■週報:世界の防衛,最新の論点
今回は海軍艦艇、中でも全通飛行甲板型艦艇と水上戦闘艦に焦点を合わせてみてゆきましょう。まずは海上自衛隊増員の話題から。

海上自衛隊の定員を2000名増員する、政府はミサイル防衛として導入が中止されたイージスアショア陸上配備ミサイル防衛システムの代案として海上自衛隊イージス艦増強を進める方針を固め、この方針具現化へイージス艦運用等に必要となる人員を確保するべく海上自衛隊の定員を現在の4万3000名から数年間で4万5000名まで増員するとしています。

2000名の増員は早ければ2021年度予算に最初の人員増加を盛り込む事とし、イージス艦の乗員確保とともに前防衛大綱から進む潜水艦22隻へ増強に伴う人員不足の解消も見込むという。勿論これだけでは人員不足は変らず、陸上自衛隊との運用統合を前進させ海上自衛隊から陸上自衛隊との相互協力により移管できる任務領域は大胆に実施する事でも補う。

充足率予算体制の終了、今回の海上自衛隊増員とともに大きな改編が行われます。政府は自衛隊の人員について定員の人件費ではなく充足率を見込み定員以下の予算しか財務当局が認めないという現在の方針を改め、定員通りの人件費を確保する事で防衛計画の大綱に盛り込まれた防衛力整備を着実に行う方針と考えられます。増員は数年間かけ行われます。
■強襲揚陸艦トリポリ就役
アメリカ級揚陸艦、航空母艦を除けば最大の水上戦闘艦であり世界最大の強襲揚陸艦が増強された話題です。

強襲揚陸艦トリポリ就役、アメリカ級揚陸艦二番艦でF-35Bなど海兵航空部隊運用に特化した強襲揚陸艦です。強襲揚陸艦ボノムリシャールの火災事故があり、ほぼ全損に近い被害を受けた中でアメリカ級のトリポリ竣工は一つの僥倖といえるでしょう。アメリカ級はワスプ級強襲揚陸艦の拡大改良型ですが、最大の相違はウェルドックの有無というもの。

アメリカ級強襲揚陸艦は航空機運用を重視し、艦載機燃料区画を充分に確保する観点から揚陸艇等を収容するウェルドックを省いています。こうした設計は初の強襲揚陸艦であるイオージマ級以来ですが、これはエセックス級空母を転用したキアサージ級強襲揚陸艦の代替という強襲揚陸艦草創期故の設計であり、続くタラワ級以来はドックを有しています。

アメリカ級は揚陸艇の輸送力をドック型輸送揚陸艦等に依存するという前提での設計ですが、第一線で上陸作戦に当る海兵隊としては空中機動力では主力装備である両用強襲車や戦車に重装備等を揚陸できないとして、貴重な強襲揚陸艦を補助空母として取り上げられかねないとの反発もあり、三番艦からはウェルドックを有する後期型に移行する予定です。
■米強襲揚陸艦バターンの改修
ワスプ級強襲揚陸艦バターンが改修を受けF-35B運用能力を獲得する計画が発表されました、。

アメリカ海軍は8月、強襲揚陸艦バターンの近代化改修へ1億7700万ドルでジェネラルダイナミクス社と契約したとのこと。1億7700万ドルの契約は造船所での保守整備とともに近代化改修、そして不具合部分の修理などが含まれる。バターンはワスプ級強襲揚陸艦の一隻で全通飛行甲板を有し海兵航空部隊の母艦として機能するとともにドックも有する。

バターンの改修は2021年12月までを予定しており、この改修によりAV-8B攻撃機に加えF-35B戦闘機の運用能力も付与されるという。ワスプ級強襲揚陸艦は全長257mで満載排水量41000t、最高速力は22ノットで航続距離は18ノットで17600kmに達し、F-35B戦闘機を最大20機、平時にはF-35Bを12機と各種ヘリコプターを最大40機搭載可能だ。

