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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

パキスタン大水害へ自衛隊国際緊急援助隊派遣命令8月20日発令!

2010-08-22 22:53:38 | 防衛・安全保障

◆北澤防衛大臣が全自衛隊に命令

 パキスタンの水害は、イタリアの国土に匹敵する面積が沈み、主要産業である綿花栽培は畑ごと全滅、橋梁は広範囲に損傷を受け、被害無しと思われた地域が役場ごと跡形なしであったり、想像を絶する被害が出ています。

Img_9223  インダス川流域に国民の75%以上が生活するパキスタンでの水害です。しかし、ザルダリー大統領が水害発生時に外遊に出ていたなどパキスタン政府による救助活動は停滞状況にあり、現在アメリカ海兵隊が27機のヘリコプターを派遣して救助活動に当たっています。こうした中でアメリカの要請で自衛隊へのヘリコプターの派遣が要請され、日本が踏み切った訳ですが、これはアメリカで大きく報じられています。

Img_7346  パキスタン政府より8月9日、日本政府に対して国際緊急援助隊の派遣要請が出され、事前調査隊等の報告の結果、自衛隊の派遣が妥当であると結論が出され、陸上自衛隊からヘリコプター部隊が、そのヘリコプター部隊の派遣支援に航空自衛隊と海上自衛隊が協力する事となりました。

Img_1061  8月20日、防衛大臣により国際緊急援助隊の編成命令が発令されました。まず、派遣規模はUH-1多用途ヘリコプター3機、CH-47輸送ヘリコプター3機を装備する200名規模の国際緊急航空援助隊を編成、国際緊急航空援助隊はパキスタンにおける物資及び人員輸送にあたり、魔キスタン政府との統合運用調整所を設置し、20名を派遣する、というものです。

Img_3194  人員、航空機及び航空機整備用機材を輸送するために、海上自衛隊からは輸送艦1隻から成るパキスタン国際緊急援助海上輸送隊を編成。航空自衛隊からは第一パキスタン国際緊急援助空輸隊としてC-130H輸送機8機を準備し、6機を輸送任務に、2機を予備機として充てるべく派遣するとのことです。

Img_0278  第一次派遣部隊は西部方面隊が主力となる編成で、報道によれば本日、最初の輸送機部隊のC-130輸送機が航空自衛隊小牧基地を発進、明日までに熊本において陸上自衛隊のヘリコプターを搭載するとのことです。UH-1についてはC-130H輸送機が空輸、おおすみ型輸送艦がCH-47輸送ヘリコプターを輸送する、という方向で間違いなさそうです。

Img_7229  アメリカは今回の災害への対処を重要視しています。パキスタンの水害ですが、この水害被害により生じた無政府状態に乗じてアフガニスタンとパキスタン国境付近の山岳地域に展開していたアルカイーダ系組織が勢力を拡大しつつあるようで、この地域が完全な無政府状態、テロの拠点となる破綻国家と同様の状況に陥ることを防ぐためにも人道支援が必要という位置づけで派遣しているのです。

Img_7010  今回は被災地がカイバルパクトゥンクワ州という内陸部の高山地帯で、本来は中国側から救援を行うのが望ましいのですが、中国側からは責任ある行動を採りたい、としつつも声明以外の救援は全く行われていないようで、海兵隊のヘリコプターが重要な輸送手段となっています。ここに6機の陸上自衛隊ヘリコプターが加わるという意義は大きいでしょう。高山部での任務には苦労が伴うでしょうが、被災者1600万、自衛隊の能力に世界が注目しています。

Img_7421  ところで少々話題は逸れますが、菅直人総理が、三自衛隊の幕僚長と懇談するに当たり、予習したところ防衛大臣は自衛官だと思っていたのに違ったという事、自衛隊の最高指揮官は総理大臣で自分だという事を知ったようです。前の観艦式で副総理として出席した時に傍らの北澤大臣を自衛官と思っていたのですね。こうした指揮官では不安ではありますが、法律は法律です。

HARUNA

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コメント (8)
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