◆最新ステルス揚陸艦配備と機雷戦艦艇近代化
NHK等の報道によれば、米海軍は最新鋭のサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦の佐世保配備を決定したとのことです。
佐世保基地には強襲揚陸艦ボノムリシャールが配備されていますが、加えてホイットビーアイランド級ドック型揚陸艦と旧式化したアンカレッジ級ドック型揚陸艦等、揚陸艇の母艦として洋上より重装備部隊を輸送する両用戦艦が配備され、在沖米海兵隊と共に西太平洋上における平和と安定の重要な抑止力となっています。このうち、アンカレッジ級が来年2月に置き換えられるとの発表です。
今回配備されるサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦は、旧式化したオースチン級を置き換えるもので、同型は1960年代に設計され、12隻が建造されたものの老朽化が進み現在は佐世保に残るデンバーが同型艦で最後の一隻となっています。オースチン級は満載排水量17500t、旧式ですがLCACを運用出来、CH-46中型ヘリコプターも甲板係留で6機搭載可能、古くとも実用性は高いのですが、古くなりすぎました。
佐世保基地の主力は満載非水量16200tの穂イットビーアイランド級で、エアクッション揚陸艇の運用を前提に建造されたため、四隻のLCACを運用可能です。ここへ最新型のサンアントニオ級が配備されることとなります。同型は2006年に一番艦が就役したばかりという最新鋭艦で、アメリカの西太平洋重視の姿勢を端的に示すものと言えましょう。
サンアントニオ級はドック型揚陸艦を基本とし、戦車揚陸艦機能と輸送揚陸艦機能等を集約した設計であると共に高度なステルス設計を採用した新世代の揚陸艦で、満載排水量25600t、ステルス性を大胆に取り込んだ外見からは恐らく我が国の報道ではステルス揚陸艦として紹介されることとなるかもしれません。
このほか、米海軍は佐世保に前方展開させているアヴェンジャー級掃海艦の4隻のうち初期型にあたるアヴェンジャーとディフェンダーの2隻を、後期建造艦であるパイオニアとチーフに置き換える計画を発表しました。アヴェンジャー級の後継に2018年までにインディペンデンス級LCSの佐世保配備が報じられているため、半々の装備となるのでしょうか。
米海軍は深深度機雷対処用のアヴェンジャー級14隻以外の機雷対処は全て航空掃海と汎用艦に置き換えており、そのうちの4隻が佐世保に配備されている事実も、やはりこの海域を如何に重視しているかの表れと言えるでしょう。こちらは今年五月にも実施されるとのこと。
このほか、原子力空母ジョージワシントンの定期整備交代へ原子力空母ロナルドレーガンが配備されることは既報ですが、加えて米軍は嘉手納基地の海軍P-3C哨戒機を最新のP-8A哨戒機へ代替しており、空軍は千歳と三沢に嘉手納とF-22戦闘機のローテーション配備を開始、F-35戦闘機の海外最初の前方展開なども岩国航空基地が有力視されています。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)