ワスプ級強襲揚陸艦は、同型艦のボノムリシャールが火災事故により長期修理若しくは除籍の可能性がある、バターンの定期整備は当初予定通りとされるが、艦隊の強襲揚陸艦可動数確保の観点から計画に若干の変更もあるのか。なお、バターンは9.11同時多発テロ直後に竣工、第二次大戦の激戦地であり過酷な歴史を持つフィリピンのバターン半島に因む。
■沿海域戦闘艦セントルイス竣工
掃海艇と哨戒艦と高速輸送艦を一つにしたというような沿海域戦闘艦がまた一隻増強されました。

アメリカ海軍は最新の沿海域戦闘艦セントルイスを8月8日に受領しました。セントルイスはフリーダム級の10番艦でLCS-19, 沿海域戦闘艦は奇数番号がフリーダム級、偶数番号が三胴構造のインディペンデンス級です。沿海域戦闘艦は満載排水量3290tの小型ながら11万5000馬力という強力なエンジンを搭載することで45ノットの快足を誇ります。

インディペンデンス級沿海域戦闘艦は57mm艦砲とSEA-RAM個艦防空ミサイル及び25mm機関砲を搭載し艦内の多目的区画にはストライカー装甲車一個中隊を搭載でき格納庫にはMH-60多用途ヘリコプター2機を搭載可能ですが、固有武装がテロ対策などを意識した為に貧弱過ぎ、近年は重武装の中国艦に対抗するべくミサイルの追加が行われました。
■英26型グラスゴー起工
写真の23型フリゲイトの後継となります将来フリゲイトの起工という話題です。

イギリス26型フリゲイト一番艦グラスゴー起工。GCS計画としてイギリス海軍は満載排水量5600tの次世代水上戦闘艦計画を進めていますが、このほど一番艦のブロック建造が開始されたとのこと。最終的に8隻が建造される見込みです。26型GCS計画はイギリス海軍がグローバル運用を念頭に進めたもので、特筆すべきはその多用途性能にあります。

26型フリゲイトは速力を26ノットと水上戦闘艦としては低く抑えられていますが、艦砲を従来の114mm砲から127mm艦砲とした上でストームシャドウ巡航ミサイル24発を搭載するVLSを採用し、また固有の乗員は118名ですが更に加えて72名の海兵隊員が同乗可能という、パワープロジェクション、所謂戦力投射を相応に重視した設計となっています。
■スペインイージス艦F-110型
日米に続いて第三のイージス艦運用国であるスペインの将来イージス艦計画に興味深い発表が。

スペイン海軍の将来イージス艦計画F-110型ミサイルフリゲイトはステルス塔型マストを採用するとのこと。F-110型フリゲイトはスペインの造船名門であるナバンティア社が建造する。アルバロデバサン級イージス艦のF-100型計画に続くもので5隻の量産を計画しています。満載排水量は6600tと現在のアルバロデバサン級よりも若干大型化する見込み。

F-110型のステルス塔型マストはスペインの防衛産業インドラ社が担当、最新のイージスシステム用SPY-7(V)レーダーを搭載すると共にRigel i110複合電子戦装置とRegulus i110電波標定装置、Prisma 25 X広帯域レーダ装置等を一体化、一体化し塔型マストに搭載する事でアンテナの複雑な形状が及ぼすレーダー反射面積RCSを局限化し、生存性を高める。

アンテナマストのステルス塔型化による事業規模は1億5000万ユーロに達するとの事で、この費用に電子機器は含まれません。アルバロデバサン級5隻に加えてF-110型フリゲイト5隻を量産する事でスペイン海軍のイージス艦は10隻体制となります、これによりスペイン海軍の水上戦闘艦艇は哨戒艇等小型艦を除きイージス艦で統一される事となります。
■豪アンザック級ソナー更新
自衛隊観艦式へも参加しました豪州海軍アンザック級、レーダーを更新したばかりですが更なる改良が。

オーストラリア海軍アンザック級フリゲイト8隻のソナー更新計画が行われるとのこと。SEA-1408として実施されるこの計画はタレスオーストラリア社が実施するもので、現装備のスフェリオンBソナーを元にブロードバンドソナー先進環境解析機能を付与する。これは既存ソナーによる音響情報に新しい解析機能を付与することで探知能力の延伸を期する。

