空自衛隊員に対して指示・命令を出す。その責任と矜持と自尊心をいやが上にも植え付けられ、自らも育てていき、自らの血肉・精神の主たる一部としたはずだ。

 でなければ、かつて航空幕僚長時代の制服の胸につけた夥しい勲章はその輝きと意味を失う。

 特に田母神俊雄の責任と矜持・自尊心は彼が航空幕僚長時代に書いた論文「日本は侵略国家であったのか」が2008年10月31日に「真の近現代史観」懸賞論文第一回最優秀藤誠志賞の受賞作となり、マスコミに華々しく登場することになったことによって特段に強固な自負性を獲得し得たはずだ。

 論文が日本の戦争は結果的に多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の支配から解放されることになり、人種平等の世界を到来させたもので、侵略戦争ではなかったとする歴史認識に貫かれていたとしても、その歴史認識が政府見解と異なることから更迭処分を受けたとしても、自らが信じる歴史認識である以上、一旦血肉・精神とし、勲章の輝きによって表されていた責任と矜持と自尊心は生き続けなければならないし、生かし続けなければならない。

 いわばかつて手にした責任と矜持と自尊心に自らも応える生き方を求められることになる。求めに応じることも、責任と矜持と自尊心を裏打ちする行為となる。

 このことは航空自衛隊を辞して以後、支援者の間で「閣下」と呼ばれるようになったということだが、そう呼ばせることを許していたからこその呼び名であって、あるいはそう呼ばせる自尊的な雰囲気を全身に自ずと発していたことからの呼び名であろうから、田母神俊雄の航空自衛隊時代に育み、自らの血肉・精神の主たる一部と化した責任と矜持・自尊心は「閣下」と言う呼び名に象徴されていることになり、そう呼ばれることによって責任と矜持と自尊心を強く実感していたはずだ。

 2014年東京都知事選は16名が立候補し、舛添要一が約211万票、得票率43.40% で当選、宇都宮健児 約98万票、得票率20.18%、細川護煕約95万票、得票率19.64%、次いで田母神俊雄約61万票、得票率12.55%となっていて、主要候補最下位での落選となっている

 もしマスコミの世論調査や報道で選挙を優位な立場で戦っていることを知らされていたなら、運動員に報酬を約束して選挙運動に当たらせることはなかったろう。

 いわば当選が覚束ない余裕のない選挙を強いられていた。

 だからと言って、当選に一歩でも近づくために社会的なルールに反して手段を選ばない方法で選挙を戦ったのでは自らが血肉・精神の一部とした責任と矜持と自尊心を自ら裏切ることになり、それらは何だったのかと言うことになる。

 だが、現実には自ら裏切り、その意味を失わせた。

 いわば航空自衛隊時代に育んだ田母神俊雄の責任と矜持と自尊心は彼自身を取り巻く情勢が自身が考えたとおりに思うように展開しない状況に立たされたとき、実物通りに発揮される精神性を保証するものではなく、自身が単にそうと思い込んでいるだけの見せかけの責任と矜持と自尊心の発揮となる危険性を自身の行動で証明したことになる。

 このことを言い換えると、これと決めている自己同一性を守るために手段を選ばない人間性を見せた。

 このような精神性と行動性が軍人の立場で発揮された場合、かつて戦前の日本軍で政府方針や軍中央の方針を無視して戦線を拡大したり、勝手に軍部隊を展開させたりした例に見るようにシビリアンコントロールを無視、あるいは脅かす存在と化す危険性も否定できないことになる。

 少なくとも田母神俊雄がかつてはそういったタイプの軍人であり、そしてそういったタイプの軍人の精神を今なお持っていることを証明した公職選挙法違反だと指摘することができる。

 4月14日の朝、自身のツイッターに「本日、田母神は逮捕されるようです。何とも理不尽さを感じますが、国家権力にはかないません」と投稿したということだが、逮捕を国家家力の理不尽さに転嫁する自己省察能力の欠如――潔さの欠如にも、責任と矜持と自尊心の発揮が間違えた姿を取る危険性の内包を窺わせる。

