◆発砲焔は今年度も観覧者の度肝を抜くでしょう!
陸上自衛隊の普通科・機甲科・特科職種に関して現代戦の火力行使の実情を教育展示するとともに、最大の公開実弾演習である富士総合火力演習は今週末、一般公開を迎えます。
陸上自衛隊の装備はどのようなものか、また陸上自衛隊の任務遂行能力の高さについて、一般に公開する事で主権者たる国民に示し、対外的な圧力に対して日本の防衛力が万全であることを示す目的があります。また諸外国の駐在武官を招き、同盟国や友好国に対しては日本の防衛力が諸国の信頼にこたえる事が出来ることを明示し、日本の領域や主権、国民の生命財産に対してよからぬ考えを抱く国に対しては、非友好的な行為をわが領域で為すならばそのときはあの標的と同じ運命だ!、ということを誇示する目的もあります。そうした中で、日本の技術の結晶、90式戦車の実弾射撃が持つ意義は非常に大きいです。専守防衛として、言い換えれば開戦即本土決戦という政策を維持する日本では、日本の地形に合わせた国産装備の水準が抑止力を左右します。そこで120㍉滑腔砲、1500馬力エンジン、複合装甲を備えた典型的な第三世代戦車に主砲弾自動装填装置、目標自動追尾装置を加え、50㌧という重量にまとめた90式戦車が陸上での抑止力について決定打となります。しかし、この90式戦車がトラブルを起こしてしまいました。
90式戦車の砲身飛び散る=大規模演習に向けた射撃訓練中-陸自 20日午前11時5分ごろ、静岡県御殿場市の陸上自衛隊東富士演習場畑岡射場で、90式戦車4両が今月末に行われる陸自の「富士総合火力演習」(総火演)に向けて実弾射撃訓練中、1両の砲身の先端が破損するとともに、砲身と砲弾の破片が周囲に飛び散った。 破片の一部は戦車の約200メートル後方に設置された観客席を破損した上で、一部が付近の民有地に落ちたが、けが人はおらず、ほかの設備や戦車などに被害はなかったという。 訓練を実施した陸自富士学校(静岡県小山町)などによると、戦車4両は前進しながら、砲身を90度左に向けて射撃訓練を実施。砲身が破損した戦車は最後部にいた。砲身は先端から約50センチが破損していたという。(2010/08/20-23:47)http://www.jiji.com/jc/zc?k=201008/2010082000938以上です。このように、主砲の砲身が破裂するという事故が発生して、これで原因が究明されなければ富士総合火力演習そのものの実施に関わる、という事になりました。なんとなれ、主砲弾は音速の五倍という速度で相手の戦車の装甲を突き破るものなのですし、その破片が観客席に到達、というのは本番であれば悪夢です。しかし、90式戦車の参加は無しで実施する、90式戦車は発砲のみ行わず参加、と情報源の怪しい情報が飛び交いましたが、本日、動きがありました。
「土詰まった状態で砲弾発射」が原因 戦車事故・・・[2010/08/25 18:15] 御殿場市の東富士演習場で戦車の砲身の中で砲弾が爆発し、破片が民有地まで飛び散った事故について国は25日、地元に対し砲身内に土が詰まった状態で砲弾を発射したことが事故の原因と説明しました。 今月20日、東富士演習場で富士総合火力演習に向けての射撃演習をしていた90式戦車の砲身のなかで砲弾が爆発し、その破片が200メートル離れた仮設の観客スタンドや、民有地にまで飛び散る事故がありました。 25日の安全対策委員会の拡大会議は、地元の求めに応じて国が今週末の富士総合火力演習を前に開きました。この中で国は、訓練走行中の戦車が道路わきの土手を削り、砲身内に土が詰まった状態で砲弾を発射したことや、砲身に草が付着していることに指揮官が気付いたものの、砲撃中止の無線連絡が伝わらなかったことが事故の原因と説明しました。 また、今月28日と29日の総合火力演習での90式戦車の砲撃について、地元は一般の観客も訪れることから事前に立会い安全を確認したうえで実施を了承する考えを示しました。http://.digisbs.com/tv/news/movie_s/20100825000000000069.htm。 ◆
90式戦車は参加し、実弾射撃を行うようです。つまり、東富士演習場を射撃位置へ向かう際に砲身が擦ってしまって、土が詰まった、ということです。想像を絶する圧力で戦車砲弾を打ち出すのですから、行き場を薄なった圧力が先端部分を破裂させてしまった、ということのようです。90式戦車の主砲は44口径砲(120mm×44=砲身長)でして、現在、一部戦車に搭載されており砲身を大きくすることで発射薬の燃焼効率を向上させ初速と威力を向上させる55口径砲が、実は長過ぎて取り回しが苦労する、という、つまり旋回させる際に擦ってしまうという話があるのですが、こういう事もあるのか、という一コマでした。何となれ、射撃が出来るようでよかったです。諸外国の武官を招くのですから、陸上自衛隊の抑止力にも関わる問題です。ここで射撃できなければ、影響は大きいでしょう。また、見学者も空包が用意されていない90式戦車の力強い姿を楽しみにしている方は多く、実弾射撃が行われる見通しというのは嬉しい一報でしょう。撮影のコツはとにかくシャッターを押し続ける事です。30~40枚の連続撮影を続ける事、そして横一列に並んだどの戦車が射撃するのかは、なかなか聞き取れませんので、あまり望遠ズームに頼るのではなく、広角のレンズを併用する事がコツです。今年は遂にあの機体が初の公開実弾射撃を行いますし、今年は北海道から本土には一両もないあの車両が持ち込まれます。入場券をお持ちの方はお楽しみに!
HARUNA
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