■週報:世界の防衛,最新の論点
今回の防衛情報備忘録についての週報は航空防衛関連に焦点を当ててみましょう、各国の状況は進むのですが先ずは日本に掛かる中国の脅威が度を越している話題から。

NATOの欧州全域における2019年の緊急発進回数は430回となったとのこと。これは冷戦終結後最大との事でNATOでは高まるロシアからの航空脅威を前に次期戦闘機開発や既存戦闘機改良などの防空体制立て直しを迫られているようですが、参考までに航空自衛隊の2019年の緊急発進回数は947回といいまして、この内七割が南西空域での実施です。

緊急発進回数欧州NATO全域合計430回と航空自衛隊単独実施947回、つまり自衛隊一つで欧州NATO全域の倍以上という膨大な回数を緊急発進し対応している事となります。NATOの緊張状態もなる程小さくはないのかもしれませんが、それ以上に倍の任務に臨む航空自衛隊に掛かる重責と重圧の大きさを端的に示している、といえるのかもしれません。
■ダッソーのラファール生産
新型コロナウィルスCOVID-19は戦闘機の生産にも影響しているようです、ビジネスマンが販売に行けないというありがちな理由で。写真はF-2で代用だ。

ダッソー社は新型コロナ感染拡大影響でラファール戦闘機生産維持へ新規顧客開拓に難渋しているとのこと。ダッソー航空機製造の2020上半期決算に併せて同社のエリックトラピア最高経営責任者は同社が量産に尽力しているラファール戦闘機について国際航空見本市の実施や各国空軍への飛行実証試験がCOVID-19により停滞している事を発表している。

ラファール戦闘機は後述しますが、つい先日にインド空軍への納入が開始され最初の5機が納入、最終的に36機が順次納入という話題があったばかり。決して販路も不調ではなく、ここ5年間に限定した場合でもインド空軍の他エジプト空軍やカタール空軍へ採用は決定した。しかしラファール戦闘機生産ライン維持に十分とは云い難く、難航している契約成立が望まれる。

ダッソー社によればインド空軍との間での36機に続く114機のオプション契約を現在交渉中であるとともに、マレーシア空軍とアラブ首長国連邦への輸出を実現したいとしており、また、かつて同社製ミラージュⅢを運用したスイス空軍への輸出などにも望みを繋いでいるとのこと。交渉難航と同時に各国がCOVID-19により受けた経済的損害も影響しよう。
■CF-18後継カナダF-X選定
カナダ空軍はF/A-18のカナダ仕様CF-18の後継機に悩んでいるようですね。

カナダ統合軍次期戦闘機選定へカナダ政府が三社へRFP提案依頼書を7月31日に正式交付したとのこと。カナダ統合軍は2010年代から旧式化が進むCF-18戦闘機後継機として88機の次期戦闘機導入を計画していましたが2017年に導入を計画していたF/A-18E戦闘機が費用面で折り合わず撤回していましたが代替案が見つからず再度RFPを交付した。

ボーイングF/A-18F戦闘攻撃機、ロッキードF-35A戦闘機、サーブJAS-39NG戦闘機、カナダ統合軍が想定するのはこの三機種のいずれか。カナダ統合軍は2022年に選定を完了し2025年から導入開始を計画しています。しかし、上記F/A-18Eの白紙撤回よりも前にカナダ政府は65機のF-35を2020年から導入計画を示し撤回、今度は三度目の正直を期す。
■F-X,スイス&フィンランド
ヨーロッパでF/A-18を採用した二か国でもそろそろ更新の時期が訪れたようです。ドイツではスーパーホーネットがトーネード後継になりますがこちらは。

スイス空軍は老朽化が進むF-5軽戦闘機とF/A-18C戦闘攻撃機の後継を選定中ですが、このほど次期戦闘機としてユーロファイタータイフーン36機の導入へ最終的調整を行うとのこと。この調整はRFP-2/第二次提案依頼書であり、ユーロファイター合弁会社により8月19日に提出されるこれは事実上のBAFO最終提案書として正式契約を目指すとのこと。

ユーロファイター36機の導入へスイス政府は60億スイスフランを予定しており、この導入に加えて追加で更に4機の取得も検討している。このまま成約となった場合には2025年からF-5戦闘機の代替として導入を開始し2030年までに配備完了を目指す。ユーロファイターについてはスイス空軍の他、フィンランド空軍もF-18後継機として検討しているという。
■ラファール遂にインド到着
ラファールの時代がやってきた、というべきでしょうかインド空軍に遂にラファール配備が開始されました。

