■緊張激化の南シナ海情勢
中国軍が南シナ海へ中距離弾道弾4発を発射した、アメリカ軍当局者が発表した内容としましてNHK等で報じられています。日本のミサイル防衛にも無関係ではありません。

中国軍の弾道ミサイル発射、これは26日に香港英字新聞が第一報を報道しており、26日朝に弾道ミサイル2発を発射しており、このミサイルは東風21D型と東風26型と報道されていました。この点についてアメリカ軍は発射されたミサイルは2発ではなく4発であり、報道されているミサイルの型式などについては現在検証を進めている段階とのことです。

嘉手納基地において中国弾道ミサイル発射の前後にアメリカ空軍のRC-135偵察機の発着が目撃されており、RC-135は通称コブラボール、弾道ミサイル実験の監視能力を有している事から今回もミサイル発射の兆候を事前察知し偵察飛行を行った可能性があります。香港報道では、ミサイルは中国東部浙江省と中国内陸部の青海省から発射されたとのこと。

南沙諸島と西沙諸島。南シナ海では中国軍による人工島造成と軍事要塞化が進められており、これら人工島はフィリピンやヴェトナム領の小島や環礁を不法占拠、一部には駐留守備隊を襲撃殺害し占拠する極めて悪質な行動により自国領化した上で平和目的観測施設建設を宣言、この施設に地対空ミサイルや地対艦ミサイル関連施設、飛行場を建設しました。

この海域では中国軍による大規模な演習が予告されており、演習海域に指定された海域はヴェトナムの排他的経済水域が一部含まれる事からヴェトナム政府が中国政府へ演習の中止を要求していますが実現していません。ミサイルは正にこの緊張の海域へ発射されたわけです。また中国海軍は9月下旬にここ20年間で最大規模の演習を九州沖で行う予定です。

中国はアメリカがオバマ政権時代にはヴェトナムやフィリピンとの間で二国間問題である点を強調し、一方で周辺各国と激しく対立しています。しかしトランプ政権時代となり、アメリカは二国間問題ではなく海洋安全保障秩序への重大な脅威であるとして関与を強化、この為に摩擦が激化し、今回のミサイル発射は周辺国とアメリカへの牽制と考えられる。

大規模な軍事演習を中国はこの海域において宣言しており、南シナ海の不法占拠環礁海域を自国領と宣言している為に南シナ海のほぼ全域に中国の排他的経済水域が設定されるとの主張、ここに基づき中国の海域での演習を宣言しています。しかし国連海洋法条約や大陸棚条約等の国際法ではこの主張が認められず、アメリカは24日に偵察機を派遣しました。

U-2偵察機による偵察飛行、中国国防相は25日に報道官談話を発表しアメリカのU-2偵察機が繰り返し中国海域に侵入し演習を妨害した、と非難しました。この直後に弾道ミサイル発射が行われている為、中国国防相は現時点で弾道ミサイル発射を公表してはいませんが、今回のミサイル発射はアメリカの海域問題関与への牽制といえるのかもしれません。

空母キラー、東風21D型は射程2150kmの准中距離弾道弾とされており移動式発射装置より発射、中国沿岸部に展開した場合は小笠原諸島南部を除き日本全土が射程に収まるものです。注目する点は元々は対地攻撃型となっていますがD型は射程を1500km程度に抑えつつ弾頭を単弾頭から改め5個前後のクラスター弾頭を採用し、水上目標を照準可能です。

東風21D型は空母キラーと呼ばれ、ミサイルそのものの半数命中界は300mから400m程度とされていますが、クラスター弾頭によりこの範囲内に水上戦闘艦の薄い上部構造物を破壊可能な子弾を散布可能であるとしています。また移動発射装置から発射が基本となっていますが、改良型はH-6ミサイル爆撃機に搭載、射程を延伸できる可能性があるという。

グアムキラー。東風26型は2016年に開発された中国人民解放軍の中でも新型ミサイルに区分され、射程は4000kmとアメリカ軍の一大策源地である在日米軍基地全ては勿論、グアム島米軍施設を射程としているものです。そして東風26型について懸念するのは中国は東風26型の弾頭について公表しておらず核弾頭を搭載する可能性が高いと考えられている。

中距離弾道弾はアメリカやロシアが保有していない装備体系です、これは1987年に米ソ間で締結された中距離核戦力全廃条約により射程550kmから4500kmまでの射程のミサイル保有を全面禁止し、また1987年までに装備されていたアメリカのパーシングⅡやソ連のSS-21等のミサイルも相互に製造番号を確認し模造品が無い事を確認し解体しています。

しかし、トランプ政権に入りアメリカは、中距離弾道弾というアメリカとロシアだけが装備開発出来ない兵器体系において中国が漁夫の利を得ているとし、またシリア内戦へのロシア軍巡航ミサイル攻撃等の実例からロシアが条約枠外の中距離核戦力を開発していると非難し、INF全廃条約から脱退を発表、結果条約枠組は終了する事となってゆきました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
中国軍が南シナ海へ中距離弾道弾4発を発射した、アメリカ軍当局者が発表した内容としましてNHK等で報じられています。日本のミサイル防衛にも無関係ではありません。

