北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

南海トラフ連動地震と十二年目の東日本大震災【5】被災地への輸送計画の明確化とC-2輸送機の増強が必要

2023-03-25 20:04:16 | 防災・災害派遣
■輸送計画と必要物資量
 C-2輸送機は防衛出動に際しても有用ですし近年はスタンドオフ兵器の運搬手段としても注目されるようになっています。

 C-2輸送機、有事の際には大いに役立つ装備ですので、災害派遣用に増強したとしても日本という国単位で見た場合はそれほどマイナスではありません、いや、これまでは防衛費が不足していましたので、リソースを輸送機につぎ込めないという問題点はあったのでしょうけれども、今回岸田内閣は防衛費を二倍に増額、全く予算がないわけではありません。

 C-2輸送機の強みは速度と輸送力と不整地発着能力の三位一体です、24時間当たり4ソーティとして北海道から四国山間部の応急飛行場へ、C-2輸送機8機の飛行隊であれば1000tの物資を空輸可能です。着陸せず被災地の物資降下地点を定め低空投下するならば、入間基地を起点に紀伊半島へ空輸する場合は1ソーティ4時間、24時間で6ソーティ可能だ。

 有事の際、これも単純に空輸するだけという任務では、南西有事では南西諸島の一部は中国本土の地対空ミサイル射程内に入りますので、飛行させられない、という問題が生じるでしょう。北方有事に際してもロシアのS-500地対空ミサイルは北海道内を射程に収める、無論低空飛行した場合は最大射程を発揮できないのですが、輸送機単体では限界がある。

 しかし、ラピッドドラゴン計画という、アメリカ空軍が進める“C-17輸送機からのスタンドオフミサイル運用能力”、射程1000㎞規模の空対地ミサイルを輸送機から発射するという運用に、C-2輸送機も参画するならば、なにしろC-2輸送機の格納庫はC-17ほどではないけれども、C-130よりかなり大きい、有事の際に航空打撃力の補完として活躍できます。

 入間基地の第402飛行隊と美保基地の第403飛行隊、C-2輸送機はこの2個飛行隊に現在の計画では各8機を配備する計画ですが、“トンガ噴火災害救援”“カブール陥落邦人輸送任務”、このC-2が必要な任務に際し即応機を準備できなかったことから、不足していることは火を見るより明らか、これで不足していないというならばとんでもない怠慢か怠惰だ。

 C-130H輸送機が即応機を常に待機できている点から、小牧基地の第401飛行隊のようにC-2輸送機の定数は、第401飛行隊の定数である16機、つまり現在の編成から倍増させる必要があるよう思う、少なくとも第402飛行隊と第403飛行隊のC-1輸送機配備時代の飛行隊定数は12機でしたので輸送機不足の現実を受け入れ、先ず12機に戻すべきです。

 横田基地か千歳基地に、輸送航空隊をもう一つ増やす必要があるよう思う。このほかにも被災地に近く標高が高い浜松基地とか、受け入れ施設では第5空母航空団の岩国移転で余裕がある厚木基地に海上自衛隊に加えて航空自衛隊厚木基地を新設し、ここにC-2輸送機飛行隊を置いてもよい、空母航空団に配備されたC-2輸送機よりは大分大きいけれども。

 下総航空基地の海上自衛隊教育航空司令部や教育訓練部隊をすべて厚木基地へ移設し、下総基地を航空自衛隊輸送基地とする選択肢もあるでしょう、元々は厚木基地が完全な米軍基地であった時代に航空集団司令部を置いていたのが下総基地、半分厚木に移転しているのですから。こういうのも第1空挺団の習志野駐屯地最寄り基地が下総航空基地です。

 第1空挺団を同時空輸できるC-2輸送機、おおむねこの程度の輸送力を念頭に整備してはどうかと思う、いやC-2輸送機には航空自衛隊後方支援という任務がありますから、空挺団の輸送だけに専念できるわけではありませんが、もう一つの表現をしますと、航空自衛隊の作戦輸送、日施輸送ではなく有事の際の兵站支援と並行し大隊を輸送する程度、と。

 C-2輸送機、小牧の第401飛行隊を仮に16機のC-2飛行隊へ改編し、そして入間と美保の飛行隊もせめて12機の飛行隊に拡充したとして、やはり不足は否めません、稼働率という問題がある、ただ、入間と美保の飛行隊を16機に拡大改編しもう一個飛行隊を下総か千歳か横田に新編して64機体制としたらどうか、初動12時間でかなりのことが可能となる。

 総務省消防庁は南海トラフ地震に際し、遅発連動地震を警戒し、広域巣要望援助隊は東北地方、北関東地方、北越地方、山陰地方、北九州地方から展開することとなっています。C-2輸送機は消防車と小型消防車ならばめいっぱい搭載すれば6両を同時空輸できる、すると使える飛行場はこれらの地方にはかなり多数並んでいるから、空輸で初動を支えられる。

