北大路機関

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江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式詳報④ 舟艇展開

2013-09-25 23:53:49 | 海上自衛隊 催事

◆動き始めた江田島修了式

 海上自衛隊の幹部候補生が大海原へ、練習艦隊出航へ、その見送り準備でしょうか。

Eimg_0151 撮影した昨年、その年末に掲載した際、詳細をという声がありましたが、今回、その一端をお見せできるか、と。練習艦隊出航、これは近海練習航海部隊ならば全国で出入港を迎え見送ることが出来ますが、外洋練習航海部隊とともに出港する様子は見られない、観るならば江田島だ、足を運んだのはこうした感じ。

Eimg_0163 この高速艇が突如姿を現したとくには驚いたのですが、類似している高速艇は特別機動船、江田島基地の特別警備隊や、海賊対処任務へ向かう護衛艦の搭載艇、水中処分隊の一部、それに地方隊の警備隊にも装備されていることは知っています。さて、この特別機動船の所属は何処の部隊か。

Eimg_0169 特別警備隊の所属ではないか、というのは後ほど判明するのですが、特別警備隊は北朝鮮の武装工作船に対する海上警備行動事案を契機に、海上保安庁では実施できない状況下での臨検任務等を想定し、編成された海上自衛隊の特殊部隊で、陸上自衛隊の特殊作戦群よりも編成は早く、自衛隊初の特殊部隊ともいえるもの。

Eimg_0178 江田島基地は特別警備隊の訓練基地であり、部隊は自衛艦隊直轄として特殊警備用舟艇である特別機動船による展開のほか、航空集団などの航空機により迅速に遠隔地へ展開することが可能となっています。通称SBU,部隊名Special Boarding Unitの略称でも呼ばれている部隊です。

Eimg_0189 SBUの編成は中隊規模で、特別警備隊本部、四個小隊、人員規模は70名、となっています。装備は折畳銃床式89式小銃、MP-5短機関銃、SIG-P-226拳銃を装備しており、訓練と要員選抜は海上自衛隊で最も体力と知力に判断力の両立を求められる水中処分隊の隊員を中心に陸警隊や警務隊員などから広く行われている、とのこと。

Eimg_0233 編成までの訓練はイギリス海軍海兵隊特殊舟艇部隊SBSの教官を招き実施されたといいまる。イギリス海兵隊は6500名の要員を以て編成し、総員がコマンドー課程を経て配属される精鋭で、派手な水陸両用装甲車や大型ヘリコプターなどは有さないものの、小型車両と高速揚陸艇に多用途ヘリコプターなどを駆使し、海岸部を制圧し艦隊を防護する精鋭です。

Eimg_0251 実のところ、海上自衛隊の問題点の一つに艦艇基地に対する特殊部隊急襲への対処能力の限界というものが当方としては考えるため、陸警隊等に加え更に、特別警備隊というよりは、コマンドー中隊として全国の基地警備へ、横須賀基地の米海軍対テロ中隊のような任務を付与しなければ折角の艦隊をむだな危険に曝すのでは、とも思うところ。

Eimg_0256 さて、このSBU,海上自衛隊員で30歳未満である条件を観たし、射撃と運動に水泳能力で一定以上の要員から選抜され、二年間の特別警備課程を修了し着任することが出来ます。SBUに配属される際には三曹以上である必要があるため、候補課程に海士で応募し修了した際には三曹に昇進するというのだとか。

Eimg_0257 大きな水飛沫を飛ばしつつ展開する特別機動船、SBUは編成までにイギリスのSBSの支援を受けたのち、創設後はSESLSからの訓練も受けており、現在も有事に備えるとともに、ソマリア沖海賊対処任務へ派遣される護衛艦に要員が同行し、万一の際には海賊の検挙や制圧へ備えています。

Eimg_0267 練習艦隊出航に備え、護衛艦と練習艦は次々と機関を始動させ、燃焼した潤滑油が出港まで時間がちかづいていることを示しています、もっとも時計を見ますと海上自衛隊が発表した時間を参考にしますと、出港まではまだまだ時間はあるようなのですが。

Eimg_0277 候補生は修了式を経て交通船で練習艦と護衛艦へ向かいます、人数が人数ですが乗艦する艦艇は五隻ですから、この時間はそこまで考えなくてもよいのでしょうか、それにしても手持ちのレンズでは流石に、もちろん位置関係もありますが、江田島基地の中の様子までは見えません。

Eimg_0285 先ほどの特別機動船、舞鶴展示訓練などでは水中処分隊員が湾口で展示をしてくれましたが、やはり練習艦隊に対し機動航行展示や水中への飛込みの展示などを行うのでしょうか。それにしても、先ほどの写真のように岸で見送り準備の人たちに手を振るなど、随分フレンドリーですね。

Eimg_0293 フレンドリーすぎると特殊部隊っぽくないので、沿岸部と特別機動船、と少し引いた構図で撮影してみました。それにしても、江田島はそれなりに人口がありまして、この写真も普通の一般道から、特殊部隊が訓練内容について見つからないようにこっそり訓練をするのは難しいような印象がありましたね。

Eimg_0295 さて、出港が御昼過ぎという事ですが何か見れるものがあるだろうと考えて早めの時間帯に江田島まで展開したのは正解でした、そして時計を見ればそろそろ時間帯としては出港準備が進んでゆくところ。カメラを改めて構えレンズ越しで眺めつつ、その時を待ちます。

北大路機関:はるな

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