北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:方面航空隊へ方面普通科連隊を配置し方面空中機動混成団を編成すべき

2014-01-20 23:52:35 | 防衛・安全保障

◆五個空中機動旅団に相当する防衛力が整備可能

 方面空中機動混成団、幾度か当方が記事として紹介したつもりでしたが、意外と一つの記事に集中していませんでしたので提案を備忘録的に。

Aimg_0792 方面空中機動混成団、方面航空隊隷下の多用途ヘリコプター隊・対戦車ヘリコプター隊の空中機動能力を最大限活かすべく、方面普通科連隊と方面対舟艇対戦車隊に後方支援部隊を編成に組み込み、航空打撃力と地域展開能力を兼ね備えた空中機動旅団と出来ないか、こうした提案です。

Kimg_1176 方面空中機動混成団編成案は以下の通り。方面航空隊・方面普通科連隊・方面対舟艇対戦車隊・方面航空整備隊、以上です。方面普通科連隊・本部管理中隊・第1中隊・第2中隊・第3中隊、こうしたところが妥当な線でしょう。通信小隊と施設作業小隊は本部管理中隊に所属する。

Bimg_2336 方面航空隊の現状。北部方面隊、東北方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊には方面航空隊が配置されていますが、意外と大きな空中機動能力を有しています。主として各方面隊は一個普通科中隊の空中機動能力整備を目標とし、更に戦略予備として対戦車ヘリコプター隊を整備してきました。

Aimg_9773 多用途ヘリコプター隊はUH-1H/J多用途ヘリコプター20機を装備しており、対戦車ヘリコプター隊はAH-1S対戦車ヘリコプター16機を装備しています。また、双方ともにOH-6観測ヘリコプターを数機づつ装備していまして、概ね45機程度のヘリコプターを装備、米軍の師団航空旅団ほどではありませんが、装備数だけを見れが各方円隊にこれだけの空中機動部隊を装備していることはかなりのものといえるでしょう。

Img_0534 西部方面航空隊と北部方面航空隊は一定数のCH-47J/JA輸送ヘリコプターを装備しています。陸上自衛隊は50機程度のCH-47J/JAを保有しているとあり、第1ヘリコプター団に32機、第12ヘリコプター隊に8機、そのほか、西部方面航空隊、北部方面航空隊、第15ヘリコプター隊、航空学校が装備しています。

Aimg_2034 そのため機数を考えれば文字通り数機程度ではありますが、大型で航続距離も大きい分取得費用と維持費用が大きいため中小国を見ればCH-47規模のヘリコプターを一機も保有していない陸軍、というのも珍しくはありませんので、そもそも少数であっても配備出来る事は貴重と言えるでしょう。

Img_5874 陸上自衛隊は現在、群馬県相馬原の第12旅団を空中機動旅団として、機動力を重視していますが、保有装備はCH-47J/JAが8機、UH-60JAが8機、OH-6が4機程度、といわれますので、大型のCH-47J/JAが装備されている分、重装備の空輸能力は大きいですが、機数では下回ります。

Gimg_4136 また、第12旅団は車載機動可能な対戦車ミサイルを装備する対戦車隊を有していますが、対戦車ヘリコプターや戦闘ヘリコプターを装備しませので航空打撃力を欠いています。それならば、対戦車ヘリコプター隊を編成に有している方面航空隊の打撃力は、中々無視できない部隊であるといえるでしょう。

Img_2421 方面航空隊に方面普通科連隊を配置する、こうすることで航空打撃力に支援された空中機動旅団型の部隊を即座に編成することが可能です。普通科は地域占領能力を有しますので、緊要地形への迅速な展開や航空対戦車打撃力の補完、機動防衛力には打って付けの部隊となります。

Aimg_24371 それでは、何故これまでこうした運用が為されなかったのでしょうか、理由は単純でして、陸上自衛隊としては方面航空隊は有事の際に多用途ヘリコプター部隊を第一線の師団指揮下に組み込むことで第一線師団の空中機動能力を迅速に強化する、という方式を採っていたからなのでした。

Img_9911 しかし、この方式では空中機動という手法を全陸上自衛隊が平時から訓練することで様々な運用に対応する能力を付与することが出来るのですが、空中機動部隊には装甲車両を随伴させることが出来ませんし、重迫撃砲や対舟艇対戦車誘導弾といった重装備なども輸送ヘリコプターが無ければ中々輸送が出来ません。

Aimg_2495 陸上自衛隊の機械化と重装備の普通科部隊への配備はこの二十年間で大きく前進しました、高機動車に軽装甲機動車、中距離多目的誘導弾と対舟艇対戦車誘導弾、120mm重迫撃砲など。それならば、専門の重装備を最大限省いた普通科連隊を方面普通科連隊として整備し、機動力を強化したほうが良いのではないでしょうか。