中国軍の弾道ミサイル発射、これは26日に香港英字新聞が第一報を報道しており、26日朝に弾道ミサイル2発を発射しており、このミサイルは東風21D型と東風26型と報道されていました。この点についてアメリカ軍は発射されたミサイルは2発ではなく4発であり、報道されているミサイルの型式などについては現在検証を進めている段階とのことです。

嘉手納基地において中国弾道ミサイル発射の前後にアメリカ空軍のRC-135偵察機の発着が目撃されており、RC-135は通称コブラボール、弾道ミサイル実験の監視能力を有している事から今回もミサイル発射の兆候を事前察知し偵察飛行を行った可能性があります。香港報道では、ミサイルは中国東部浙江省と中国内陸部の青海省から発射されたとのこと。

南沙諸島と西沙諸島。南シナ海では中国軍による人工島造成と軍事要塞化が進められており、これら人工島はフィリピンやヴェトナム領の小島や環礁を不法占拠、一部には駐留守備隊を襲撃殺害し占拠する極めて悪質な行動により自国領化した上で平和目的観測施設建設を宣言、この施設に地対空ミサイルや地対艦ミサイル関連施設、飛行場を建設しました。

この海域では中国軍による大規模な演習が予告されており、演習海域に指定された海域はヴェトナムの排他的経済水域が一部含まれる事からヴェトナム政府が中国政府へ演習の中止を要求していますが実現していません。ミサイルは正にこの緊張の海域へ発射されたわけです。また中国海軍は9月下旬にここ20年間で最大規模の演習を九州沖で行う予定です。

中国はアメリカがオバマ政権時代にはヴェトナムやフィリピンとの間で二国間問題である点を強調し、一方で周辺各国と激しく対立しています。しかしトランプ政権時代となり、アメリカは二国間問題ではなく海洋安全保障秩序への重大な脅威であるとして関与を強化、この為に摩擦が激化し、今回のミサイル発射は周辺国とアメリカへの牽制と考えられる。

大規模な軍事演習を中国はこの海域において宣言しており、南シナ海の不法占拠環礁海域を自国領と宣言している為に南シナ海のほぼ全域に中国の排他的経済水域が設定されるとの主張、ここに基づき中国の海域での演習を宣言しています。しかし国連海洋法条約や大陸棚条約等の国際法ではこの主張が認められず、アメリカは24日に偵察機を派遣しました。

U-2偵察機による偵察飛行、中国国防相は25日に報道官談話を発表しアメリカのU-2偵察機が繰り返し中国海域に侵入し演習を妨害した、と非難しました。この直後に弾道ミサイル発射が行われている為、中国国防相は現時点で弾道ミサイル発射を公表してはいませんが、今回のミサイル発射はアメリカの海域問題関与への牽制といえるのかもしれません。

空母キラー、東風21D型は射程2150kmの准中距離弾道弾とされており移動式発射装置より発射、中国沿岸部に展開した場合は小笠原諸島南部を除き日本全土が射程に収まるものです。注目する点は元々は対地攻撃型となっていますがD型は射程を1500km程度に抑えつつ弾頭を単弾頭から改め5個前後のクラスター弾頭を採用し、水上目標を照準可能です。

東風21D型は空母キラーと呼ばれ、ミサイルそのものの半数命中界は300mから400m程度とされていますが、クラスター弾頭によりこの範囲内に水上戦闘艦の薄い上部構造物を破壊可能な子弾を散布可能であるとしています。また移動発射装置から発射が基本となっていますが、改良型はH-6ミサイル爆撃機に搭載、射程を延伸できる可能性があるという。

グアムキラー。東風26型は2016年に開発された中国人民解放軍の中でも新型ミサイルに区分され、射程は4000kmとアメリカ軍の一大策源地である在日米軍基地全ては勿論、グアム島米軍施設を射程としているものです。そして東風26型について懸念するのは中国は東風26型の弾頭について公表しておらず核弾頭を搭載する可能性が高いと考えられている。

中距離弾道弾はアメリカやロシアが保有していない装備体系です、これは1987年に米ソ間で締結された中距離核戦力全廃条約により射程550kmから4500kmまでの射程のミサイル保有を全面禁止し、また1987年までに装備されていたアメリカのパーシングⅡやソ連のSS-21等のミサイルも相互に製造番号を確認し模造品が無い事を確認し解体しています。

しかし、トランプ政権に入りアメリカは、中距離弾道弾というアメリカとロシアだけが装備開発出来ない兵器体系において中国が漁夫の利を得ているとし、またシリア内戦へのロシア軍巡航ミサイル攻撃等の実例からロシアが条約枠外の中距離核戦力を開発していると非難し、INF全廃条約から脱退を発表、結果条約枠組は終了する事となってゆきました。
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