 間違っている自己同一性を間違っていることに気づかずにムリに押し通そうとすれば、相手との力関係に応じてそれが暴力や強権といった理不尽となって現れかねない。

 軍の場合に例を取るなら、反乱やクーデター、軍権力掌握ということになる。シビリアンコントロールの無視、あるいは奪取である。

 参考までに2008年11月2日当ブログ記事――《日本民族優越意識が書かせた田母神「侵略否定」無誤謬説 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》   

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自民党赤枝恒雄先生、キャバクラ嬢も立派な職業ですよ 国会議員の先生方を癒やすこともする

2016-04-14 08:08:31 | 政治

 
 2016年4月12日付「asahi.com」が再び自民党議員の問題発言を伝えている。度重なる問題発言に辟易しながら伝えたに違いない。 

 その一つ、「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番、日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと経団連などに働きかけしてほしい」と作家の百田尚樹に報道圧力を要請する形で自身の言論弾圧精神をはしなくも見せた御年69歳になる自民党議員大西英男の昨年の発言。

 2016年2月17日参議院憲法審査会での自民党議員御年70歳の大の大人丸山和也のオバマ大統領に対する「黒人の血を引く、ね。これは奴隷ですよ、はっきり言って」の人種差別に当たる黒人奴隷蔑視発言。

 再び大西英男が登場。今年に入って衆議院北海道5区補選の応援で現地入りし、補選の必勝祈願のために神社を訪れたた際、案内してくれた巫女に「自民党をよろしく」とでも言ったのだろう、「自民党はあまり好きじゃない」と言われて、「巫女さんのくせに何だ」と巫女という職業を一段低く見た職業蔑視と、彼女がどの党を支持するかしないかの思想・信条の自由を認めまいとした3月の派閥会合で紹介した発言。

 国民の選良、天下の国会議員でありながら基本的人権を厳格に解釈できない議員が自民党からゴロゴロと出てくる。

 そして今回の御年72歳にもなる自民党衆議院議員赤枝恒雄。4月12日に開かれた子どもの貧困対策を推進する超党派による議員連盟の会合で支援団体の代表や児童養護施設出身の大学生が奨学金制度の拡充を要請したことに対する質疑応答での発言だそうだ。

 赤枝恒雄「親に言われて仕方なく進学しても女の子はキャバクラに行く。がっかりした。高校や大学は自分の責任で行くものだ。

  とりあえず中学を卒業した子どもたちは仕方なく親が行けってんで通信(課程)に行き、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとか」

 記事は会合終了後の取材に対する発言も伝えている。

 赤枝恒雄「街角相談室でいろんな子どもの話を聞いてきた。子どもが十分教育を終えるまでは国が手厚く援助しないといけないが、高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」――

 「街角相談室でいろんな子どもの話を聞いてきた」と言っていることは記事も紹介している産婦人科医の立場からの活動らしい。

 「毎日jp」記事は別の発言も伝えている。

 赤枝恒雄「(無理に進学しても)できちゃった婚をして離婚して、若くして一人親になり貧困になる」

 「Wikipedia」から経歴を見てみる。

 〈日本の政治家、医師。自由民主党所属の衆議院議員(2期)。医学博士。赤枝六本木診療所産婦人科院長。〉

 〈1968年に東京医科大学を卒業し、1977年に産婦人科診療所、赤枝六本木診療所を東京・六本木に開設した。

 自身の診療所で産婦人科診療を行う傍ら、主に若年女性を対象とした性教育などの社会活動にも積極的に取り組んでおり、マスメディアへの出演も多い。2000年には、発展途上国の女性医療支援の目的でバングラデシュ母子保健病院(ICMH)ダッカ内に赤枝桶谷乳房管理センターを設立した。〉など。

 立派な活動をしている。

 ネット上には発言の一部だけを切り取って報道しているから、全文を読まない限り批判はできないといった批判も出回っている。

 確かにそのとおりだが、4月12日の発言に対してマスコミは発言の趣旨を即日伝えた。それが報道側の解釈による“趣旨”なら、自身が発信した“趣旨”とは異なるからと反論すべきだろう。全体的な発言を紹介して、厳重な抗議を申し入れることもできる。

