北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】小牧基地オープンベース2019【2】C-130H輸送機とC-1輸送機大空の共演(2019-11-09)

2023-03-26 20:03:00 | 航空自衛隊 装備名鑑
■ニッポンの輸送機事情
 小牧基地航空祭特集も前回の掲載からちょっと間が空いてしまいましたが体制を建て直して連載を再開です、こうした写真を掲載用に加工する事で防衛情報などの記事に役立つ。

 C-130H輸送機、航空自衛隊に加えて海上自衛隊も同系統の輸送機を採用している、世界中で採用されている傑作輸送機となっています。しかし現在生産されているのはC-130J-30輸送機でC-130Hは相応に旧式化と老朽化が進んでおり、今後の去就が注目されます。

 C-1輸送機、飛んできました。入間基地第402飛行隊のC-1輸送機で、これは嬉しい誤算と云えるところです。C-1輸送機は1970年代の輸送機ですので撮影の時点でも順調にC-2輸送機へ置き換えが始っている航空機ですが、小型であるものの使いやすい輸送機です。

 入間基地はC-2輸送機へ機種転換を、その前に航空祭へ2020年にでも、と思ていたのは今は昔で、その航空祭の翌年にCOVID-19新型コロナウィルス感染症が襲来するとはとても想像もできませんでしたので、撮影できる機会をこのとき逃さなかったとふりかえる。

 8tしか搭載出来ない輸送機ですが、速度が非常に速く24時間当たりの輸送力をかなり高く維持する事で、輸送力を補う、そして非常に運動性の高い輸送機であり、勿論この機体規模で運べないものは多いのですが、生産数も多く、日本の航空史上では成功した機体だ。

 C-130H輸送機、今後は水色の迷彩に置き換わりが始まる、とは2023年の航空祭における紹介でした、しかし水色の迷彩は元々航空自衛隊が2003年のイラク戦争を契機にイラク復興人道支援への空輸支援を実施する際、採用された迷彩ですのである種回帰といえます。

 空色のC-130は、日本独自の塗装という事で海外の航空愛好家には注目されたといい、確かに一時期県営名古屋空港付近でも海外のお客様が見えました。一方で、航空自衛隊は給油ポッドの追加を行い、C-130H輸送機の一部をKC-130H空中給油輸送機へ改造しました。

 U-125捜索救難機廃止、唐突に昨年政府が発表した方針を唐突に此処で提示してみるのですが、もしかするとC-130HをKC-130Hとすることで救難ヘリコプターへの給油能力を強化すると共に、捜索救難機としての用途をU-125からC-130へ移管するのか、とも考える。

 KC-130,世界で海上における捜索救難を支援するのはC-130規模の輸送機であり、これには救難員の降下など、U-125では難しかったヘリコプターに先行しての捜索救難も可能となっています。そして捜索救難は今後自衛隊でも戦闘捜索救難の段階に進むのでは、と。

 戦闘捜索救難というのは、有事における救難で要するに貴重な航空搭乗員を救難する際に敵対勢力が妨害行動や攻撃を加えてくるという状況を排除して、救助するという任務です。これまでのように、平時の事故から操縦士を救うというよりも進んだ状況の想定という。

 U-125は、必要な航空機であると考えます、いや航空自衛隊の航空救難任務にほんとうに不要ならば情報収集能力が高いものですから、陸上自衛隊に移管してLR-2連絡偵察機の後継に充てては、と考える程の性能を有しています。ただ、特殊作戦機たるか、というと。

 C-130H、他方で全て航空救難に充当できる程航空自衛隊に余裕が無い、という問題もあります、その背景にはC-2輸送機の稼働率の問題があります、つまり稼働率が低いものの、更に飛行隊定数を削減してしまった為に即応機を日施輸送と別に用意できない状態が。

 C-2輸送機の欠陥というような問題ではなく、これは要するに“一眼レフを十台持っているが交換レンズは全部で八台しかない”、“交換レンズの中で広角レンズと望遠レンズとズームレンズのどれかは整備中”、“全部のレンズを揃えて撮影に行けるのは僅か”という。

 維持費用と予備部品、防衛予算を削り続けた為に、飛行隊定数は少なく削減され、これで充分だという政治的な文書が用意され、実態はたりていないものの帳簿上はたりている事となっている、故に緊急事態に即応する為に数日間を要する、というような状況がある。

 予算を増やせ、とは言い続けているところですが、昨年政府は防衛予算を増やす決断をしました、しかし、その予算でたりていないものを調達するのではなく、新しい“反撃能力”をかなりの予算を割いて調達する為に、当面やはり予算不足は続く、ということなのです。

 C-130H輸送機、海上自衛隊がかなり安価に中古のC-130R輸送機を導入しまして、この選択肢があるのか、と一瞬考えさせられましたが、一方で世界の中小国で予算に余裕の無い諸国は何故中古機を導入しないのかを考えますと、維持費と稼働率の悪さが挙げられます。

