北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

衆議院総選挙から明日で一年 自民党から民主党への政権交代

2010-08-28 23:03:29 | 国際・政治

◆政権野党誕生から一年

 明日は富士総合火力演習、飛行が危ぶまれていたF-2や射撃が危ぶまれていた90式戦車も参加するようです。

Img_4674_2  しかし、思い出すのは昨年の富士総合火力演習が、同日、衆議院総選挙だった、という事でしょうか。所要あって総合火力演習終了後はそのまま東京へ、そしてホテルで自民党の惨敗が報じられるのを聞いていました。正直どうなるのか、不安でしたが、しかし、あの衆院選から一年たっていないのですよね、本日の時点では。そもそも鳩山内閣が誕生したのは9月16日、実質一年で首相が3名変わる、という事にもなりかけているわけで、そして日本という国は物凄く変わりましたね。

Img_4753  最高の同盟関係と呼ばれNATOはどうなんよ、と言われていたほど良好だった日米同盟は普天間問題やインド洋給油支援を筆頭にガタガタの状態。防衛予算は無理な削減と任務増大を繰り返して環太平洋合同演習といった重要な訓練にも派遣できないほどの無理強いを続け、下手な融和外交は全て花開き、南西諸島近海での中国海軍の動向活性化と領土紛争拡大の様相を呈しており、普天間問題でタガが外れかけた事で台湾海峡と朝鮮半島の緊張は増大、見事に融和外交が危険な結果をもたらす事を証明してしまい、外交安全保障面では何も日本にとり成果はありませんでした。

Img_8965_2  そもそも自民党が有利な時期の総選挙を逃して不利な時期にまで追い込まれて衆議院を解散したのは経済危機に際して政権交代を行うような政治的空白を作らない、という形で、当時の麻生総理は選挙よりも国民生活を優先した結果、政権を追われる事となりました。新しい民主党は、なにも景気対策を行わずに経済危機を放置すれば経済は急降下するという事を当たり前なのですが証明してしまいました。

Img_1649  そして防衛費よりも高額な子供手当を始めとした支持者取り込みの為のバラマキ政策を実現するために消費税増税や貯蓄税の検討を行うなどしまして、増税と景気回復は両立できるのか、というどこも成し遂げられなかった事に挑戦しようとしています。気がつけば厚生労働省の予算概算要求は28兆円に達する勢いで、高福祉を行おうとしていまして、一方で景気対策を行わずに税収は低下する方向なのですから、国債発行か増税か、とにかく行える手立てを自分から狭めています。政治主導を掲げつつも主導できる能力が無かったために判断に時間が掛かり、現在の異常な円高に際しても介入の可能性をちらつかせることでその時点で介入しない事を表明、状況を悪化させることになり国内製造業は海外退避の決断を迫られている状況です。

Img_9120  何もしない方がいいのでは、というくらいに裏目に出る新政権なのですけれども、しかし何もせずに支持率が得られるのか、と思いきやそうはいかないのが7月の参院選でして、菅直人首相がそのまま国会を経ずして御祝儀相場で高い支持率がある事を自らの支持と勘違いしつつ選挙を行った結果、当然の結果となりました。さて、株価急落と急激な円高に対して必要な時が来れば適切な措置をとる、と首相や財務大臣は発言しているのですが、しかし、適切な時期というのは過ぎつつあります。

Img_4743  穿った見方をすればこれは迫っている民主党総裁選の方が日本経済よりも優先順位にあるのでは、つまり国民の生活よりも党内闘争の方が優先なのでは、と思えてきます。いや、普通に適切は時期は先だ、と考えているのではないか、と言えるかもしれませんが、それはそれで問題でしょう。しかし、決断できない総理、というか与党、いわば政権野党という状況に陥っていますが、この状況下で大規模災害や直接武力侵攻というような有事があった際には、適切に対応することが出来るのでしょうか、非常に不安に思えてきたりします。あの衆院選から僅か一年で、ここまで弾けてしまったのですが、果たしてこの後数年で、日本はどうなるのでしょうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする