■必要物資事前見積が必要
主要道路寸断と主要港湾の被災、輸送機にヘリコプターと上陸用舟艇や全地形車両の輸送力が実際のところ初動を左右する事となるのかもしれない。

南海トラフ連動地震では、防災当局の空輸能力が試される事でしょう。具体的には被災地を府県単位で空輸拠点を整備し、そこに初動12時間でどれだけ、ブルドーザや油圧ショベルとダンプカーにバケットローダーを運び込めるか、どれだけの救援物資を満載したパレットを運び込めるか、高規格救急車や移動手術システムなどを運び込めるかで決まる。

移動手術システムは東京消防庁が地下鉄サリン事件に際して派遣したことでその装備の知名度が上がりましたが、自衛隊の野外手術システムのような機材をもう少し、財政難といわれても必要なものは必要なのだ、と揃えねばなりません。そしてもう一つは内陸部の病院を稼働させる移動発電機や燃料空輸体制、真水生成装置や応急テントの空輸体制など。

アイアンマウンテンを回避する、南海トラフ連動地震災害派遣及び政府防災計画を考えるうえで絶対必要な視点はここに尽きると考えます。アイアンマウンテン、これは不要なものを含む物資の山積み状態を意味する軍事用語で、予備部品や弾薬に糧食や衛生機材と予備装備や応急器具、第一線部隊は不安からあらゆるものを備蓄しようとする心理による。

アイアンマウンテンは余裕ある物資、というとらえ方もできるのですけれども、限られたリソースを的確に分配しなければ全体として物資が不足する状況では避けなければならない無駄そのもので、そして山積みされているのですから必要なものを即座に取り出すことができないことを意味しますので、結局必要な時に必要なものが間に合わないこととなる。

被災地の見積もり、非常に残酷な表現と御映るかもしれませんが、被害規模をどの程度と考えるか、事前に見積もることで必要な物資の供給量が決定します、これはもちろん、南海トラフ地震がどの規模で発生するのか、またどの程度連動するのか、という事で大きく変動する要素でもあり一概に出せない要素ということは理解が必要ですが、概算だけでも。

C-2輸送機とCH-47JA輸送ヘリコプター、いや物資輸送用に老朽化し退役したUH-1を応用しての無人機型などを含め、あらゆる輸送手段が必要と考えます、しかし、単に一機でも多く、となりますと、いやいや十分だ、という財務当局などからの反論に十分応えることができません。そのうえで喩え概算だけでもこの程度必要だ、と示す必要があるのです。

自衛隊の任務は災害派遣ではない、こう反論があるのでしょうが、繰り返す通り国としてリソースをすべて投入しなければならない規模の災害ですので、自衛隊がやりたくないというならば、防衛予算を減らして総務省に割り振り総務省がC-2輸送機を導入する、というような選択を迫られる規模の問題です、南海トラフ地震想定死者数は核攻撃に匹敵する。

そのうえでC-2輸送機、自衛隊の本来任務においても必要な装備です。先ず、南西有事に際しては那覇基地に集中する航空自衛隊戦闘機部隊を燃料でも予備部品でも弾薬でも予備エンジンでも空輸して支えねばなりません、F-15戦闘機を一例に出せば弾薬と燃料を満載して一回の任務飛行に必要な物資重量は、C-1輸送機の空輸能力よりも多いのですから。

不足している、十分ではない。C-2輸送機については“生産予定数を削減する”決定が既にあり、“空輸能力は十分であるために飛行隊定数を8機に減らす”という決定がなされています。すごいなあと思うのは“トンガ噴火災害救援”“カブール陥落邦人輸送任務”、実任務でC-2輸送機が足りず飛べていないのに十分、直ちに不足していない、という方便か。

空輸能力の基準を先ず整備目標として示して、その上で空輸能力の基準に対して、南海トラフ地震の想定被災地への輸送能力が十分であるか不足しているのか、輸送機をさらに増やすのかそれで十分なのか、という視点を持つ必要があるよう考えるのです。そして断言できる事ですが自衛隊輸送機の十分という現状整備目標は、あきらかに現実を見ていない。

空挺団降下訓練始めに1機しか輸送機を出していない、この一点で航空自衛隊の輸送機不足は深刻であると強調できます。C-2輸送機は素晴らしい輸送機なので1機あれば空挺作戦を完遂できるに決まっている、こうした反論があるのかもしれませんが、2023年の降下訓練始めはアメリカ軍のC-130J輸送機3機とC-2輸送機1機、米軍に依存していた。

米軍に自衛隊の四倍もの機数を、それも突発的な事態ではなく年次計画に盛り込まれている空挺団訓練展示に航空自衛隊が輸送機を出せない状況は明らかに不足している以外何ものでもありません、先ず、空輸飛行隊定数をもともとの12機、もしくはC-130、小牧の第401飛行隊のように16機まで増強するところから、開始してはどうか、と思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
主要道路寸断と主要港湾の被災、輸送機にヘリコプターと上陸用舟艇や全地形車両の輸送力が実際のところ初動を左右する事となるのかもしれない。

