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平成25年度陸奥湾機雷戦訓練・掃海特別訓練、7月18日より30日までの期間で実施

2013-07-15 23:27:18 | 防衛・安全保障

◆日米の機雷戦艦艇28隻・航空機10機が参加

 防衛省によれば今週木曜日7月18日から30日までの期間、陸奥湾において平成25年度陸奥湾機雷戦訓練・掃海特別訓練が実施されるようです。

Gimg_4314_1 この規模の訓練は日向灘や錦江湾に陸奥湾などで実施されています。さて、対機雷戦、一見地味に見える機雷ですが、一発で強襲揚陸艦や戦艦を行動不能に陥れたことがあります。洋上でも最も費用対効果の高い脅威は、実は艦艇でも航空機でも潜水艦でもなく、機雷だ、と過去の実戦から検証されています。

Img_5712s この機雷が一たび敷設されるや、その海域は掃海が完了するまでは艦艇は安全に航行できません。そして、例えば日露戦争では日本側が失った戦艦全てが機雷によるもので、黄海海戦や日本海海戦ではなく機雷での主力艦喪失、その恐ろしさが垣間見える事でしょう。

Jimg_6377 今回の平成25年度陸奥湾機雷戦訓練・掃海特別訓練は、日米の艦艇及び航空機が参加し、航空機や艦艇からの訓練機雷敷設に際し、我が方が掃海艇及び無人掃海器具、水中処分隊を展開させ機雷の位置を捜索、処分までの一連の動作を訓練するものと思われます。

Mimg_92381 この訓練へは、日本側が掃海隊群司令德丸伸一海将補、米海軍からは第七対機雷戦隊司令が参加します。部隊参加規模は、海上自衛隊より掃海母艦1隻、掃海艦2隻、掃海艇20隻、掃海官制艇2隻、水中処分母船1隻、P-3C航空機8機。米海軍からは掃海艦1隻、P-3C航空機2機、水中処分員9名が参加、とのこと。

Img_4414i 機雷は機雷敷設艦のほか、航空機や潜水艦により敷設が可能であり、我が国も第二次大戦中に航空機からの大量の機雷敷設により主要港湾と水道を全て封鎖され、軍需産業は破綻し国民は飢餓寸前に追い込まれており、この反省から海上自衛隊は掃海部隊を重視してきました。

Img_84451 また、朝鮮戦争における我が国戦後初の国際貢献は、旧海軍要員による重要航路の警戒掃海任務であり、これが転じて朝鮮半島近海での掃海任務に繋がったことは御承知の通り、海上自衛隊と掃海任務は、実のところ非常に深い歴史的経緯があり、切り離せません。

Img_7039 このほか、台湾有事や朝鮮半島有事などの際には係留機雷が破壊され、浮流機雷となり我が国周辺へ脅威を及ぼすことも十分考えられます。時限装置を義務付けられている浮遊機雷とは異なり係留機雷の係留索が切れて浮流する浮流機雷は潮流に乗り何処までも広がるため、この危険性は無視できません。

Img_6148_1 海上自衛隊の対機雷戦部隊は数的にかなり世界でも大きな能力を有していますがそれ以上に広い海域が任務海域となる可能性もあり、今そこに或る危機、というべきやもしれないでしょう。こうした意味でも、掃海訓練の意味は大きく、高い水準で能力の維持が求められます。

北大路機関:はるな

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コメント (3)
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