ラファール戦闘機インド空軍向け最初の五機がインド到着,インド空軍が次世代戦闘機として採用を決定した36機のラファール戦闘機のうち、最初の5機が29日、インドに到着、この引き渡し式にはインドのシン国防相も出席したとの事。残る31機も2022年までに納入されるとのことで、教育支援や予備部品等を含め50億ユーロに上る巨大契約が一段落へ。

ラファールの写真が無いのでファントムで代用という乱暴をお許しください。インド空軍のラファール導入、これはかなり前に締結されていた契約ですが、インド空軍の装備契約は政権交代や国防政策の変化により白紙撤回される事も多く、今回のラファール36機も納入までその動静に注目していました。インド空軍は750機のMiG-21戦闘機後継機を選定する際、F-16かいや国産テジャス、無理だからMiG-29と二転三転しています。
■インド空軍Su-30等33機増強
巨大な中国の軍事脅威に立ち向かうにはラファールだけでは不足であり安価なロシア製戦闘機を導入するもよう。

インド空軍はロシア製戦闘機33機調達と既存戦闘機59機近代化改修を24億ドルでロシアと合意に至ったとのこと。この契約は7月に締約され、インド国防省が正式に発表した。新規導入される33機の内訳はスホーイSu-30MKI戦闘機12機とMiG-29戦闘機21機、そして近代化改修は既に納入されているMiG-29戦闘機59機に対して行われるとのこと。MiG-21の写真が無いので映画”北極の基地-潜航大作戦”の如くF-4で代用を。

Su-30MKI戦闘機も既にインド空軍では多数が運用されており、増強のかたち。インド空軍は同じ7月にフランスよりラファール戦闘機の受領を開始しており近代化が著しい、その背景には6月16日に発生の中国人民解放軍によるインド軍兵士多数撲殺事件を受け中国との軍事緊張が高まる為で、ロシアとは地対空ミサイルライセンス生産交渉も進んでいる。
■ロシアIl-76MD-90A難航
Il-76の写真はいろいろなところで撮影できたのですが直ぐに出てこないのが不思議なところだ。

ロシア航空宇宙軍向けIl-76MD-90Aの開発が難航している。ロシア国防省はアヴィアスタル社との開発に関する再度の仕様変更を6月に実施したとのこと。Il-76MD-90Aは2015年に試作機が完成したものの、仕様変更を国防省より求められたことで納入は2019年となっており、当初は2021年から運用開始の計画であったが、未だ評価試験が終わっていない。

Il-76MD-90Aは旧ソ連時代の1971年に開発された傑作輸送機イリューシンIl-76の改良型で、最大の改良点はペイロードが48tから60tへと大きく向上した点にある。アヴィアスタル社によればIl-76MD-90Aは52tの貨物を搭載し5000kmの航続距離を有する、従来のIl-76Mでは40tを搭載し4500kmの航続距離であった。なお開発は中止されず継続される。写真は申し訳ないがC-1で代用です。
■フランス海軍E-2D導入
フランス海軍が空母艦載用であるE-2C早期警戒機の後継機を決定したもようです。

フランス海軍が導入を予定するE-2D艦上早期警戒機について、アメリカ政府は七月、輸出を承認したとのこと。フランス海軍は原子力空母シャルルドゴール艦載機として現在のE-2C早期警戒機後継として3機のE-2D供与を要請していました。E-2D早期警戒機はアメリカ海軍に続いて2015年に航空自衛隊が4機を、続いて2018年に9機を導入している。

3機のE-2Dは20億ドルとのことで、この費用には初度費用と予備のT-56エンジン4機、また機体に取り付けられたものとは別にAN / ALQ-217電子測定装置1機、やMIDS-JTRS通信システム2基、そして整備や乗員訓練の関連整備器材等を含めています。このフランス海軍への導入により、フランスはアメリカと日本に続く第三のE-2D運用国になります。

シャルルドゴールでの艦上試験は行われていませんが、フランス海軍は自国の空母が整備中であった2018年に米空母ジョージブッシュ艦上にラファール飛行隊を丸ごと展開させ米仏合同訓練を実施し、ラファールM艦上戦闘機とアメリカ海軍E-2DとのデータリンクやE-2Dで繋いでのアメリカ海軍F/A-18E/F戦闘攻撃機との情報共有などを演練しています。
■MSDM自衛用小型誘導弾
納豆ミサイルが実用化されるようで、ようやく空の戦いというものがSFというか21世紀らしくなってきたという。