南海トラフ連動地震では、防災当局の空輸能力が試される事でしょう。具体的には被災地を府県単位で空輸拠点を整備し、そこに初動12時間でどれだけ、ブルドーザや油圧ショベルとダンプカーにバケットローダーを運び込めるか、どれだけの救援物資を満載したパレットを運び込めるか、高規格救急車や移動手術システムなどを運び込めるかで決まる。

移動手術システムは東京消防庁が地下鉄サリン事件に際して派遣したことでその装備の知名度が上がりましたが、自衛隊の野外手術システムのような機材をもう少し、財政難といわれても必要なものは必要なのだ、と揃えねばなりません。そしてもう一つは内陸部の病院を稼働させる移動発電機や燃料空輸体制、真水生成装置や応急テントの空輸体制など。

アイアンマウンテンを回避する、南海トラフ連動地震災害派遣及び政府防災計画を考えるうえで絶対必要な視点はここに尽きると考えます。アイアンマウンテン、これは不要なものを含む物資の山積み状態を意味する軍事用語で、予備部品や弾薬に糧食や衛生機材と予備装備や応急器具、第一線部隊は不安からあらゆるものを備蓄しようとする心理による。

アイアンマウンテンは余裕ある物資、というとらえ方もできるのですけれども、限られたリソースを的確に分配しなければ全体として物資が不足する状況では避けなければならない無駄そのもので、そして山積みされているのですから必要なものを即座に取り出すことができないことを意味しますので、結局必要な時に必要なものが間に合わないこととなる。

被災地の見積もり、非常に残酷な表現と御映るかもしれませんが、被害規模をどの程度と考えるか、事前に見積もることで必要な物資の供給量が決定します、これはもちろん、南海トラフ地震がどの規模で発生するのか、またどの程度連動するのか、という事で大きく変動する要素でもあり一概に出せない要素ということは理解が必要ですが、概算だけでも。

C-2輸送機とCH-47JA輸送ヘリコプター、いや物資輸送用に老朽化し退役したUH-1を応用しての無人機型などを含め、あらゆる輸送手段が必要と考えます、しかし、単に一機でも多く、となりますと、いやいや十分だ、という財務当局などからの反論に十分応えることができません。そのうえで喩え概算だけでもこの程度必要だ、と示す必要があるのです。

自衛隊の任務は災害派遣ではない、こう反論があるのでしょうが、繰り返す通り国としてリソースをすべて投入しなければならない規模の災害ですので、自衛隊がやりたくないというならば、防衛予算を減らして総務省に割り振り総務省がC-2輸送機を導入する、というような選択を迫られる規模の問題です、南海トラフ地震想定死者数は核攻撃に匹敵する。

そのうえでC-2輸送機、自衛隊の本来任務においても必要な装備です。先ず、南西有事に際しては那覇基地に集中する航空自衛隊戦闘機部隊を燃料でも予備部品でも弾薬でも予備エンジンでも空輸して支えねばなりません、F-15戦闘機を一例に出せば弾薬と燃料を満載して一回の任務飛行に必要な物資重量は、C-1輸送機の空輸能力よりも多いのですから。

不足している、十分ではない。C-2輸送機については“生産予定数を削減する”決定が既にあり、“空輸能力は十分であるために飛行隊定数を8機に減らす”という決定がなされています。すごいなあと思うのは“トンガ噴火災害救援”“カブール陥落邦人輸送任務”、実任務でC-2輸送機が足りず飛べていないのに十分、直ちに不足していない、という方便か。

空輸能力の基準を先ず整備目標として示して、その上で空輸能力の基準に対して、南海トラフ地震の想定被災地への輸送能力が十分であるか不足しているのか、輸送機をさらに増やすのかそれで十分なのか、という視点を持つ必要があるよう考えるのです。そして断言できる事ですが自衛隊輸送機の十分という現状整備目標は、あきらかに現実を見ていない。

空挺団降下訓練始めに1機しか輸送機を出していない、この一点で航空自衛隊の輸送機不足は深刻であると強調できます。C-2輸送機は素晴らしい輸送機なので1機あれば空挺作戦を完遂できるに決まっている、こうした反論があるのかもしれませんが、2023年の降下訓練始めはアメリカ軍のC-130J輸送機3機とC-2輸送機1機、米軍に依存していた。

米軍に自衛隊の四倍もの機数を、それも突発的な事態ではなく年次計画に盛り込まれている空挺団訓練展示に航空自衛隊が輸送機を出せない状況は明らかに不足している以外何ものでもありません、先ず、空輸飛行隊定数をもともとの12機、もしくはC-130、小牧の第401飛行隊のように16機まで増強するところから、開始してはどうか、と思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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