◆中空第6航空団F-15と米第18航空団KC-135参加
防衛省航空自衛隊によれば、現在沖縄周辺空域において日米共同の空中給油訓練が実施中です。
この訓練は、航空自衛隊戦闘機とべいうう軍空中給油機の参加の下で実施されており、航空自衛隊戦闘機操縦要員の米軍空中給油機からの給油訓練を以て空中給油能力を向上させると共に、日米相互運用性の向上を図ることが目的とされています。
訓練内容については、第一に米空軍教官から航空自衛隊員に対する空中給油抗議が行われ、第二に航空自衛隊のF-15がKC-135からの空中給油要領を実際に演練、第三に航空警戒管制部隊に対し空中給油に関わる航空管制の要領を教育する、以上の三点から実施されます。
この訓練はは5日から20日まで実施されており、飛行訓練は本日8日から11日まで、訓練参加部隊は中部航空方面隊より小松基地の第6航空団、南西方面航空混成団南西航空警戒管制隊、警戒航空隊が参加し、航空自衛隊からはF-15戦闘機5機が参加、米空軍からはKC-135空中給油機1機が参加しているとのこと。
訓練実施基地は航空自衛隊那覇基地と、その周辺空域と発表されており、沖縄周辺での訓練となりますので、恐らく米空軍からの空中給油機は近傍の嘉手納基地第18航空団に配備されているKC-135が参加するという事なのでしょう。
航空自衛隊ではすでにKC-767空中給油輸送機4機を運用中ですが、米空軍はKC-135だけで750機以上を配備し、運用した実績があり、単なる空中給油ではなく航空戦闘の一環としての戦闘状況を想定した空中給油についても長い研究と実践の蓄積があり、これは他国では到底及びません。
一回離陸し、着陸し給油し再発進を行うことは非常な労力を要します。また、特に航空戦闘に連接する空中給油任務の場合には、空中給油機そのものも航空戦闘の標的となる可能性があり、航空管制との連携により危機を回避しつつ必要な戦闘機への給油をおこなう方策は、平時に長距離を飛行するための空中給油とは異なるものが必要となるのは想像に難くないもの。
このため、自前の空中給油機を装備する航空自衛隊としても、実運用における方策は米空軍からの支援を受けることが確実であり、特に航空自衛隊としてはその任務空域の広さに対し空中給油機の数は決して十分ではなく、必要に応じて米空軍の空中給油機支援を有事の際に受ける、という事も十分考えられるもの。
このなかでも、航空自衛隊に求められる任務対応能力の水準は年々厳しさを増しており、現用航空機としては最大級の戦闘行動半径を誇るF-15であっても、長時間の戦闘空中哨戒の必要性や、有事の際に想定空域での格闘戦を含めた任務遂行の際には、燃料消費も大きくなる。
したがって空中給油機による支援が必要と考えられる分野も多く、冷戦時代までは潤沢な飛行場を有する北海道上空を念頭とした防空戦を想定し、専守防衛の観点からこの種の航空機を保持してきませんでしたが、今後は洋上での任務も多くなり、特殊技術ではなく日常的な水準で技術を保持せねばならなくなるでしょう。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)