3月29日記者会見。
谷垣自民幹事長(民進党と共産党の選挙協力に関して)「参院選は(安全保障関連法廃止の)1点で結び付くが、衆院は政権選択の選挙だから協調しない。そうだとすれば甚だおかしい」(時事ドットコム)
4月10日仙台市での講演。
谷垣自民幹事長「全く意味不明で、あまりにも視野が狭い。岡田代表がなんとか安倍総理大臣に一矢報いたいというだけならば、共産党と組むのは意味があるかもしれないが、どっちの方向に進むのか全く意味不明だ。
長い目で見て、自民党と対抗して日本の政治を建設的なところに持って行こうという議論にしては、あまりにも視野が狭いと忠告したい」(NHK NEWS WEB)
4月10日午後、北海道5区衆院補選札幌市厚別区と江別市での街頭演説。
菅義偉「共産党の綱領には日米安保条約破棄、自衛隊の解散がある。こうした政党と民進党が一緒になって候補者を擁立している。日本を取り巻く安全保障環境をとくと考えてほしい。国民の生命と平和な暮らしを守るのが政権の仕事だ」(時事ドットコム)
これらの批判は参院選で野党共闘されたなら、自公の議席獲得に響くことになることの危機感の裏返しに違いない。
自公にとって唯一の安心は批判が功を奏して影響を与えているのか、選挙協力を必ずしも歓迎していない世論の動きであろう。
4月8日から4月10日に行ったNHK世論調査を見てみる。
取り敢えず安倍内閣支持率
「支持する」42%(先月比-4ポイント)
「支持しない」39%(先月比+2ポイント)
民進党と共産党の選挙協力
「大いに評価する」8%
「ある程度評価する」30%
「あまり評価しない」30%
「まったく評価しない」24%
評価側が合計で38%。非評価側が合計で54%。明らかに不利な状況に立たされている。
但し今夏の参院選での議席配分への期待を聞いた結果に一抹の望みがないわけではない。
「与党の議席が増えたほうがよい」23%
「野党の議席が増えたほうがよい」32%
「どちらともいえない」40%
野党議席増への期待が9ポイント上回っている上に態度未定が40ポイント。
この40ポイントは参院選前の状況次第で野党側にプラスにもマイナスにも動くし、努力次第で動かすこともできる。
もう一つ、4月9日、10日と行った朝日新聞世論調査から民進党への期待度がどうなっているか見てみる。
先ず安倍内閣支持率。
「支持する」45%(先月比+1ポイント)
「支持しない」34%(先月比-1ポイント)
前回調査とほぼ変わらないが、安倍晋三にとっては下がったわけではなく、支持率が1ポイント増えただけマシということか。
「民主党と維新の党などが合流し、民進党ができました。民進党に期待しますか。期待しませんか」
「期待する」32%
「期待しない」58%
「期待しない」の58%は民進党と共産党との選挙協力にそっくりとマイナスの影響を与える可能性大と言える。
民進党と共産党、あるいは社民と生活を加えた野党4党の選挙協力を安倍内閣打倒までと期限を限定したなら、より目的を明確化させることができ、大義もより明確に成り立たせることができないだろうか。
安倍内閣打倒の理由は単に野党の政策と対立する与党の政権だからと言うことだけではなく、経済政策にしても安全保障政策にしても余りにも国家主義的で、普通の国民には危険な政策となっているからである。
安倍晋三が掲げる経済政策アベノミクスが格差ミクスであることは周知の事実となっている。一般国民や中小零細企業にはさしたる恩恵を与えず、大企業や富裕層により多くの利益を与え、それらの利益が国家の豊かさや強さを表す点で国家が富めばいいという国家優先の国家主義の姿を取っている。
安全保障政策でも経済強国であるだけでは満足できずに軍事力に偏った軍事力貢献の強国を目指し、そのために日本国憲法の規定を厳格に守るのではなく、議席の数に頼った政権の解釈を優先させて国家の強い姿に拘る国家主義の立場を見せている。
その他にも戦前回帰を性格とした天皇主義・復古主義も安倍晋三が戦前型国家主義を自らの政治思想としていることを表している。
安倍晋三のこのような一般国民にとっては危険な国家主義の経済政策・国家主義の安全保障政策を止める方法は安倍政権の打倒以外にない。
また、谷垣禎一が4月10日の仙台市での講演で、「岡田代表がなんとか安倍総理大臣に一矢報いたいというだけならば、共産党と組むのは意味があるかもしれない」と言っていることに合致するし、選挙協力が「どっちの方向に進むのか全く意味不明だ」と批判していることに対しては安倍晋三の国家主義ではなく、国民を政策対象の主体とした国民主義に向かうためだと主張すれば納得を得ることができる。
繰返し言うことになるが、野党3党の共産党との選挙協力は安倍晋三の国家主義排除を目的に安倍政権を倒すまでと期限を限定することによって目的も大義もより明確化することができ、より多くの国民に受け入れられると見たが、どうだろうか。