 ネット上の情報は物凄いスピードで拡散する。発言の日から1日置いているが、情報の拡散に対して反論や抗議を通して備えをすべきだが、無防備の状態となっている。

 それとも批判が十分に出回ってから、反論の一撃を加えようと満を持しているのだろうか。

 だとしてもマスコミが伝えている発言のみを把えただけで、その発言は職業蔑視と女性差別に偏り過ぎている。

 親に言われて仕方なく進学した女の子がすべてキャバクラに行くわけであるまい。それが無視できない人数であったとしても、全体から見たら一部であるはずだ。

 当然、自分の責任で高校や大学に行く女の子の方が遥かに多いことになる。

 にも関わらず、自分の責任で進学したのではないことから、学業に失敗した場合の女の子は全てキャバクラに行くかのように吹聴している。

 言わずもがなのことだが、この吹聴はキャバクラという職業を学業失敗者が行くところだと断定視する職業蔑視観に支配されている。

 この職業蔑視観は同時にキャバクラで働くキャバクラ嬢を女性として蔑む女性蔑視観と相互対応している。職業だけを蔑視して、そこで働く女性を蔑視していないということはあり得ない。

 「できちゃった婚をして離婚して、若くして一人親になり貧困になる」の、さも世間を見通しているかのような物の見方にしても、できちゃった婚の女性全てがそうなると決まっているわけではなく、それでも頑張って子どもを育てて自立させることができる女性も存在するはずだ。

 そういった少なくないはずの一般的な例まで無視している。

 例えキャバクラ嬢であったとしても立派な職業である。国会議員の先生方を癒やすこともあるはずだ。

 赤枝恒雄先生はどのような謂れがあるのか、腹の中ではキャバクラという職業とキャバクラ嬢を蔑み、学業に失敗した女の子が行く吹き溜まりであるかのような発言をした。

 いくら国会議員の先生であろうと、そのように発言する資格はない。職業蔑視観や女性蔑視観を抱えていて、それゆえに基本的人権を厳格に解釈できない一人と看做さないわけにはいかない以上、国会議員の資格はない。

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原爆の悲惨さも戦争の悲惨さも国家指導者と国民の戦争遂行への愚かな相互作用が招いた悲惨さに他ならない

2016-04-13 05:54:37 | 政治


 4月12日外相の岸田文雄がG7広島外相会合で広島市を訪れていたフランスのエロー外相と会談し、そのときのエロー外相の発言を「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。   

 核保有国のフランスの外相として各国の外相と共に被爆地・広島を初めて訪問し、原爆資料館などを視察したことについての発言だそうだ。

 エロー仏外相「戦争がもたらす悲惨さを実際に知り、肌で触れて、世界の平和のためにどのような貢献ができるのか改めて考えるよい機会となった}

 戦争は人間が引き起こす。国家指導者が戦争に持っていくことの正当性を煽動し、国民がほぼ一丸となってそれに共鳴・従属して、結果、相互に戦争を煽ることになり、全てを戦争で解決しようとして戦争へと突入していく。

 少なくとも戦前の日本の戦争はそうであり、広島、次いで長崎に原爆投下を招くことになった。

 当然、「戦争がもたらす悲惨さ」とは厳密には国家指導者と国民がもたらす戦争の悲惨さであることを実際の解釈としなければならない。

 戦争の結果としての悲惨さを戦争がもたらしたとだけ認識していた場合、戦争を引き起こした人間の愚かさにいつまでも思い至らない危険性に見舞われることになる。ある種の国家権力とその煽動に同調・従属した国民の愚かしいばかりの相互作用がもたらした戦争の悲惨さと認識することによって、戦争の原因の所在をそこに目を向けることになり、戦争を引き起こさないためのより強い戒めとなる。

 原爆の悲惨さばかりではなく、原爆投下を招くことになった当時の日本の指導者の強がりで成り立たせていた戦争継続の愚かさ、その強がりに呼応して戦争継続に同調し続けた日本国民の“なぜ”を検証してこそ、原爆や戦争に対する教訓とすることができるはずである。

 戦争は人間が引き起こす。その結果としての「戦争がもたらす悲惨さ」は国家指導者と国民が招いた悲惨さに他ならない。

  戦後の国家指導者の多くが戦前の日本の戦争を侵略戦争ではないと肯定しているのは戦争を引き起こすのは人間であり、戦争の結果としての悲惨さを戦争がもたらしたと認識するのみで、国家指導者と指導者に追随した国民の愚かしさがもたらした悲惨さだと認識するだけの力がないからだろう。

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野党3党と共産党の選挙協力は安倍政権を倒すまでと期限限定なら、目的も大義もより明確化できる