 空輸計画の概略を、初動24時間が人命救助に当たる消防緊急援助隊と応急飛行場を整備する施設科部隊、初動48時間を被災地内陸部の病院の維持や道路修復への民間土木会社などの空輸支援、並行して空荷となった輸送機は可能な限り被災者を被災地外避難所、例えば北海道や東北地方避難所へ空輸、初動72時間以降を食料や燃料等を運ぶ等考えられます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-滋賀長浜,湖畔城下町小川沿い桜花並木眺めケーキのひととき

2023-03-25 14:11:13 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 はるなさんは散策という際にはこ難しい事を考えず偶然というものをを大切にしたい。

 長浜市大戌亥町にエベーヌという、小川の堤防ぞいに三角屋根のケーキ屋さんが有ります、長浜市というのは豊臣秀吉の長浜城下町がそのはじまりなのですが、江戸時代にも彦根藩が治めた事により寺社仏閣が多く、個性的な街並みが広がる。ここは散策が愉しいのだ。

 エベーヌさん、ケーキ屋さんなのですがイートインが有りまして、珈琲の急速にはとっておきの静かなテーブル席がいくつか並んでいます、ショーケースのケーキとともにケーキセットを注文して、そして大きなガラス越しに川沿いの桜並木を眺めながら愉しむという。

 オペラ、チョコレートを多層に積層したケーキなのですが、珈琲にはチョコレートが良く合うだろうという事でこのひと品を注文してみますと、アイスクリームとともにお皿にのせられてきまして、きれい、ああこのアイスクリームなら紅茶も在ったのかもしれない。

 珈琲とともに、少しをフォークで崩すように掬い取りまして味わい、そして珈琲を熱いのですがふうふうと含んで香りを愉しく、余韻と共に手元の文庫本の頁をめくり又は川沿いの咲待ち桜の寂しげな情景とともに、また甘いケーキのチョコの苦味さえ愉しむ繰り返し。

 城下町というにはこの大戌亥町というのはちょっと中心部から外れていまして、散策する際にちょっと偶然も重なりまして探訪しました、次に行くときには見つけられるのかなあと思いつつ、しかし長浜で桜満開を撮影する頃には、また探訪していそうな気がするのです。

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79式対舟艇対戦車誘導弾廃止が生む対戦車ミサイルギャップの懸念-可搬性ある対戦車ミサイルの重要性

2023-03-25 07:00:54 | 先端軍事テクノロジー
■榛名防衛備忘録
 79式対舟艇対戦車誘導弾は愛称が"重MAT"といい弾頭を切り替える事で対戦車戦闘から中型揚陸艦の撃破まで幅広く運用可能です。

 79式対舟艇対戦車誘導弾廃止は陸上自衛隊の野戦部隊に深刻なミサイルギャップ、対戦車装備体系の空白を生むのではないか危惧します。この視点は手遅れと思われるかもしれませんが、来年度を以て79式対舟艇対戦車誘導弾は最後に運用されている第12対戦車中隊が廃止され、79式対舟艇対戦車誘導弾という装備そのものが廃止予定となっています。

 ミサイルギャップ、といいますと大袈裟に思われるかもしれませんが、陸上自衛隊には対戦車装備として少数の96式多目的誘導弾システム、そして79式対舟艇対戦車誘導弾と87式対戦車誘導弾の後継として装備される中距離多目的誘導弾、また携帯式の01式軽対戦車誘導弾と84mm無反動砲などが配備されています、これらはそれぞれ射程が異なります。

 中距離多目的誘導弾は射程が9km程度とされ、これは充分行き渡るならば79式対舟艇対戦車誘導弾は射程が4kmですので、充分置き換えられると思われるでしょう、しかし中距離多目的誘導弾は重量が大きくCH-47輸送ヘリコプターでなければ輸送できません、一方79式対舟艇対戦車誘導弾は一応UH-1多用途ヘリコプターで輸送可能、空挺投下も可能だ。

 87式対戦車誘導弾は携帯が可能ですが、射程は2kmでしかありません。01式軽対戦車誘導弾は優れたミサイルですが射程は1.5kmと開発された当時のままであり、先行して開発されたアメリカのジャベリン対戦車ミサイルが改良と共に徐々に射程を延ばし2.2kmまで改良された一方、日本では一旦制式化された装備を改良しない悪弊が陳腐化を強いている。

 可搬可能である対戦車ミサイル、イスラエルのスパイク対戦車ミサイルはスパイクLRが射程4kmとなっています。可搬可能かと問われますと車載が必要と応える他ないのですが、TOW対戦車ミサイルも射程は4km程度で、自衛隊はこの射程4km程度で可搬性のある装備が今後消滅し、射程1.5kmのミサイルと射程9kmのミサイルのみとなるのですが。

 中距離多目的誘導弾は車載式、一応降ろす事も出来るのですがシステム重量が大き過ぎ、掩砲所構築一つとっても労力が非常に大きいのです。戦車が大幅に削減される中、歩兵、普通科の火力責任距離は増大が求められる、一方、あらゆる天候と地形を克服するという普通科部隊にはある程度軽量で、しかし可搬性のある対戦車ミサイルを、維持すべきです。

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