アベノミクスが“金持ちミクス”であることを改めて教えてくれるロイター記事

2016-04-04 08:23:38 | 政治

 出だしで、〈4月1日、国内消費を支えてきた富裕層と訪日観光客の動きが鈍り始めている。〉と書いている、清水律子氏、編集北松克朗氏の手による《アングル:動き鈍る消費エンジン、「プチ富裕層」と「爆買い」変調》を読むと、安倍晋三の経済政策『アベノミクス」が“金持ミクス”を正体としていることがよく理解できる。   

 富裕層と訪日観光客は消費拡大の原動力になってきた二つのエンジンとして扱っている。アベノミクス推進の主要なエンジンでもある。

 但しここにきてその“金持ミクス”にしてもプチ富裕層と実際の富裕層の間にスタミナの違いが出てきて、異変を生じさせているようだ。両者間の元々の金銭的体力の格差が景気後退による収入の壁に当って、前者がスタミナ切れとまでいかなくても、相当に消費の速度を落とさなければならなくなったということなのだろう。

 記事をなぞってみる。

 〈年初からの株価下落が高級時計の売れ行きなどに影響、「プチ富裕層」の慎重な消費姿勢が顕著になってきた。〉と記事は解説している。

 安倍晋三が再び政治の舞台に踊り出て、その経済政策であるアベノミクスにより富裕層(金持層)が一手にその恩恵を独占状態にすることができ、当初からアベノミクスは“金持ミクス”であることの正体を露わにした。それがここに来ての株価下落や円高となって現れている景気後退の風当たりが先ず最初に金銭的体力の劣るプチ富裕層を直撃することになった。

 この現象は当然、アベノミクスが“金持ミクス”であったことの反動である。その反動が先ずプチ富裕層に訪れた。

 4月1日発表の3月の百貨店売上高速報。

 J.フロント リテイリング宝飾・時計売上高21%減
 高島屋 宝飾売上高6.5%減
     時計売上高4%減
 三越伊勢丹ホールディングス伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店・三越銀座店宝飾・時計売上高3%減

 高島屋広報担当者「百貨店の高額品販売は、株価に対して2―3カ月遅れで連動する。年初からの株価下落により高額品の販売に影響が出ている」

 三越伊勢丹ホールディングス三越日本橋本店時計500万円以上販売個数 前年同月と同水準
                     時計100~500万円販売個数2桁減

 この時計の金額別販売個数にアベノミクスが“金持ミクス”であったにも関わらず、富裕層とプチ富裕層の消費動向に於けるスタミナの差を顕著に示すことになっている。、

 記事は消費拡大の原動力になってきた二つのエンジン のうちのもう一方のエンジンである訪日観光客の消費動向を免税売上高から見ている。

 〈高額品のまとめ買いから、化粧品を中心とした消耗品へと購買対象が移り、客単価が下落している。〉としている。

 三越伊勢丹3月客単価前年同月比17%減・客数30%増

 但し客数増加が免税店売上高を9.1%と逆に伸ばしている。

 高島屋「中国の景気減速の影響が懸念されていたが、中国の富裕層は1億人、そのうちパスポート保有は5%と言われている。まだまだポテンシャルは高い」

 日本の富裕層頼みの消費がプチ富裕層の間で少々息切れが生じている。中国人観光客に於けるプチ富裕層にしても同じ傾向が見られる。そこで訪日観光客の消費を数でこなす方向により傾斜することになっているといったところなのだろう。

 だとしても、全体としてプチ富裕層の消費額が落ち込んでいることに変わりはないし、そのことは今年3月の〈大手デパート5社の売り上げは、衣料品の販売不振に加え、これまで好調だった高級時計や宝飾品などの高額商品の販売が落ちこみ、5社のうち4社で去年の同じ月を下回る厳しい結果となった。〉と「NHK NEWS WEB」の報道にも現れている。  

 グループ全体の売り上げ

 阪急阪神百貨店昨年同月比1.6%増加
 大丸松坂屋同7.1%減少
 そごう・西武同5.7%減少
 三越伊勢丹同2.9%減少
 高島屋同1.2%減少

 この消費減の理由を、〈薄手のコートやセーターなど衣料品の販売不振が続いていることに加えて、これまで好調が続いていた高級時計や宝飾品などの高額商品の売り上げが落ちこんだことが主な要因〉と伝えている。

 デパート担当者「年明けからの株式市場の混乱の影響が出始めたとみている。いわゆる中間層の消費も厳しく、今後もマイナス傾向が続くか慎重に見極めたい」

 ロイター記事を合わせて読むと、高額商品に関してプチ富裕層が消費金額を押さえていると見るほかない。

 このように内外の富裕層が百貨店や免税店の売上(=消費)を支えてきた。

 消費の殆どを食品が占めている低所得層は収入が少しくらい減っても、あるいは食品の値段が上がっても、元々ギリギリの食費を大幅に切り詰めることはできないから、支出に大きな違いは見られない。

 このことは販売側の売上と連動して、売上自体も大きな違いは見られないことになる。

 だが、百貨店や免税店の高額商品の売上が落ち込んでいる。このように大きな動きが出るだけでも、“金持ミクス”内の動きであると同時にアベノミクスが“金持ミクス”であることの証明となる。

 ロイター記事を読んで改めてそのことを認識した。



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