2016-04-12 08:03:21 | 政治



 3月29日記者会見。

 谷垣自民幹事長(民進党と共産党の選挙協力に関して)「参院選は(安全保障関連法廃止の)1点で結び付くが、衆院は政権選択の選挙だから協調しない。そうだとすれば甚だおかしい」(時事ドットコム

 4月10日仙台市での講演。

 谷垣自民幹事長「全く意味不明で、あまりにも視野が狭い。岡田代表がなんとか安倍総理大臣に一矢報いたいというだけならば、共産党と組むのは意味があるかもしれないが、どっちの方向に進むのか全く意味不明だ。

 長い目で見て、自民党と対抗して日本の政治を建設的なところに持って行こうという議論にしては、あまりにも視野が狭いと忠告したい」(NHK NEWS WEB
 
 4月10日午後、北海道5区衆院補選札幌市厚別区と江別市での街頭演説。

 菅義偉「共産党の綱領には日米安保条約破棄、自衛隊の解散がある。こうした政党と民進党が一緒になって候補者を擁立している。日本を取り巻く安全保障環境をとくと考えてほしい。国民の生命と平和な暮らしを守るのが政権の仕事だ」(時事ドットコム

 これらの批判は参院選で野党共闘されたなら、自公の議席獲得に響くことになることの危機感の裏返しに違いない。

 自公にとって唯一の安心は批判が功を奏して影響を与えているのか、選挙協力を必ずしも歓迎していない世論の動きであろう。

 4月8日から4月10日に行ったNHK世論調査を見てみる。   

 取り敢えず安倍内閣支持率

 「支持する」42%(先月比-4ポイント)
 「支持しない」39%(先月比+2ポイント)

 民進党と共産党の選挙協力
 
 「大いに評価する」8%
 「ある程度評価する」30%
 「あまり評価しない」30%
 「まったく評価しない」24%

 評価側が合計で38%。非評価側が合計で54%。明らかに不利な状況に立たされている。

 但し今夏の参院選での議席配分への期待を聞いた結果に一抹の望みがないわけではない。

 「与党の議席が増えたほうがよい」23%
 「野党の議席が増えたほうがよい」32%
 「どちらともいえない」40%

 野党議席増への期待が9ポイント上回っている上に態度未定が40ポイント。

 この40ポイントは参院選前の状況次第で野党側にプラスにもマイナスにも動くし、努力次第で動かすこともできる。

 もう一つ、4月9日、10日と行った朝日新聞世論調査から民進党への期待度がどうなっているか見てみる。       

 先ず安倍内閣支持率。

 「支持する」45%(先月比+1ポイント)
 「支持しない」34%(先月比-1ポイント)

 前回調査とほぼ変わらないが、安倍晋三にとっては下がったわけではなく、支持率が1ポイント増えただけマシということか。

 「民主党と維新の党などが合流し、民進党ができました。民進党に期待しますか。期待しませんか」

 「期待する」32%
 「期待しない」58%

 「期待しない」の58%は民進党と共産党との選挙協力にそっくりとマイナスの影響を与える可能性大と言える。

 民進党と共産党、あるいは社民と生活を加えた野党4党の選挙協力を安倍内閣打倒までと期限を限定したなら、より目的を明確化させることができ、大義もより明確に成り立たせることができないだろうか。

 安倍内閣打倒の理由は単に野党の政策と対立する与党の政権だからと言うことだけではなく、経済政策にしても安全保障政策にしても余りにも国家主義的で、普通の国民には危険な政策となっているからである。

 安倍晋三が掲げる経済政策アベノミクスが格差ミクスであることは周知の事実となっている。一般国民や中小零細企業にはさしたる恩恵を与えず、大企業や富裕層により多くの利益を与え、それらの利益が国家の豊かさや強さを表す点で国家が富めばいいという国家優先の国家主義の姿を取っている。

 安全保障政策でも経済強国であるだけでは満足できずに軍事力に偏った軍事力貢献の強国を目指し、そのために日本国憲法の規定を厳格に守るのではなく、議席の数に頼った政権の解釈を優先させて国家の強い姿に拘る国家主義の立場を見せている。