MSDM自衛用小型誘導弾。テレビアニメマクロスでは戦闘機から無数のミサイルが白煙を曳いて飛翔する“納豆ミサイル”という描写が有名となりました、これが近い将来に現実の物となるのかもしれません、MSDM自衛用小型誘導弾によって。なおマクロスですが別に納豆が飛ぶわけではないのですが白煙曳く様子が納豆を伸ばしたようにみえるため。

レイセオンが開発を開始したMSDM自衛用小型誘導弾は全長1mでしかなく、これは定番のAIM-120-AMRAAMの全長3.5mはもちろん、AIM-9Xサイドワインダーの全長3mよりもかなり短く軽量なものとなっていまして、F-35戦闘機のウェポンベイにもAIM-9X一発を降ろして代わりに搭載する事でかなりの数を搭載する事が出来ます。用途は自衛用だ。

MSDM自衛用小型誘導弾は戦闘機等を狙う敵の空対空ミサイルや、母艦への対艦ミサイル攻撃を迎撃するもので、この種の装備としては機体自衛用レーザー砲の開発が行われています。MSDM、射程は現段階で不明、開発を3億7500万ドルで受注した段階、2023年までに完了する。ただ残念ながら無煙モータが使用され納豆ミサイルとはならないもよう。
■アメリカCV-22精密航法装置
オスプレイがますます強力になってゆくようで自衛隊もV-22の一部をCV-22に切替える検討がありましたね。

アメリカ空軍は6月、CV-22可動翼機用地形追随夜間精密航法装置AN/APQ-187-SKR試験を開始した。AN/APQ-187-SKRは空軍特殊作戦用CV-22に高度な夜間飛行を可能とする。現在は暗視装置を装着し夜間飛行や計器飛行を実施しているが、AN/APQ-187-SKRはHUD式表示装置に疑似的な3D画像を投影し無視界状態での低空飛行等を可能とさせる。

CV-22可動翼機による実験はフロリダ州エグリン空軍基地の第96実験航空団第413飛行開発飛行隊により実施されている。CV-22はV-22の空軍仕様だ。エグリン基地にはF-35飛行隊なども展開しているが、30km圏内にデュークフィールド補助飛行場が置かれており、ここには第919特殊作戦航空群が展開している。この評価試験は2022年まで継続される。写真は空軍のCV-22ではなく海兵隊のMV-22です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回の防衛情報備忘録についての週報は航空防衛関連に焦点を当ててみましょう、各国の状況は進むのですが先ずは日本に掛かる中国の脅威が度を越している話題から。

NATOの欧州全域における2019年の緊急発進回数は430回となったとのこと。これは冷戦終結後最大との事でNATOでは高まるロシアからの航空脅威を前に次期戦闘機開発や既存戦闘機改良などの防空体制立て直しを迫られているようですが、参考までに航空自衛隊の2019年の緊急発進回数は947回といいまして、この内七割が南西空域での実施です。

緊急発進回数欧州NATO全域合計430回と航空自衛隊単独実施947回、つまり自衛隊一つで欧州NATO全域の倍以上という膨大な回数を緊急発進し対応している事となります。NATOの緊張状態もなる程小さくはないのかもしれませんが、それ以上に倍の任務に臨む航空自衛隊に掛かる重責と重圧の大きさを端的に示している、といえるのかもしれません。
■ダッソーのラファール生産
新型コロナウィルスCOVID-19は戦闘機の生産にも影響しているようです、ビジネスマンが販売に行けないというありがちな理由で。写真はF-2で代用だ。

ダッソー社は新型コロナ感染拡大影響でラファール戦闘機生産維持へ新規顧客開拓に難渋しているとのこと。ダッソー航空機製造の2020上半期決算に併せて同社のエリックトラピア最高経営責任者は同社が量産に尽力しているラファール戦闘機について国際航空見本市の実施や各国空軍への飛行実証試験がCOVID-19により停滞している事を発表している。

ラファール戦闘機は後述しますが、つい先日にインド空軍への納入が開始され最初の5機が納入、最終的に36機が順次納入という話題があったばかり。決して販路も不調ではなく、ここ5年間に限定した場合でもインド空軍の他エジプト空軍やカタール空軍へ採用は決定した。しかしラファール戦闘機生産ライン維持に十分とは云い難く、難航している契約成立が望まれる。

ダッソー社によればインド空軍との間での36機に続く114機のオプション契約を現在交渉中であるとともに、マレーシア空軍とアラブ首長国連邦への輸出を実現したいとしており、また、かつて同社製ミラージュⅢを運用したスイス空軍への輸出などにも望みを繋いでいるとのこと。交渉難航と同時に各国がCOVID-19により受けた経済的損害も影響しよう。
■CF-18後継カナダF-X選定
カナダ空軍はF/A-18のカナダ仕様CF-18の後継機に悩んでいるようですね。

カナダ統合軍次期戦闘機選定へカナダ政府が三社へRFP提案依頼書を7月31日に正式交付したとのこと。カナダ統合軍は2010年代から旧式化が進むCF-18戦闘機後継機として88機の次期戦闘機導入を計画していましたが2017年に導入を計画していたF/A-18E戦闘機が費用面で折り合わず撤回していましたが代替案が見つからず再度RFPを交付した。

ボーイングF/A-18F戦闘攻撃機、ロッキードF-35A戦闘機、サーブJAS-39NG戦闘機、カナダ統合軍が想定するのはこの三機種のいずれか。カナダ統合軍は2022年に選定を完了し2025年から導入開始を計画しています。しかし、上記F/A-18Eの白紙撤回よりも前にカナダ政府は65機のF-35を2020年から導入計画を示し撤回、今度は三度目の正直を期す。
■F-X,スイス&フィンランド
ヨーロッパでF/A-18を採用した二か国でもそろそろ更新の時期が訪れたようです。ドイツではスーパーホーネットがトーネード後継になりますがこちらは。

スイス空軍は老朽化が進むF-5軽戦闘機とF/A-18C戦闘攻撃機の後継を選定中ですが、このほど次期戦闘機としてユーロファイタータイフーン36機の導入へ最終的調整を行うとのこと。この調整はRFP-2/第二次提案依頼書であり、ユーロファイター合弁会社により8月19日に提出されるこれは事実上のBAFO最終提案書として正式契約を目指すとのこと。

ユーロファイター36機の導入へスイス政府は60億スイスフランを予定しており、この導入に加えて追加で更に4機の取得も検討している。このまま成約となった場合には2025年からF-5戦闘機の代替として導入を開始し2030年までに配備完了を目指す。ユーロファイターについてはスイス空軍の他、フィンランド空軍もF-18後継機として検討しているという。
■ラファール遂にインド到着
ラファールの時代がやってきた、というべきでしょうかインド空軍に遂にラファール配備が開始されました。

ラファール戦闘機インド空軍向け最初の五機がインド到着,インド空軍が次世代戦闘機として採用を決定した36機のラファール戦闘機のうち、最初の5機が29日、インドに到着、この引き渡し式にはインドのシン国防相も出席したとの事。残る31機も2022年までに納入されるとのことで、教育支援や予備部品等を含め50億ユーロに上る巨大契約が一段落へ。

ラファールの写真が無いのでファントムで代用という乱暴をお許しください。インド空軍のラファール導入、これはかなり前に締結されていた契約ですが、インド空軍の装備契約は政権交代や国防政策の変化により白紙撤回される事も多く、今回のラファール36機も納入までその動静に注目していました。インド空軍は750機のMiG-21戦闘機後継機を選定する際、F-16かいや国産テジャス、無理だからMiG-29と二転三転しています。
■インド空軍Su-30等33機増強
巨大な中国の軍事脅威に立ち向かうにはラファールだけでは不足であり安価なロシア製戦闘機を導入するもよう。

インド空軍はロシア製戦闘機33機調達と既存戦闘機59機近代化改修を24億ドルでロシアと合意に至ったとのこと。この契約は7月に締約され、インド国防省が正式に発表した。新規導入される33機の内訳はスホーイSu-30MKI戦闘機12機とMiG-29戦闘機21機、そして近代化改修は既に納入されているMiG-29戦闘機59機に対して行われるとのこと。MiG-21の写真が無いので映画”北極の基地-潜航大作戦”の如くF-4で代用を。

Su-30MKI戦闘機も既にインド空軍では多数が運用されており、増強のかたち。インド空軍は同じ7月にフランスよりラファール戦闘機の受領を開始しており近代化が著しい、その背景には6月16日に発生の中国人民解放軍によるインド軍兵士多数撲殺事件を受け中国との軍事緊張が高まる為で、ロシアとは地対空ミサイルライセンス生産交渉も進んでいる。
■ロシアIl-76MD-90A難航
Il-76の写真はいろいろなところで撮影できたのですが直ぐに出てこないのが不思議なところだ。

ロシア航空宇宙軍向けIl-76MD-90Aの開発が難航している。ロシア国防省はアヴィアスタル社との開発に関する再度の仕様変更を6月に実施したとのこと。Il-76MD-90Aは2015年に試作機が完成したものの、仕様変更を国防省より求められたことで納入は2019年となっており、当初は2021年から運用開始の計画であったが、未だ評価試験が終わっていない。