Iimg_7731 提案する方面普通科連隊は、三個中隊編制で、120mm重迫撃砲はCH-47J/JA輸送ヘリコプターが確保できる場合に装備しますが、主として81mm迫撃砲を装備し、車両も飛行場までの移動を主体として3t半トラックと高機動車を主体として編成します。

Img_3417 可能な範囲内で2~3機のCH-47J/JA輸送ヘリコプターを確保します。こうすることで、高機動車の輸送が可能となり、更に重装備の輸送が可能となります。特に対戦車ヘリコプターと戦闘ヘリコプターは比類なき航空打撃力を発揮しますが、滞空時間に限度があり、長時間戦域を確保できません。

Fimg_6708 方面対舟艇対戦車隊、現在すでに装備された96指揮多目的誘導弾が師団や旅団装備から順次方面隊直轄部隊へ移管されています。これは非常に大きな射程と光ファイバー誘導方式を有する優秀装備であるものですが、優秀な一方、第一線部隊でゃつ買いにくい状況がありました。

Fimg_2347 96式多目的誘導弾は七両の車両の連携が無ければ運用できず、加えて大きな射程に見合う観測能力を第一線師団や旅団が供することが出来ない現状に起因しています。そして高価格であるため冷戦後の今日では数が揃えられないため、このため、方面隊に集中配備する方式になった、ということ。

Fimg_5589 多目的誘導弾は射程が大きい装備ですが我が国海岸線や離島の数に対して、その数的状況は充分とは言えません。ですから、空中機動部隊へ配備し、機動運用してこそその能力を最大限言明日ことが出来ますし、空中機動部隊の空輸能力には上限があるからこそ、能力の大きな装備を充て、限られた火力を最大限支援する、意味は大きいのではないでしょうか。

Hbimg_1256 方面航空隊に配備し、その譜面航空隊にCH-47J/JAが配備されていれば、重量的に楽ではありませんが空中機動が可能です。そしてヘリコプターと異なり地上の対戦車部隊は長時間その地域を占領し対戦車能力を継続して発揮可能です。この優位性は無視できません。

Img_8999 理想としてはCD-80軽量120mm榴弾砲やM-777軽量155mm榴弾砲を装備する特科大隊があれば、空中機動能力を更に活かせるのですが、標定能力等で限界が生じますので、それならば射程は最新鋭の野砲ほどではないにしても射程が長い多目的誘導弾を配備する方が理想、というところ。

Img_3683a 方面航空混成団/方面空中機動混成団/方面空中機動旅団、呼称は色々とありえるでしょうけれども、部隊は航空打撃力と地域占領能力に地域火力制圧能力を持ち、緊要地形の先制確保、機動対戦車火力戦闘、緊急展開能力、以上を発揮することが出来るでしょう。

Dbimg_3333 装備は大きすぎませんので、甲板係留を多用すればかなりの数のヘリコプターと普通科部隊をヘリコプター搭載護衛艦により輸送可能です。一回の空中機動で20機の多用途ヘリコプターは一個中隊を輸送できる、人員だけならば220名程度を機動可能ですので、重装備を含め縮小編制ならば重装備もともに機動できます、稼働率にもよりますが。

Img_9849a また、補給艦や輸送艦の甲板を中継して機動する飛び石方式を採用したならば、かなりの距離を迅速に展開することが可能でしょう。従って、方面隊隷下に或る空中機動部隊ですが、有事に際に統合運用部隊が組織されたならば、その一員として遠距離を迅速に展開することも可能なのです。

Himg_0998 重装備部隊とは別にこうした空中機動部隊を全国に展開させることが出来たならば、戦車や装甲車などの重装備の輸送に輸送艦を特化させることが出来、任務に対して輸送艦が不足する自衛隊としては文字通り天恵の装備運用体系、と言えるかもしれません。

Gimg_1716 このほか、情報連携と携帯装備の多様化は空中機動旅団に単なる軽歩兵部隊の機動力向上という運用以上に専門性を求める事となり、他の普通科部隊についても空中機動力の対応能力強化は必要ではあるのですが、専門部隊の創設という意義と両立できないものでもないといえるところ。

Img_1886 空中機動部隊は集中運用してこその利点があります。そして専門性を有したほうが、普通科部隊の装甲防御力や自動車化という流れに空中機動の優位性を活かすことに繋がるでしょう。こうした意味からも方面航空隊へ方面普通科連隊と対舟艇対戦車隊を配置し、空中機動旅団型の混成団を創設する意味は大きいと考えます。

北大路機関:はるな

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