SEA-1408による近代化改修はソナー情報を戦闘情報処理システム9LVと連接させるものであり、これにより対潜戦闘能力を強化すると共に艦が装備する対魚雷装備の強化も行い、潜水艦攻撃からの生存性向上も目指す。アンザック級フリゲイトはドイツMEKO社製汎用フリゲイトのオーストラリア版、しかし今も対空レーダー更新など改良が続けられている。
■中国075型強襲揚陸艦出航
中国艦の写真が手元に少ないのですが着実にその規模と能力は拡大しています。

中国海軍の075型強襲揚陸艦が八月から出動公試を開始した、中国国内のインターネットユーザーが075型強襲揚陸艦が出航する複数の写真を投稿しているもようです。中国ではインターネット検閲が特に政権批判などに対し厳しい一方、最新戦闘機や新型戦車等の国威発揚に資すると判断された情報はインターネット検閲の対象とならない不思議がある。

075型強襲揚陸艦はアメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦を意識し全通飛行甲板構造とウェルドックを備えた艦艇で満載排水量は3万5000tを越えるものと目されている。中国では水陸両用戦部隊である海軍歩兵が2010年と比較し三倍に増強されており、東南アジア諸国の離島奪取作戦に資するだろう。なおアメリカの様なSTOVL戦闘機は開発されていない。
■韓国2030年代軽空母建造
韓国海軍が新たな国防計画を発表しましたが、ここに興味深い軽空母の計画が記されていました。

韓国海軍は2030年代を目処にF-35B戦闘機を搭載する軽空母の建造を計画している、韓国国防省が発表した2025年までの中期国防計画に盛り込まれました。F-35Bは短距離離着陸と垂直着陸が可能な世界唯一の第五世代戦闘機で、米英などが採用しています。韓国軍は未だF-35Bの導入を発表していませんし、F-35A戦闘機の導入を開始したばかりです。

軽空母は満載排水量で三万トン程度を想定しているとされ、日本の海上自衛隊が運用するヘリコプター搭載護衛艦いずも型よりも一割程度大きくなる可能性もあります。韓国海軍は過去にも軽空母の導入計画を発表していますが実現していません。なお、新しい国防中期計画にはこの他、大型潜水艦取得が盛り込まれ、原子力潜水艦を希望する声もあります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は海軍艦艇、中でも全通飛行甲板型艦艇と水上戦闘艦に焦点を合わせてみてゆきましょう。まずは海上自衛隊増員の話題から。

海上自衛隊の定員を2000名増員する、政府はミサイル防衛として導入が中止されたイージスアショア陸上配備ミサイル防衛システムの代案として海上自衛隊イージス艦増強を進める方針を固め、この方針具現化へイージス艦運用等に必要となる人員を確保するべく海上自衛隊の定員を現在の4万3000名から数年間で4万5000名まで増員するとしています。

2000名の増員は早ければ2021年度予算に最初の人員増加を盛り込む事とし、イージス艦の乗員確保とともに前防衛大綱から進む潜水艦22隻へ増強に伴う人員不足の解消も見込むという。勿論これだけでは人員不足は変らず、陸上自衛隊との運用統合を前進させ海上自衛隊から陸上自衛隊との相互協力により移管できる任務領域は大胆に実施する事でも補う。

充足率予算体制の終了、今回の海上自衛隊増員とともに大きな改編が行われます。政府は自衛隊の人員について定員の人件費ではなく充足率を見込み定員以下の予算しか財務当局が認めないという現在の方針を改め、定員通りの人件費を確保する事で防衛計画の大綱に盛り込まれた防衛力整備を着実に行う方針と考えられます。増員は数年間かけ行われます。
■強襲揚陸艦トリポリ就役
アメリカ級揚陸艦、航空母艦を除けば最大の水上戦闘艦であり世界最大の強襲揚陸艦が増強された話題です。

強襲揚陸艦トリポリ就役、アメリカ級揚陸艦二番艦でF-35Bなど海兵航空部隊運用に特化した強襲揚陸艦です。強襲揚陸艦ボノムリシャールの火災事故があり、ほぼ全損に近い被害を受けた中でアメリカ級のトリポリ竣工は一つの僥倖といえるでしょう。アメリカ級はワスプ級強襲揚陸艦の拡大改良型ですが、最大の相違はウェルドックの有無というもの。