Il-76MD-90Aは旧ソ連時代の1971年に開発された傑作輸送機イリューシンIl-76の改良型で、最大の改良点はペイロードが48tから60tへと大きく向上した点にある。アヴィアスタル社によればIl-76MD-90Aは52tの貨物を搭載し5000kmの航続距離を有する、従来のIl-76Mでは40tを搭載し4500kmの航続距離であった。なお開発は中止されず継続される。写真は申し訳ないがC-1で代用です。
■フランス海軍E-2D導入
フランス海軍が空母艦載用であるE-2C早期警戒機の後継機を決定したもようです。

フランス海軍が導入を予定するE-2D艦上早期警戒機について、アメリカ政府は七月、輸出を承認したとのこと。フランス海軍は原子力空母シャルルドゴール艦載機として現在のE-2C早期警戒機後継として3機のE-2D供与を要請していました。E-2D早期警戒機はアメリカ海軍に続いて2015年に航空自衛隊が4機を、続いて2018年に9機を導入している。

3機のE-2Dは20億ドルとのことで、この費用には初度費用と予備のT-56エンジン4機、また機体に取り付けられたものとは別にAN / ALQ-217電子測定装置1機、やMIDS-JTRS通信システム2基、そして整備や乗員訓練の関連整備器材等を含めています。このフランス海軍への導入により、フランスはアメリカと日本に続く第三のE-2D運用国になります。

シャルルドゴールでの艦上試験は行われていませんが、フランス海軍は自国の空母が整備中であった2018年に米空母ジョージブッシュ艦上にラファール飛行隊を丸ごと展開させ米仏合同訓練を実施し、ラファールM艦上戦闘機とアメリカ海軍E-2DとのデータリンクやE-2Dで繋いでのアメリカ海軍F/A-18E/F戦闘攻撃機との情報共有などを演練しています。
■MSDM自衛用小型誘導弾
納豆ミサイルが実用化されるようで、ようやく空の戦いというものがSFというか21世紀らしくなってきたという。

MSDM自衛用小型誘導弾。テレビアニメマクロスでは戦闘機から無数のミサイルが白煙を曳いて飛翔する“納豆ミサイル”という描写が有名となりました、これが近い将来に現実の物となるのかもしれません、MSDM自衛用小型誘導弾によって。なおマクロスですが別に納豆が飛ぶわけではないのですが白煙曳く様子が納豆を伸ばしたようにみえるため。

レイセオンが開発を開始したMSDM自衛用小型誘導弾は全長1mでしかなく、これは定番のAIM-120-AMRAAMの全長3.5mはもちろん、AIM-9Xサイドワインダーの全長3mよりもかなり短く軽量なものとなっていまして、F-35戦闘機のウェポンベイにもAIM-9X一発を降ろして代わりに搭載する事でかなりの数を搭載する事が出来ます。用途は自衛用だ。

MSDM自衛用小型誘導弾は戦闘機等を狙う敵の空対空ミサイルや、母艦への対艦ミサイル攻撃を迎撃するもので、この種の装備としては機体自衛用レーザー砲の開発が行われています。MSDM、射程は現段階で不明、開発を3億7500万ドルで受注した段階、2023年までに完了する。ただ残念ながら無煙モータが使用され納豆ミサイルとはならないもよう。
■アメリカCV-22精密航法装置
オスプレイがますます強力になってゆくようで自衛隊もV-22の一部をCV-22に切替える検討がありましたね。

アメリカ空軍は6月、CV-22可動翼機用地形追随夜間精密航法装置AN/APQ-187-SKR試験を開始した。AN/APQ-187-SKRは空軍特殊作戦用CV-22に高度な夜間飛行を可能とする。現在は暗視装置を装着し夜間飛行や計器飛行を実施しているが、AN/APQ-187-SKRはHUD式表示装置に疑似的な3D画像を投影し無視界状態での低空飛行等を可能とさせる。

CV-22可動翼機による実験はフロリダ州エグリン空軍基地の第96実験航空団第413飛行開発飛行隊により実施されている。CV-22はV-22の空軍仕様だ。エグリン基地にはF-35飛行隊なども展開しているが、30km圏内にデュークフィールド補助飛行場が置かれており、ここには第919特殊作戦航空群が展開している。この評価試験は2022年まで継続される。写真は空軍のCV-22ではなく海兵隊のMV-22です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)