北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

南海トラフ連動地震と十二年目の東日本大震災【1】必ず来る国家危機というべき大災害を正面から直視する

2023-03-11 20:00:26 | 防災・災害派遣
■追悼:3.11東日本大震災
 本日は三月十一日、あの2011年東北地方太平洋沖地震が引き起こした東日本大震災からの慰霊の日です。

 南海トラフ連動地震、東日本大震災の発災から12年となる本年ですが、当時の民主党菅政権がその発災がひっ迫していると警鐘を鳴らして以来、12年目ともなる一方、実のところ抜本的な対策が進んでいないという状況があります。3.11追悼の話題とは間接的にしか関係のない話題ですが、防衛と危機管理の一環として、改めて考えてみましょう。

 四国南部と紀伊半島を中心に阪神地区と中京地区の大阪名古屋の大都市が激震に襲われ、静岡県から九州南部までの一帯を津波が襲うとされる巨大災害、大袈裟と反論があるでしょうが過去に周期的に発生しており、日本列島が大陸外縁弧状列島というプレートの影響を最も受けやすい立地にある以上、地球物理学上必ず再来するという巨大地震です。

 名古屋と大阪が同時に被災する、極めて重大な点ですが、1995年阪神大震災では神戸市が大打撃を受けたものの大阪市などの周辺都市が支える形で被害局限という要諦を為しました、大阪市も被害を受けましたが負傷者を大阪市が引き受けることができましたし、広域消防支援は神戸市や芦屋市の消防を周辺都市が支援できましたが、今度ばかりは違う。

 大阪と名古屋、この二つの巨大都市は医療機能一つとっても巨大なものがあり、ここが被災地となる場合には支えられる受け手がありません、東京の医療機能は大きいのですが、大阪から東京まで緊急搬送を行うには航空機でも厳しく、ヘリコプターでは航続距離の問題もあり、往復6時間は見ておく必要があります、しかも防災ヘリは空中給油ができない。

 東海道沿岸部が津波被害を受ける、この実情は東海道本線と東海道新幹線の寸断、東名高速道路被災、新東名高速道路など一部の例外を除けば日本の東西交通の大動脈を遮断されることとなり、また大量物資移動手段である鉄道は、日本海側の路線、いわゆる“日本海縦貫線”が第三セクター化でJR路線から切り離されており、迂回路線が限られるのです。

 四国や紀伊水道沿岸津波被害は甚大な規模となり、しかも被災地を襲う津波は30m規模、これだけの規模の災害に地域の防災力で対応しろというには、平時から四国だけでいまの1個旅団を2個師団に拡大改編し、九州も冷戦時代の北海道並に4個師団程度を置かなければ、その地域にある防災能力だけで対応するという選択肢は現実的ではありません。

 32万という想定死者数、しかし、これを受け入れろというにはあまりに無理があります、何故ならば32万という数字を受け入れるには、それだけの労働力を失ったうえでの地域復興をどこから持ってくるのか、という根本的な問題が生じますし、そしてこれだけの犠牲を看過するという事は、政府想定通りの産業基盤被害も看過するとなる、復興できない。

 産業基盤破壊の看過というのは、32万という数字は対策が何も行われない状況ではそれだけの死者数がでるとした警鐘です、この場合は四国と紀伊半島の主要道路網及び鉄道網を一から再建することを筆頭にあらゆるインフラを子細した後に作り直すということとなり、復興計画は仮に年間30兆円規模の予算を組んだとしても半世紀以上を要するでしょう。

 復興を断念すべきか、これは意味がありません、東海道の津波被災地や四国南部と紀伊半島南部、それに名古屋や大阪が無くとも日本は成り立つのか、と問われれば、それは日本企業の多くは世界規模のサプライチェーン網に在って地位を有しており、この中間部分を根こそぎ持っていかれるのは、出入口のない工場や飛行場のない滑走路のようなものです。

 ダメージコントロールを地震発生前に確保する必要がある、これはよく防災備蓄などで指摘されるところですが、問題があるのは、この南海トラフ連動地震のリスクは津波災害を伴うものであり、防災倉庫そのものが被災する懸念がある、ということです。また、広域避難や事前の高台移転などの選択肢もあるにはあるのですが、その費用は捻出が難しい。

