◆江田島を行き交う船とともに
江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式詳報、前回の掲載から少々間が空いてしまいましたが、江田島の詳報再開です。
出航時間まで、広島の宇品港から江田島へ四時間半も前に展開しましたが、この関係で江田島を行き来する様々な船舶を見ることが出来ました。江田島は二つの橋梁を経て呉と陸路で繋がっているのですが、おお回りとなるので呉港から江田島の小用港まで船では20分ほどですが、陸路では38kmほどあり、京阪本線に匹敵する長さ。
そして広島からも高速船だと非常に早く行けるわけです。しかし、早めに江田島に到着したのは、土地勘が無いことで撮影に最適な位置が分からず、僅かに世界の艦船誌の特集写真からこのあたりでこうした写真が撮れるはずだから、という曖昧な情報限り、これでは早く展開せねばなりません。
また、高速船を交通手段とする交通文化圏に経験が無いので、荒天の際にはどの程度で欠航になるのか、という情報もなく、万一の際には宇品から広島市電で広島駅へ回れ右して呉線から江田島へ展開する、という可能性も考慮しての展開となりました。無論、広島で一泊して朝食を済ませてからの移動というゆったり時間ではありましたが。
しかし、水上交通の文化、先日舞鶴展示訓練で、戦後に京阪に入社し、琵琶湖汽船の航路発展という一時代の第一線という方から話を聞きましたが、興味深く面白い、と思いつつ、どうしても非日常といいますか、市バスや地下鉄とは違う交通機関、という印象を持ったりしました。しかし日本は海洋国家、もっと海に親しまなければ、とも思ったところ。
逆に考えれば、古くから海運と縁がある呉だからこそ、此処に海軍兵学校が置かれたのでしょうか、横須賀や舞鶴ですと海運や漁業の拠点ではあっても、バス替わりや電車替わりに通勤通学の足に船舶、という印象はありません。佐世保は、呉と同じように高速船や連絡船が生活の足になっていましたが、ね。
時間が充分あるので、さきほど、前回の掲載で撮影した位置の近く、旧かんぽの宿のあった高台を望見する。ここから江田島が望見出来る、とガイドブック的な本で聞いたのですが取り壊し中で立ち入り禁止です。しかし、そもそも取り壊し前でも宿泊施設の敷地で撮影なんか大丈夫なのかな、と。
そのガイドブックを元にいつもご一緒する方が佐世保の撮影に向かったところ、入り口で立ち入り禁止のような雰囲気を感じ、聞けば立ち入り禁止&危険区域だったらしく、絶対入らないように、と教えていただいたとのこと。同書では、撮影マナーを厳しく守るように記載していたのですが、ううむ。
停泊艦艇の全景。この時間帯となりますと、自動車で撮影へ集まってくる方が多くなりました、逆に高速艇で撮影へ展開したのは殆ど無く、参考までに当方が利用した高速船では、それらしい人は当方一人のみ、まあ、確かに先ほどタクシーを利用しましたし、撮影位置を自由に検討する上では自動車が一番の選択なのかも。
広島と言えば牡蠣ですが、ここ江田島も牡蠣が名産です。海上自衛隊の基地は横須賀に佐世保、舞鶴や大湊に呉とありますが、牡蠣筏はここくらいのもので、海を往く護衛艦や潜水艦の背景に牡蠣筏が浮かんでいる情景こそ呉基地の風物詩というべき情景で、出港準備を待つ最中、牡蠣筏の作業は粛々と進みます。
停泊していた練習艦と護衛艦の機関部から順次白煙が昇ります、機関部の潤滑油が機関始動と共に燃焼して発した白煙で、いよいよ出港に向けて準備が本格化した、という事ですね。江田島基地の大講堂では修了証書が手渡され、候補生が3尉へ任官するまさにその最中というところでしょう。
牡蠣筏の輸送、家屋がそのまま海を進んでいるような情景です。ちなみに、今年知ったのですが牡蠣をそのまま食べさせてくれる鉄板焼き食堂がこの撮影位置から250mほどのところにあり、とりあえず牡蠣バター炒めを注文しますと500円で物凄い量の牡蠣が出てきました。来年は、もう一時間早く展開し、美味しい牡蠣で、出来れば一杯やりつつ待ちたいところ。
タグボートが進んでいますが、これも牡蠣筏を運ぶためのものです。最初は出港のための支援かな、とも思ったのですが護衛艦も練習艦も沖留で接岸していませんので、考えてみれば牡蠣筏は大きなもので一定以上の距離を運ぶ場合、必要になる。
牡蠣筏と護衛艦くらま、ですが期間が動き始めると共に江田島全体に動きのようなものが感じられてきます。機関始動とともにエンジンの鼓動が伝わってきます、此処まで聞こえるわけではないと思いつつ、レンズで音源を探しますと飛ぶ鳥と共に動く影のようなものが近づくの気気付いたところ。
高速で動く複合艇のようなものが、一瞬舞鶴でよく見かける水中処分隊のボートなのだろうと思ったのですが、それにしては動きが、と。これは昨年撮影した写真の中で、観艦式と並び個人的に一番驚いた瞬間の一つですが、江田島基地にはあの部隊がいたことを思い出した瞬間でもありました。
海上自衛隊特殊警備隊、北朝鮮武装工作船浸透事案を契機に長年の必要性が具現化することとなり、近年は中国海軍の軍事的圧力が顕在化するなかで注目を集めている部隊で、イギリス海軍特殊舟艇部隊SBSの支援なども受け創設された海上自衛隊の特殊部隊は江田島基地に展開しています、近づく高速艇はその特殊警備隊なのでしょうか、それとも水中処分隊なのでしょうか、こちらは次回に。
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