アメリカ級強襲揚陸艦は航空機運用を重視し、艦載機燃料区画を充分に確保する観点から揚陸艇等を収容するウェルドックを省いています。こうした設計は初の強襲揚陸艦であるイオージマ級以来ですが、これはエセックス級空母を転用したキアサージ級強襲揚陸艦の代替という強襲揚陸艦草創期故の設計であり、続くタラワ級以来はドックを有しています。

アメリカ級は揚陸艇の輸送力をドック型輸送揚陸艦等に依存するという前提での設計ですが、第一線で上陸作戦に当る海兵隊としては空中機動力では主力装備である両用強襲車や戦車に重装備等を揚陸できないとして、貴重な強襲揚陸艦を補助空母として取り上げられかねないとの反発もあり、三番艦からはウェルドックを有する後期型に移行する予定です。
■米強襲揚陸艦バターンの改修
ワスプ級強襲揚陸艦バターンが改修を受けF-35B運用能力を獲得する計画が発表されました、。

アメリカ海軍は8月、強襲揚陸艦バターンの近代化改修へ1億7700万ドルでジェネラルダイナミクス社と契約したとのこと。1億7700万ドルの契約は造船所での保守整備とともに近代化改修、そして不具合部分の修理などが含まれる。バターンはワスプ級強襲揚陸艦の一隻で全通飛行甲板を有し海兵航空部隊の母艦として機能するとともにドックも有する。

バターンの改修は2021年12月までを予定しており、この改修によりAV-8B攻撃機に加えF-35B戦闘機の運用能力も付与されるという。ワスプ級強襲揚陸艦は全長257mで満載排水量41000t、最高速力は22ノットで航続距離は18ノットで17600kmに達し、F-35B戦闘機を最大20機、平時にはF-35Bを12機と各種ヘリコプターを最大40機搭載可能だ。

ワスプ級強襲揚陸艦は、同型艦のボノムリシャールが火災事故により長期修理若しくは除籍の可能性がある、バターンの定期整備は当初予定通りとされるが、艦隊の強襲揚陸艦可動数確保の観点から計画に若干の変更もあるのか。なお、バターンは9.11同時多発テロ直後に竣工、第二次大戦の激戦地であり過酷な歴史を持つフィリピンのバターン半島に因む。
■沿海域戦闘艦セントルイス竣工
掃海艇と哨戒艦と高速輸送艦を一つにしたというような沿海域戦闘艦がまた一隻増強されました。

アメリカ海軍は最新の沿海域戦闘艦セントルイスを8月8日に受領しました。セントルイスはフリーダム級の10番艦でLCS-19, 沿海域戦闘艦は奇数番号がフリーダム級、偶数番号が三胴構造のインディペンデンス級です。沿海域戦闘艦は満載排水量3290tの小型ながら11万5000馬力という強力なエンジンを搭載することで45ノットの快足を誇ります。

インディペンデンス級沿海域戦闘艦は57mm艦砲とSEA-RAM個艦防空ミサイル及び25mm機関砲を搭載し艦内の多目的区画にはストライカー装甲車一個中隊を搭載でき格納庫にはMH-60多用途ヘリコプター2機を搭載可能ですが、固有武装がテロ対策などを意識した為に貧弱過ぎ、近年は重武装の中国艦に対抗するべくミサイルの追加が行われました。
■英26型グラスゴー起工
写真の23型フリゲイトの後継となります将来フリゲイトの起工という話題です。

イギリス26型フリゲイト一番艦グラスゴー起工。GCS計画としてイギリス海軍は満載排水量5600tの次世代水上戦闘艦計画を進めていますが、このほど一番艦のブロック建造が開始されたとのこと。最終的に8隻が建造される見込みです。26型GCS計画はイギリス海軍がグローバル運用を念頭に進めたもので、特筆すべきはその多用途性能にあります。

26型フリゲイトは速力を26ノットと水上戦闘艦としては低く抑えられていますが、艦砲を従来の114mm砲から127mm艦砲とした上でストームシャドウ巡航ミサイル24発を搭載するVLSを採用し、また固有の乗員は118名ですが更に加えて72名の海兵隊員が同乗可能という、パワープロジェクション、所謂戦力投射を相応に重視した設計となっています。
■スペインイージス艦F-110型
日米に続いて第三のイージス艦運用国であるスペインの将来イージス艦計画に興味深い発表が。