 費用捻出の問題は、家屋が倒壊してしまえば否応なく建て替え費用を捻出せざるを得ないものですし、銀行などの金融機関も政府特例措置や支援と呼応した積み替えは可能でしょう、しかし、今から新築するための場所を探すならば別ですが、いつか起こる地震のために特例措置を申請するには限界があります。こうした現実と想定の均衡点が重要という。

 しかし、安全保障と防衛を主たる論点として考えてゆきますと、南海トラフ巨大地震は激甚災害ではあるものの、太平洋戦争の戦災ほどではない。そして地震には悪意はないため、対策を構築することへの妨害などはありません。そして対策の中には防衛力との関連性がある視座も含まれるため、その日が来るまでに出来ることは多いようにも、思うのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-四条,戦略ミサイル原潜ダニエルブーンと似た名のイタリアン

2023-03-11 14:11:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 スペアリブはじめ肉類というのは疲れすぎた際や区切りのお仕事が完了した際にはわしわしやってみたほうが、実は心の健康に良いと思う。

 日の丸を見てどう思いますか?とか、君が代を聴いて涙が出ますか?なんていうアンケートを義務教育の時代に聞かれたという方、いや今でもやっているのでしょうかね、少々立ち入った話題故に酒宴などでは聞きにくい話題です、でも日の丸は日の丸とおもう。

 イタリア国旗を見てどう思いますか?と聞かれますと、空腹のときにイタリア国旗ほど心強いものはない、胸を張って答えられます。日本におけるイタリアの国旗はパスタかピッツァか、もっとがっつりしたものを出すお店の目印ですから。トリコロールだとお高そう。

 ダニエルズソーレ、このお店に行きましたのは原子力潜水艦ダニエルブーンという、ちょっと古い潜水艦の話題を書く機会がありまして、目についた看板の名で妙に響きが似ているよね、というまあ榛名さんの京都お散歩道にありがちな理由で選んだのですけれども。

 ダニエルブーン、1964年に竣工したジェームズマディソン級戦略ミサイル原潜の3番艦でトライデントミサイル16発を搭載しています、しかし冷戦後の1994年に退役している。対してダニエルズソーレ、こちらは現役で今日も元気に四条の街角にて営業しています。

 一段落ついた際に、ちょっといいランチを、という際におすすめのお店でして、先ずお冷がガス入り、このあたりからさて何を頂こうかという算段がとても楽しいお店です。しかしここのおすすめはお肉、スタミナがつきそうなときに充足充填させる秘密基地といえる。

 ソーレランチという、掛け声のような響きですが生パスタか窯焼きピッツァを数種類の中から選ぶランチもおいしそうではあるのですが、大満足!お肉のランチ、満足したのではなくそういう名前のメニューなのですけれど、こちらもちょっと値は張るがおすすめ。

 イタリアの国旗は、確かだったようだ、という美味しいものがいただけます。メニューにはヘルシーなお肉、ということですが、まあちょっとカロリー的なことを置いておきまして、しかし心の士気を高め、日常の鬱屈した疲れを吹き飛ばすには、スタミナが必要だ。

 COVID-19,もう少し留意しなければならない状況ではあるのですが、ここ、お店の雰囲気は町家のウナギの寝床、という印象なのですが、そこは京町屋、奥は広々としていまして一番奥はテラス席のように換気抜群、安心感がなければ美味しくいただけない現代です。

 トライデントミサイルほど威力はありませんが、お肉のランチはインパクトとしてはなかなかのもの、スペアリブとソーセージと、それからチキングリルというなにか笑みがこぼれるようなスタミナ系で揃えています。骨付き肉にカブリつくことでストレスを討つ。

 ランチ、大満足と銘打ったメニューですので、頂く最中にはちょっと時間はかかります、日常のランチタイムを少し長めに執らなければ仕事の合間の合間に、というには厳しいかもしれませんが、こういう時間と気分転換ができないまま壊れた人を見るのが最近多い。

 スペアリブ、一応周りを見渡すのですが、カブリつくことで骨に面した筋張った脂ののった肉のうま味と食感を丸ごと堪能したい、が、かぶりつく様子はあまり見られたくないものですから、一応周りを見渡す、周りでも同じように頂いている、少しフォークも使う。

 チキングリルは、骨つきのようで骨が取り外してありましたので、肉を切らせて骨を断とうとしても骨がなかったので拍子抜けしつつ、ナイフで一刀両断しそのままフォークでお口へ運ぶ、ヘルシーかどうかは別として、おお焼き具合が絶妙に巧いチキンを頂く。