 その他にも戦前回帰を性格とした天皇主義・復古主義も安倍晋三が戦前型国家主義を自らの政治思想としていることを表している。

 安倍晋三のこのような一般国民にとっては危険な国家主義の経済政策・国家主義の安全保障政策を止める方法は安倍政権の打倒以外にない。

 また、谷垣禎一が4月10日の仙台市での講演で、「岡田代表がなんとか安倍総理大臣に一矢報いたいというだけならば、共産党と組むのは意味があるかもしれない」と言っていることに合致するし、選挙協力が「どっちの方向に進むのか全く意味不明だ」と批判していることに対しては安倍晋三の国家主義ではなく、国民を政策対象の主体とした国民主義に向かうためだと主張すれば納得を得ることができる。

 繰返し言うことになるが、野党3党の共産党との選挙協力は安倍晋三の国家主義排除を目的に安倍政権を倒すまでと期限を限定することによって目的も大義もより明確化することができ、より多くの国民に受け入れられると見たが、どうだろうか。

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岸田外相の、更に安倍政権の憲法は認めているからと核保有の備えを言いながら、広島で核廃絶を訴える二股

2016-04-11 08:47:25 | Weblog

 2016年3月18日の参院予算員会。

 横畠裕介内閣法制局長官「憲法上、あらゆる核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えていない。(但し)核兵器に限らず、武器の使用には国内法、国際法上の制約がある」(時事ドットコム

 ここで言っている「国内法」とは一般武器使用に関わる今回改定された自衛隊法などを指しているのだろうが、核兵器保有に関わる国際法とは核拡散防止条約を指している。

 但し核拡散防止条約は第10条第1項で、〈 各締約国は、この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。〉と規定している。

 要するに核拡散防止条約よりも国家の安全保障を上に置いている。

 と言うことは、国家の安全保障を必要に応じて核拡散防止条約と取り替えることができることを意味していることになる。

 例え日本が核拡散防止条約の締結国であったとしても、条約よりも国家の安全保障の優越性が認められている以上、安倍晋三のように手段を選ばない国家の安全保障を金科玉条としている政治家にとっては核保有の制約は最終的には核拡散防止条約ではなく、日本国憲法が唯一カギを握っていることになる。

 その憲法が「あらゆる核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えていない」と、保有の制約を取り外している。

 行く末はこれまでの経験から言っても、日本を取り巻くことになる安全保障環境に先手先手を打つ形になることは目に見えているはずだ。

 憲法や法律についての内閣の統一解釈は内閣法制局が行い、その長である内閣法制局長官の見解は憲法や法律についての内閣の見解を代弁している。

 以上見てきたことから考えて、この日の午後の官房長官の記者会見で菅義偉は「日本が核兵器を使用することはあり得ない」といった趣旨の発言をしているが、核拡散防止条約が国家の安全保障の優越性が認めている以上、横畠長官の「禁止されているとは考えていない」は将来に対する備えを言ったはずだ。対立関係にある核兵器を所有する外国に対する安全保障上の対抗の必要可能性に備えて、現在から憲法は禁止していないことを国民に知らしめておくということであろう。

 アメリカだって、核兵器はなかなか使用できない。ましてや日本が核兵器を保有したとしても、使用はかなりの決断がいる。だが、核兵器を保有していると同時に国の安全保障にとって脅威となっている国が存在する以上、日本も核兵器を保有して相手が攻撃してきた場合の報復の手段としておくことが目には目の最善の抑止力となると考える政治家はゴマンといる。

 そして横畠長官の日本国憲法は核兵器の使用を禁止していない発言は安倍内閣の統一解釈だということである。

 このことは2016年4月の鈴木貴子の質問主意書に対して「憲法9条は一切の核兵器の保有や使用をおよそ禁止しているわけではない。しかし核拡散防止条約及び非核三原則に基づき、一切の核兵器を保有し得ない」(Wikipedia)とする答弁書を閣議決定していることが何よりの証明となる。

 この閣議決定にしても、核拡散防止条約や非核三原則よりも国家の安全保障を優先させていることを承知の禁止事項と見なければならない。

 これまで散々日本国憲法は個別的自衛権を認めているが、集団的自衛権までは認めていないと発言してきたのである。だが、安倍晋三は日本国憲法が禁止しているとしていた集団的自衛権行使を安全保障環境の急変を理由に行使容認に持っていくことに成功したように核拡散防止条約や非核三原則が核兵器の保有を禁止していたとしても、核拡散防止条約に対しての国家の安全保障の優位性を利用して同じ安全保障環境の急変を理由に憲法は禁じていないのだからと、保有に走らない保証はない。