スペイン海軍の将来イージス艦計画F-110型ミサイルフリゲイトはステルス塔型マストを採用するとのこと。F-110型フリゲイトはスペインの造船名門であるナバンティア社が建造する。アルバロデバサン級イージス艦のF-100型計画に続くもので5隻の量産を計画しています。満載排水量は6600tと現在のアルバロデバサン級よりも若干大型化する見込み。

F-110型のステルス塔型マストはスペインの防衛産業インドラ社が担当、最新のイージスシステム用SPY-7(V)レーダーを搭載すると共にRigel i110複合電子戦装置とRegulus i110電波標定装置、Prisma 25 X広帯域レーダ装置等を一体化、一体化し塔型マストに搭載する事でアンテナの複雑な形状が及ぼすレーダー反射面積RCSを局限化し、生存性を高める。

アンテナマストのステルス塔型化による事業規模は1億5000万ユーロに達するとの事で、この費用に電子機器は含まれません。アルバロデバサン級5隻に加えてF-110型フリゲイト5隻を量産する事でスペイン海軍のイージス艦は10隻体制となります、これによりスペイン海軍の水上戦闘艦艇は哨戒艇等小型艦を除きイージス艦で統一される事となります。
■豪アンザック級ソナー更新
自衛隊観艦式へも参加しました豪州海軍アンザック級、レーダーを更新したばかりですが更なる改良が。

オーストラリア海軍アンザック級フリゲイト8隻のソナー更新計画が行われるとのこと。SEA-1408として実施されるこの計画はタレスオーストラリア社が実施するもので、現装備のスフェリオンBソナーを元にブロードバンドソナー先進環境解析機能を付与する。これは既存ソナーによる音響情報に新しい解析機能を付与することで探知能力の延伸を期する。

SEA-1408による近代化改修はソナー情報を戦闘情報処理システム9LVと連接させるものであり、これにより対潜戦闘能力を強化すると共に艦が装備する対魚雷装備の強化も行い、潜水艦攻撃からの生存性向上も目指す。アンザック級フリゲイトはドイツMEKO社製汎用フリゲイトのオーストラリア版、しかし今も対空レーダー更新など改良が続けられている。
■中国075型強襲揚陸艦出航
中国艦の写真が手元に少ないのですが着実にその規模と能力は拡大しています。

中国海軍の075型強襲揚陸艦が八月から出動公試を開始した、中国国内のインターネットユーザーが075型強襲揚陸艦が出航する複数の写真を投稿しているもようです。中国ではインターネット検閲が特に政権批判などに対し厳しい一方、最新戦闘機や新型戦車等の国威発揚に資すると判断された情報はインターネット検閲の対象とならない不思議がある。

075型強襲揚陸艦はアメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦を意識し全通飛行甲板構造とウェルドックを備えた艦艇で満載排水量は3万5000tを越えるものと目されている。中国では水陸両用戦部隊である海軍歩兵が2010年と比較し三倍に増強されており、東南アジア諸国の離島奪取作戦に資するだろう。なおアメリカの様なSTOVL戦闘機は開発されていない。
■韓国2030年代軽空母建造
韓国海軍が新たな国防計画を発表しましたが、ここに興味深い軽空母の計画が記されていました。

韓国海軍は2030年代を目処にF-35B戦闘機を搭載する軽空母の建造を計画している、韓国国防省が発表した2025年までの中期国防計画に盛り込まれました。F-35Bは短距離離着陸と垂直着陸が可能な世界唯一の第五世代戦闘機で、米英などが採用しています。韓国軍は未だF-35Bの導入を発表していませんし、F-35A戦闘機の導入を開始したばかりです。

軽空母は満載排水量で三万トン程度を想定しているとされ、日本の海上自衛隊が運用するヘリコプター搭載護衛艦いずも型よりも一割程度大きくなる可能性もあります。韓国海軍は過去にも軽空母の導入計画を発表していますが実現していません。なお、新しい国防中期計画にはこの他、大型潜水艦取得が盛り込まれ、原子力潜水艦を希望する声もあります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)