 グリルの具合を、今考えると切り分けた断面も写真を撮影しておけばよかったかな、なんて振り返れば思うのだけれども、食べているときには、おいしいよね、で進んでしまうから不思議です。でも、切り分けた際の火の通りのトリコロール模様、美味しいし美しい。

 珈琲か紅茶がランチですのでセットになっていまして、ふうと一息、カバンから文庫本でも出そうと思いましたが、スペアリブを頂いた際に脂が手に残りましたので取りやめ、周りを見渡す、大陸からの観光客の一行さんたちがお隣で、実に楽しそうに思うお昼じかん。

 阪急烏丸駅からも徒歩でそれほど離れていません、アーケードや阪急地下道に沿って移動しますと雨の日でもそれほど濡れることなく、行くことができる。店内は、なにしろ事務机からしてライティングビューローという凝った意匠で、落ち着いたひと時を味わう。

 中京区高倉通錦小路上ル貝屋町、ここは四条高倉の12系統バスとかが停まるバス停、大丸前のバス停から上り大丸を抜けると錦市場が見えてきます、ここで牡蠣で優雅なワイン、なんてのもいいのかもしれませんが錦市場に入らず、アーケード手前で上ると在るお店だ。

 ダニエルズソーレ、阪急からも近いですし、何より心強いイタリア国旗が迎える、なにかお隣の烏丸ならぬ鳥丸赤提灯が目立っているのですけれど、京都中心ビジネス街を形成する四条通から一歩入りますと、こんなゆったりとした時間が今日も流れているのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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地域配備師団基幹部隊に地対艦ミサイル連隊を!動けぬ軽量少数装備部隊に第一線へ届くミサイルを配備すべき

2023-03-11 07:00:10 | 防衛・安全保障
■地域配備師団を考える
 政府が進める反撃能力整備の優先施策は防衛費が実質倍増する中にあって戦車も火砲もほとんど持たない師団を増やす現状に新しい一手を講じられるのかもしれません。

 地域配備師団、今後陸上自衛隊の部隊体系は即応機動師団即応機動旅団と地域配備師団地域配備旅団、この二類型に分割されてゆくこととなります。ただ、その装備体系を見ますと、高度に装甲化され多数の機動戦闘車を備えた即応機動連隊一個だけに依存する即応機動師団と、火砲も戦車も廃止し僅かな機動戦闘車を持つ地域配備師団、という印象です。

 地対艦ミサイル連隊、思い切って地域配備師団に地対艦ミサイル連隊、これは後継装備としての反撃能力という射程2000km台のミサイルを含めて、地対艦ミサイル連隊を地域配備師団に統合してしまってはどうでしょうか。具体的には、南西諸島配備部隊型の、またはアメリカ海兵隊の海兵沿岸連隊のような、地対艦ミサイル連隊に警備隊を加えた編成で。

 地域配備師団の特色は、有事における初動を即応機動連隊に依存するとともに、地域配備師団の管区内に侵攻された場合を除いて動かない、いや、戦車と火砲を廃止して装甲車もほとんど持たないために動けない編成という部隊です。しかし、防衛出動となればオールジャパンオールJGSDFの精神で対応しなければならず、その運用指針そのものが不適切だ。

 反撃能力、仮に北海道での有事を想定しますと射程2000㎞のミサイルであれば九州からでも北海道北部へ到達しますので、海岸橋頭保などに対して日本全土から同時飽和攻撃を加えることも可能で、いわば、駐屯地から動かず現場でミサイルだけが集中する、というもの。反撃能力整備は今回の防衛力整備の重要目標、政治の要求とも合致する編成といえる。

 地域配備連隊、とでもいうべきでしょうか、概括した編成は、本部管理中隊に増強普通科中隊と地対艦ミサイル連隊に高射特科中隊、という編成を想定します。その核心は、地域配備部隊が有事の際に動けないのであれば、ミサイルだけでも現時点では200㎞先へ、将来的には反撃能力による2000kmの射程を以て、管区内から動かずに第一線を支援する。

 地対艦ミサイル連隊、政府が求める反撃能力を考えれば大幅に増強する必要があり、例えば地域配備師団であれば5個連隊、地域配備旅団であれば3個連隊、地対艦ミサイル連隊を含む部隊を全国へ配備しますと、一定の目処はつくでしょう。このあたり、数回に分けて、今後、東日本大震災関連の話題を掲載した後に、記事として議論してみたいと思います。

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