◆P-1哨戒機も気が付けば七機目
海上自衛隊の最新鋭哨戒機P-1哨戒機07号機の写真が今週撮影できましたのでお伝えしましょう。
機首と垂直尾翼に07、と記載があり7号機であることを示しています。P-1は量産機の試験が進み、昨年は高高度急降下試験中のトラブルにも見舞われましたが解決策の目処が付き、飛行試験は再開されていますが、同時に量産も進められ、試作機2機とともに量産機が川崎重工において生産中です。07、という数字は写真をトリミングして気づきました。しかし改めて考えればP-1哨戒機も気が付けば七機目、初号機の試験飛行から見守っている当方としては、やはりある種感慨深く思うものがあります。
P-1哨戒機で毎回困るのは音が小さすぎる点で、どの程度かと問われれば表現が難しいのですが、同程度の高度を往く航空自衛隊が運用する小型のT-400基本操縦練習機と同じ程度でしかないため、気づいた時には既に頭上を通過している、というところです。若干音が甲高いので、気を付けていればP-1,という事に気づくのですが。今回も超望遠レンズを用意する時間はもちろん、ズーム安全装置を外す時間的余裕もなく、慌ててカメラを向けた、というところなのですが。
P-1哨戒機は川崎重工を主契約企業として我が国航空産業及び防衛電子産業が総力を結集して開発した国産機で、同時に航空自衛隊のC-2輸送機を開発し、機体構造部分やエンジンこそ別物ですが最大限の部品を共通化し、開発費を極力抑えていると共に能力はP-3Cと比較し、航続距離が6500kmから8000kmに延伸され那覇航空基地を基点とした場合インドネシア北部までが含まれる広大なものとなったほか、飛行高度も8800mから13000mとなり、高い高度からより広い海域の哨戒が可能です。
フライ・バイ・ライト方式の操縦機構を採用、四基のXF7-10エンジンにより高高度巡航から旧軌道と低空低速飛行まで安定した操縦性能を有し、我が国で実績あるAESA方式レーダーの最新型HPS-106を搭載し、P-3C哨戒機の近代化と共に技術を温め続けた各種装備、ソノブイや音響情報処理装置、FLIR赤外線探知装置にESM電波探知機やMAD磁気探知装置等を駆使し、海中の潜水艦を探すと共に遠距離の水上艦情報を収集します。索敵情報はMIDS-LVTデータリンクシステムにより瞬時に共用化され、戦域情報優位を保つというもの。
進出速度が向上し高高度から広い海域のソノブイ情報やその他潜水艦の兆候を把握する本機は文字通り海洋国家日本に不可欠な新型航空機であり、同時に嘉手納基地へ配備が開始された米海軍のP-8A哨戒機との連携も設計時より念頭に置いて開発されています。海上自衛隊、と胴体後部に明記されており技術研究本部、と初号機に明示されていたことと比べれば量産機は全てそうでしたが、P-1哨戒機の開発完了は昨年三月、厚木航空基地より量産機が試験中で来年には実任務運用につくこともあり、改めてこちらも印象的です。
機体塗装が迷彩を意識していることが、この角度から見ると非常によく分かります。さてさて、七号機となりますとやはり、まだ一月ではありますが来年には自衛隊観艦式が行われます。P-1哨戒機は編隊で祝賀飛行に参加するのか、今年の航空観閲式には百里に海上自衛隊機として並びその威容を示すのか、昨年地上展示されたといいます鹿屋航空基地祭では今年は来るのかという事と飛行するのか、気が早いといわれるところではあるでしょうけれども、気になるところですね。
北大路機関:はるな
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