◆領空侵犯事案は無し
防衛省は、4月23日に2008年度に航空自衛隊が実施した対領空侵犯措置任務での緊急発進、いわゆるスクランブル発進の回数を発表した。本日は、この発表についてを掲載。
2008年度のスクランブル発進は、237回。2008年2月9日の小笠原諸島への領空侵犯は記憶に新しいが、2008年4月1日以降、領空侵犯に至った事例は0件であった。この中で国別の割合は、ロシア機が193回、中国機31回、台湾機7回という内訳である。2007年度における緊急発進の回数は307回であり、やや減少はしている。
2004年には、150回以下となっており、2004年以降一貫して増加傾向にあったことを考えると、一概に減少したという事実だけを受け入れることはできない。しかしながら冷戦期の最盛期では、1000回近い緊急発進を行った年もあったことを思い出せば、減少したことも事実ではあるのだが。
他方、3月17日には、ロシア空軍のTu-95爆撃機2機が日本海の防空識別圏内を本州島に沿って南下、隠岐と国際係争地域である竹島の間を飛行し、再びロシアに戻る事例があり、20日には再び隠岐・竹島間の海域をIl-20が偵察飛行を実施、航空自衛隊は両事案に対し緊急発進を行っている。
これまでは、ロシア機による偵察飛行の多くは、太平洋岸を南下するいわゆる“東京急行”と呼ばれる航路での偵察飛行が多かったのだが、今回のような日本海沿いに南下し、隠岐と竹島を飛んだ今回のような経路、今後、日韓の係争地域を飛ぶ、いうなれば“山陰急行”というような経路に転換されるのかに興味がわく。
HARUNA
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