北大路機関

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舞鶴地方隊舞鶴展示訓練2011詳報⑥ 航空部隊の観閲飛行、SH-60編隊とP-3C哨戒機

2013-03-09 22:29:06 | 海上自衛隊 催事

◆航空集団の精鋭、航空部隊の飛行

 舞鶴展示訓練参加部隊は、観閲式を経て一斉に陣形を組み直しました。

Mimg_6998 遙か彼方に慎重に目を凝らしますと、霞の中を直線的に直線状の移動を続ける面のようなものが見え始め、それが寸秒を経て点の集まりであることに気づき、これが航空部隊、という事が漸くわかってきます、400mmズームレンズの写真を拡大すると、それがヘリコプターの編隊であることが分かります。

Mimg_6716 舞鶴展示訓練観閲飛行は、舞鶴航空基地第23航空隊のSH-60J/K哨戒ヘリコプター三機編隊、そして航続するのは厚木航空基地のP-3C哨戒機です。舞鶴地方隊の多用途支援艦やミサイル艇に掃海艇と輸送艦、そして海上保安庁巡視船の上空を飛行してゆく。

Mimg_6731 SH-60J/Kは、HSS-2B対潜哨戒ヘリコプターの後継としてアメリカ製S-70ヘリコプターへ国産対潜器材を搭載したもので、水上戦闘艦の空中センサーという米海軍のSH-60Bの域を超えて、吊下ソナーを搭載する高性能な自己完結型対潜哨戒システムであり、加えて水上戦闘艦との連携を行う。

Mimg_7010 哨戒ヘリコプターは、磁気探知装置やソノブイ、吊下ソナーにより潜水艦を捜索しますが、仮に探知に及ばない場合でも活発なヘリコプターの活動は潜水艦の行動を許しません。そして固定翼哨戒機と異なり、空中でホバーリングし停止できますので、そのまま水中に高性能マイクロフォンであるソナーを降ろして索敵できますので、潜水艦は動きを封じられます。

Mimg_6727 複数の哨戒ヘリコプターが任務に当たる場合、ソノブイにより捜索を行うと併せ、一方が縦横無尽に飛行し磁気探知装置により大まかな潜水艦位置を探ると共に、もう一方がソナーを海中に降ろし、効率的に広範囲を捜索する方式が取られ、このヘリコプターの艦上運用を早い時期から実施してきた海上自衛隊の対潜哨戒への意気込みが分かるでしょう。

Mimg_7019 P-3C哨戒機、海上自衛隊が100機を導入した対潜哨戒機で、搭載j器材が収集した情報をコンピュータにより情報処理し、広い海洋から隠れている潜水艦を見つけ出します。導入費用は1機100億円、当時護衛艦は200億円かた300億円ほどでしたので、それに見合う性能がどのくらい大きいか想像できるでしょう。

Mimg_7022 P-3C哨戒機の捜索能力の大きさは、同時に情報を得るソノブイ八本で四国と同等の面積の海域を哨戒できるそうです。海上に投下するソノブイと機体に搭載するレーダに磁気探知装置の微かな潜水艦兆候をコンピュータが蓄積し照合し、潜水艦の位置を探し出します。水上戦闘艦や哨戒ヘリコプターの情報中継や情報連携を行い、いわば、洋上の司令塔となるわけですね。

Mimg_7026 取得費用が大きいため、日本は100機を導入しましたが、P-3Cは余程海軍航空を重視している国でも10機導入するのは至難と言われるほど。哨戒ヘリコプターのように直接ソナーを海中に降ろすことはできませんが、ヘリコプターとは速度が根本的に違いますし、航続距離も桁違いで、滞空時間も非常に大きい。

Mimg_6777 観閲飛行が完了しますと、艦隊は展示訓練に向け再度陣形を整えます。大海原で展開される舞鶴展示訓練ですが、展示訓練実施海域は決して広くはありません。このため展示の際に何度も陣形を整える必要があるのですが、分刻みの転換と艦隊行動が実現できるのは海上自衛隊の操艦技術の高さゆえ。

Mimg_7038 潜水艦うんりゅう、の浮上、もちろん哨戒ヘリコプターや哨戒機がどんどんと集まったので観念して浮上した、というわけではありません、海上自衛隊の潜水艦は原子力潜水艦のように常に動き続ける機関ではなく、バッテリーに蓄電して動力としているため、非常に静かです。

Mimg_7062 うんりゅう、はAIP機関を搭載する潜水艦で、従来の潜水艦はバッテリーへ蓄電するために浮上しシュノーケルを海面に出して吸気しディーゼルエンジン発電を行う必要がありましたが、AIP機関は大気に依存せず潜ったまま発電できます。艦内に液体酸素と灯油を搭載し機関部内のヘリウムを加熱、この機体の膨張圧を動力としているため、潜ったまま発電できる、という仕組み。

Mimg_6761 潜水艦は潜航中に航空機などからその存在を暴露しないよう、真っ黒な塗装となっています。これが一たび浮上しますと、洋上に真っ黒な鉄の鯨が浮かび上がるわけですから、その威圧感は凄いものがあります。特に日常空間にはあり得ない形状と出現、ここが印象的だ。

Mimg_6777_2 護衛艦とヘリコプター、訓練展示へと、祝賀飛行を終えた航空部隊が、陣形を組み直した展示訓練参加艦艇の近くに展開してきます。今回の特集は舞鶴展示訓練です、従って観閲式の艦隊と観閲飛行の航空部隊は、これから洋上で有事の際に行う行動の一端を見せつけることになるわけです。

Mimg_6749 乗艦しているイージス艦ちょうかい、はイージス艦あたご、護衛艦あまぎり、の後方に就きました。飛行甲板の右舷側、展示が行われる方向に見学の乗艦者が集まっているところが見えるでしょうか、いよいよ舞鶴展示訓練は、訓練展示へと転換してゆきます。

北大路機関:はるな

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コメント (1)
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