 いずれにしても安倍内閣は核保有を安全保障政策の必要項目に、少なくとも頭の中では入れている。

 岸田外務大臣は4月10日から広島市で始まったG7=主要7カ国外相会合の歓迎行事で挨拶したとマスコミ記事が伝えていたから、外務省のサイトにアクセスしてその挨拶を詳しく見てみた。  
 
 岸田文雄は実現という趣旨で「核兵器のない世界」という言葉を冒頭発言で4回、記者との質疑で1回の合計5回も使っている。

 「世界の指導者に被爆地を訪問して貰い、被曝の実相に触れて貰うということ、これは核兵器のない世界を目指そうという国際的な気運を盛り上げるうえで大変重要なことであると考えています」

 伊勢志摩サミット参加国の「指導者に核兵器のない世界を目指して貰うために被爆地を訪問して貰い、被爆の実相に触れて貰うことは大切なことと思っています」等々。

 二つの発言共に「各国首脳に被爆地を訪問して貰い、被爆の実相に触れて貰うことで核兵器のない世界を目指す国際的な機運を高める機会としたい」といった趣旨となっている。
 
 安倍内閣は、何よりも安倍晋三自身が核保有を安全保障政策の備えとしている。岸田文雄はそのような安倍内閣の重要な一員である。

 にも関わらず、「核兵器のない世界」実現の音頭を取っている。しかも前者を肯定すれば、後者は否定しなければならない相矛盾する関係にある。このように同時に相反する二つの目的を意思することも「二股をかける」と言う。

 前者を否定してこそ、後者の音頭を取る資格が出てくる。

 岸田文雄は「核兵器のない世界」実現の音頭を取っていることが安倍内閣が意思している安全保障政策に矛盾することに気づいていないのだろうか。気づいていてしていることなら、確信犯となって、醜悪そのものである。

 安倍晋三自身は矛盾に気づいていて、本心とは異なる核忌避の態度を見せているはずだ。

 これらのことは今回のG7外相会合で議長国・日本が取り纏める「広島宣言」に「核兵器の非人道性」が盛り込まれない見通しとなったことが一つの回答となるはずだ。

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安倍晋三の丁寧に説明しようがないTPP秘密交渉内容を「国民に丁寧に説明する」という詭弁は参院選対策

2016-04-10 09:23:38 | 政治

 現在、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の承認を求める議案等の国会審議が行われているが、安倍内閣が4月5日提出し、国会質疑中継で映し出された交渉資料は文字列に沿って黒く塗り潰されていて、文字が印字してない空白部分が白く取り残されているシロモノであった。

 民主党の玉木雄一郎が「まっ黒、黒助ですよ。パネルにすると分かるんですが、まさに、のり弁当みたいになってますね」と質疑で批判していた。同じ民主党の緒方林太郎も、「まさにのり弁みたいな」と言っていた。

 TPP交渉はその内容を非公表、交渉文書は協定発効後4年間秘密にする合意がなされているという。

 いわばTPP交渉参加各国政府は守秘義務を課せられた。政府提出の交渉資料が真っ黒に塗り潰されていたとしても、根拠があることになる。

 但し国民の生活を秘密のエサにして交渉することに果たしてどのくらいの正当性があるのだろうか。

 2011年12月22日付の「しんぶん赤旗」が秘密交渉であることを把握して報道している。  

 ニュージーランド国内で労働組合や非政府組織(NGO)が政府に対して交渉内容の公表を迫った。その要求が無視できなくなって、ニュージーランド外務貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官が2011年11月29日、同省の公式サイトに情報を公開できない事情を説明する文書を発表、交渉では各国の提案や交渉文書を極秘扱いとすることと交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることを明らかにした。

 記事は「これまでに公表された唯一の文書は、どんな文書も公表されないという説明の文書だ」との米国のNGO「パブリック・シティズン(一般市民)」の批判の声を伝えている。

