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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

米大統領選バラクオバマ大統領再選 二期目オバマ政権と我が国安全保障

2012-11-07 23:05:20 | 国際・政治

◆外交防衛政策は現路線を踏襲

 本日は米大統領選、民主党オバマ候補と共和党ロムニー候補が接戦を続け、正午を少し過ぎた頃、米大統領選の開票が続き大統領選挙人獲得票数過半数を獲得、かなり優勢を保ちオバマ大統領は再選を果たしました。

Bimg_8253 一方、我が国周辺では南西諸島は尖閣諸島において中国公船が19日間連続で我が国領海との接続水域に侵入、海上保安庁はその都度排除していますが不気味な緊張状態が続いています。尖閣諸島は海底資源の宝庫と称されると共に事態は沖縄在沖米軍基地と台湾との中間地点に或る戦略上の要衝で、将来の台湾有事に際してはこの海域を絶対確保しなければ航空戦に発展することは必至で、このリスクが生じたならば米軍の台湾有事介入能力を左右、引いては台湾有事を中国指導者が決断するまでの危険な不確定要素を与えることにもなりかねません。

Img_2616 アメリカは中国に対し如何に外交政策を展開するのか、経済的な関係は今世紀を迎え年々進化を続け、知的財産世界集約拠点アメリカと世界の向上中国というバイラテラル関係が一時超大国と世界で最も活気ある地域における地域大国との武力紛争の危険性を緩和させることが期待されましたが、政冷経熱という日中関係の表現があるように一線を画するのがこの問題領域であり、特にこれまでになかった海洋進出政策をとりつつ、海洋の自由確保という国際公序に逆行する海域領有化という姿勢を示す中国の行動は、かつて我が国がアメリカと不幸な歴史をたどった前世紀大戦以前を思い起こさせます。

Bimg_1402 こうした国際情勢はあるのですが、アメリカ大統領選ではオバマ大統領は現在の基本政策を踏襲しつつ主眼を景気回復と国民皆保険に向け、ロムニー候補はやや曖昧ながら共和党の伝統的な保守を念頭とした自由主義によるアメリカの活力回復を掲げました。この点で多くの方は共和党政権であれば国防費の増額を挙げ強いアメリカを再興する姿勢を示していましたので安全保障上はロムニー候補の大統領就任が安全保障上、特に対中国の姿勢を見る限り理想ではないか、という見方もあるようでした。

Img_6626_2 しかしながら、この視点はややアメリカの二大政党制への偏った見方であり、我が国は事象二大政党制を目指す現与党が見事なまでにが外交と内政を駄目な方向に展開を果たしたのですが、基本、アメリカでは民主党共和党共に外交安全保障政策は何れの政党が与党となろうとも変化しません、アメリカの国益に沿う政策というのは選択肢がもともと少ないためで、経済政策も程度の差異しかありません。従って両党の相違点は人工妊娠中絶の可否と同性婚の可否という点が大きく、オバマ大統領はここに国民皆保険の可否という新しい視点を加えたことが第一期目からの変革点と言えるでしょう。

Bimg_2046_1 安全保障政策への反映ですが、共和党ブッシュ政権下では我が国防衛費の十倍、一年間で中期防二期分を消費するという規模で、これをオバマ政権はかなり削減、これはアフガニスタン撤退とイラク撤収を実現させると共に改革を実現しています。ただ、これはアメリカの経済規模に対して過剰に拡大していた国防費、特に9.11以降のテロとの戦いという一連の流れを安定化させたもので、元々そこまで余力のなかったアメリカの財政規模に合致させたもので、これを超える規模の国防費を継続して計上すれば必ず破綻点と安定を各国防政策への転落は見えていましたので、これを回避したこと自体国防の盤石化という功績があったといえるところ。

Img_2222 以上の点を踏まえますと、我が国の安全保障政策は同盟国への相応の負担を求める、といういわばアメリカに出せる国防費は上限を極めているため、逆に視点を置けば日本を含め独力での防衛基盤を強化することが求められるでしょう。これは独自通貨と国際金融への発言力は今なお中国よりも大きく、経済力では中国が並び追い抜きつつあるものの技術力と知財の面で地域大国としての国力を有する我が国の安定はもはや国際的な財産であり、この日本安定的に経済活動を営み国力を維持強化するうえで、想定されるリスクを如何に管理するかの具体的施策を独力で構築することは、求められ続けるでしょう。

北大路機関:はるな

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