◆南西諸島での自衛隊緊急発進急増
時事通信などの報道によれば中国海軍が東シナ海において実弾射撃訓練を行うとのこと。
我が国では参議院選挙が間近の時期ではありますが、中国浙江省海事局によれば9日までに中国海軍による東シナ海での実弾射撃訓練の実施が7日から13日にかけ実施されるため、0000時から1800時までの時間帯に船舶の航行を禁止する航行禁止域を設定しました。
訓練海域は中国の排他的経済水域内ではありますが沖縄県尖閣諸島にも比較的近い海域であり、参院選の近い時期にこの海域に近い海域での実弾射撃訓練実施は、別の政治的メッセージとなる可能性が出てくるかもしれません。
併せて防衛省は平成25年度第1四半期の航空自衛隊緊急発進の件数を発表し、その件数は115件と、2012年度の同時期82件、2011年の同時期58件、2010年度の同時期65件、2009年の同時期59件と比較した場合、文字通り一桁多くなっています。
緊急発進の件数は北部航空方面隊20件と昨年の39件よりも半減、中部航空方面隊は14件と昨年度の12件よりも微増、西部航空方面隊は6件と昨年の同時期機12件よりも半減、対して南西方面航空混成団は75件と昨年度の同時期19件よりも四倍近くに激増しています。
南西方面航空混成団は、昨年の緊急発進件数567件のうち半数以上の318件を数えることとなりましたが、同時期過去五年間との比較を行った場合でも今年の75件に対し、2012年の19件、2011年の32件、2010年の12件、2009年の16件と比べれば尋常ではないことが分かるところ。
また、緊急発進では国別では中国、ロシア、と国別に続くのですが特異な事例としては、2009年を最後に我が国防空識別圏まで航空機を接近させなかった北朝鮮が久々に航空機を飛行させており、今年の第1四半期では9件の接近事案がありました。
さて、昨年度の緊急発進件数は567件とソ連崩壊後の緊急発進件数では最大回数となっており、その状況を見たうえで更に今年度の緊急発進件数を見た場合、その昨年度以上の件数で推移している今年度は最終的に何件となるのかは非常に憂慮せざるを得ない状況となっています。
今年度の防衛白書では以前に増して中国による国際秩序への軍事力による挑戦が周辺諸国との間で摩擦を生じさせており重大な懸念事項であることを明記しましたが、併せて緊急発進件数の増大や参院選間近の時期に軍事的圧力をかけている尖閣諸島の近くの海域での演習は我が国国民へ中国への視点を改めて険しいものとするやもしれません。
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