◆自民党64議席・民主党15席、参院勢力逆転
本日投票日となった参議院選挙は、本日2330時時点で自民党が64議席を獲得しています。
今回の参院選は、与党自民党と公明党が過半数を確保できるかが大きな課題となっており、これは六年前に民主党が多数を獲得した参院選の影響により、昨年の衆議院総選挙にて政権与党へ返り咲いた自民公明連立与党が参議院での過半数を確保出来なかった、衆参両院での過半数政党の違いが生む政策決定への影響を払拭できるかが注目されてきました。
併せて注目されたのは、前回の衆議院総選挙にて大敗し、政権与党の座から大きく勢力を減らした民主党が、態勢の立て直しへの施策に尽く失敗し、六年前の大勝した参院選改選に際し、勢力を減らすことはやむを得ないとしても、どこまで維持できるのか、という関心があったのですが、20議席を割り込むことは確実となっているもよう。
加えて、日本維新の会、生活の党、みどりの党といった新興政党がどれだけの支持を伸ばすかも注目されていましたが、日本維新の会7議席、生活の党0議席、みどりの党0議席と厳しい現状となっており、更に併せて新興政党から経験を積んだ、みんなの党の議席は6議席、社会民主党は現時点で政党要件を満たせない0議席、共産党が6議席となっているところ。
この成果は、自民党が長い経験と共に裏打ちされた意見集約機能と問題整理に政策立案を経て調整機能を以て政策を出力する体系を構築しているのに対し、前与党であった民主党が経験ある政治家を一定数率いつつも意見集約を筆頭に政策を調整し具現化する能力を欠いていたため、必要な問題への把握と解決策の定時が行えず、大敗した点に合わせ、新興政党への警戒感を醸成していたのではないか、と考えられるでしょう。
今回の参院選は残る9議席がどのように配分されたとしても、自民党と公明党の参院での過半数確保は実現し、衆参両院での優勢を獲得したこととなるため、今後はこれまでのような参院での劣勢を以て必要な政策実現への障壁が無くなったため、安易な表現を行えば名実ともに与党であり、評価される部分と共に失策についても全て責任をおわねばなりません。
自民党は、突き付けられた財政再建問題と経済成長を実績へ結びつけ安定成長の基盤を構築するとともに、近い将来危惧される中国バブルの限界が及ぼす影響に備えると共に、TPP対米交渉での我が国経済成長率と環太平洋地域での経済を中心とした包括的な連携が環太平洋地域の単なる勝ち負けの二元論を越えた協力体制を向上させるに資する体系の構築への成果も求められる。
また、これに留まらず、安全保障体制では日米関係を基調としたアジア地域全般の安定維持や防衛力の再構築に関する問題、インドやヴェトナムにシンガポールやインドネシア、オーストラリアにフィリピンといった近年進む防衛協力の枠組みを如何に進展させ、装備面や法体制面、国際関係と枠組みのめんからの、体裁ではなく成果としての抑止力維持が求められ、財政難下でも必要な選択肢を選ぶことが必要でしょう。
対して、野党に対しては、特に民主党、日本維新の会を中心に、政治家養成と意見集約と政策出力に関する体系構築を行い、単なる反対を行う事のみの政党を越えて、意見集約を経て利害を調整し支持へ繋がり具体的に行使しうる対案を全ての分野で立案しうる基盤を、非常に時間はかかり拙速を求めれば破綻する分野について真剣に取り組んでほしいと思います。
政治とは、国民の問題意識と問題領域毎の意見集約を行い、政策立案を経て法秩序と一長一短を避ける利害調整を経た政策出力を進め、以て具体的政策を具現化させ支持者を広げる、以上の体系を基盤として循環させ継続することで進められます。連立与党に対し現野党に欠如しているのはこの能力で、問題を把握できず非現実的な対応しかできなかったのが民主党、党首意見を伝達する能力以外認めず視野狭窄に陥っているのが日本維新の会、というところ。
政党が与党と昇華するには、この部分を構築する必要があり、議論や討議と意見集約を習慣化させた政治家の養成と共に、保守か革新かの主軸となる不変の政策を元に上記の集約と立案と具現化という三段階を継続的に進める能力を、システム化しなければ、実現できません。今までは与党に反対する、という構図で対応できた野党ですが、与党に反対する党是の野党は与党へ昇華できません。真面目に政治を取り組むならば、今回の参院選後こそ、文字通り民主党や日本維新の会は失うものが無い状態ですから、真剣に取り組み政党としての成長を望みます。
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