 防衛費を増やすものの新しい装備ではなく装備体系ごと新規に構築するというのは、住宅ローンに苦しみながら共働きにして余裕が出たので住宅とは別に御所西にマンションを買う、というようなもの。先ず必要なものを揃えた五年後に反撃能力を整備しては、と思う。

 KC-767空中給油輸送機の編隊飛行とともに、このKC-767は、航空自衛隊にかく事の出来ない装備体系の一つを構築したといえます、それはKC-767空中給油輸送機とE-767早期警戒管制機とC-2輸送機、エンジンを共通化出来た、という点なのですが、重要です。

 E-2C早期警戒機とC-130H輸送機とP-3C哨戒機、エンジン系統を統合出来た事例が過去にありますが、この共通運用基盤の構築には大きな意味がある。他方で惜しむべくは予算不足でKC-767を充分に揃える前に生産終了となり、KC-46A導入、二機種となったこと。

 KC-46A空中給油輸送機はKC-767と同じボーイング767系列の派生型航空機となっていますが、細部はそもそも767系列というだけで相違点があります。もっとも、機体自衛装置や遠隔操作給油装置などの追加、KC-767の頃とは導入された技術も大幅に違うのだが。

 空中給油機、導入開始から、初号機の到着を岐阜基地で撮影した事を懐かしく思い出すのですが、情勢は大幅に異なる厳しい状況となり、特にその運用先進国であるアメリカでは、鈍重で大型の空中給油機が将来の長射程ミサイルが飛び交う戦場で使えるのか議論がある。

 台湾海峡有事や南西諸島有事では、中国空軍戦闘機から運用される空対空ミサイルの射程が数百km台まで延伸している事から、空中給油機はもちろん早期警戒管制機でも危険であるとして、E-3早期警戒管制機を、小型のE-7A早期警戒機に置換える動きさえあります。

 安全保障環境はどうしても動いている、動き続けているものなのですが、アメリカでは暫定的な解決策に、操縦士一人で運用し給油作業は地上から遠隔操作、これにより撃墜された場合の被害を局限化する、というかなり厳しい運用を想定しているとのことでした。

 しかし、自衛隊の様に時間を掛けて防衛力を整備するという現状は、果たして将来の脅威に対応できるのか、それは専守防衛故に国土が戦場となるため、想定を見誤ればたくさんの同胞が戦場に巻き込まれ住宅を含め生命財産を失う事に直結しているというのですね。

 そして、この現状はもう少し国民の関心事として挙げられて良いように思うのですが、結局のところ、昨年の安保三文書改訂で最大の議論となったのは予算、税金の部分だけであり、中身などを知ろうとする努力は他人事か、ちょっと不安となる要素が増えたのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】犬山城(愛知県犬山市)五分咲開花の木曽川桜花街道を眼下に白帝城

2023-03-26 18:27:35 | 旅行記
■さくら前線-犬山へ
 さくら前線の北上がものすごく速いのですけれども追いかける様に城下町犬山へ行って参りました。

 犬山城、さくらの季節には特に花々に浮かぶ様子が面映ゆく、これは天守閣を探訪してもなかなかに心躍る発見が常にあるのですけれども、天守閣は入るには2020年などはよほどの勇気、これは滑落というよりも感染対策という意味でなのですが、必要なのでした。

 成瀬さんの犬山城、この城郭は江戸時代から平成の時代まで代々成瀬家が維持したものでした。国宝なのですし、維持にはもう少し国の協力や税制優遇があってもよさそうと思うのですが、相続税には何度も悩まされたといいまして、努力とともに維持された城郭だ。

 成瀬さんというのは文化の守り手なのだと感心するところです。文化財、例えば同じ国宝であっても寺院であれば宗教法人という事もあり免税があり、しかし城郭となりますと、自治体にゆだねるか、それとも、選択肢は少ない。矜持と義務感があって初めて成り立つ。

 散策は、しかし実際に巡ってみますと、なるほど天守閣に登ってしまえば視界を全部天守閣で占有できるのだけれども、言い換えれば天守閣全体は中に入ると逆に見えない、京都タワーに上った際の京都タワーが見えないのと同じ構図となります。景色として眺めたい。

 名鉄犬山線が木曽川を超える犬山橋、昔は鉄道道路併用橋という、電車が路面電車のように走るが普通に乗用車も通行しているという、これは迫力のある構図がこのあたりで展開されていました。京阪京津線でも見ることができる情景ですが、名鉄は迫力があった。

 パノラマカー7000系はもちろん1000系パノラマsuperも乗用車やトラックと並んで橋梁を走る様子、徐行に徐行を重ねて万一の際の安全配慮を行って通行していたものですけれども、もう少し長いこと維持されていれば、良い撮影機材で記録できたようにおもう。

 複合式望楼型三層四階地下二階天守閣、迫力あるなあ、という複雑な形状の天守閣は木曽川の河畔に造営されていまして、これは天然の要害を巧く取り入れた、と昔は思ったものですが、残念ながら地形上砂州が生まれやすい形状らしく、ここから攻城で陥落の歴史も。