 当時の民主党野田政権は2011年11月11日に首相官邸で記者会見し、TPP交渉参加を表明している。           

 野田佳彦「本日は11月11日ということでございます。東日本大震災の発災から8カ月目の節目を迎えます。この節目に当たりまして、改めて震災からの復旧・復興、そして福島原発事故への対応に最優先で取り組んでいく決意をまず表明をしたいというふうに思います。

 TPPへの交渉参加の問題については、この間、与党内、政府内、国民各層において活発な議論が積み重ねられてまいりました。野田内閣発足後に限っても、20数回に亘って、50時間に及ぶ経済連携プロジェクトチームにおける議論が行われてまいりましたし、私自身も、各方面から様々な意見を拝聴をし、熟慮を重ねてまいりました。この間、熱心にご議論をいただき、幅広い視点から知見を提供いただいた関係者の皆さまに心から感謝を申し上げいと思います。

 私としては、明日から参加するホノルルAPEC首脳会合においてTPP交渉参加に向けて関係国との協議に入ることといたしました。もとより、TPPについては、大きなメリットとともに、数多くの懸念が指摘されていることは十二分に認識をしております」

 野田佳彦は2011年11月12日からTPP交渉参加に向けて関係国との協議に入った。協議に入った時点で秘密交渉となっていて、国会の承認を受けて成立し、協定が発効されたとしても、以後4年間はその文書は秘密に付されることを把握していたはずだ。

 このことは17日後の2011年11月29日にニュージーランド外務貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官が秘密交渉であることと協定発効後4年間の守秘義務が合意されていることを明らかにしたことが何よりも証明している。

 当然、安倍政権は合意に至ったプロセスは秘密にして、豚肉の関税はどうのこうのだといった出た答だけを国会審議の対象範囲としたのであり、民主党議員にしても黒塗りを承知の上で国会審議に臨まなければならなかったはずだ。

 但しテストの答案用紙を黒塗りにして、点数だけを書き入れて返却するようなものである。

 いわばテストの結果として出た点数だけでどこをどう正解したのか、どこをどう間違えたのか自分で検証しろと要求するのと同じである。

 各国の利害が絡んでもつれにもつれた多国間交渉の合意に向けたプロセスこそが合意を導き出し、合意結果として表現される。当然、プロセスと合意結果との比較対照が結果の検証の材料足り得るから、国民の知る権利を満たす第一要件として合意に至ったプロセスは外すことのできない要素となる。

 黒塗りして点数だけを書いたテストの答案用紙だけで、間違いや正解に至るプロセスを知ることはできない。結果としての点数よりも、質問から答がどう導き出されることになったのかのプロセスこそが重要となる。

 それを合意結果だけで審議しろと言っている。当然、合意に至ったプロセスを秘密にしている分、国民の知る権利は満足な形を取らないことになる。

 にも関わらず、安倍晋三は4月6日、首相官邸で谷垣幹事長を会談、TPPに関わる国会審議は農業関係者らの不安を払拭するために協定の内容などの丁寧な説明が重要だという認識で一致した同日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。  

 安倍晋三はまた4月8日のTPP特別委員会で同じ趣旨の答弁をしている。

 安倍晋三「政府に求められていることは、TPPによって国民にどういう影響が出るのか委員会での質問に答える中において、真摯(しんし)に説明し、その影響に対してどう対応していくのかだ。質疑を通じて国民に対する説明責任を果たしていきたい」(NHK NEWS WEB)/2016年4月8日 18時24分)
  
 肝心要の合意に至ったプロセスを秘密にしている以上、国会審議を通じた国民の知る権利としての検証は合意結果からのみでは正確には求めようがないのだから、その国会審議で政府側からの「丁寧な説明」(=「国民に対する説明責任」)は政府側も野党側も最初から期待不可能性として予定していなければならなかったはずだ。

 秘密を抱えていて、その秘密を誰にも漏らすまいと固く決意しているに違いないと明らかに見える人間に対して全てを正直に話すことを期待可能性とすることができるだろうか。

 にも関わらず安倍晋三は「丁寧な説明」を言い、「国民に対する説明責任」を言う。

 詭弁そのものだが、そう言わざるを得ないのは誠実な態度をしていないと取られて内閣支持率を下げた場合、今夏の参院選に響いてくることになるからであり、その対策のためなのだろう。

 「丁寧な説明」と「国民に対する説明責任」をさもするかのように見せかけて参院対策としていると言うこともできる。

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