◆管区連隊の機動大隊と予備大隊の基幹案
日本の普通科連隊は実質諸外国の大隊規模ではないか、という視点に対する少々無茶な解決策であり、且つ備忘録故の思考運動の私案の一つ。
普通科連隊第二大隊(予備大隊)、大隊本部・即応予備自衛官中隊・予備自衛官中隊・共通教育中隊、少々無茶な編成ではありますが、この第二大隊を普通科連隊に編入し、平時に常備自衛官の本部管理中隊に第一大隊と重迫撃砲中隊と共に普通科連隊を編成する、という案をひとつ。
第一普通科大隊は四輪駆動機動装甲車の二個中隊を軽装甲機動車一個中隊を以て編成、二個大隊と本部管理中隊に重迫撃砲中隊を基幹とし、本部管理中隊定員を200名、重迫撃砲中隊定員を200名、第一大隊を師団普通科連隊中隊編制とし600名、第二大隊を空挺大隊に範を採った中隊に定員を見出し400名を定員、一個普通科連隊を1400名とする案です。
連隊長は管区内の行政関係と防災面及び民生支援での窓口という地位を重要視し、連隊旗を輸する普通科連隊を自衛隊の基幹編成と捉え運用するに当たり、導き出した方式で、戦前の郷土連隊方式の利点を最大限活かした方策です。第二大隊は全て高機動車を運用、連隊管区内での即応予備自衛官教育と予備自衛官の集合を地方協力本部と共に担当するというもの。
新隊員と自衛隊候補生の教育についても運用し、一種予備自衛官教育と新隊員教育を担う方面混成団の任務を引き継いだ形を採ります。即ち、この案では連隊長は管区連隊として管区を受け持ち、管区内での全ての責任を持つ指揮官として平時には機能する、というもの。
第一大隊は機動運用を念頭とし常備自衛官のみとして機能し、隷下の三個中隊は四輪駆動機動装甲車と軽装甲機動車を装備します。第二大隊は基盤的防衛力を念頭とし、機動運用には参加せず、有事の際には予備自衛官を招集し駐屯地と管区内の警備任務に当たると共に、大規模有事や大規模災害時には機動運用部隊である第一大隊が展開したのち、駐屯地に留守部隊として残る。
そして必要であれば即応予備自衛官中隊が管区内の警備巡回に当たり、予備自衛官及び新隊員の共通教育中隊は近傍災害派遣や駐屯地警備、弾薬輸送等の任務に当たります。即ち、平時は双方ともに基盤的防衛力を指向した配置を採りますが、有事の際には第一大隊は重迫撃砲中隊と共に機動運用し、第二大隊のみが切り離して運用される、というかたち。
この案では、全管区連隊が編制に予備自衛官を組み込むという変則的な運用を強いられますが、あくまで連隊の主力は本部管理中隊・第一大隊・重迫撃砲中隊であり、一方で管区を持ち、有事の際にもその地域に基盤を残す、留守部隊を配置し不測の事態に備える部隊という意味で予備部隊としての第二大隊を持つというものです。
防衛出動に際して機動運用に対応するのは連隊の1400名のうち、1000名のみ、連隊の平時定員は第二大隊が新隊員と基幹要員のみ、基幹要員以外は実員に数えないのであれば100名程度、実質1100名、というものになります。
現行の編成よりも第一大隊の三個普通科連隊のみでは現状の普通科連隊の定員よりも実員が少なくなっていますが、機動運用に際し留守部隊を予め別部隊として待機させるため、後顧の憂いが無くなる、という大きな利点があるでしょう。
何故こうした案を提示したか、と言いますと、普通科中隊の抽出に目的があります。これまでの提案で基盤的防衛力と動的防衛力、戦車の縮小と集中運用という新防衛大綱に基づく一連の変革に際し、方面航空隊のヘリコプター部隊を中心に普通科連隊と対舟艇対戦車隊等を付与した方面航空混成団の提案しました。
加えて、戦車300両時代に機甲師団所要を除く150両の戦車を効率運用する方策として、戦車中隊に二個装甲戦闘車中隊と特科混成中隊を加えた機械化大隊を二個編成に組み込み、各方面隊に戦車二個中隊30両と装甲戦闘車60両を装備する方面装甲混成団を配置し、少数の戦車を集中運用する苦肉の策、装甲戦闘車と共に装甲車両の数を確保したうえで機動打撃能力を保持する提案を行いました。
これらの施策には現役中隊を抽出し常備自衛官の部隊として編成完結する必要があり、他方でこれ以上、全国の普通科連隊から部隊を割く事は出来ない、とした上でのそれならば、即応予備自衛官部隊を造成し、予備役を増やすことで動員時の規模を増やす方向で対応できないか、と苦肉の策として提示したものです。
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