 白帝城という愛称で古くから親しまれた城郭ですが、散策していますとこれは白帝城は長江流域段丘上に造営された白帝城についてをうたった李白の詩が由来しているといいますので、そうだ木曽川河畔を見える立地から散策した方が、その名の通りの情景と思う。

 満開、まではもう少しか、それでも今年の桜花開花は早いなあ、と焦燥感のような春の始まりを感じるところですけれども、この情景は築城が天文6年こと西暦1537年までさかのぼるといい、そして天守閣は日本現存天守閣にあって最古のものであると判明している。

 天守閣は今の姿になりましたのは西暦1620年のことといい、しかしそれは天守閣を造営したという意味ではなく、寺のお堂のような二層の櫓に望楼を加えたということでの完成ですので、複合式望楼型三層四階地下二階天守閣の複合の部分が1620年に出来た、と。

 望楼の部分が、しかしこれがなければ天守閣らしくないものだよなあとも感じさせられるところです。結局基部の部分は日本最古の天守閣と判明し、それまでは北陸の丸岡城が日本最古だと考えられていたのでした。しかし、この御城はそれほど古くはなかった。

 丸岡城は、北陸の厳しい気候に耐えるべく焼き瓦ではなく石瓦が用いられていて、これが古そうに見えただけという。対して犬山城の天守閣はもう少し前であったとのこと。これが判明したのは平成後期、歴史研究に発見する点はまだまだ多いとうならされたものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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核攻撃へ日本の備えは充分か?北朝鮮先制核攻撃想定図上演習と米韓合同軍事演習フリーダムシールド23終了

2023-03-26 07:01:10 | 国際・政治
■平和国家と"第三の核"
 核兵器を撃たれたらおしまい、ではなく生き残る人がいる限り救助の方法を考えなければなりません、平和主義と非核政策を国民が支持する日本だからこそ広島長崎に続く第三の核へ備えが要るのです。

 米韓合同軍事演習フリーダムシールド23が無事終了しました。北朝鮮による軍事挑発とともに開始された今回の軍事演習ですが、今回特筆すべきは、“北朝鮮の先制核攻撃を受ける”という状況を実動演習に先立ち実施された図上演習へ盛り込んだことでしょうか。もちろん従来の軍事演習においても北朝鮮による核兵器の戦場使用はある程度想定していますが。

 先制核攻撃を受ける想定、とは先月22日にアメリカの国防総省において米韓両軍関係者が実施した図上演習に盛り込まれたもので、アメリカ軍の核兵器を含む戦力により韓国を防衛する拡大抑止を念頭に実施されたとのこと。ここに北朝鮮の核兵器使用に対抗してアメリカ軍による戦術核使用やニュークリアシェアリングを実施したかは発表されていません。

 日本有事に際しても、ある程度の核攻撃を受ける想定での国民保護計画を、日本は進めるべきではないか。例えば日本国内の米軍基地や自衛隊基地、政経中枢や重要港湾などへの核攻撃は、ある程度念頭に置いて、自治体、だけではとても対応できない為に国主導の被曝対策や放射性降下物からの国民保護、被爆者治療などを計画する必要はないでしょうか。

 ARS急性放射線症候群、日本では放射能は浴びたらば遺伝子が破壊されておしまい、という認識が一般化しているよう思います、実際、東海村臨界事故においても致死量の中性子線を浴びた作業員は死亡しました。しかし、ARS急性放射線症候群であれば、白血球減少を抑制するアムジェン社のニューポジェンやロイキン、幾つかの治療薬が存在しています。

 ニューポジェンくらいは国家備蓄しているのでしょうか、いや、2011年の福島第一原発事故を見る限り、もともとニューポジェンは核攻撃を受けた際の汚染地域での救出活動を行うレスキュー部隊や軍の衛生部隊などに投与するものですが、汚染地域へ展開する自衛隊員へ投与された事例もありません。あれから12年を経ましたが、浅学にして聞かない。

 プルリステムPLX-18というイスラエルの製薬企業が開発する治療薬は白血球に加えて血小板や赤血球の放射線による減少を抑制する治療薬で、放射性降下物の降下前に接種することで効果が得られるとされており、経口治療薬型などの開発も進められています。これは宇宙飛行士の宇宙線被曝対策やがん治療と両立し得ますが、日本では研究が進まない。

 ヘママックスという、放射線を浴びてしまった後に投与する治療薬なども開発されているようですが、日本も、核攻撃を受け大量の被爆者を出した日本、原発事故が発生し大量の核燃料がメルトダウンした日本、なのだからこそ研究開発には政府資金を投じるべきであるし、へまマックスやニューポジェンの国家備蓄を進め、攻撃に備えるべきと思うのです。

 広島と長崎の核攻撃があったからこそ、緩和療法的な被爆者治療というものではなく、日本はもう少し国家として核攻撃による放射線症候群への治療体制を検討すべきではないでしょうか、日本は核兵器を持たないと国是を示しているのだからこそ、核攻撃に対しては無防備です、しかし、撃たれたら終わりと国民の生命を突き放す事が有っては、なりません。

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